ソードアートオンライン Monster Hunter World   作:GZL

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ここら辺は原作とほぼ同じだから、最悪飛ばしても良いです。


第2話 凶刃

「急げ‼︎強心剤だ!」

 

救急車の中の医師たちは更に忙しくなる。

和人の心臓の鼓動が停止したのだ。モニターにはピーという一定の音と一直線の波形が出ているだけだった。

明日奈は自分を見失わないようにするのが…精一杯だった。

 

 

 

 

 

時は約数十分前に(さかのぼ)る。

エギルの店を出た和人と明日奈は閑静な住宅街の中を手を繋ぎながら帰路に着いていた。和人は明日奈の家とは全く真逆の方向であったが、明日奈と共に居たいという気持ちを抑えられず、常に途中まで遠回りしてから帰る。

そんな時、和人は唐突にこんな話を始める。

 

「明日奈って…進路はどうするか決めてるのか?」

 

いつもの和人らしくない話題に明日奈は目を丸くする。

 

「まだだけど…。私はSAOで3年も学業を怠っていたから…どんな風になるか分からないな…」

 

「俺は…茅場彰彦と同じ東都工業大学の電気電子工学学科に行こうと思ってる。あいつの言っていた仮想世界の限界を…自分自身の力で見てみたいんだ。それで…いずれはアメリカに行こうと思ってるんだ」

 

それを聞いた明日奈は更に目を大きくさせる。

これはつまり、いつか和人と離れてしまうことを意味する。それを察していた和人は、とんでもないことを言い出す。

 

「そうなった時…明日奈、俺と、一緒に来てくれないか?」

 

「っ」

 

「最初は1人で頑張ろうと思った。だけど、俺には明日奈と一緒にいないと…明日奈が居ないとダメなんだ!」

 

心から叫んでいる気持ちに明日奈は頬が温かくなる感覚を感じながら、和人の手をギュッと握って笑みを返す。

 

「当たり前じゃない?SAOの時に言ったでしょ?いつまでも…ずっと一緒にいるって。君とだったら…どこまでだって」

 

「明日奈…」

 

和人は感謝する様に明日奈を抱き締め、一瞬にも等しい口付けを交わす。人がいないと言え、住宅街の真ん中で…。

 

 

 

 

 

そして、明日奈を家に送ると、早歩きで自宅へ急ぐ。

少し明日奈と一緒に居過ぎたと思いながらも、家で待っている直葉や母親との晩ご飯を楽しみにする。だが、和人は後ろから同じく早歩きする足音が聞こえてきたことに気付いた。

チラリと後ろを向くと、黒いフードを被った男が和人の後ろにぴったり引っ付いて来ていたのだ。あまりに怪しい男が現れたため、和人は足を止め、奴に声を上げる。

 

「お前、誰だ?」

 

「……」

 

男は黙ったまま、ポケットから何かを取り出す。

街灯にキラリと刃が光った。

 

「!」

 

「【黒の剣士】…見つけた…」

 

【黒の剣士】。

その呼び名はSAO時代のものだ。つまり目の前にいる男はSAOサバイバーだ。更に和人の命を狙うことを加味すると、目の前の男が何者かは容易に想像が付いた。

 

「お前…まさか…!」

 

和人が話すよりも…逃げるよりも前に男は駆け出し、その刃を和人の腹に突き刺した。SAOの時よりも鋭く…強烈な痛みが全身に波及し、声が出なくなる。

 

「Pohの無念を…晴らす…」

 

「あ…がっ……」

 

和人は刺された腹に手を当てつつ、ゆっくりと膝を着き、最後に倒れる。男は更に止めを刺そうともう一度、刃を突き立てようとしたが、誰かの気配を感じて、その動作を止める。

 

「…お前は…」

 

「キ、キリトくんっ⁈」

 

何故かやって来た明日奈に男は驚愕する。もう明日奈は来ないと踏んでいたのに、戻ってくるとは…と。

明日奈を消すことも考えたが、ここにこれ以上留まることは危険だと判断した男はそのまま夜闇の中へと消えていった。

明日奈は男が消えたことを確認してから、和人に駆け寄る。

 

「キリトくん‼︎キリトくんッ‼︎」

 

和人を何度も呼びながら、携帯で救急車を呼ぶ。

血溜まりの中で倒れる和人を見た明日奈は、今にも泣いてしまいそうだった。

 

 

 

 

 

病院に到着し、直ぐ様緊急手術が始まった。

明日奈は手術室の前で茫然と立ち尽くし、数十秒後に崩れるように椅子に座る。自然と涙は出なかった。恐らく未だに今起きていることが現実なのか仮想なのか、判断出来ずにいるのだ。

どれくらいの時間が経ったのか、手術室前に直葉と和人の母親が駆け込んできた。

 

「明日奈さん!」

 

「直葉ちゃん…おば様…」

 

2人の姿を見た途端、明日奈の心は崩れた。

直葉に縋すがりつき、泣き喚いた。漸く今起きている事態が現実のことなんだと、分かってしまったのだ。

涙目の直葉は明日奈を落ち着かせようとする。

 

「大丈夫ですよ、明日奈さん。だって…お兄ちゃんはあのSAOをクリアした剣士なんだよ?刺されたくらい、どうってこと…」

 

そこまで言ったところで、『Operation』の赤い文字が消えた。

すぐに担架に横たわる和人と多くの医師たちが出てきた。執刀医らしき人物が近寄り、和人の状態を告げる。

 

「命に別状はありません。よく踏ん張った…と言ったところでしょう」

 

それを聞いた3人は安堵する。明日奈は地面に崩れてしまいそうだった。だが…次の発言で、何もかもが台無しになる。

 

「しかし…一定時間、心停止したため、脳に信号が送られていない時間があり…身体的障害、または思考的障害が残る可能性が非常に高いです」

 

「そんな…!」

 

明日奈はか細い声で、そう呟く。

 

「更に未だに意識が回復せず、もしかしたら…長期間、目を覚さない可能性も…」

 

そこまで言ったところで、明日奈は執刀医の白衣に掴みかかった。

突然の行動に直葉たちは驚く。

 

「どうしてよ…どうして‼︎あなたたち医者でしょ⁈それくらいのこと…何とかしてよ‼︎」

 

「明日奈さん!落ち着いて‼︎」

 

直葉はどうにか明日奈を執刀医から引き剥がす。この光景は過去にも見たことがあるものだった。和人が『ミラバルカン』との戦いで、死んだと思われた時期…明日奈は今のような感じで、暴走した。

しかし、今回ばかりは状況が違う。

和人は意識不明の重体、並びに障害が残ってしまう可能性が高い…。

明日奈からすれば、それはSAOの時よりも遥かに絶望のどん底に叩き落とされた気分だった。

そこに…1人の男がやって来て、彼らに話し始める。

 

「やあ、明日奈くん、直葉くん」

 

聞き覚えのある声に明日奈たちは目を向ける。

そこには皺一つない綺麗なスーツを着こなす菊岡が立っていた。

 

「菊岡…さん」

 

「話は聞いてる。桐ヶ谷くんについて、お母様と話をしたい」

 

「はい…」

 

「待ってください!菊岡さん、お兄ちゃんを助けられるんですか⁈」

 

その返答は、直ぐには返って来なかったが彼は確かに言った。

 

「任せてくれたまえ。確証もなしにここには来ないよ」

 

明日奈はそれを聞いた途端、何とも言えない嫌な感じがした。

和人がまた離れてしまうような…そんな嫌な予感が…。




アンケート終了します。
まあそうですよね。結果は想定通りです。どうするかなあ…。


今日の夜当たりにもう一つ投稿します。
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