ソードアートオンライン Monster Hunter World 作:GZL
マジでこういう会話パートは苦手なので…。
カーディナルが出てきたことに、キリトは驚きを隠せなかった。
あの短剣でアドミニストレータを刺し、それで動きを完全に封じてから出てくると思っていたからだ。
そして、カーディナルは倒れて動けない2人に杖でトン…と叩くと、傷が消え、天命が全快した。アリスもそこで目を覚まし、キリトに問う。
「キリト…この方は…」
「彼女はカーディナル、200年前にアドミニストレータと戦って大図書館にいた、もう1人の最高司祭と言うべきかな…。どっちにしろ、味方だ」
アリスは「そうなのですか…」と呆然気味に呟くだけだった。
それもそうだろう。あの竜機兵を一撃で動きを抑え、更に術式を唱えることなく傷を癒したのだ。只者でないことだけは想像出来るだろうが、まさかもう1人の最高司祭とは思わないだろう。
カーディナルはゆっくりとアドミニストレータの前に立つ。
「久しぶりじゃのう…クィネラ…いや、アドミニストレータ!」
「彼らを痛ぶっていれば、必ず出てくると踏んでたわ。おチビちゃん」
「じゃが、4人を相手にするのか?さっきの造兵は麻痺で動けなくした」
アドミニストレータが竜機兵を見ると、確かに固まったまま動かないようだが…。
「ふん、これしき…」
彼女が手を挙げると、竜機兵の目が輝きを取り戻し、彼らの前に立ち塞がった。
「さっきも言ったでしょ?あらゆる竜たちの素材が使われてると…。麻痺の耐性もある程度は身につけてるわ」
「…しかし、その造兵が暗黒界からの侵攻を防ぐ人形か?そこまで複雑な術式を組み込むには膨大な時間と素材がいるじゃろう?量産出来ないであろう?」
「確かに…この世界にいる竜はほとんど狩らせてしまい、素材もそこまで余っていない…。だけど…ここまで防御耐性が完璧でなくてもいいのよ!だって…殺戮出来る性能さえ在ればいいのだから‼︎」
キリトたちは彼女が何を言っているのか全く分からなかった。
しかし、カーディナルはアドミニストレータの考えを読み取ったのか…見る見るうちに顔を蒼白にしていく。
「まさか…お主…!」
「ええそうよ?今目の前にいるタイプの竜機兵は正に竜の素材を使った殺戮兵器…、だけど量産型は人々の魂を使った竜機兵へと変えるのよ‼︎」
アドミニストレータの衝撃の方法に全員言葉を失う。
最初から分かっていたことであったが、やはり彼女に人界を守るつもりなど…毛頭無かったのだろう。
そして…それを聞いたキリトはどうしてユージオが竜機兵の一部になったのか、その謎が解けた。
「まさか…ユージオが求めるアリスとイーディスの想いを利用したのか⁈」
「その通りよ、竜機兵は自らの欲求を満たすために戦い続ける。腕が無くなろうが、視界が消えようが…いつまでもね…。でも、その欲求が叶うことは決してない!なんて素晴らしいのかしら!欲望の力って…」
空中で踊るように笑い続けるアドミニストレータにカーディナルは怒りを通り越して、殺意をも覚える。
「クィネラ…お主、もう人間ではないのだな…」
「…人間の本分は欲望!あなただって、私を排除『したい』という欲望で動いているじゃない?」
「お主の邪な欲望と一緒にするな!わしはここでお主を止める!それが…管理者としての責務じゃ」
それを聞いたアドミニストレータは、冷め切った声でこう言った。
「いいのかしら?あなたが本気を出せば、確かにこの竜機兵は粉々になるでしょうけど…それではユージオの想いも砕け散り、元に戻っても抜け殻のようになってしまうけど?」
それを聞いたカーディナルは今までの表情から変わる。
「あなたは元々『私だけ』を倒すために生まれた存在、私以外を殺すことは違反でしょ?ねえ、おチビちゃん」
思わぬ弱点に気付かされたカーディナルは「ふぅ」と息を吐いた。
構えていた杖を捨て、単身アドミニストレータの方面へと歩みを進める。
「お、おい…。カーディナル!」
「キリト…やはり、200年間、わしは何も分かっていなかったようじゃ。アドミニストレータに勝てないことを…」
「それだけじゃないだろ!言ったじゃないか‼︎人の…人の暖かさが分かったって‼︎」
キリトがどんな言葉を紡いでも、カーディナルは止まらない。
もう…彼女の意志は決まりきっていた。
止まらないカーディナルを止めようとキリトが足を1歩動かした時、ガキィンと床を引っ掻きながら竜機兵が唸り声を上げた。その不気味な行動にキリトたちはすぐに身体を硬直させてしまう。
「すまんな、キリト」
カーディナルがアドミニストレータの前に立つ。
それを確認した彼女は自らの剣を出現させる。
白銀色の剣だが、その周囲には暗く…禍々しいオーラと共に黒雷が渦巻いていた。
アドミニストレータが軽く剣を振るうと、1発の黒雷がカーディナルの華奢な腹を貫いた。思わず後ろに倒れそうになるが、カーディナルは余裕綽々の笑みを浮かべて、煽るように口を開いた。
「その程度の攻撃で…わしを殺せるとで……」
まだ話してる最中であるのに関わらず、もう1発の黒雷がカーディナルの腕を抉った。
「あがっ…!」
今度こそ腕を抑えながらも倒れるカーディナルに悪魔の形相のアドミニストレータは告げる。
「大丈夫よ、そんな簡単に殺さない…。だって…私は、この時を…200年も待っていたんだからねえぇ‼︎‼︎」
それからは何度も黒雷を的確にカーディナルに向けて振り落とす。
まるで人形のようにカーディナルは地面を転がり込み吹き飛び…身体を焼かれ、抉られていく。その光景をキリトたちは、歯を噛み締め、黙って見ていることしか出来なかった。
「さて…そろそろ飽きてきたことだし、止めを刺しましょうか…」
アドミニストレータが剣を天に向けて振り上げると、先程とは比にならない黒雷が龍の形になって出現する。
「さよなら、リセリス…。そして…もう1人の私ッ‼︎」
黒雷で形成された龍は一直線にカーディナルの身体を貫いた。
それと同時に爆散し、カーディナルのほぼ胴体と顔だけがキリトたちの前に転がった。キリトは思わず彼女を抱え、声を上げた。
「おい…どうしてだよ⁈」
「すまぬな…やはり、わしには……彼女を倒すことは出来なかった……。だが、これでお主らは救われる……。この世界のことは……任せたぞ…」
アリスはカーディナルのボロボロの身体に触れ、涙を流しながらも言葉を吐き出す。
「はい!与えられたこの命、あなたのために使いますっ…!」
それを聞いているアドミニストレータ、突然にこんなことを言い出す。
「あらあら?生き残れるようなこと言ってるけど…本当にそうだと思ってるの?」
その発言に4人は思わずアドミニストレータを凝視した。
「秘密を知ったあなたたちを生かして帰すわけないでしょう?あなたたちは…そこの小娘と同じように死んでもらうわ」
「クィネラ…ッ‼︎貴様という奴は…!ゴホッ…」
カーディナルは更に何か言おうとしたが、吐血してしまい、口元が動かなくなる。
「カーディナル…!」
「わしも…これまでのようじゃ…。キリトよ、覚えておけ…。お主もいずれ…どんなに足掻いても『負けざるを得ない』ことが起きる。だが…それでもいいのじゃ…。負けても…立ち上がれば…いずれは……」
そこまで言って、カーディナルの身体は消えていった。
一瞬の悲しみを飲み込み、アリスはキリトに「イーディス殿を頼む」とだけ言うと、アドミニストレータの前に立ち、剣を抜いた。
「アリスちゃん…その程度の剣で私や竜機兵を止められるとでも?」
「…やってみないと分からないでしょう」
途端に彼女の『金塵剣』が猛烈な光と熱を発生させる。
「あなたが与えてくれたこの剣には…もう1つの属性がある。それは、『灰燼』。万物を焼き尽くす神の如き光!」
それを聞いたイーディスは声を上げた。
「やめなさいッ‼︎それを使用すればあなたは…‼︎」
「イーディス殿…あの化け物を…あの悪魔を…ここで倒さねば、人界はすぐに滅びます。私のような借り物の命など…消えて何も問題ありませんッ‼︎」
アリスの意図が読めたアドミニストレータは顔色を変える。
どれほどの威力かも分からない技が飛んでくるのだ。
怒りの形相でアドミニストレータは竜機兵をアリスに送る。
「騎士風情が…調子に乗るんじゃないッ‼︎」
アドミニストレータの指示で竜機兵の腕が飛んでくるが、それはアリスに届く前に一瞬で溶ける。あまりの高温に数多の神器を集めた竜機兵でも耐えられないのだ。
「もう1人の最高司祭様…カーディナル様、見ていてください。これが私の、あなたの願いを叶える最後の一撃とします‼︎」
「やめろ‼︎アリスッ‼︎」
「アリス‼︎」
「行くぞッ‼︎アドミニストレータ‼︎」
アリスが剣を地面に突き刺すと同時に、キリトたちがいるところ以外が急速に輝いていく。そして…アリスの一言で、始まる。
「リリース・リコレクションッ‼︎‼︎烈光‼︎」
目を開けられない程の眩さを放ちながら、キリトたち以外のエリアは…光に飲まれる。それと同時にイーディスは叫ぶのだった。
「アリスーーーーーッ‼︎‼︎」
補足
『金塵剣の記憶解放術【
金塵剣の刀身を全て金塵に変え、それらを超振動させることで凄まじい高温へと発展させ、敵を焼き尽くす技。武装完全支配術でそのエリアを限定することで味方を守ることも可能である。ただ、その使用者は死に、使用後に金塵剣も砕け散るので、1度限りの技でもある。
元ネタはフロンティア産モンスターのガルバダオラが使用するニフラム。