ソードアートオンライン Monster Hunter World   作:GZL

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前回のサブタイトルを変更しました。


第42話 大討伐クエスト

アリスのいる第83層からログハウスのある第22層へと帰ろうとしたアスナだったが、凄まじい震動によって、その行為は断たれた。

湖から巨大な水飛沫が上がり、その次に天をも見上げる程の巨大な龍が現れた。あまりの大きさにアスナは言葉が出なかった。

今まで戦ってきたボスの倍…いや、その程度では済まない。一般的なボスの数百倍はあろうと思われる巨体が森を裂き、大地を抉り、地形を勝手に変えていく。

そして、丁度巨龍がいる場所が、アリスの自宅であることに気付いたアスナは急いで引き返した。転移結晶がもう一つあれば、即座にアリスの自宅に着けるのだが、もう持っていなかったアスナは歯を噛み締める。アスナが着く直前、巨龍は耳がひっくり返りそうな程の咆哮を上げ、更に上の層へと、天井を突き破り、消えていった。

アスナの焦りは更に募る。

『目的』を果たしたから、移動したのではないかと思ったからだ。

その『目的』が、この層にいるプレイヤーの抹殺だとしたら…アリスは……。

そんな不安を覚えながら、アリスの自宅に到着したアスナは目を疑った。

無かったのだ。

あるはずのアリスの家が…。

あるのは砕けた木片と瓦礫だけ。そこに家があったのかと聞かれても、答えられないレベルで…。

そして周囲を見回した先に、アリスが肩から肉を露出させた状態で倒れていた。

 

「アリス‼︎」

 

駆け寄ったアスナはアリスを抱き起こし、何度も彼女の名前を叫ぶ。

だが、アリスは目を覚さない。

迷うことなく、回復結晶を使い、アリスの治癒に当たるアスナ。

その間にも周りを見るが、そこに愛すべきキリトの姿はなかった。

 

「う…」

 

アスナの身体がピクリと動く。

 

「アリス!」

 

「アスナ……私……キリトを…」

 

そこから先の言葉を聞きたくなくて、アスナは思わず声を荒げた。

 

「今は黙ってて!」

 

だが、アリスは無視する。

 

「キリトがッ…あの龍に…連れ去られた…!」

 

()()()()()()?」

 

それを聞き、アスナは胸を撫で下ろす。

てっきり食べられたか、殺されてしまったのかと思ったからだ。

 

「じゃあ、助けに…」

 

その時、アスナとアリスの前にメッセージが届く。

ゲーム内からの緊急クエストだった。

2人は声を揃えて、呟くのだった。

 

「「大討伐…クエスト?」」

 

 

 

 

『大討伐クエスト』…。

それは先程の巨龍『ダラ・アマデュラ』を第87層で討伐せよ…という内容だった。また第87層のボスモンスター『Espinus』は巨龍に倒され、代わりのボスとして、ダラ・アマデュラが置かれた…とのことらしい。

しかし、そんなことよりも驚きだったのが、このクエストの参加条件だった。

 

「…現在生存しているプレイヤーの9割以上の参加が必須なんて…無理に決まってるだろ‼︎」

 

思わず、エギルは椅子を蹴り上げた。

アスナやアリス、シノンもその気持ちは分からなくもなかった。

現在、SAOでの生存者はおよそ4000人…。その中で最前線の攻略に赴くプレイヤーはたったの数百人程度しかいない。参加しない理由だが、やはり死の恐怖に耐えれないものが多いからだ。

アスナも最初は何度も心が折れかけたが、どうにかして、その恐怖を打ち破り、今に至る。アスナだけではない。攻略に参加するプレイヤーは皆、そういう者たちだろう。

因みにこのメッセージは全てのプレイヤーに送られている。

 

「でも、そうしないと参加すらさせてもらえない。全く…ふざけたクエストだわ」

 

「でも、実際にその数いないと奴には敵わない」

 

アリスは自身の力を全て使い切っても、傷を1つも与えられなかったダラ・アマデュラの強さを知っている。

 

「だとしてもよ。9割ものプレイヤー参加は不可能よ。やれたとして5割が限界…」

 

「……」

 

シノンの言っていることは正しい。

しかし、このまま何もしなければ時間だけが過ぎ、攻略は終わらない。更にはキリトの安否も永久に分からないままだ。

これまで黙っていたアスナだったが、急に立ち上がってボイスメッセージを全プレイヤーに向けて送るために準備を始める。

 

「私がみんなをやる気にさせる」

 

「無駄よ、アスナ…。気持ちは分かるけど、そこまでのプレイヤーを集めるのは…」

 

「やってみないと分からないでしょ⁈」

 

アスナはみんなに怒鳴る。

そんなことはアスナ自身が1番分かっている。

だが、キリトを取り戻すためにはやるしかなかった。

数分近くも何かを話し、全員にメッセージを送ったアスナ。

最後には溜め息を吐いていたが、アスナは「大丈夫、絶対来る」と断言して、1人先にログハウスへと帰っていった。

その様子を3人は静かに見届け、どうなることやら…と思ってしまうのだった。

 

 

 

 

自宅を失ってしまったアリスは野宿することになった。

最近は稼ぐこともあまりしなかったため、宿に泊まれる程のゼニーを所持していなかった。瓦礫となった木材を地面に敷き、寝転がる。

寝ようと思ったが、アリスの視界に『メッセージがあります』と出た。

すぐにそれがアスナが作った音声メッセージであると分かったアリスは寝る前にどのようなことを言ったのか…気になったので、聞くことにした。どうせ無駄だろうと思いながら…。

 

 

『私は元血盟騎士団副団長のアスナ。

このSAOにいるプレイヤー全員に言いたいことがあるの…。もう知っている人も多いと思うけど、次の層の攻略をするには、生きているプレイヤーの9割が参加しないといけない。このメッセージはその催促をお願いするためのものです。

だけど、ほとんどのプレイヤーは死の恐怖で来れないと思ってる。

それはそうだよね…。死ぬのは怖い…。私も最初の頃は怖くて、どうしようもなかった。それでも私は死の恐怖を乗り越えて、今ここにいる。

そんな私を作ったのは…愛すべきキリトくん、【蒼雷の二刀流】でした。彼は今、巨龍に連れ去られ、しかも心を失った状態になっている。私は彼を助けるために、これからは攻略に赴く。だから…みんなにも来て欲しい…。攻略を突破するためには、キリトくんが必須なの…。

それに…みんなはこのままでいいの?ゲームの中に囚われたままで…。私は嫌だ。大切な人と、これから先長い人生を歩んでいきたい…。みんなにも、そういった人がいると私は思ってる。

だから…来て欲しい。

私たちの人生を、棒に振らせないために…。

明後日、第87層の入り口で待っている』

 

 

アリスはいつの間にか、アスナのメッセージに聞き入ってしまっていた。重みのある言葉の数々に、動けない人の方がおかしいと思えてしまうメッセージだった。

 

「…私も、このままじゃ嫌だ」

 

アリスは起き上がり、地面に突き刺したままの飛竜刀【光月】を掴む。

黄金の刀身から蒼い炎が僅かに上がる。

この炎が消えてしまうまで、絶対に倒れない…アリスはそう思いつつ、剣を振る。

きっと来る…。アリスは、当初は来るはずがないと思っていたプレイヤーたちが絶対に来ると、確固たる自信を持っているのだった。




最後ちょっと変だったかな…。
そして、恐らく最後のアンケートを開始します!
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