昂次元ゲイム ネプギア SISTERS GENERATION 2 作:ゆーじ(女神候補生推し)
「しかし、変身なしとは、なかなかの縛りプレイね」
「でも、ぎあちゃん達なら大丈夫です~」
アイエフとコンパは女神候補生達の実力を信頼しており、特に口を挟む気はないようだ。
それを聞いたあんみつは、「それほどのものとは、楽しみです」と答える。
「私も楽しみだよ。でも、私一人で五人を同時に取材するのは難しいかも」
ファミ通はそう言って少し考え込む。
「そんなこともあろかと準備をしてきました!」
ネプギアは意気揚々とNギアを操作する。
するとNギアからエビの形を模した30センチメートル程の大きさの機械が四つ出てくる。
ロムが、「エビさん?」と言うと、「わー、エビだエビー! おっきーい」とラムも嬉しそうにそれに続く。
「プロペラが付いてるわね。エビ型のラジコンヘリ?」
ユニはそれをよく確認して、プロペラが付いていることに気付いたようだ。
プラエは、「これがラジコンって言うんだ。プラエ初めて見た」と言ってしげしげと観察する。
「ネプギア様これは?」
ファミ通が不思議そうにその機械を指差すと、「ファミ通さんの為に作った取材用のドローンです」とネプギアは自信満々に答えた。
「どろーん? 雷系の魔法だったっけ?」
「ラムちゃん、それはドロンだよ」
ラムはルウィーに伝わる古の雷魔法と勘違いしたようで、ロムに訂正を受ける。
「ドローンって、無人で遠隔操作や自動制御するって言うラジコンみたいなヤツよね」
ユニが自分の知ってる範囲でドローンを解説すると、「そうだよ。これは六つのローターで飛ぶから【ヘキサコプター】って言うんだ」とネプギアが答えながらNギアを操作するとエビ型のドローンから六つのローターが羽を広げた。
ローターが回転するとドローンは宙に浮いて飛行する。
「わー! 飛んだ飛んだわー!」
ラムが空飛ぶエビを興味津々に見つめ、「浮いてる(ぱたぱた)」とロムがホバリングしているエビを指差し、プラエも、「すごいすごい!」と拍手を送っている。
「これが本当の【エビフライ】!」
ネプギアは自信満々のドヤ顔で宣言する。
「え……」
ユニの表情が凍りつく。
同時に周囲の空気も凍る。
「えびふらい?」
ロムが不思議そうに首を傾げると、「なんでエビフライなのー? あれはエビだけど衣が付いてないわよ?」とラムが左手を上げて質問をするが、「衣が付いてても食べられないんじゃないかな?」とプラエがツッコミを入れる。
ネプギアのダジャレを理解出来なかったロムとラムとプラエは凍りつかなかったようだ。
「えーとね、フライって言う言葉には空を【飛ぶ】って意味とエビフライとかを【揚げる】って意味があるんだよ」
ネプギアはロムとラムとプラエに丁寧に説明を始める。
「「「ふんふん」」」
興味津々に聞き入るロムとラムとプラエ。
「ダジャレを説明してる時点でアウトよね……」
アイエフはかわいそうなものを見る目でネプギアを見る。
「あいちゃん、そういうこと言っちゃダメです~。ギアちゃんあれでも一生懸命なんです~」
コンパは生暖かい目でネプギアを見て、あんみつは、「そうです。一生懸命な人を笑ってはいけませんよ」と言うが、「いや、そこは笑って欲しいんじゃないの」とアイエフがツッコミを入れる。
「それでエビ型のドローンが飛んだから、これもエビフライってことになるの」
ロムとラムとプラエへの説明を終えてネプギアは三人の反応を伺う。
「ふーん、ちょっと面白いかも」
ラムがそう言うと、「うん、エビフライじゃないけどエビフライなんだね」とプラエが納得したように頷く。
「「「エビフライ、エビフライ」」」
キャッキャッと騒ぎながら飛んでいるドローンを指差すロムとラムとプラエ。
「よかった~。意味が通じたよ」
ホッとするネプギア。
「……アンタ、そんな下らないダジャレ言う為にコレ作ったの?」
ユニが呆れながら冷めた目でネプギアを見つめると、「やっぱり面白くないかな? でもでも、一生懸命頑張って考えたんだよ!」とネプギアは涙目になりながら必死に訴える。
「アンタにはギャグセンスってものはないわ。諦めなさい」
そんなネプギアを冷たく突き放すユニ。ネプギアのことを思っての諫言だ。
「そんなことないもん。ユニちゃんのいぢわる~! 私だって頑張れば面白い冗談言えるんだから~」
ネプギアにしては珍しく地団駄を踏む。
これも相手がユニだから見せられる彼女の年相応の顔なのだ。
「はい、面白い面白い」
ユニは呆れ顔で投げやりに言う。
「うわ~ん! 全然感情が籠ってない~! ユニちゃんのばかぁ!」
ネプギアなりに面白いことを言おうと一生懸命なのである。
努力家で真面目な彼女は、向き不向きで簡単にあきらめることはしない。
ネプテューヌの【面白いことを言うのが女神に必要】との言葉を信じて頑張っているのである。
「えーと……取材にこれを借りて良いってことかな?」
ファミ通は、話がひと段落したところでネプギアに質問をすると、「いえ、貸すんじゃなくて差し上げます」とネプギアは事もなげに答えた。
「ええっ!? こんな凄いの貰っちゃっていいんですか?」
驚きで目を丸くするファミ通。
「私が個人的趣味で作ったものですから。それに私が持っているより、ファミ通さんの取材で使って貰った方が、この子達も喜ぶと思うんです」
ネプギアは心優しい性格のとおり物を大事にする。自分で作ったこのドローンも自分の子供のように扱っていた。
そのドローンに、活躍の場を多く与えてくれるファミ通に譲るのには、何の抵抗もないどころか喜ばしいことだと考えていた。
「ファミ通さん、ネプギアさんの気持ちを受け取ってはいただけないでしょうか」
ネプギアに続きイストワールもファミ通に言う。
「イストワール様までそう言うなら……でも、本当にいいんですか?」
念の為、再度確認を取るファミ通に、「はい、勿論です」と笑顔で頷くネプギア。
「ありがとうございます。大切に使いますね」
ファミ通の感謝の言葉に、「受け取って貰えてよかった」と胸をなでおろすネプギア。