エースの息子!その名はウルトラマンセイヴァー! 作:武者ジバニャン
宇宙...そこは幾つもの星々が真空の暗い底無しの空間に光を照らしている。その星々には幾つもの命が溢れ、育み、命と命を紡いでいる。
命は可能性、希望、幸せを産み、それらを次の世代へと繋ぐ事でまた次の命たちにも紡いで明日を、未来を信じて生き続けていく。
しかしその逆に命や希望、未来などと言った物を忌み嫌い、絶望や怒り、憎しみ、殺意などと言った負の感情を好み、生きとし生ける希望を信じて生きる人々を脅かさんとする者たちが存在していた。
その者たちは宇宙の奥、光が届かない深き暗黒の更に深き場所に息を潜めていた。
???「我らは....この長い時を待っていた」
っと何者かが呟いた途端、赤紫色のゆがんだ時空の中に蠢き、とんがり帽子を被った顔のない人たちの姿で現れる。
???「ようやく復活したのだ。ようやくだ!」
奴らの名は異次元人ヤプール...嘗て異次元に生息し地球上の生物と宇宙怪獣を超獣製造機と呼ばれる装置を用いて"怪獣を超える者"...超獣を生み出して地球侵略を企てた。
その性格及び手段は極めて卑劣かつ陰湿。人間の憎悪や猜疑心を利用して狡猾な作戦を立て、相手を精神的に追い詰める、悪魔のような存在である。
だが彼らはM78星雲・光の国より派遣された宇宙警備隊のウルトラ戦士であり、ウルトラ兄弟の五番目・ウルトラマンエースによって倒されたがその最後に「ヤプール死すとも超獣死なず、怨念となって必ず復讐せん!」という言葉を残して一時的に討滅された。
だがヤプールのウルトラ一族に対する怨念と憎しみは留まることを知らず、その猛威はエースが地球を去った後にも及ぼすことに。
エースの次に地球を守ったウルトラマンタロウの時は、自身を改造して改造巨大ヤプールとして甦り改造ベムスターや改造ベロクロン二世、改造サボテンダーを送り込んで地球を襲うがウルトラマンタロウによってこれらと共に倒された。
だがヤプールは諦めなかった。奴は自身の怨念でウルトラ兄弟を倒すため総力を結集して作り上げた究極超獣Uキラーザウルスを作り上げ、再び破壊の限りを尽くさんとしたがウルトラマンメビウスとウルトラ兄弟が力が合わさりまたもヤプールは敗れるが、その後暗黒四天王の邪将としてエンペラ星人の配下になる。
更にエンペラ星人が亡き後も尚も暗躍したが、最後はウルトラマンギンガやビクトリーなどの新戦士の手によって葬られた。
ヤプール「我らの怨念は消えぬ....我らヤプールは何度でも蘇る....生きとし生ける者が一匹でもいる限り、我らヤプールは決して消えぬぅ!!」
そして今回、ヤプールは再び蘇った。今度こそ全ての命の希望や未来を殺し、根絶やしにする為にヤプールは今回恐ろしい力を手に入れたのだ。
ヤプール「そして今回、我らは異次元を使って別宇宙の世界へと行く能力を得た。これを使い、”ウルトラ一族が居ない世界”へと移動し、その世界を掌握して他の世界をも我が物とする!!フフフッ...フフフフフハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」
ヤプールはそう言い残して異次元へと消えたのだった....。
一方.....。
【M78星雲・光の国】
光の国....地球の約60倍の大きさを持ち、M78星雲内に存在する惑星。その星から数数えきれない星々を見守り、宇宙の平和と調和の為に光の国の使者であるウルトラ戦士たちが日夜懸命に戦っている。そして光の国の中でも凶悪な怪獣の退治や、侵略宇宙人の撃退。星間戦争の調停等を行っている平和維持機構・宇宙警備隊の活動拠点である本部基地・宇宙警備隊本部にて主立つ面々が揃っていた。
宇宙警備隊大隊長であるウルトラの父、治癒の力を持つ特殊な部隊「銀十字軍」の隊長・ウルトラの母、宇宙警備隊隊長でありウルトラ兄弟長男・ゾフィー、怪獣退治の専門家にして栄光の初代ウルトラマン、真紅のファイター・ウルトラセブン、帰ってきたウルトラマンことウルトラマンジャック、ウルトラ兄弟六番目の弟・ウルトラマンタロウ、そして切断技のエースまたは光線技の名手とも呼ばれ超獣退治の専門家であるウルトラマンエースが揃っている。
そして集った面々に対してウルトラの父が話し始める。
ウルトラの父「皆、よく集まった」
ウルトラマンタロウ「父さん、一体何が起きたのですか?」
ウルトラの父「ああ。タロウ、実はな...ヤプールの異次元反応が検出されたそうだ」
「「「「「ッ!!」」」」」
その場の空気が重くなった。ヤプールの名を聞いて皆それぞれ嘗てヤプールとの苦しい戦いを思い出す。その中でもウルトラマンエースは特にヤプールとの因縁が深かった。
奴の復活と聞いて心穏やかに出来るわけがなかったぐらいにヤプールに対する感情は重い物があるのだ。そんな兄弟たちの様子を見守りつつウルトラの父は説明を再開する。
ウルトラの父「だがヤプールの異次元反応が直ぐに消えたのだ」
ウルトラセブン「消えた?何処かに移動したのですか?」
セブンがタロウに続き問いかける。その質問に対して父は頷き答える。
ウルトラの父「うむ、かもしれん。だが....」
ウルトラマンジャック「だがどうしたのですか?父さん」
ジャックが何か浮かない様子を兄弟たちに晒す父に疑問を投げかける。そんな質問に父に変わりゾフィーが答えるのだった。
ゾフィー「実はその調査に宇宙科学技術局に居るヒカリからの結果報告では、ヤプールは如何やら別宇宙に移動出来る能力を手に入れたようだ」
ウルトラマン「別宇宙に移動する能力!?」
ゾフィー「ああ、その為今回ゼロに向かわせようと要請したのだが、現在ゼロの方では凶暴になった怪獣の対処に低一杯の為に無理となった」
ゾフィーからの説明に皆腕を組んでこの状況をどうすべきかと悩みだす。だがゾフィーは更に話し続ける。
ゾフィー「ヒカリが今、別の宇宙に移動する為の手立てを模索中だ」
だが別の宇宙に移動となると膨大なエネルギーが必要だろう。それを短期間で作るにも時間が必要なのだと皆悩む、その時である。彼らが場所にエンペラ星人に倒しウルトラ兄弟仲間入りした若き戦士・ウルトラマンメビウスとウルトラマンタロウの息子であるウルトラマンタイガが慌ててやって来た。
ウルトラマンメビウス「み、皆さん!大変です!!」
ウルトラマンタイガ「父さん!一大事です!!」
タロウ「どうしたタイガ、メビウス」
問いかけるタロウ。それに他の兄弟一同も皆2人に注目していた。そんな中で二人は息を整えて報告するのだった。
メビウス「実は!プラズマスパークタワー上空に謎の光が飛来してきました!」
「「「「「なに!?」」」」」
タイガ「しかも!俺たちウルトラマンに助けを求めているようなんだ!!」
タロウ「助けだと?」
タイガ「はい、そうなんです!」
二人からの報告に父やウルトラ兄弟たちは皆顔を見合わせ、謎の異常事態に戸惑うが父は気を取り直す。
ウルトラの父「ならその謎の光にいるプラズマスパークタワーに行くぞ」
ウルトラマンエース「いいのですか?父さん」
エースが父に心配そうに問いかけるが父は行動しなければ事態は変わらないと判断し、赴く決断を変えなかった。
兄弟たち全員頷き父と共にプラズマスパークタワーへと向かうのだった。彼らが向かったプラズマスパークタワーには多くのウルトラ族の男女や子供たちが挙ってタワー上空を見ていた。
そこには神々しい程の美しい光が輝いていた。そこへウルトラの父と母、そしてウルトラ兄弟たちが集まった。
ウルトラの父「これは...」
ウルトラの母「何とも神秘的な光ですわね」
父と母がそう呆気に取られ、そして兄弟たちは啞然とし光を見上げる。ゾフィーの元へウルトラマンヒカリが駆け付けた。
ウルトラマンヒカリ「ゾフィー!」
ゾフィー「ヒカリ」
ヒカリ「これは一体何だ!?」
ゾフィー「私にも分からない、だがこちらに敵意を見せない辺り...」
そこへウルトラマンが会話に入る。
ウルトラマン「ならばやはり助けを乞いに?」
ゾフィー「うむ....」
その時であった、突如光の国全体に声が響く。
???『光の国の皆様、初めまして。突然の来訪をどうかお許しください...』
その声はとても心に響き渡るような優しく慈しみに満ち、全ての生きとし生ける者たちの心を包み込むようなまるで女神と対話しているかのような気持ちに錯覚させてしまう。
その声を聞いた光の国の住人たちは皆、恐れを抱いたり敵意を持つことはなかった。そして光の国の代表としてウルトラの父が誰よりも前に出て名乗りでる。
ウルトラの父「私は宇宙警備隊大隊長・ウルトラの父。光の御仁よ、貴方が何者かお教えください」
???『はい。私は世界の調和を守護する存在...ハルモニアと申します。私は皆様が言う別の宇宙から来ました』
そう語る光が突如形を変え、やがて人の姿へと変化したのだ。その姿は神話や物語などに出てくる女神みたく神々しく、手にしている錫杖は色鮮やかな装飾が施されている。
彼女はゆっくりと地面に着地し、自分よりも巨大なウルトラマンたちを微笑みながら見上げる。
ウルトラの父たちは神々しい彼女の存在感に呆気に取られるが、気を取り直して彼女に問いかける。
ウルトラの父「貴方に敵意がないことは分かった。それで一体どういう理由でこの光の国へ...?」
ウルトラの父からの問いにハルモニアは深刻な表情を露にし、顔を俯かせて彼女の来訪の訳を話し始める。
ハルモニア「今回皆様の星にやって来たのは...助けを求めに来たのです」
エース「助けですと?」
ハルモニア「ええ」
彼女から助けという言葉にエースが口を開き、ハルモニアは首を縦に振る。そして何故助けを欲しいのかも話し始める。
ハルモニア「実は私が存在する宇宙に悪しき存在が侵入してきたのです」
セブン「悪しき...」
タロウ「存在...」
セブンとタロウが口を揃えて口にする。彼女は頷きその悪しき存在とやらのことも説明する。
ハルモニア「その悪しき存在は、異次元からの悪魔。奴らは怒りと憎しみ、そして絶望を私たちの宇宙へと振り撒いて全ての命を虐殺しようと画策しております」
彼女が語る悪しき存在...それに関して光の国の者たちは検討がついていた。それにいち早く気付いたのはウルトラマンエースであった。
エース「...ヤプールッ」
エースはそう口にした時、彼の手が拳に変わる。彼とヤプールとの因縁はとても深く過酷なものであった。
異次元空間でヤプールを倒したウルトラマンエースの前にヤプールの残党や超獣が次々と登場し、執念深くエースを苦しめていった。
そして彼の最後の戦いとなった合体超獣・ジャンボキングの時には、奴を操る残党が再びエースに決着を挑んだ。しかも、別の宇宙人サイモン星人にヤプール残党がなりすまし、子供たちと仲良くなる一方でウルトラマンエースこと北斗星司にのみ正体を明かし、北斗を心理的に追い詰めるという、実にヤプールらしい狡猾・陰湿な戦法だった。結果、北斗はヤプールの残党を射殺し、子供たちの目の前で変身、ジャンボキングを打ち破り、戦いにこそ勝利したものの、地球人たちに正体を明かしてしまったことでウルトラの星へ帰還せざるをえなくなり、ヤプールの罠により事実上地球から放逐させられることとなった。
彼女の言う悪しき存在がヤプールであることに確信しつつあったウルトラマンエースを気遣いつつ、初代マンはハルモニアに語りかける。
ウルトラマン「ハルモニア、それは間違いなく異次元人ヤプールのものだ。奴らは知的生命体のマイナスエネルギーを糧にして何度も復活する邪悪な存在だ」
ゾフィー「そして奴は地球の生物と宇宙怪獣を合成・改造させる「超獣製造機」によって怪獣を越える者...超獣を製造し、幾つもの星々を滅ぼしてきた宇宙の悪魔だ」
初代マンに続くようにゾフィーからも説明がされた。これを聞いてハルモニアは不安げに表情を暗くする。
ジャックがそんな女神に問いかける。
ジャック「ハルモニア、貴方の宇宙にはヤプールに対抗出来る力やそれを持つ者は存在しますか?」
ハルモニア「私の世界には、邪悪な存在を浄化する伝説の戦士・プリキュアがおります」
ジャック「プリキュア?」
ハルモニア「はい、プリキュアとは遥か昔から存在し、世界に光を齎す希望の象徴....」
彼女の説明をウルトラマンたちは感慨深く聞き、メビウスやタイガは口にする。
メビウス「まるで僕らウルトラマンみたいだな」
タイガ「そうですね、メビウス。ん?ならそのプリキュアというのが居るなら、ヤプールが来ても大丈夫なんじゃ....」
そんな呟くタイガにハルモニアは深刻な顔で首を横に振り、その疑問に答える。
ハルモニア「いいえ、幾ら希望の力を持つプリキュアでも異次元からの邪悪なヤプール相手では不可能でしょ。先ほど聞いた超獣という存在を操るそうですね」
エース「ああ、しかも超獣たち一体一体が凶暴で強力な奴らが殆どだ。中には人間の姿に擬態し、人間を惑わして虐殺するなんてことも平然とする」
ハルモニア「....やはりプリキュアだけでは....」
顔を再び俯かせるハルモニア。そこへウルトラの父がウルトラの母やゾフィーに顔を向けて、母やゾフィーもそんな父の顔を見て何かを察し決意したみたく顔を縦に振る、他の兄弟やメビウスやタイガも同じくだ。
そこでウルトラの父はハルモニアに提案する。
ウルトラの父「ハルモニア、我々ウルトラ一族は貴方の宇宙を助けることを決めました」
ハルモニア「っ!誠ですか!?」
ゾフィー「はい、こちらから選りすぐりの戦士を一人、そちらの宇宙に派遣します」
彼らの決断に感謝を表するため頭を下げるハルモニア。
ハルモニア「ありがとうございます!皆様」
そこへある二つの問題が残された、まず一つは別の宇宙に行くためには光の国のウルトラ族たちが光エネルギーを集中しなければならない。
その問題に対してハルモニアがある提案で直ぐに解決した。
ハルモニア「その問題であれば、私がこの光の国と私たちの宇宙と繋ぐゲートをお作り致します」
ウルトラの父「おぉ!礼を申します!ハルモニア」
そして最後に残された問題は...。
タロウ「それで、一体誰を派遣する?」
タロウの言葉に息子であるタイガが名乗りでる。
タイガ「俺が行きます!」
タロウ「タイガ、ふむ」
タイガは嘗て仲間であるウルトラマンタイタスとウルトラマンフーマ、そしてニュージェネレーションヒーローたち共に闇に堕ちたウルトラマントレギアや邪神魔獣グリムドを倒した経験がある。
地球で多くの体験が息子をここまで成長させた。
しかし今回相手をするヤプールは常識では測れない存在、以下にタイガと言えども厳しい相手だ。メビウスも嘗てヤプールに苦しめられたことがある。
そして奴が生み出す超獣は当方もない力を持つ凶暴な怪物揃いだ、更に今回蘇ったヤプールは別宇宙に移動出来る程の能力を手に入れた。
もしかしたら移動能力だけでなく他にも自分たちでも想像を絶する新たな能力も備わっているかもしれない。
タロウ「いや、ヤプールはとても危険な存在だ。しかも奴が今どれ程に強く蘇ったのか分からない以上、慎重に選ばいかん」
タイガ「しかし!」
難色を示す全員、そこへ何かを考えて黙っていたエースが口にする。
エース「”アイツ”を推薦する」
「「「「「っ!?」」」」」
エースの言葉にウルトラ兄弟たちやタイガやメビウスは何かを察したのか動揺する。そんな動揺しながらゾフィーがエースに問いかける。
ゾフィーはセブンを見ると、セブンは口にする。
セブン「私の息子、ゼロを模擬戦闘で何度も敗北させその実力は我々以上だ。実力も申し分ない」
エース「そしてアイツには、昔私が超獣退治の戦い方を教えています。その証拠に嘗て一人で30体の超獣を倒した経験もあります。私の光線技、そして妻の宇宙ブーメランの使い方や技もマスターしている」
エースの話に誰も反対を示すことはしなかった。先ほど立候補したタイガもその戦士の事を知っているのか、俺が行くべきとは言わなかった。
そして誰も何も言わなくなった為、ウルトラの父は決定づける。そして肝心の本人が何処に居るかをゾフィーに聞く。
ウルトラの父「うむ、ではこれで派遣する戦士は決まったな。でだ、肝心の”彼”は?」
ゾフィー「現在確か、惑星エルでケルビムが出現したとのことで出動しています」
惑星エル...そこは自然に恵まれた美しい星である。だがそこへけたたましい咆哮が響き渡り、鳥や動物が森から逃げ出した。
近くにはその星の住人たちが森の異常に動揺する。
「な、なんだ!?」
「一体何んなの!?」
「お母さん怖いっ!」
そんな恐れを抱く住人たちを嘲笑うかの如く、木々をなぎ倒しながら現れたのは[[rb:宇宙凶険怪獣 > うちゅうきょうけんかいじゅう]]ケルビム。
全身を青いウロコに覆われ、長大な尾と極端に長く鋭い爪、鉈のような巨大な一角を持つ魔物のような攻撃的な外観が特徴を持った凶悪な宇宙怪獣であるが、一番の特徴は般若の面から黒目だけを取り去ったような凶悪にすぎる険しい顔つきで「凶険怪獣」の肩書きもこれに由来する。
ケルビムの姿を目の当たりにした住人たちは悲鳴をあげて逃げ始める。そんな逃げ惑う人々をまるで獲物を楽しむかの如く口から勢いよく吐き出す可燃性粘液を空気との摩擦で発火させた火球弾を発射して、村々を燃やし尽くしながら住人たちを追い始めた、奴に追われる住人の中で幼い少女が転んでしまう。
「きゃっ!」
「あ!しっかり!!」
「お母さん!!」
母親が少女の元へ駆け寄り抱き上げるが、既にケルビムがもう近くまでやって来た。だが44メートルも巨大の奴からすれば人間クラスの小さな生き物との距離など然程大したことはない。
醜悪な笑みを浮かべて長い爪で自身を見上げて怯える親子を振りかざそうと手を上げる。襲い来る死に娘は母親の胸の中で涙を流す。
「お母さんっ!」
「誰かっ!!」
母親は娘を抱きしめ目をつぶる。ケルビムがいよいよ親子に爪を振りかざしたその時である、上空から赤い大きな球体が凄いスピードで親子を襲いかかろうとするケルビムを吹き飛ばした。
母親と娘は何が起きたのか分からず、目の前に現れ自分たちを助けた謎の赤い球体を見上げるしかなかった。
すると赤い球体は眩い輝きを放ち、親子は堪らず手で目を隠す。やがて光は晴れていき、その中心に巨人が現れる。
そこに居たのは...メインカラーが赤。胸部や肩を覆う鋼のプロテクター、胸にカラータイマーがある。
また肩の部分が尖っており、等身が高くなって全体的に筋肉質な印象を受ける。
特に腹筋の割れ方がすごい。
鋭く剣みたく突起したスラッガーをもつ頭部とそこにウルトラホールと呼称される穴がある。
この堂々と立つこの赤き戦士、彼こそウルトラマンエースの息子でありこの物語の主人公...ウルトラマンセイヴァー!
ウルトラマンセイヴァーは肩越しで親子に逃げるように促すと、母親はそれに察して娘を抱き上げてその場から逃げる。
その際に親子はウルトラマンセイヴァーを見上げて礼の言葉を口にする。
「あ、ありがとうございます!!」
「ありがとう!!巨人さん!!」
ウルトラマンセイヴァーは親子に頷き、直ぐにケルビムを一瞥すると奴は咆哮を上げながら立ち上がる。
セイヴァーは戦う態勢を取る。
ウルトラマンセイヴァー「ディヤァ!!」
ウルトラマンセイヴァーは大地を蹴り相手に向かって走る。ケルビムは火球を吐きセイヴァーを迎撃するが、セイヴァーは勢い良くジャンプし綺麗な放物線を描きながら上空から蹴りをお見舞いする。
セイヴァー「ジュアァー!!」
セイヴァーの飛び蹴りはケルビムの鉈のような巨大な一角を一発で粉砕し、再び奴を吹き飛ばした。セイヴァーは着地してから直ぐに倒れたケルビムの尻尾を掴み360°回転する。
セイヴァーは回転する速度を上げて最後には砲丸投げの玉みたく、ケルビムを勢い強く投げ飛ばした。
セイヴァー「ヘアー!!」
ケルビムは堪らずひるんでしまうが、ウルトラマンセイヴァーは容赦などせず奴の間合いに入って頭にハイキックをくらわしてから今度は後頭部にスレッジハンマーを叩き込む。
セイヴァー「デアッ!!ダァ!!」
スレッジハンマーを食らって意識がハッキリせずセイヴァーの腹の位置まで頭を下げると、ウルトラマンセイヴァーはそこへ膝蹴りを奴の顎にぶち込む。
思わぬ攻撃がケルビムの牙を全て砕き、更に両肩を鷲掴んでまたも投げ飛ばす。真面にウルトラマンセイヴァーに攻撃を加えることが出来ぬままケルビムは戦意を失い、眩暈で立つことで精一杯である。
そこへウルトラマンセイヴァーは止めの一撃必殺の光線を発射の準備を取る。
カラータイマーの位置で両腕をクロスしてから両腕を大きく上に伸ばして、腕をL字型に組んで必殺光線を発射した。
セイヴァー「ドゥア!!エボリューム光線ッ!!!」
青・赤・白の三色の光線がケルビムの頭部に命中し、奴は敢え無く爆散した。ケルビムがやられた場面を目撃した惑星エルの住人たちや先ほどの母娘も凄まじい光景に啞然としたが、だがもう自分たちが怪獣から命を助けてくれたと思い救ってくれた赤き巨人に賞賛の声を上げる。
「ありがとうー!!」
「ありがとう!!」
「助かったよー!!」
「ありがとうございました!!」
「巨人さん!ありがとー!!」
少女が母から離れて住人たちの誰よりも前に出てウルトラマンセイヴァーに感謝の声を上げるが、当の本人はそんなのに目もくれず空を見上げていた。
彼が見上げたその先には大きくウルトラ一族の文字が描がかれるウルトラサインがそこにあった。
ウルトラサインを見たウルトラマンセイヴァーは読み上げる。
セイヴァー「....至急光の国に帰還せよ、だと?」
そう声を溢した彼は感謝の声を上げる人々を余所に飛翔した。
セイヴァー「ジュワッ!!」
ウルトラマンセイヴァーは光の国に帰還していく。
光の国に帰還したウルトラマンセイヴァーは本部基地・宇宙警備隊本部にたどり着いた。そこに待っていたのはウルトラの父と母を始め、ウルトラ兄弟たち、メビウスとタイガがその場で彼を待っていた。
セイヴァー「惑星エルでのケルビム討滅任務、完了しました。ゾフィー隊長」
セイヴァーは一糸乱れぬ敬礼でゾフィーに報告する。ゾフィーは頷き彼に話し始める。
ゾフィー「うむ、任務ご苦労セイヴァー」
セイヴァー「ハッ!」
敬礼をやめ、姿勢を楽にする。そこへタロウの息子であるタイガがセイヴァーへ労いの言葉を送る。
タイガ「セイヴァー兄さん!お疲れ様です!」
セイヴァー「嗚呼、タイガか。元気そうだな」
タイガ「はい!」
セイヴァーとタイガの父であるエースとタロウはウルトラの父と母に育てられた為、セイヴァーとタイガは従兄弟同士なのである。
因みにタロウは父と母の実子ではあるが、エースは実の両親の乗った宇宙船が怪獣軍団の襲撃で爆発したため孤児となり、ウルトラの父とウルトラの母に我が子同然に育てられた。そのため、2人の実子であるタロウと特に仲がいいのだ。
その影響でタイガは従兄であるセイヴァーを本当の兄のように慕っているのだ。
そんな二人にエースが口を開いた。
エース「すまないが、今は緊急を要するのだ。セイヴァー」
セイヴァー「了解です、父さん」
そしてセイヴァーは何故呼ばれたのか問いかける。
セイヴァー「...ところで、何故自分は呼ばれたのですか?」
ゾフィー「うむ、セイヴァー。お前を呼んだのは他でもない、緊急事態が発生したのだ」
セイヴァー「緊急事態...?」
ゾフィー「ああ、ヤプールが復活し別の宇宙へ侵略を画策している」
セイヴァー「っ!?」
ゾフィーからの話を聞いて衝撃を受ける。まさかあのヤプールが再び復活し、しかも今度は別の宇宙に侵略をしようと画策していると聞いて更に驚いた。
セイヴァー「まさかヤプールがまたも!!」
ゾフィー「そうだ。そしてそれを我々に教えてくれたのが彼女だ」
ゾフィーが指で示した先にはハルモニアが立っていた。彼女に気付いたセイヴァーは彼女が何者か気になった。
セイヴァー「彼女は...?」
タロウ「彼女はハルモニア。別の宇宙に存在する調和を守る存在だ、彼女の宇宙にヤプールが移動し侵略を行おうとしている」
ウルトラの父「そこで我々はお前を彼女の宇宙に派遣する事を決定したのだ」
セイヴァー「なるほど」
タロウとウルトラの父の説明を聞いてセイヴァーは納得したと頷く。するとハルモニアがウルトラマンセイヴァーに頼み込む。
ハルモニア「ウルトラマンセイヴァー。初めまして、私はハルモニアと申します。どうかお願い致します、私たちの世界をお救いください」
セイヴァー「了解です。自分は超獣との戦いは心得ています、ですのでどうか顔を上げてください」
セイヴァーの返答に顔を上げて安堵するハルモニア。そしてウルトラの父は彼に正式に指令を下したのだ。
ウルトラの父「では!正式に指令を下す!ウルトラマンセイヴァー!!お前はこれからハルモニアの宇宙に行き、ヤプールの侵略を阻止するのだ!!」
セイヴァー「了解!!」
するとハルモニアが錫杖を掲げるとウルトラ戦士よりも大きなゲートが開いた。
ハルモニア「このゲートから私の宇宙に行けます、ここから先私がご案内致しますわ」
セイヴァー「感謝しますハルモニア」
ゲートを開けたハルモニアにセイヴァーは感謝する。そこへエースが息子である彼に言葉を送る。
エース「セイヴァー、お前はウルトラ戦士としてはもう一人前ではあるが、別の宇宙とは言え地球での戦いは初となる。地球に居る人々の心に触れ彼ら人間を知るのだ。知ることでお前は更に成長するだろう」
セイヴァー「はい、父さん」
エース「うむ、さぁ!行くのだ!!ウルトラマンセイヴァー!!」
セイヴァー「ジュワッ!!」
ウルトラマンセイヴァーはゲートへ向かって飛んでいき、ハルモニアも彼の後を追う。セイヴァーを見送ったエースは一人呟く。
エース「頼むぞ、お前が宇宙を照らす救世の光となれ!」
こうしてウルトラマンセイヴァーは別の宇宙へと旅立った。これから先どんなことが彼に待ち受けるのかそれはまだ誰も知らない....続く。
恐るべきヤプールの侵略が遂に始まった!奴が狙う目が音楽をこよなく愛する町...加音町に牙を剥く!
町は一瞬にして残酷非道なる地獄絵図と化した!
そこへ!ウルトラの啓示を受けて現れる我らがヒーロー!!ウルトラマンセイヴァー!!
必殺!セイヴァーのエボリューム光線が闇を穿つ!!
さぁ!来週の「来たぞ!救世主!我らがウルトラマン!」を皆で見よう!!