ソードアートオンライン Monster Hunter World 作:GZL
それに夜投稿は久々。
キリトの突撃を見ているファナティオは剣をキリトに向ける。そして、剣先から、ジーロが放った電撃と同じようなものが発射される。空中に飛び上がったキリトの腹目掛けて飛んでくるものをキリトは避けようとしたが、それは腹を突き抜ける。
「!ぐぅぅ!」
焼け爛れるような音が腹から聞こえながらも、キリトは突進SSソニックリープを放つ。
頭部に目掛けて放ったはずだが、それはするりと躱されてしまう。その代わりに鳥のイメージが入った兜が一部欠けただけだった。
そこで立ち上がろうとしたが、腹に空いた小さな穴の痛みに、キリトは即座に動けなかった。
ファナティオはそこを狙い撃ちする。新たな光がキリトに飛んでくる。
「くっ…!」
キリトは側面へと回避して、ファナティオに近付こうと周囲を走り始めるが、その隙を潰すかのように、連続で光線が飛んでくる。それを剣で受け止めることが出来ればいいのだが、あれほどの速度と高熱では剣自体が溶けかねないので、キリトは避けていくしかなかった。
しかし、4発目に飛んできた光線が左膝を貫く。
「ッ‼︎」
肉を焼かれる激痛にキリトは倒れてしまう。
その姿を見て、ユージオは武装完全支配術を唱えようとしたが、キリトは顔を振る。『まだするな』という合図だった。
ファナティオは少しキリトに近付き、話しかける。
「咎人よ…。この剣は、何から作られたと思う?」
「さあな…。考えている暇もなかったもんでね…」
「この剣は、人界の南の高地を根城としていたある鳥竜から作られたものだ。その竜はソルスの力を吸収し、自らの攻撃として転用出来た。最高司祭猊下は、その竜を仕留め、数百枚もの羽根からこの剣を生み出した。その一閃は、万物を溶かす高度を誇る剣となった…」
(なるほどな…。要するに太陽の力を受け継いだ剣…って訳か…)
「名を『
ここまで言うと、ファナティオはキリトに再び剣を向けた。剣先からは光が漏れる。
「話はここまでだ。若く愚かな咎人よ…」
そして躊躇なく、光線が発射される。
キリトは一か八かの賭けで、その光線を跳ね返そうと自らの剣を振るった。ファナティオは「愚かな足掻きを…」と呟くが、キリトは必死だ。これで生き死にが決まる。
「やってみなきゃ……」
キリトの黒剣からも、黒い粒子が溢れる。
「分からねえだろがァッ‼︎」
光線と剣がぶつかった際の音はなかった。
だがキリトの意志とは関係なく、黒い粒子が光線を包み込み、勢いを減らす。そのまま無我夢中で剣を更に振ると、光線は分散し、ファナティオの方へと飛んで行った。
今までにない状況にファナティオは対処に少し遅れた。
ほとんどの光線はファナティオの横へと消えたが、1発だけ…ファナティオの兜を掠め、吹き飛ばした。
途端にキリトとユージオは思わず息を飲んだ。
兜の下は優美な女性だったからだ。女性だったことに驚き、固まる2人だが、ファナティオは沸々と憤りを感じていた。
彼らの目が…あの時と、全く同じだったからだ。
「貴様らも…アイツと…アイツと同じ目をするかッ‼︎」
何故怒りに震えているのか分からず、呆然とするキリトにファナティオが突撃してきた。今までの遠距離攻撃から一転、近距離攻撃を受けるキリトだが、貫かれた足のせいで踏ん張りが上手く効かない。徐々に刀身がキリトの方へと近付いてくる。
「ぐっ……」
「私が“女"だからといって甘く見るなッ‼︎私だって…私もッ‼︎整合騎士だッ‼︎」
ファナティオが憤慨している理由が分かったキリトは、思わず溜め息を吐いた。そして、彼の口から出た言葉にファナティオの怒りが頂点へ達する。
「くだらない…」
「何だとっ⁈」
「くだらないって言ってるんだッ‼︎」
キリトは押されかけていたファナティオの剣を徐々に元の鍔迫り合いにまで戻した。ファナティオはキリトの剣圧に少し動揺を見せている。
「今までの攻撃方法だって、自分の剣撃が“女"だと悟られないための方法じゃないのか?兜で顔を隠していたのも、攻撃も…結局は自分から逃げていただけだ‼︎あんたが“女“であることを何より意識してるのは…他ならぬあんた自身だろ?ファナティオお嬢様!」
「ッ、キ、貴様ァッ‼︎」
ファナティオの剣圧が強まった。キリトは先に真実だけを言っておく。
「因みに…っ、さっき驚いたのは兜を取った後のあんたの剣撃が信じられないくらい弱くなったからだ!それに俺はあんたが女だからって、手を抜くことはしないぜ?」
「何⁈」
キリトは自嘲気味に明日奈たちのことを思い出し、感慨に耽るような言葉を吐いた。
「女剣士や女弓士には…散々に負けてるから…なッ‼︎」
そこでキリトはとうとうファナティオの剣を弾いた。
キリトの凄まじい剣圧にファナティオは後退するばかり。更にキリトは彼女を挑発する。
「どうした‼︎最強と言われる整合騎士は…この程度なのかッ⁈」
「舐めるな…咎人ッ‼︎」
キリトの挑発にファナティオが乗る。剣撃が少しだけ強まり、それで漸くキリトと同等のものになった。剣をぶつけ合う2人の表情は若干笑っており、心から戦闘を楽しんでいるようであった。
ある程度の連続剣技を終えたファナティオは息を荒くしながら、一旦後退する。
「…なるほどな、咎人…いや、剣士キリトよ。お前は今まで戦ってきた者とは全く違う。忌むべきこの顔でも手を抜かず、しっかりとした信念を持っている。そんなお前が何故、教会に逆らう?」
ファナティオの問いにキリトは毅然と応える。
「忌むべき…ね。そう思っているなら何故、その顔は綺麗に整えられている?誰のために、化粧をしているんだ?」
それを問われて、ファナティオは口を噛む。
「俺は…あんたら整合騎士が自由気ままに生きていける世界を作ってやりたいんだ。そのためには今ある教会の根底をひっくり返さなきゃいけない。そのために俺は戦ってるんだ」
キリトの信念を見たファナティオだったが、彼女の心がキリトたちに向くことはない。
「…だとしても、私は整合騎士だ。禁忌目録に違反したお前たちを野放しには出来ない」
ファナティオは剣を天に向ける。
「たとえ、騎士としての誇りを捨ててもな‼︎照雷剣よ、今こそ枷から放たれよ…!リリース・リコレクション‼︎」
彼女の記憶解放術によって、剣先からは眩しいばかりの光と光線が何百発と発射される。それはこの回廊の柱、床、天井と何もかもを破壊していく。
キリトも即座に距離を取ったが、無数の光がキリトの腹や腕、足を貫いていた。
「ギッ…くぅぅ…!」
凄まじい痛みがキリトを襲うが、ファナティオからは視線を逸らしていなかった。そこで驚きの光景が目に入る。
彼女はなんと自らの身体さえも光線で貫かれ、四天剣の騎士たちにも光線が当たりかねない状況だったのだ。昔からキリトはこういった自らを…仲間を巻き添えにする奴が大嫌いだった。
貫かれた身体の痛みなど忘れて、キリトは叫んだ。
「このっ……バカヤロウがァーッ‼︎‼︎」
ファナティオの剣を掴み、地面に向ける。
身体を光線で今も貫かれつつ、急襲をかけてきたキリトにファナティオは動揺を隠せない。
だが、ユージオも、黙って見ていることが出来なかった。
(今だ…!今しかない‼︎)
ユージオは剣を床に突き刺す。
それを見たホーブレンは反応し、すぐさま反電剣を抜いた。
「そうはさせ…」
「エンハンスッ‼︎アーマメントッ‼︎」
初めて使用する武装完全支配術。
冰龍の剣が応えてくれるか…僅かな不安はあったが、剣はユージオの想いに通じてくれた。発動した途端、凄まじい冷気が辺りを包み込んだ。ユージオを中心に瞬く間に氷が騎士たちを襲う。
既に四天剣の騎士は氷の中に閉じ込められ、動きが取れてない。ファナティオも背後から迫り来る氷を避けるため空中へと逃げたが、それを察していたのか、キリトはファナティオの肩を蹴り、地面へと叩き落とす。落ちたと同時に氷がファナティオを取り込もうとする。
キリトは傷付いてない左足だけで、ユージオの元へと戻る。しかし、明らかに攻撃を受け過ぎた身体は限界で、背中から倒れただけで勢いよく吐血してしまう。
「がはっ…」
「キリト‼︎待ってて、すぐに治癒術を…」
「まだだッ‼︎」
キリトの叫びに思わずユージオまでビクつく。
「あいつは…こんな程度じゃ…倒れない‼︎」
キリトの言う通りで、ファナティオは氷が身体に纏わりついた状態でも、ゆっくりとキリトたちに剣先を向ける。その剣先に眩い光を溜めながら…。
「くそっ‼︎止まれ‼︎止まれよッ‼︎」
ユージオはありったけの氷をファナティオに向かわせるが、照雷剣の放つ高温によって、すぐに溶けてしまう。止める手段がないように思えた時、キリトがユージオの前に立った。
「キリト…」
彼の持つ剣は仄かに紫色の輝きを持っていた。
「ユージオ…憎しみじゃ、あいつには勝てない。ユージオは整合騎士が憎いからここまで来たんじゃないんだろ?アリスとイーディスを助けるために来たんだろ?彼女らを愛してるから、ここまで来たんだろ?その気持ちは…あいつの人界を守りたい気持ちと同等だ。俺だって…この世界の人たちを守るために、立っているんだ。だから、こんなところで負けるわけにはいかない!そうだろ?ユージオ!」
キリトの見せた笑顔に、自我を失いかけていたユージオは自らを取り戻す。
そんな会話をしている間にも、ファナティオの剣先の輝きが最高潮に達する。そして…彼女の小さな呟きと同時に、巨大な光線が発射された。
「
迫り来る最大級の攻撃にキリトも1つ目の切り札を見せる。
キリトも剣先をファナティオに向け、詠唱した。
「エンハンス・アーマメント!」
キリトの黒剣は詠唱したと同時に刀身が無くなり、凄まじい速度で光線とぶつかった。その様相は正に巨木の根のようだった。
ファナティオの光を包み込むか、キリトの闇を貫くか…その対決のように思えた。徐々にキリトの技が押され始め、ファナティオは勝ち誇った笑みを『一瞬』浮かべた。
しかし、その一瞬の後、キリトの剣から更に別のものが姿を現した。
それは…2つの巨大な翼脚。
ファナティオの光を掴んだと思うと、一部分を奪い取り、キリトの剣の中へと取り込んだのだ。キリトたちはその事実に気付いていない。だが、自らの剣の威力が唐突に上がり、キリトは叫んで押し切ろうとする。
「くっ…はああああああああああああァッ‼︎‼︎」
闇色の根は遂に光を飲み込み、ファナティオにも襲いかかる。
ファナティオは自らの運命が分かり、小さく何かを呟いた。
誰にも聞こえることはなく、ファナティオはキリトの攻撃をモロに受け、天井のステンドグラスを粉々にしつつ、敗れ去った。
【補足1】
神器『
人界の高地にて棲んでいた巨大猛禽類から作られた神器。その鳥は翼で太陽(ソルス)の力を吸収でき、それを自らの力へと転用出来た。その能力を受け継いだ神器である。
武装完全支配術『照雷』。剣先から光線を発射出来るようになる。その温度はカセドラルの壁や床を意図も簡単に溶かすレベルである。
記憶解放術『
元ネタはフロンティア産モンスター、トリドクレス。本作は
【補足2】
『冰龍の剣』の武装完全支配術『絶凍』
これはどんな相手でもほぼ凍らせることが可能な術である。ただし、極度に高い高温やあまりに強い相手には効かない場合がある。しかし、その他にも鎧や氷を操るといった、応用技にも転用できる。
『絶凍』の元ネタはフロンティア産モンスター、第2区ドゥレムディラが使う状態異常攻撃の名です。本作ではこいつはあまりに強すぎるので、登場させるつもりはないので、能力だけここで入れました。
【補足3】
『キリトの黒剣の武装完全支配術』
技名は今も伏せます。(決して考え中とかではない‼︎)
刀身がなくなり、無数の根が襲う攻撃である。非常に広範囲かつ強力な技だが、技の威力が大き過ぎるが故に身体を動かすことはほぼ不可能である。
今回の話の中では、根の間から黒い翼脚が出ましたが、これは武装完全支配術とは全く関係のないものです。それが何なのかは、皆さん、ご想像を膨らませてください。
1ヶ月以上空けてしまい、申し訳ないです!
この1ヶ月はマジで忙しくて、書いてる暇はありませんでした!
実は今もそんなにないのですが、何卒温かい目で見守ってくれると有難いです。