ソードアートオンライン Monster Hunter World   作:GZL

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最近は後書きが超長くなる、仕方ないけど。


第19話 四天剣の騎士たち

デュソルバードを倒したキリトとユージオは黙ったまま、ただひたすら上へ上へと階段を上っていた。先程のユージオの行動に、キリトはもう一度しっかりと釘を刺した。

 

「ユージオ、1つ言いたいことがある」

 

「なんだい…?」

 

すっかり消耗しきったユージオだったが、キリトは容赦しない。

 

「戦意のない相手に、剣を振るっちゃダメだ」

 

「アリスとイーディスを連れ去った人だとしても?」

 

「そうだ。俺たちは彼らを殺すために、最高司祭のところを目指しているわけじゃない。目的は…ユージオが一番分かっているだろ?」

 

「アリスと、イーディスを助ける…」

 

「そうだ」

 

ユージオは深呼吸して、自分を落ち着かせる。

 

「それに、整合騎士を殺してしまったら、侵攻に来る暗黒界の軍勢と立ち向かう戦力を削ってしまう。だから…ユージオ、気持ちは分かる。目的を忘れるな」

 

「…ああ、分かった」

 

かなり厳しい言葉を使ったキリトだったが、それは心配した故の発言だった。

もし、あそこでユージオを止められなければ、彼は人殺しの枷を背負ってしまう。それを避けれて、キリトは内心ほっとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

どれくらい階段を上がったのだろうか…。

2人とも息は絶え絶えになっていたが、休んでもいられなかった。

早く最高司祭を倒し、この狂った世界を正す、そして、アリスとイーでぃすを助ける。

それだけが2人を動かしていた。

しかし、そんなキリトとユージオの前に大きな扉が立ち塞がる。協力して、ゆっくりと開けると、5人の騎士が…回廊の奥に立っていた。それを見た2人はすぐに剣を抜く。

そして、中央にいる青紫色の鎧と兜を纏う騎士が口を開いた。

 

「ここまで来た…ということは、3階の階段で警護していたデュソルバード・シンセシス・セブンは打ち倒されたのか…」

 

「だとしたら、どうするんだ?」

 

「デュソルバード殿の命はお前ら咎人を『生かして』捕縛だった。だが、ここ50階…霊光の大回廊から先は生かす必要はない。我々の命はただ1つ…。貴様ら咎人を…」

 

青紫色の騎士も紺青色の剣を抜き、ゆっくりと上げる。そして、すぐに剣を振り下ろし、それと同時に叫んだ。

 

「完全に抹殺することだ!行け!我が弟子たちよ!」

 

すると、同じ兜と鎧を纏った4人の騎士がキリトたちに向かってくる。

キリトは彼らが到達するまでにユージオに耳打ちする。

 

「ユージオ、お前はこいつら4人をどうにかして相手してくれ…。それと同時に合図があったら、カーディナルから教わった神聖術の術式をすぐに唱えるんだ。俺がその間に、あの紫色の騎士を倒す」

 

「でも…1人であの騎士を相手になんて…無茶すぎる!」

 

「一番強いあいつを倒せば、残りの4人も俺たちの強さを理解するはずだ」

 

「数で押されたら?」

 

ユージオの的確な質問にキリトは一瞬、口が止まってしまったが…すぐに笑ってユージオの肩を叩く。

 

「大丈夫さ。俺たちなら負けない」

 

そんな話をしている間にも4人の騎士が迫って来ている。

 

「ああ、キリトを信じる!」

 

キリトも頷き、剣を構え、彼らに叫んだ。

 

「剣士キリト…参る‼」

 

キリトは無鉄砲にも真正面から突っ込んで行く。

最初の1人目の斬撃を躱し、2人目、3人目と避け、柱の壁に剣を突き刺し、そこからあの青紫色の騎士へと突進SSソニックリープを発動させ、飛んで行く。しかし、その間に4人目の騎士が入り込み、一部分だけ欠けた車輪のような巨槌がキリトを襲った。吹雪がその巨槌の周囲を覆い、まるで雪塊のようなものに変わり、キリトの攻撃を防いだ。

 

「⁈」

 

「ファナティオ様に手を触れるなど…恐れ多いぞ!罪人!」

 

そこから力勝負になったが、巨槌の攻撃力の方が強くキリトは元来た方向へと飛ばされた。柱に背中から激突し、そのまま地面へと倒れる。

 

「ぐはっ…」

 

「キリト!」

 

ユージオは思わず、キリトの元へと駆けこもうとしたのだが、すぐ左側に迫っていた騎士の電撃が目に入る。

 

「!」

 

「仲間の安否を確認している暇があると思うな!」

 

濃緑色の刀身が定期的に点滅する剣に薄い緑色の電撃が流れ、それがユージオに襲いかかる。ユージオは咄嗟に剣でその攻撃を防御しようとしたが、剣による攻撃は防げても、電撃を完全に防ぐことが出来ず、身体の一部が痺れてしまう。

 

「くっ⁈あ、あぁ…!」

 

「ほう…我が神器『反電剣』の一撃を受けてもその程度とは…。流石、デュソルバード殿を伏せただけはある」

 

「ぐっ…せやああ!」

 

ユージオは痺れる腕で2連撃SSバーチカル・アークをその騎士に放った。

ところが今度は別の騎士がその2連撃を完全に防ぎ、腹に剣を軽く突き刺し…。

 

「受けてみよ…《泡水》!」

 

すると、刺さった剣先から高圧の水がユージオの身体を突き抜けたのだ。

 

「あがっ…!」

 

凄まじい痛みがユージオを襲う。高圧の水はユージオの右半分を抉ると同時に、壁を簡単に切り裂くほどの威力だった。それを見たファナティオはその騎士に注意する。

 

「あまり泡狐剣(ほうこけん)の力を多用するな、ジーロ。カセドラルをあまり傷つけてはならぬ」

 

「分かりました、ファナティオ様」

 

倒れたユージオは剣を取り、立ち上がろうとするが、足に更なる痛みが走り、動けなくなる。

ゆっくりと視線を向けると、『反電剣』が足に突き刺さっており、僅かな電流を流してユージオを拘束していた。

ユージオの状況を見たキリトは立ち上がり、ファナティオに叫ぶ。

 

「騎士ファナティオ!俺と勝負し…」

 

キリトが言い切らないうちに、今度は炎を纏った大剣が目前に迫った。

 

「罪人ごときがファナティオ様がお前と相手にすると思うな!受けろ、我が神器『斬炎剣』の一撃!」

 

炎の大剣はキリトの想定以上の速度で迫ってきた。同じく先程の巨槌と同じように剣で受け止めるが、凄まじい剣圧にキリトの肋骨が1本折れる。

 

「ぐぅぅ!」

 

キリトは大剣を弾き返し、腹を抑えながら立ち上がる。神聖術で腹を回復しつつ、巨槌の騎士と大剣の騎士を見る。その回復を隙を与えるほど、彼らも甘くはない。殺す気で来ている2人はそれぞれの神器をキリトに向けて振り下ろす。

それを寸でのところで躱し、キリトは巨槌を上から更に蹴り下ろした。すると、床にめり込んだ巨槌はちっとも動かなくなる。そこにキリトは単発SSバーチカルを叩き、ようやく1人無力化した。

それを見た大剣の騎士は新たに炎を纏わせる。

 

「その細い剣ごとき、打ち砕いてやる!」

 

そう叫ぶと、その炎は更に勢いを増す。先程のデュソルバードよりかは範囲も狭く、熱量も低い。それでもキリトたちを殺すなら、十分な威力だ。

キリトもその一撃に対抗するために、自分自身の武装完全支配術を発動させようと思ったその時…。

 

「ダキラ、待て…」

 

ファナティオがダキラ…大剣を持つ騎士を止めた。

 

「その攻撃は罪人だけでなく、ここにいる者全てを焼き尽くしかねない。ダキラも…死ぬ気か?」

 

「い、いえ…。私は罪人を屠るために…!」

 

「下がれ、ダキラ。ここから先は私がやる。ジーロ、ジェイス、ホーブレン、お前たちはその亜麻色の少年をそこで捕縛しておけ。この黒髪の咎人を屠ってから、そいつの息の根も止める」

 

ファナティオはゆっくりとキリトの方へ眼を向ける。

幾多の戦いを潜り抜けてきたファナティオの眼力は凄まじいものだった。これだけでキリトは物怖じしかねなかったが、ユージオの命も懸かっているため退けない。

 

「ようやく…大将のお出ましか…」

 

キリトはもう一度さっきと同じソードスキル、ソニックリープを発動させるために構えた。緑色に輝くキリトの剣に対して、ファナティオの剣は透明に近い白色で輝き始める。

 

「システム・コール…。エンハンス・アーマメント!」

 

ファナティオの詠唱が終わると同時に、キリトは突撃する。




【補足1】
神器『巨獣槌』
整合騎士:ジェイス・シンセシス・トゥエニスリーが使用する。
一部分だけ欠けた車輪のような形状のハンマーで、一振りさせるだけで、大地を揺るがす力を持つ。果ての山脈に棲息していた巨獣の記憶が埋め込まれている。属性は氷雪。武器に氷や雪を纏わせ、攻撃力を増大させる。
武装完全支配術《不動》。使用した場合、巨槌の攻撃力が倍増する。
記憶解放術《震雪》。巨槌に纏わせる雪や氷の硬度が格段に増す。
元ネタは巨獣ガムート。ガムート武器のイメージは私の中ではハンマーなので、登場させました。

【補足2】
神器『反電剣』
整合騎士:ホーブレン・シンセシス・トゥエニシックスが使用する。
メインカラーがライトグリーンの太刀。かつて央都に棲息していた雷を操る飛竜から作られた神器。属性は電撃。
武装完全支配術《流電》。電撃を流すことに特化させる。近接戦闘でも扱え、相手を麻痺させることも出来る。
記憶解放術《過電》。上記の《流電》の強化状態。しかし、その膨大な電気量故に、使用すれば腕が焼けて落ちかねない。
元ネタは電竜ライゼクス。神器の名前の作成がかなり大変でした。『反』はライゼクスの通り名『電の反逆者』から取りました。没案として、『雷電剣』や『電剣』など。

【補足3】
神器『泡狐剣』
整合騎士:ジーロ・シンセシス・トゥエニフォーが使用する。
人界の遥か東の渓流に棲息する泡を操る竜の記憶が入った日本刀。属性は水。
武装完全支配術《泡水(ほうすい)》。剣先から高圧の水流を発射できる。その威力は硬い鉱石でも簡単に貫通することが出来る。
記憶解放術《泡舞(ほうぶ)》。身体に泡を纏うことが可能になり、相手の攻撃を受け流すことが出来るようになる。これは防御に特化した性能であり、デメリットがない。
元ネタは泡狐竜タマミツネ。泡って何に使えるだろう?って、結構考えました…。

【補足4】
神器『斬炎剣(ざんえんけん)
整合騎士:ダキラ・シンセシス・トゥエニツーが使用する。
人界の南方に棲息していた巨大な剣尾を持つ獣竜の記憶が入った大剣。属性は炎。
武装完全支配術《赤刃(しゃくじん)》。大剣を赤熱化させ、殺傷力を増した状態。
記憶解放術《劫刃(ごうじん)》。大剣の一振りで、広範囲を焼き尽くす大技。しかし、あまりの攻撃力故に身体が持たない。
元ネタは斬竜ディノバルド。あまり詳細なことは言えませんが、この武器の設定作りは『とある理由』で、大変でした。

【補足5】
『四天剣』
原作で言う『四旋剣』です。
今までの補足からも分かるように、彼らの武器はMHXの四天王をイメージしたものを持っている。なので、『旋』の部分を『天』に変更しました。


リネルとフィゼルの登場は断念しました。
その代わりにアニメではかなり出番が少なかった四旋剣を深く登場させました。
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