機動戦士ガンダム 宇宙の渡り鳥    作:青色のラピス

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第十八話

レバーを押し、機体を加速させる。

RX-78のバックパックに換装したおかげか、かなりの加速を生む。

ただし、その代償として凄まじいGが俺にかかる。

 

「くっ……!」

 

歯を食いしばり、Gに耐える。

そして加速を維持しながらマシンガンを構え、模擬戦相手に打ち込む。

弾はペイント弾のため弾速は遅く、容易く防御または回避される。

むしろ敵三体に囲まれて絶体絶命の状況に陥ってしまった。

 

―――だが、敵チームの攪乱には成功した。

 

『へっへっへ、いただきだ――うおッ!?』

 

『どうした? うわっ!』

 

『二人とも!! ああクソ。お前は囮だったのかよ!』

 

『ま、そう言うことさ。』

 

そう言ってマシンガンの引き金を引き、相手をペイント塗れにする。

そして審判の終了の声が届いた。俺達の勝ちである。

 

 △▼△

 

ルナツー侵攻から一か月近くが経とうとしていた。

ジオンはただでさえ少ない戦力を失ったせいかかなり消極的になっており、最近は滅多に見かけなくなっている。

それとも単純にこの戦争の天王山ともいえるオデッサ防衛に力を入れているだけなのか……。

まあ、仮初、それも戦争中とはいえ平和とは実に良いものだと思う。

何せこの世界がファーストガンダム世界(とは言っても完全に同じではない)ならばこれからの俺は幾つもの苦難を乗り越えなければならないことは必定なのだ。そんな苦しい未来から少しでも逃避するために平和というものはとても大切なものだった。

 

「そう言えば地上は今どうなっているんだろうな……?」

 

娯楽室で適当に寛いでいると友人カロッソがふとした疑問を投げかける。

 

「地上……さあ? 多分大丈夫なんじゃないか?」

 

「適当だな……。心配じゃないのか?」

 

正直あまり心配していない。

だって、あのガンダムとアムロ・レイがいるんだぜ?

それに既にホワイトベース隊の活躍によりガルマ・ザビやランバ・ラル、黒い三連星を撃破したと発表があった。特に敵エースの撃破は試作MSの活躍ありきのものだとも聞いている。

なら大丈夫だろう。というかそろそろ誰も手が付けられないレベルまで行ってそうだな……。

まだ八月、MSに乗って二か月程しか経っていないというのに。

全く末恐ろしいものである。

 

「そう言えばお前、新機体回されてたよな? 何だったんだ?」

 

「ガンキャノン重装型だ。良い機体だぜ、あれは。」

 

「ガンキャノン重装型って……あの機体か? ジム・キャノンにしなかったのか?」

 

「いやあ、正直ジムは装甲薄すぎてなあ……。やっぱキャノンの方が良いぜ。それに俺は射撃の方が得意だからな。機動力はそこまで求めてないんだよ。」

 

確かにガンキャノン重装型は強力な機体だ。

この世界ではチタン合金セラミック複合材を基本とし、コクピット周辺や脚部にルナ・チタニウム合金を使用しているため防御力は非常に高い。脚部を始めとする各所にスラスターや姿勢制御スラスターを増設し、バックパックをより高性能化したことにより機動力と運動性の向上を果たしている。

ただ、機動兵器としてはジムやジム・キャノンに及ばず、正式量産機のコンペには敗れている。

ただ、ガンキャノンが良いというもの好きは一定数おり、そのパイロット達へ供給されていると聞いていたが……。まさか本当だったとは。

 

「そう言えばお前、その図体で格闘苦手だったな。」

 

「おい! 言うなよ! 結構気にしてるんだぜ!」

 

そう言ってお互いに笑い合う。

その後も下らない話題に花を咲かせ、一日を終えた。

 

 ▼△▼

 

そしてその数日後、基地へ一つの報告が入った。

地球、それも連邦軍本部のジャブローからのものだった。

文は短く、要点のみの簡単なものだったらしい。

曰く、オデッサ陥落と。

その日、いやその瞬間からあらゆる物事が異常ともいえるスピードで進行していった。

MSの生産に新米パイロットの訓練、基地の修繕に艦隊の再建と目まぐるしく進んでいった。

それと同時に地上における連邦軍の快進撃が次々と伝えられていく。

どうやらかなりの地域を取り戻したらしく、十月までにはチェンバロ作戦―――ソロモン攻略を行うらしい。

そして近いうちに連邦の宇宙艦隊が次々と打ち上げられるそうだ。地上を取り戻したことで打ち上げがかなり安全かつ広い地域で行えるようになったかららしい。

 

当然のことだが連邦で動きがあればジオンにも動きがある。

どうやら地上にいた部隊が次々と宇宙へ逃げているらしい。らしいというのは今のところパトロール艦隊が遭遇しておらず、地上からHLVらしきものを打ち上げた後が見つかったくらいなのだ。

まあ、強いて言うならばジオンの軍艦を最近よく見るようになったことくらいだろうか?

近づけばすぐさま逃げてしまうためあまり気にしていなかったが恐らく彼らは地上から脱出した部隊を探していたのだろう。

……まあ、原作通り大量に落ち武者がやって来るだろう。それも近いうちに。

 

 △▼△

 

軍艦が出てきたとなれば巡視船では太刀打ちすることはできない。

そのため最近の哨戒ではサラミスやネルソン、ボールを乗せれるように改装された巡視船を用いている。

 

「何もないな……。」

 

哨戒中はいつでも出撃できるようにコクピット内で待機している。

が、正直暇だ。何もせず手持ち無沙汰だ。せめて雑談でも出来たら話は変わるが通信を使う訳にはいかない以上、どうしようもない。

さて、何か小説でも持ってくれば良かったか……?

 

『船員全員に通達する! 巡視船サコミズより入電があった。どうやらジオンの脱出兵を発見したらしい。我等も急行し、奴らの身柄を抑える!』

 

いやさ、他に何か無かったのか? 流石にマンネリ化が酷いぜ?

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