機動戦士ガンダム 宇宙の渡り鳥    作:青色のラピス

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第十九話

地球の周回軌道上にて戦闘が行われている。

HLV目掛けてボールが自慢の180mmキャノン砲を撃ち込み、破壊していく。

幾ら低性能とはいえ動かない的には効果を十全に発揮していく。

天敵ともいえる機動兵器(MS)はいるにはいるが残念ながら大半が地上用の機体であり、本領を発揮することなく撃破されていく。数少ない汎用機であるザクⅡのF型も宇宙に漂うHLVを盾にされ一方的に撃破されていく。

しかし、連邦優勢は長くは続かなかった。友軍救出のために地球周回軌道上に配置されていたジオンの機動艦隊が次々と集結し始めたのだ。

機動艦隊に配備されたMSはどれも空間戦闘を想定された高機動機であり、その高い性能を活かしてボールを破壊していく。

 

このままジオン大勝利で幕を閉じるか、というときだった。

次は連邦軍の援軍が艦隊となってやって来たのだ。

旗艦はペガサス級のMSを主軸とした機動艦隊だ。

少し離れた所から大量のMSを展開し、攻撃を開始する。

 

ジオン兵は雪辱と仇を返さんと、連邦兵は恨みと裁きを下さんと武器を取り戦う。

従ってこの戦いもまた激戦となった。

 

 △▼△

 

ジオンの脱出兵捕縛のために現場に急行し、近づいていくたびに多くの艦船と合流していった。

合流した艦船はパトロール中の軽巡洋艦やMS輸送艦は勿論、態々ルナツーから出撃した戦艦や空母までいたのだ。

結果として到着する頃には二個艦隊ほどの戦力まで膨れ上がっていた。

まあ、戦力は多いに越したことは無いが……。

多分今回はイグルーのヅダの活躍会だろう。この展開は絶対にそうだ。

それなら数は多いに越したことは無い。俺は自爆なんて嫌だからな。

 

どうやら功を急いた友軍がものの見事にフルボッコにされていた。

陸戦機相手にイキっていたらジオンの機動艦隊にズタズタにされたらしい。

……何というか開いた口が塞がらない。何であんなボールとか言う棺桶だけで攻撃を始めたのか……。

……しかも何だよ機動艦隊って……。やっぱあれだな原作は当てにならないな! ヨシ(現場猫)!

 

『アマキ小隊! 出撃準備! 同時にケリィ小隊! 出撃準備!』

 

…おっと、そろそろか。

 

『二人とも出撃だ! 気を引き締めろよ! 後……、死ぬなよ!』

 

『『了解!!』』

 

全く返事だけは良いな……。

……死なないでくれよ。知り合いに死なれるのは嫌だからな……。

 

『カウント開始! 3! 2! 1! Go!!』

 

カタパルトの上を高スピードで進み、押し出される。

その際のGで吐きそうになるが、何とか持ちこたえて宇宙空間へ飛び出す。

 

『援護を頼むぞ、カロッソ!』

 

『任せておけって! ドンと大船に乗った気でいろよな!!』

 

本当に頼もしいな。この友人は。

 

 ▼△▼

 

戦闘は比較的連邦優勢で進んでいる。

これは守るか、壊すかという違いが大きいだろう。

 

「くそっ……! ここまで多いと気にしながら戦うのは難しいな……。」

 

ロケットにあてないように戦っているのだが、如何せんビーム兵器はMSを撃ち抜いても貫通する。低威力のスプレーガンでもこれなのだ。

……という訳で連邦兵は早々にロケットガン無視で攻撃をしている。まあ、仕方が無いと言えば仕方ないのかもしれない。自分の命の方が大切だからな。

 

「!? 何で出てくる!」

 

後方からの殺気を感じて回避行動を取る。

どうやらロケットから出てきた機体が攻撃してきたようだ。結構殺意が高く、満足に動けない状態でも執拗に狙ってくる。更に機動艦隊のMSも攻撃をしてくるため正直……かなりヤバい。

 

『危ねえ!』

 

カロッソの雄叫びが聞こえ、一拍置いて大爆発が起きる。

そして、それに続くようにビームが通り過ぎ、MSを破壊していく。

 

『危なかったなレン。大丈夫か?』 

 

『いや、大丈夫だ。ありがとう皆。』

 

ガンダム・ヘッドになってからあからさまにヘイトが増えた気がするな……。

V字アンテナが無いとはいえやっぱり戦場では目立つんだな、ガンダムって…。

 

『!? 散開ッ!!』

 

そう言ってその場から移動する。

その瞬間に一発のバズーカ弾が通り過ぎる。

ミノフスキーが薄いため、レーダーがまだ使えるが範囲内に反応はない。

 

『!? 何処から撃って来たんだ!?』

 

『カロッソ! アレはヤバい! 俺達が前衛でお前たちは後衛を頼む!』

 

『ああ! 分かったぜ!』

 

くっそ、一体誰だ?

どう考えても真面じゃない。MSのセンサーは3、4kmは有効範囲内だ。ミノフスキーで性能が落ちていることを加味してもその半分以上はあると考えていい。そんな距離をスナイパーライフルなら兎も角バズーカで狙撃するなんてどういう腕前をしているんだ?

 

『気を付けろよ! 敵はエースだ! 集団戦で倒すぞ!!』

 

そう指示をだして、機体を前進させる。部下二人も俺を追うように同じように機体を加速させる。

ヅダが来なくて安心していたんだけどな……! やっぱりこうなるか…!

 

 △▼△

 

「ほう、避けたか……。どうやらかなりの腕前らしいな。」

 

グラナダ所属の機動部隊―――通称"狩人部隊"の隊長ウォルフガング少佐は不敵な笑みを浮かべる。

彼がいる場所はMSのレーダー範囲外及びバズーカの射程範囲外である。

しかし、彼と地球周回上という二つが組み合わさることにより、その常識は覆される。

再びバズーカを構える。しかし、直ぐには引き金を引かず最大まで集中力を高める。

 

―――そして、彼は引き金を引いた。

 

放たれたバズーカの弾は本来の弾速を超え、標的――ガンダムへ向けて真っ直ぐに飛んでいく。

目視してからの回避は不可能な一撃。

 

―――しかし、攻撃は回避された。

 

一度目は偶然と割り切った。しかし、二度目はそうもいかなかった。

ウォルフガング少佐は冷静に戦況を見極める。

その結果、彼はバズーカを捨て、マシンガンに持ち変える。

彼の目論見は一つ。

数で劣り、必殺の狙撃が届かぬ以上、練度で勝る接近戦で相手を制する。

そして黒いザクが先程のバズーカにも劣らぬ凄まじい速度で突貫する。

 

 

第一ラウンドは引き分け。

そして激動の第二ラウンド開始。

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