『隊長! 確かに突撃は有効だったかもしれませんがせめて僕たちに何か一言はください!!』
合流して一番、俺は新兵の方の部下に説教を食らっていた。
どうやら俺が特攻キめた後完全に出遅れて、命辛々逃げ回っていたらしい。
(因みにだがもう一人の方は出遅れることなく他の兵士と一緒に暴れまわっていたらしく、直ぐに合流できた。)
『アッハッハッハ! レンの奴、成人で隊長のくせに年下に怒られてやんの!』
『少尉! あなたもです!』
どうやら俺を揶揄おうとしたら飛び火したな。
馬鹿め、こういう時は黙っていたら良いものを。一時の快楽に流れようとするからこうなるのだ。
……しかし、いくら戦艦の残骸に隠れているとはいえ戦場のど真ん中で説教を続けさせる訳にはいかないな。
『二等兵君の気持はよく分かった。気を付けるからこれで勘弁してくれないか?』
『……分かりました。でも気を付けてくださいね。』
不承不承といった顔で頷く。
一応は納得してくれたようだな。
『よし、じゃあ切り替えていくぞ。残りはあのグワジン一隻だ。最後の最後で乗り遅れる訳にはいかないぜ。』
△▼△
一体幾つの衝撃を味わっただろうか。
ふと、ドルカス・ドルドレイの頭にそんな疑問が浮かんだ。
護衛の艦船は全て沈み、少数のMSが残るのみとなった絶体絶命の現状で浮かぶような事柄ではないのは確かだろう。
「ぐうっ!?」
再び衝撃が襲い、頭を強打する。
「中将!」
「問題ない! 持ち場から離れるな!」
前線部隊からの連絡はない。ルナツーの戦力を少しでも減らすという目的の下、足止めをしているが無駄に終わりそうだとドルカスは自嘲をする。
(やれやれ、油断していたのは私もだったか……。)
今回の戦いはジオンの大敗に終わる。何せ損耗が大きすぎるのだ。連邦もジオンと同じレベルの損害を受けただろうがそもそもの母体の数が違うのだ。
おまけにルナツーの攻略も失敗だ。例え、今攻略が終わっていてもここに居る連邦の別動隊に叩き潰されてお終いだ。
「お迎えが来たか。早かったな。もう少しばかりかかると思っていたぞ。」
連邦のMSが艦橋へライフルを向ける。護衛のMS部隊を突破してきたせいでボロボロの状態だが、引き金を引くには十分な状態だ。
周りの士官たちは意外と騒がない。覚悟しているのだろう。私も意外なことに冷静だった。
連邦のMSが銃の引き金を引く。その瞬間銃口から光が溢れた。
そして一切の苦痛を味わうことなく、私の意識は消滅した。
▼△▼
グワジンが沈んでいく。眩しいばかりの閃光を放ちながら、近くにいればMSでもただでは済まないような爆発と共に塵になっていく。爆発音はコンピューターが再現したものだ。それなのにどこか重くタールのように粘ついた音が聞こえる。声が聞こえるたびに頭が重くなっていく。
『……隊。隊長! 聞こえていますか隊長!?』
『……あ? …ああ、聞こえている。帰投だろ?』
『はい、艦長から命令です。ルナツーに戻って残存戦力を撃退が次の任務になるそうです。』
『そうか、分かった。……すまない。少し呆けていた…。』
『……大丈夫か?』
『大丈夫だ、問題ないさ。ああ、問題ないとも……。』
傍から聞いていればさぞかし説得力がないものだろうな……。
だが今の俺にはそう言うことしかできなかった。
△▼△
レン・アマキという人間について問われた時、大抵の人間はしっかりした真面目な人だと答える。
強いて言うならばスペースノイドでありながら地球に対して何も思わないことが特異と思われるくらいだ。
―――だから戦闘が終了し、帰投した彼がこちらの呼びかけに反応せず、呆けているのは凄まじく目立った。
いや、反応はするのだがワンテンポ遅いのだ。
「まあ、よくあることだろ。……多分。」
整備班の班長はそんなレンの様子を見てそう言った。
「よくあることなんですか?」
「……お前は新人だったな。じゃあ、覚えておけよ。軍人の八割以上はああなる。整備担当や医官でも関係ない。」
「俺達は死をやり取りしている。間接的、直接的を問わずに、な。」
「
「馬鹿馬鹿しい話に聞こえたか? だが、皆思うんだよ。あの日あの時、
「死と少し距離のある俺達でそうなんだ。死と隣り合わせの兵士たちは一体どれ程の苦しみを追っているんだろうな……?」
そう言い終わると整備班長がMSの整備を始める。新入りは少しばかり動くことができなかった。
「……にしても何時もの精神疾患じゃあないんだよなぁ…。あの少尉、一体どうしたんだ?」
やあっと書けました。
オリジナル展開はそろそろ終わるので更新速度が上がる……かもしれません。