機動戦士ガンダム 宇宙の渡り鳥    作:青色のラピス

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第六話

俺が今所属している地球連邦軍がMSの本格的な運用を始めたのはつい最近だ。

生産はU.C.78年ごろから始まったのだが、最初に製造したMSであるガンキャノンがミノフスキー博士の亡命時の救出作戦で全滅したためガンキャノンは生産がストップし、地球上の一部地域のみの運用となっていた。

普通こうなったらガンキャノンの設計に関わった人間は重い処分を受けるだろう。しかし、流石は天才テム・レイというのか、逆にA(アナハイム)E(エレクトロニクス)社の重役を脅し、RX計画への協力を取り付けるという離れ業を披露した。

勿論、協力するといっても彼らからの支援は少なかった。

単純にテム・レイを気に入らないという人間も多く、『スミス海の虐殺』の責任を取れという輩もかなりに数がいた。そんな状態ではロクにMSの開発などできないだろう。

しかし、テム・レイはやり遂げた。

ジオンに対抗する新型MSとしてRX-78-01ガンダム一号機――通称プロトタイプガンダムを完成させたのだ。

プロトタイプガンダムの性能は凄まじいの一言に尽きた。パワー、装甲、出力、機動力のすべてがザクを圧倒的に上回っていたのだ。しかし、テム・レイはこれで満足しなかった。何故なら既に制宙権を失いつつある連邦では宇宙での実験ができない、極地戦での運用データがないなどの理由により不十分な要素が多かったためだ。

でも、この機体は連邦に一抹の希望を与えたのは確かだ。

連邦もRX計画への支援を開始。潤沢な資金と圧倒的な工業力は流石は地球連邦というのか足りていなかった資材や人材、条件付けのための環境があっという間に集まった。

宇宙でのデータを取るためのコロニーを建造し、地球上ではRX-78-01N極地型ガンダムを複数生産し不足していた極地戦でのデータを集めた。

そして集めたデータをフィードバックし連邦の傑作機中の傑作機RX-78-02ガンダム2号機が完成。時を同じくしてMSの実験場としてのサイド7が完成した。

そこで唯一不足していた宇宙での運用データの収集を開始。MSを倒すためのMSの生産に向けて本格的に動き出した。

……え? なぜ今になってこんな解説じみたことをしているのかって?

それはな、ついに完成したからだ。

新たなる連邦の主力MS――RGM-79ジムが。

 

 △▼△

 

確か5月に入った頃くらいだっただろうか、ルナツーの工廠がフル稼働を始めたのだ。

新しいMSを生産していることは原作知識がなくとも理解できた。

工廠が忙しくなっても俺達パイロットの生活は変わらなかった。毎日訓練をこなし、たまにちょっかいをかけてくるジオンを追い払う。これの繰り返しだ。何か変化があったとすれば俺たちの練度が多少向上したことくらいだろう。何か変化が起こると皆が思いながら過ごしていた。

――そしてその変化は訪れた。唐突に、しかしそれはとても遅かったとも感じた。

目の前にいる機体は確かにガンダムに似せられているが、どこか決定的に違う造形(フォルム)をしている。

カタログスペックも十分に高く、ザクくらいなら簡単にスクラップにできるだろう。

……とはいってもまだ生産数は少なく、おまけに初期生産型であるため不良発生前提の実験機なのは秘密の話だ。

 

「いいなあー。いいなあー。」

 

「……(じーー)。」

 

部下二人から羨望の目線を向けられる。

今日、俺がジムを受領してからずっとこの調子だ。

 

「あのなあ、二人ともいい年した大人なんだからそんな子供みたいなことは止めろ。」

 

「いやあ、そら新しいマシンを他より早く持っている奴がいたら羨むのは当然でしょう。」

 

「それに俺達のよりもよっぽど上等なモンだからな。なあ、俺達にも早く回すようにしといてくれよ。」

 

高々少尉でしかない俺に何を求めているんだ?

おいコラ。それいいなって同意すんなよコラ。

 

「……確かにカタログスペックは高いな。カタログスペックは、な。」

 

「あっ(察し)。」

 

「……(うわぁという顔)。」

 

そう、初期生産型であるため非常に不良が多い。リミッターはイカれているし、照準はゴミだし、内蔵火器は無駄に多いというポンコツ使用だ。初期生産型で(多分)中抜きされていないことがせめてもの救いかもしれない。

……もうちょっとマシにならなかったのかなあ。

何? あれか? 拡張性が無駄に広いから改修前提なのか?

 

「そんなことより二人ともまだ動きがぎこちないぞ。大丈夫か?」

 

元戦闘機乗りだったためか飲み込みはかなり早く、俺――というよりも"レン・アマキ"よりも習熟が早い。しかしまだ乗り換えてから一か月も経ってないためどこか危なっかしいところがある。

仕方ないと言えば仕方ないのだがそうもいってられない。大反抗作戦がもうじき始まる。時間はもう少ないのだ。

 

「大丈夫だぜ。いい加減にMSの扱いのコツはつかんだからな。後はアンタに指摘されたところを矯正していくさ。」

 

「俺も似たようなもんですよ。これからもアドバイスお願いしますね。」

 

「そうか……。まあ、慢心はするなよ。あっち(ジオン)の練度は俺達以上なんだからな」

 

二人とも俺よりもベテランの軍人だから大丈夫だろう。……多分。

しかし、慢心が元で死んだりするのは嫌だからな。二人とも弱点を知りたがっていたし、明日からの訓練はもう少し厳しくしていこうか。

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