ハリーポッターと代行者   作:岸辺吉影

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アンチ要素あります(多分)


授業とトロール

入学式が終わり授業が始まる。魔法学校らしく呪文学から薬草学、飛行術に防衛術と多岐にわたる。どの授業もマグルの授業にはないから面白いのだが、何事も例外は存在するものだ。いくつかあるその中でも魔法薬学は最悪だ。

 

「この授業では杖を振ったり馬鹿げた呪文を唱えたりはしない。いいかな。魔法薬調合の微妙な科学と芸術的な技を諸君が理解できるとは期待していない。だが一部の、素質のある選ばれた者には伝授してやろう ― 人の心を操り感覚を惑わせる技を。名声をビンの中に詰め、栄光を醸造し死にすら蓋をする、そういう技を」

 

この歌いだしだけ聞けば全うなのだがそれ以後はグリフィンドール、とくにハリーポッターに対する当てつけがひどい。急な指名はともかく答えられないハリーに対してネチネチと指摘するさまは、士堂ですら反感を覚える。その士堂も状態の悪い材料を渡されるなど嫌がらせともいうべき仕打ちを食らった。

 

「ふむ、山嵐の針もすべてが同じというわけではない。このようにきれいに山の形をしているものは良質だが・・・これはマルフォイ、君たちが使うといい。残りを使いたまえ、ミスター士堂?」

 

マクゴナガル先生の変身術はある意味真逆ともいえる。なぜなら依怙贔屓はなく平等に厳しい。変身術という授業そもそもの危険性と難易度の高さが理由だった。授業の中でマッチ棒を針に変身させる課題が出たとき、成功したのはハーマイオニーだけであった。士堂は針ではなく薄い鉄になってしまったが…。

飛行術の授業では初めての箒飛行で暴走したネビルや、空中に投げられたネビルの思い出し玉をハリーが見事にキャッチしたことがきっかけで、グリィフィンドールのシーカーに100年ぶりに抜擢された。

この授業で士堂は一つ分かったことがある。箒飛行はいわば自転車のようなもので、意外と体力がいるということだ。軽く飛んだだけでも、箒から落ちないように腹筋やら背筋やらを意識しなくてはならない。クディッチの選考メンバーがやせ型なのはそのためかと感心したものだ。

 

あるときハーマイオニーからハリーの父が、グリフィンドールのシーカーだったことを教えられた。ハリーは両親について詳しく知らなかったから、興味を惹かれる。

そこで4人でグリフィンドールのクディッチカップを鑑賞したりしていたら、道に迷った。まだ一年の彼らは動く廊下に翻弄されっぱなしなのだ。彼らはホグワーツの魔法に導かれるように、四階の禁じられた廊下に出てしまう。

 

「ここって入学式の時に校長先生が来ちゃダメだって言ってた場所じゃない?」

 

ハーマイオニーの指摘を受けて慌てて帰ろうとすると、ミセス・ノリスに出くわしてしまう。

用務員のフィルチの飼い猫で、フィルチにこのことがばれたら減点どころではない。用務員のフィルチはなぜか、生徒たちから減点することに快感を覚えているかのような輩なのだ。

 

「まずいぜ、このままじゃ見つかっちゃうよ!」

 

泣きそうなロンの声を無視して士堂は近くの扉を見つける。

 

「ここに逃げ込んで時間を稼ごう!」

 

だが扉には鍵がかかっていて、子供の力では空かなかった。蹴り飛ばそうかと考える士堂にハーマイオニーがあきれながら声を掛ける。

 

「私たちは魔法使いよ、こういう時のための魔法が教科書に載ってるわ。」

 

『アローホモーラ 開け!』

 

空いた扉の奥に急いで逃げ込んで、ミセス・ノリスをやり過ごす。ふーと息をついて顔を上げてみるとそこには巨大な三頭犬がいた!

 

「「「「ああああー!!!!」」」」

 

すぐさまその場から逃げ出す4人。何とか談話室に戻ると男3人はハーマイオニーから釘を刺される。

 

「あなた達といると命の危険があるわ、最悪退学よ!」

 

そう言って部屋に戻る彼女の後ろ姿を見ながら、組み分け帽子の困難と冒険の意味を肌で体感する士堂だった。

 

「あいつ、命よりも退学の方が怖いのかよ。」

 

ロンの言葉が談話室に消える。

 

 

一年生とは思えない激動の時間の中、元々の知名度に相まってハリーへの注目度は日に日に高まってきていた。そんな日々でも、士堂はハリーとロンと3人で行動することがほとんどだった。授業の時はハーマイオニーや同室のネビルやトーマスら一緒になることもあるが、ほとんど3人であった。

特にハーマイオニーが根っからの勉強好きで図書館で課題だの復習だのに没頭するのに対し、3人は課題はこなしてもそれ以上やろうとはしないタイプである。

 

だから休憩時間や授業後の自由時間は3人でお菓子をつまんだり、ロンの双子の兄弟、フレッドアンドジョージのいたずらグッズで遊ぶことが多かった。正確には遊ばれているのだが。

 

「そっち行ったぜ、士堂!」

「よけなきゃまずいぜ、士堂!」

「くそ、花火なのに追尾するのか?!」

 

右に左にステップを切りながら「追尾式笑いロケット花火Ⅱ」の試作品をよける士堂の息は徐々に上がる。組み分けの時に双子がかけてきた水(何の水かは知らない)をよけてから、士堂はちょくちょくいたずらの対象になった。特にこの追尾する花火は、よけることが出来る人材が少ないという理由で、士堂が指名されることが時折あった。

今士堂は学校の校庭で一人鬼ごっこをしている状況なのだが、ハリーやロンは他のグリフィンドール生と一緒に大笑いしていた。

 

「他人事だからって、くそ、もうすぐ授業だってのに!」

 

息も上がってきた士堂の悪態を受けて双子が顔を見合わす。どうやら本当に授業が近いらしい。

 

「じゃ終わりにしなきゃな、フレッド」

「ああ終わりにしなきゃな、ジョージ」

『『アクアメンディ 水よ』』

 

二人の杖から水が飛び出し、士堂を追尾する花火に直撃して沈下させる。思わず座りこむ士堂の肩を双子が同時にたたいた。

 

「冗談きついぜ全く…。」

「お前なら逃げられるからちょうどいい実験になる。」

 

フレッドがしたり顔で言えば、

 

「次はスコージファイを俺たちが打つからそれもよけながら、やってみようぜ。」

 

ジョージが悪い顔つきで提案する。

 

「「その次はグリセオだな」」

「笑えないよ全く。」

 

刺激的な日々でまた事件が起きる。きっかけは呪文学でハーマイオニーがロンの浮遊呪文のアクセントと杖の振りを注意したことからだった。

 

「いい、レビオーサよ、あなたのはレビオサー だってよ冗談きついぜ。」

 

授業終わりにハリーに士堂、トーマスといった面々に愚痴り続けるロンは今までのうっぷんが溜まっていたかのように言葉が続く。呪文が得意でないロンは、簡単に成功させるハーマイオニーへのやっかみからか口が悪くなっていた。

 

「自分が頭いいからってな、偉そうにしてさ、だから友達出来ないんだ。」

「ロン、それは言いすぎじゃないか。」

「ハーマイオニーは勉強好きなだけじゃないか。」

 

ハリーと士堂がやんわりとロンに語っているとロンの方を突き飛ばす人がいた。

 

「聞かれたらしいぞ、ロン」

 

シェーマスの言葉を受けるとロンは少し肩を落として小走りで去っていくハーマイオニーを見つめた。

 

 

その日はハロウィンのパーティーが開かれていたのだがハーマイオニーの姿が見えない。カボチャのランタンにカボチャ料理が並ぶ中、いつもと違うbgmが流れていても3人の心は晴れない。グリフィンドールの席を隅から隅まで見ても見当たらないのだ。

 

「ハーマイオニー、トイレに入ってから出てこないみたい。」

 

グリフィンドール同室のネビルからそう聞いた士堂はロンに釘を刺す。

 

「謝った方がいいぜロン。」

「ロン、その通りだよ。」

 

同調するハリーの声を受けてさすがのロンも肩を落とすしかない。

 

「いきにくいなら一緒に謝ってやるさ。」

 

そう言いながらハロウィン限定のカボチャパイとカボチャジュースに手を伸ばす士堂だった。布巾に包んでハーマイオニーに持っていこうかとぼんやり考えながら、自分の分のステーキも確保して食事を楽しもうとしたその時だった。

 

「トロールが地下室に!!! 現れまし…」

 

そういって闇の防衛術教授クィレル先生が倒れたのを皮切りに、それまでの楽し気なパーティーは一転阿鼻叫喚に陥った。我先にと逃げる生徒たちを目の前にしても稀代の大魔法使いは冷静であった。

 

「各監督生は下級生を集めて談話室に戻るように。先生たちはこっちに来てもらおう。」

 

ダンブルドア校長の迅速な指示で各寮に団体で変えることになったが、帰ろうとしたハリーがほかの二人の袖を掴んで小声でささやく。

 

「ハーマイオニーがまだ残っている!」

「何言っているんだ、ハーマイオニーは女子トイレにいるんじゃ…」

 

士堂はそこまで言って最悪の状況を思い浮かべる。

 

「女子トイレってトロールがいるっていう地下室と…、まさか同じ階じゃないか?」

 

ロンの声とともにハリーと士堂は駆けだしていた。

 

「先生を呼んだ方がいいんじゃないか!」

「そんな時間はないかもしれない、早めにハーマイオニーを女子トイレから出せばいいだけだ!」

 

全速力で地下に向かう士堂にハリーがくっつき、少し遅れてロンがついてきていた。

 

ハーマイオニーは膝を抱えて泣いていた。ホグワーツに来て以来、気にかけていたことをよりによってあの3人にいわれるなんて…。ハーマイオニーは決して孤独を好んではいない。少々浮きがちだった自分でもホグワーツでなら友人ができると淡い期待を込めていた。

実際行きの列車であの3人と会話もできて授業も一緒の席も多かった。そんな3人のうちの一人にあんなこと言われるなんて考えてもいなかった。

 

「ロンのバカ…、 わざわざハリーや士堂に言わなくったっていいじゃない…」

 

そんな負の感情を消化しきれていないハーマイオニーは近づいてくる物音に気付かなかった。

地下についた三人は視界にトロールをとらえる。一瞬先生たちがいるのではないかと確認したが、寮に向かったのか姿は見えない。

 

「まずい、あっちは!」

 

士堂が声を上げるとハリーも続く。

 

「確か女子トイレの方だ!!」

「「「ハーマイオニー!」」」

 

 

ハーマイオニーは涙の流れる目をこすりながらトイレから出てくる。すると普段トイレで嗅ぐことのない臭いと地響きに近い声のような音にゆっくりと顔を上げる。そこにいるのは普段教科書や本でしか見ることのない本物のトロールがいた。

トロールは彼女を視界にとらえるとゆっくりと、しかし確実に近づいてきた。手に持った棍棒が振り上げられたとたん、彼女の叫び声とともにトイレの壁が薙ぎ払われる。ハーマイオニーが間一髪しゃがみ込んで回避したのもつかの間、トロールは次々と壁を薙ぎ払いながら彼女を追い詰める。

 

女性の叫び声がして顔を青くする3人が女子トイレにかけこむと、ハーマイオニーをトロールが追いかけているのが見えた。とっさに士堂はローブの中に手を入れて黒鍵の柄を握りしめる。

トロールにも種類があり、精霊や神霊に近いものから魔の要素が強いものもいる。見たところハーマイオニーを狙うトロールは魔の要素が強いと見えたが、抜けずにいた。祖父の言いつけが頭をよぎって抜けずにいたのだ。

しかし本当のところは怖じ気づいていたのだ。代行術を学んだといっても、実戦経験といえば弱い地縛霊を数例祖父とともに対処しただけだ。

 

目の前にいるトロールの迫力に士堂が躊躇する中ハリーはトロールの気を引こうとその場に落ちている石やら何やらを投げつけていた。それでも気が引けないトロールに対してハリーは無謀にもトロールにとびかかって杖を鼻の穴に刺した!暴れるトロールに腕をつかまれながらもハリーが叫ぶ。

 

「トロールの気を引いてくれ、士堂、ロン!」

 

ハリーの声を聴いた士堂はローブの下で握っていた柄を離し、代わりに杖をもった。そして先端をトロールに向けると、杖がトロールに対抗するかのように光を放出する。

急な出来事に困惑する士堂だったが、同時に魔力の高鳴りを全身に感じながらありったけの力を込めて頭に浮かんだ呪文を叫んだ!

 

『アクアメンティ 水よ!』

 

士堂の杖から水が激流となってトロールの顔にぶつかる!本来トロールには魔法が聞きにくい。失神呪文などは今の士堂が放ったところで効かないのは明確であり、第一士堂は攻撃呪文を知らない。

しかし魔法で生みだした物質そのものはその限りではない。激流が顔にあたったトロールはよろめき、ハリーを投げ飛ばした。幸いそこまで強く降られたわけでもなかったために、ハリーは床にたたきつけられてもケガまではしなかった。杖に魔力を込めて激流を浴びせ続ける士堂を見てハリーが叫ぶ!

 

「いまだロン、浮遊呪文だ!」

「え?!」

「トロールの棍棒を取り上げろ!」

 

ハリーの言葉に驚きを隠せないロンに奥にいるハーマイオニーが叫ぶ。

 

「レビオーサよ、杖を軽くひゅー、とよ!」

 

戸惑いの色を見せていたロンも覚悟を決め呪文を唱える。

 

『ウィンガーデアム レヴィオーサ 浮遊せよ!』

 

ロンの魔法はトロールの棍棒を正確に浮遊させ、トロールの頭に落下させた。

 

「やった!」

 

前に浴びた激流以上によろめくトロールの足元に士堂が畳みかける。

 

『グリセオ、 滑れ!」』

 

トロールの足元に放たれた呪文はトロールの足を見事に滑らした。頭の衝撃に滑りも加わり、頑丈なトロールも床にたたきつけられるとぴくぴくとしか動かなかった。

 

「だ、大丈夫か?!」

 

ロンが声をかけると洗面器の下に隠れたハーマイオニーとたたきつけられていたハリーが手を挙げる。その姿を見て安心した士堂は気絶したトロールの鼻からハリーの杖を引き抜いた。そして自らの杖でハリーの杖に呪文を唱える。

 

『スコージファイ 清めよ。』

 

トロールの鼻くそだのなんだのがついていたハリーの杖は一瞬にしてきれいになり、士堂はハリーに渡す。

 

「ありがとう」

 

ハリーが笑みを浮かべながら杖を受け取ると、ロンが士堂の肩に手をおきながら訪ねる。

 

「いつの間にあんな呪文を覚えたんだ? 習ってないよな、あの呪文?」

「双子が花火を向けてきたときに、今後使おうとしていたやつさ。どんな呪文か気になってね。調べておいたのが役に立ったよ。」

 

ロンと肩を組みながら士堂が答えていると教師人が到着した。

 

「なんということですか?なぜあなたたちがここに?」

 

マクゴナガル先生の追及に組んでいた肩をおろして3人は何とか答えようとするもうまく言葉が出ない。そんな彼らを見てハーマイオニーが状況を説明する。

 

「彼らは悪くありません、私が逃げ遅れたのに気づいてくれたんです、それで私を助けようと…」

 

ハーマイオニーをの弁解にため息をついたマクゴナガル先生はハーマイオニーから5点減点、3人に5点ずつ加点して4人を部屋に戻した。

 

「これは貴方たちの幸運に対してです、勘違いしないように。」

 

帰り道ハーマイオニーが3人に声をかける。

 

 

「その、ありがとう。助かったわ、あなたたちがいなかったら私…。」

「いいんだ、僕も君にひどい言葉かけちゃったもの、気にしないで。」

「そうだよハーマイオニー、僕らも悪いんだ。」

「でも…」

 

ぼろぼろの彼らに申し訳なく感じるハーマイオニーに、士堂が声をかける。

 

「それに友達を助けるのは当たり前じゃないか。」

 

士堂の言葉に目を見開きながらもハーマイオニーは大きくうなずいた。

 

 




授業風景やケルベロスのところはダイジェスト風にしました。(描写できる気がしなった)
トロール戦は既存の魔法から一年生でも使えそうなやつを選んでみました。
何か不自然な点があったら教えていただけると幸いです。
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