ソードアートオンライン Monster Hunter World   作:GZL

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第10話 アリスの正体

「アリシゼーション?」

 

「そうだ。人工高適応型知的自律存在、その頭文字を取って…『A•L•I•C•E』。そして…我らが求める条件を達した者の名前も…アリスという少女なんだ」

 

「その少女が…菊岡さん達が求める究極の人工知能…」

 

ここで明日奈は『アリス』という名の少女にどこか懐かしみを感じる。

そう思っていると、その心を見透かしたのか…菊岡は信じられないことを告げる

 

「因みにアリスは、キリトくんやアスナくんたちがかつて閉じ込められた世界…SAOにも居た」

 

「じゃ、じゃあアリスは…!」

 

「アンダーワールド内で作られた人工フラクトライトさ」

 

衝撃の展開に明日奈は着いていけなくなりそうだった。

だが、それだと疑問が残る。

 

「でも…その時のアリスはもう私たちとほぼ同い年で…」

 

「…2年前から、我々ラースは人工フラクトライトの作成に着手してきた。しかし、今みたいに上手く行き出したのは本当につい最近だ。その前は本当に大変で、アンダーワールドを作ることすらままならなかった。ライトキューブクラスターに保存することが限界だった。実験の一環として、1人の人工フラクトライトをSAOにダイブさせた。それが…」

 

「アリスだった…」

 

今に思えば、アリスは確かにどこかおかしかった。あまりに日本人離れした容姿とは裏腹に流暢な日本語を話し、攻略に関しては和人は見たことがあると言っていたが、明日奈は愚か殆どのプレイヤーが見たことなかった。

だが、それもSAOの途中にダイブされていたとしたら…辻褄は通らなくはない。

 

「その時にアリスを回収すれば良かったのではないですか?」

 

「運が悪いことに、SAO内にいたアリスは回収する前に君たちがクリアしてしまい、SAOのデータごと消えてしまった。だから…アンダーワールド内のアリスは…『君たちが知っているアリスだが、全くの別人』と言ったら正しいかな?」

 

つまり、もう明日奈たちが知るアリスは『死んだ』も同然だということだ。そのことに明日奈は軽いショックを受ける。

 

「しかもアンダーワールド内のアリスを回収しようと思ったら、今度は公理教会に持っていかれたせいで、保存出来なかった。つくづく運が悪いよ。だから、その回収方法模索のために神代博士と明日奈くんには来てもらった。だが、キリトくんが回収してくれれば、その心配はなくなるがね」

 

勝手なことを言う菊岡だが、今までの話を聞く限り和人を助けるという言葉に嘘偽りはないことが分かった明日奈は「ふう」と一息吐いた。

 

「…分かりました。菊岡さん達の事情は…。それで…キリトくんに会わせてください」

 

「勿論だ。彼女が案内してくれる」

 

視線の先には看護士がおり、手招きをしていた。明日奈は菊岡たちに一礼してから、急ぎ足で向かう。

その姿を見る神代凛子は手を伸ばし、何かを話そうと思ったが、言葉が出ず…そのまま明日奈を行かせてしまった。

 

 

 

 

明日奈はガラス越しに和人を1週間ぶりに見ることが出来た。

病院着で…頭部はSTLに繋がっており、見ることは出来なかったが…それでも彼の姿を見れただけで心が踊る明日奈。しかし、同時に不安も募る。菊岡たちが言っていた治療法は未だにはっきりしていない。それに和人は現在、アンダーワールドにいる。そこで何をしているのか…そして、何をさせられているかも知らないままだ。言ってしまえば、菊岡たちの操り人形なのかもしれない。

 

「キリトくん…」

 

ガラスに手を当て、じっと見詰める明日奈。

身体はピクリとも動かず、本当に生きているのかも不安になる。先程の菊岡の説明がなければ、また自分を見失っていたかもしれない。

するとそこへ、菊岡から紹介があった神代凛子がやって来た。

 

「彼が…茅場くんを倒した黒の剣士?」

 

「はい。桐ヶ谷和人って言います。私は今もキリトくんと呼んでいますが…」

 

「彼とあなた…いや、SAOプレイヤー全員に聞いておくべき話があるの」

 

神代凛子の目は明らかに揺らいでいた。何故か明日奈を直視出来ていない。

 

「SAOプレイヤーは知らないと思うけど、私は…茅場くんの協力者として逮捕された」

 

その事実に明日奈は驚愕する。

そして、彼女は自分の服のボタンを少し取り、胸元を見せる。そこにはペンダントと小さな傷跡があった。

 

「この傷は…茅場くんに仕込まれたマイクロ爆弾を取り出したものよ…」

 

「!」

 

「私は彼と付き合ってた…。彼がどうしてSAO事件を起こしたかなんて…全く分からない。だけど、これだけははっきりしているわ。彼は、私を…殺す気なんか決してなかった!」

 

神代凛子の訴えを明日奈は静かに聞き続ける。

 

「それに私はただ協力者になったわけじゃない。茅場くんを…殺そうと思って、あの長野の別荘へ向かった。だけど…彼は平然だった。痩せ細って、生気を感じられない彼の口から『困った人だなあ』と言われた時…私は分かった。茅場くんは…私が殺せないことを分かっていたのよ!私があの時…」

 

そこまで言ったところで嗚咽に耐えられなくなった凛子は目線を下げる。それと同時に明日奈は彼女の肩に手を置く。

 

「もう…もう良いです。あなたの想いは充分分かりました」

 

その時に見せた明日奈の表情は憎しみや怒りに囚われておらず、むしろどこか感謝しているような感じだった。

 

「凛子…さん。確かに団長…茅場晶彦は絶対に許されないことをしました。最初は…勿論恨んでいました。だけど、今は恨みとかそういったことは全く思っていません。逆に…感謝しています」

 

『感謝』と聞いた凛子は目を見開く。そんな言葉がSAO生還者(サバイバー)である彼女から聞かされるとは予想していなかったからだ。

 

「茅場晶彦のおかげで…私はキリトくんにも出会えたし…命の大切さを知ることも出来ました。この考えは私だけではないと思います。今も頑張っているキリトくんや直葉ちゃん、詩乃のんにエギルさんも…。だから…そんなに自分を責めないでください、凛子さん」

 

彼女の健やかに笑う姿に凛子は更に涙を溢れさせる。

これで少しだけ…凛子は今まで胸の内に秘めていた重荷が取れた気がする。

明日奈は再び和人を見る。

 

「キリトくん、絶対に戻ってくるよね?」

 

独り言を呟き、明日奈はその隣に設置してあるSTLに視線が動く。

彼女の中である考えが浮かぶ。

あのSTLを利用して、キリトのいるアンダーワールドにダイブすれば…と。しかし、アンダーワールドは現実世界よりも何百倍の速さで時間が過ぎている。今から入っても、彼に会えるのか…。

 

(でも…いつか…)

 

明日奈はゆっくりと和人に背を向けて、ゆっくりと自室に戻る。

その時、和人の手が僅かに動き、誰かに向けて手を差し伸ばしている様な風だった。




【補足】
『アンダーワールド』
今作のアンダーワールドは一から作り出した仮想世界ではなく、SAOのデータを基に新たな世界を作り出している。その証拠にキリトはSAOで見たモンスター、及びソードスキルを使うことが出来る。


無理矢理に等しいこじ付け回でした。
アンケート終了します。結果は想定通りでした。

火属性という観点だけで見たら、どれが1番強いと思う?

  • リオレウス
  • アグナコトル
  • ディノバルド
  • ウラガンキン
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