ソードアートオンライン Monster Hunter World 作:GZL
結城明日奈は暗い部屋の中、菊岡と対面していた。
その横には巨大な画面にそこには見たこともない建造物が映されている。更には見たこともない形の機械が何十、何百と置かれている。
だが、明日奈は画面に映っているもの、機械のこと、何もかもがどうでも良かった。
彼女が聞きたいことはただ1つ、それは…。
「キリトくんはどこ?」
この事態になる1週間前、菊岡は桐ヶ谷和人の母親、直葉、そして明日奈を一室に案内し、とある提案を薦めてきたのだ。
「桐ヶ谷和人くんを治療出来る施設を提供します。今のままでは、和人くんを治療しても、確実に障害が残ってしまうでしょう」
「有難い話ですけど、何で急にそんな事を?」
涙の跡が残る明日奈は少し圧をかけながら、菊岡に質問する。
「恋人である明日奈くんだって、完治した和人くんが戻ってくることに何か不満でも?」
不敵な笑みを浮かべる菊岡に、やはり明日奈は信用しきれなかった。
それは直葉も同じようで、更に質問をする。
「施設って…それはどこのことなんですか?」
「それは今は言えない。何せ、恐らく世界に1つしかない治療方法なのでね…」
その解答を聞いても、2人は全く納得していない様子だった。
それは菊岡も分かっているようだった。
「それで…お母様、どうしますか?」
「本当に、そこで和人が助かるのですか?」
「保証します」
和人の母は小さく頷き、「お願いします」とか細い声を出した。
和人が元に戻ってくれるなら良い…と思う明日奈だが、心の中では菊岡が良からぬ事を考えているのではないかと渦巻く。
菊岡は「分かりました」と言い、部屋から先に出て行く。
明日奈もすぐに後を追うように部屋から飛び出して、車に乗り込もうとする菊岡の胸ぐらを掴んで捕まえた。それを見た運転手は「菊岡二等陸佐に何をする!」と思わず叫んだ。
「二等陸佐?」
「
明日奈は菊岡の胸ぐらから手を離し、少し息を吐いて落ち着く。
「私にだけ、詳しく教えて。あなたは何かを隠している。誤魔化せないわよ!」
強い殺気を菊岡に向ける明日奈。
それに屈したのか…それとも元々明日奈がこう動いてくることを読んでいたのか、菊岡は眼鏡を上げて、懐から小さな紙切れを出して明日奈に渡す。
「1週間後、ここに来たまえ。迎えを寄越すよ。ただし、他言無用で。その約束を守れないなら、私は明日奈くんを連れて行くことは出来ない」
「……」
菊岡が差し出す紙切れを乱暴に掴み取り、明日奈はそれを鞄に押し込む。後ろから「明日奈さーん!」と呼ぶ声が聞こえて来た。
「明日奈さん、菊岡さんと何を話してたんですか?」
明日奈は先程の話をしようと思ったが、菊岡の発言を思い出して、グッと飲み込む。
「いいや、何も話してないよ?…私、最後にキリトくんに会ってから帰るよ」
明日奈の背中を見る直葉、そこから感じる違和感に何とも言えないものがあるように思えるのだった。
ー1週間後ー
明日奈は菊岡に指定された場所に立っていた。時間もほぼぴったりで辺りには人の気配はない。騙されたのか…それともそもそも連れて行く気がないということなのか…。
そんな考えを巡らせていると、何かが近付いてくる音が徐々に大きくなっていく。すぐに上空を見上げると、軍用ヘリがこちらに着陸しようとしていたのだ。明日奈は思わず「嘘⁈」と声を上げて、急いでヘリから離れる。
着陸したヘリからスーツ姿で髪を刈り上げた男が出てきて敬礼する。
「結城明日奈様ですね?菊岡二等陸佐からの命を受けて、お迎えに参りました。どうぞ、お乗りください」
「は、はい…」
明日奈は必要以上に身構え、ゆっくりとヘリの中に乗る。まさかヘリに乗るとは思わず、周囲を眺めていると、先程の男が明日奈に何かを差し出した。
「…目隠し?」
「今回向かわれる場所を特定されたくないのです。ご協力願います」
明日奈が断れるはずもなく、目隠しを付ける。視界が暗闇に包み込まれ、一気に不安感が増す。それと同時にヘリが離陸したことが分かる。ここへ来て、明日奈は今自分が大変危険な状況にいるかもと、後悔し始めていた。
だが、考えてみればそうだ。菊岡は元々総務省の人間で、今はこの自衛隊たちを従えるほどの存在だ。一市民の明日奈がどうにか相手に出来るはずがない。
それでも…明日奈は恐怖に屈しなかった。
それはただ唯一の希望のためだ。
(キリトくん…待ってて…)
どのくらい時間が経っただろうか…。
明日奈もウトウト眠気に負けそうなところで、声がかかった。
「目隠しを外してもらって結構ですよ」
それを聞いて、明日奈はゆっくりと目隠しを外した。久々の太陽の光が眩しかったが、それよりもヘリの下に聳そびえる建造物に思わず度肝を抜かれる。
大きさは…検討も付かない。中央にピラミッド状のものがあり、表面は青黒い太陽光パネルで覆われている。しかも、その周りで海が波打ってることから、この建造物自体が『動いている』のだ。
明日奈は驚愕のあまり、その建物に見惚れる。すると、ヘリの運転手が連絡を入れた。
「オーシャン・タートル、第1ヘリポートに着陸します」
「オーシャン・タートル?」
「この建物…いや、船の名前ですよ。それらの詳細は、菊岡二等陸佐が全て教えてくれるでしょう」
全ての謎を解明する鍵は菊岡だ。
明日奈はあまり表立って物を言わず、全ては菊岡に聞くことにした。
そして、今に至る。
明日奈は訳の分からない船内を案内されて、漸く菊岡に辿り着いたのだ。何時間ものヘリの旅の疲れなど吹き飛び、明日奈は凛とした声で菊岡に問い詰めた。
「キリトくんはどこ?」
「…キリトくんは、この船に搭載されているソウル・トランス・レーター…通称『STL』の中にいるよ」
「『STL』?」
聞いたこともない言葉に明日奈は困惑する。
「キリトくんはは何者かの襲撃で脳に回復不能なダメージを負った。現代医学で治すことは不可能だ」
それを聞いた途端、明日奈の中でプツンと何かが切れた。
「回復…不能?」
思わずよろめき、倒れそうになるところを新たにやって来た女性に支えられる。
「大丈夫?」
どこかで見たことある女性だったが、それよりもキリトに関することで明日奈は精一杯だった。
「まあ、『現代医学』での話だがね。だが、ここ…ラースでならキリトくんの治療は出来る。なあ、比嘉くん?」
先程から見たこともない機械に向かって何かをしている男…比嘉は答える。
「ええ、菊さん。キリトくんの安全は僕と菊さんが保証するから大丈夫っすよ!」
「キリトくんは脳にダメージを受けた…。だけど、ここに置いてあるSTLでキリトくんの魂をコピーし、SAOのデータを参考にした仮想世界へと飛ばし、彼のニューラルネットワークを回復させる…と言ったら、1番分かりやすいかな?」
明日奈は半分も理解していない。だが、菊岡の言葉に嘘はないと見え、漸く敵意を消すことが出来た。それでもまだ納得はしていない。
「じゃあ…何でキリトくんをここへ?それくらい私や直葉ちゃん、おばさまに教えてくれても…!」
「さっきも言っただろう?ここは特別な場所…本来一市民でしかない明日奈くんを入れるのにも、かなり苦労したんだよ?」
「ここは…何なの?」
菊岡は「漸く本題に入れる」と小さく呟き、椅子に腰かけた。
「ここは人の魂を作り出そうとしている場所さ…」
「人の魂…」
信じられないことを言う菊岡に対して、先程やって来た女性が答える。
「そのために私を呼んだの?」
「ええ。あの茅場彰彦と同じ研究室で同じ研究をしていた…神代凛子殿をね」
神代凛子という女性を明日奈は思わず2度見てしまう。
茅場と同じ研究室にいた事実に驚愕してしまったのだ。
「私たちは仮想世界の中で人の魂…つまり『究極の人工知能』を作り出し、それを戦争に応用しようとしているのさ」
更に驚愕のことを放った菊岡に明日奈の怒りが再燃する。
「それを…キリトくんは知りませんよね?」
菊岡は笑ったまま答えない。
「キリトくんが…そんなことを許すはずがない…!」
「そうよ!私も反対よ」
「君たちが何と言おうと、私は実現させる…。いや、もう実現出来る一歩手前まで来てる。完成のためには2人の力が必要なんだ。拒否するつもりは…ないよね?」
菊岡の恐れを知らない表情に明日奈は悔しくて拳を握る。
やはり、ただで連れて来てくれた訳ではなかったようだ。
そして菊岡は両腕を広げ、歓迎する様に言った。
「ようこそ、ラースへ。そして我らが『Artificial Labile Intelligent Cyberneted Existence』…通称、『アリシゼーション』計画へ…」
超大雑把な説明回でした。
次回も多分そんな感じになります。
あまり説明回って書いてて面白くなくて…申し訳ない。
アンケートは次回までとします。
火属性という観点だけで見たら、どれが1番強いと思う?
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リオレウス
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アグナコトル
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ディノバルド
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ウラガンキン