ソードアートオンライン Monster Hunter World   作:GZL

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この話…めちゃくちゃ書くの大変だった…。


第17話 ここにいる意味

いつもの装備を身につけて、ログハウスから出ようと思ったアスナだったが、ベッドで未だに横たわるキリトを見て、腰に手を当てて叱る。

 

「こら!団長からの命令なんだから仕方ないでしょ‼︎いつまでもメソメソしないの!」

 

「そう言ってもよお…まだ2週間だぜ?短くないか?」

 

「短くないよ!むしろ2週間も()()()()くれてたのよ?感謝しなきゃ、団長に」

 

「…はあ」

 

キリトが悲しむのも無理はなかった。

だが、その様子をアスナは自身の前で大っぴらに見せつけないで欲しかった。

彼女自身もこの2週間の生活が楽しくて、幸せで堪らなかった。

それが奪われるなんて、胸が締め付けられる気分だった。

 

「ほら!行くよ‼︎」

 

「分かったよ…」

 

「パパ…。ママ…」

 

切ない視線を2人に向けるユイ。

キリトがまず抱きしめ、続いてアスナもユイを抱き締めた。

 

「寂しいと思うけど…お留守番お願いね?」

 

「…はい、頑張ってきてください、パパ、ママ」

 

それでもユイの表情は曇ったまま。

見かねたキリトはユイの頭を撫でながら、こう続けた。

 

「大丈夫だよ、ユイ。俺たちは絶対帰ってくるから」

 

「約束ですよ?パパ」

 

「ああ、約束だ」

 

名残惜しくもユイから離れたキリトと一緒にアスナは2週間ばかり住んでいたログハウスから出ようとする。

ところがすぐに足が止まってしまい、リビングを見詰めてしまう。

懐かしみを感じてしまったが、首を振って『行かなくちゃ』とアスナは自分に言い聞かせて、第22層の転移エリアに赴くのだった。

 

 

 

 

「いやはや、2人にはお世話になりました」

 

目の前にはニシダが立っている。

『どうしてここに…』とアスナは思ったが、キリトとアスナが攻略組と聞いて、せめてお礼を言いたくて来たそうだ。

 

「いいえ、こちらこそ。上手い魚も食べれたし…」

 

「主も釣れましたから」

 

「そうですか…。…正直、私は攻略には赴けないレベルで、あなたたちにお任せにしているとずっと自覚しているのですが…そこが申し訳なくてここに…」

 

「そんなことは…」

 

キリトが『そんなおとはない』と言う前に、アスナは無意識にポツリと話し出した。

 

「私も……最初はずっと遠くの出来事だと思っていました」

 

キリトが少し驚いた表情をしていたが、彼女は気にせず続ける。

 

「この世界に放り出せれて、数日くらい…涙が止まりませんでした。1日が過ぎていく度に、現実の私はどこか消えていく…そんな感じでしました。でも、その考えを放棄しようと…戦いに明け暮れました。どんどん強くなって…こんな世界から抜け出してやる…そう思ってたんです。そんな時、木陰で寝ている人がいて、頭に来ちゃって…訳も分からず怒鳴りました。でも…その人は暢気(のんき)な顔してこう言ったんです。『毎日迷宮に潜るのはストレス、今日見たいな素晴らしい天気の日くらい休まなきゃ…。お前もそう思わない?』って。それを聞いて…なんか…今まで私が考えてたこと全てが崩れて…その日、初めてぐっすり眠れました。その日からその人のことが忘れられなくて…ずっと追っていました。その人は…ここにいるキリトくんです」

 

「アスナ…」

 

「キリトくんと一緒にいれば、怖くなくなった。彼を見れば、元気が湧いた。そして…初めてここに来て…『良かった』と思えた」

 

ここでアスナはいつの間にか泣いていることに気付き、慌てて涙を拭う。

それでも言葉は紡がれる。

 

「ここでの2年間生きた意味はキリトくんであり…生きた証でもあるんです」

 

キリトの手をギュッと繋ぎ、ニシダに最後にこう伝えた。

 

「私はキリトくんに会うために、あの日、ナーヴギアを被ったんです!ニシダさんにも…きっと大切なものがあると思います!」

 

するとニシダは一回鼻を(すす)り、「そうですなあ…」と呟いた。

そして、2人の手を取り、願うように言った。

 

「頑張ってください!私に出来ることはこれくらいです」

 

「分かりました。また暇が出来たら、一緒に釣りでもしましょう」

 

キリトはそう返した。アスナも同じように頷き…。

 

「行ってきます」

 

「「転移!グランザム!」」

 

2人は転移場所の名前を叫び、青い光に包まれていった。

 

 

 

 

「偵察隊が全滅⁈」

 

キリトは叫ばずにいられなかった。

目の前に鎮座しているヒースクリフから聞かされたのは、第75層のボスエリアに偵察した10名のプレイヤーが僅か数分の間に消えてしまった…ということだった。

しかも聞く限り、そのボス部屋は結晶無効化エリアであることは間違いなかった。

 

「なので、近々かなりの人数を連れて、大規模のボス攻略を行う。そこで君たちを呼んだということだ」

 

「もちろん参加はします。だけど、俺は自分の命よりアスナの命の方が優先度は高いんです。もし…アスナが危なくなったら…パーティーよりもアスナを優先します」

 

反対するかとキリトは思ったが、ヒースクリフはむしろ笑みを浮かべてこう言う。

 

「誰かを守ろうとする力は無限に等しい。勇戦を期待するよ、キリトくん」

 

 

 

 

「あーあぁ…明日、遂に攻略かあ…。きちんと守ってね、キリトくん」

 

会議室の机に座るアスナはいつも通りだが、キリトはいつもの冷静さを保てていなかった。そのせいで、アスナが怒ると分かっていても、こんなことを言ってしまった。

 

「…怒らないで聞いてくれ。明日の攻略…アスナは行かないで欲しい」

 

そう告げると、アスナの笑顔が一瞬で消えて顔が俯かれる。

数秒の静寂の後…アスナは口を開いた。

 

「どうして…そんなこと言うの?」

 

「今までのボス戦のやり方が通じるか分からない。それに結晶無効化エリアなら、転移結晶が使えないから、逃げることも出来ない。そんな中にアスナを行かせるのは…」

 

「そうやって自分だけ格好つけて、私を置いて行って…キリトくんの帰りを待ってろと言うの?」

 

アスナの足音が聞こえる。徐々に俺の方に近付いて、キリトの目の前で止まる。

何を言われるのか、恐れていると…。

 

「もしもキリトくんが帰ってこなかったら…私、自殺するよ!」

 

心臓の鼓動が止まるほどの衝撃がキリトを襲った。

勝手に瞳孔が大きく広がり、汗が吹き出た。

 

「待っていた私が許せないし、もう生きている意味がないもの」

 

「ごめん…俺、弱気になってる!本当は俺が怖いんだ…!あの家でユイと一緒に生活して…逃げていたいんだ!」

 

アスナの手を握って、そう叫ぶキリトをアスナは真摯(しんし)に受け止めてくれる。

 

「…それが可能なら…どんなに幸せだろうね…。私もそうしたい…ずっと、ずっと…。でもキリトくん…考えたことある?私たちの身体が今どうなっているか…」

 

「え?」

 

唐突に自身の身体について言い出したアスナにキリトは狼狽(うろた)える。

 

「ゲームが始まって暫く経ってから、みんな回線エラーが起きたでしょ?あの時に私たちは病院に行って、機械に繋がれてどうにか生きているって状態だったら…そんなに長く持つなんて思えない」

 

「つまり、ゲームのクリアするしないに関係なく…タイムリミットが存在するというわけか…」

 

残酷な未来を呟くと、アスナはその顔をキリトの胸に押し当てて泣き始めた。

震えるアスナの身体を支えて、頭を撫でるキリト。

 

「私…私…!ずっと一緒にキリトくんといたい‼︎どんなことがあっても…ずっと一緒にいたいから…そんなこと…言わないで‼︎」

 

「…ごめん、アスナ…。俺たちは、戦うしかない。それまで…ずっと一緒だ」

 

そう言って、アスナの涙を指で掬うと、軽く唇を重ねる。

分かったことは結局…良い未来を築くには、戦い続けるしかないことだけだった。

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