読んでくださっている方には長らくお待たせしました。
今話は作者的には最も力が入った話になります。
戦闘シーンを何度も読み返しましたが、作者の技量的にはこれが限界でした。
それでは、どうぞ。
雲の隙間を縫うように飛び降りてきた存在に、観客席では悲鳴と怒声が飛び交っていた。
「どうして
「警備隊は何をしてたのよ!」
「
世界に点在する
「このままでは生徒に被害が出ます。それまでに避難を済ませましょう。それで良いですか、ライグリィ教官」
「その前に観客席に障壁を張る必要がある。お前以外の3年生が出払っている今、シャリスだけが頼りだ。出来るな?」
「了解しました」
「では、
ライグリィと
「少しよろしいですか、教官殿」
「ああ。君は・・・リーズシャルテの言っていた『もう1人の男』か?」
「これは申し遅れました。本日付けで学園の桐生整備士になりました、ガルディアと申します。私にも何かお手伝いできることが無いかと思い、志願させていただきました」
「了解した。では、避難の遅れているブロックの避難誘導を補助してくれ。そのブロック内に留学生のクルルシファーがいる。万が一があってはならないので、早急に保護を願いたい」
「分かりました」
一言だけで返すと、ガルディアは観客席裏の通路へ向かい、走り出した。
ライグリィが対処を始めている頃、上空ではルクスが
『僕の《ワイバーン》には
そう言い残し、
(あいつは、一体・・・。)
汎用機竜1機とガーゴイル種の
人間と同等の知能を持ち、個体によっては特殊な能力を使ったりすることもあるからだ。
そのため一流の
ただの汎用機竜が、防戦のみとはいえどうして戦えているのか。
対して私はというと、暴走の直後のせいで簡単な操作すらままならない。
しかし、この時間で奴が考えた作戦は理解した。
成功したら奴は私以上の
だから。
(頑張れよ、「ルクス・アーカディア』)
(そろそろこちらの手の内は読んだか?)
ルクスは自分に
大振りな動作はせず、最小限の動きで防御を続けているため、苛立ってきたのかガーゴイルに隙が見え始めている。
「・・・ハッ!」
表面には小さな傷しか付かなかったものの、ガーゴイルの表情には動揺が見て取れた。
ルクスが少ないもののダメージを与えられることは、ガーゴイルに危機感を覚えさせるのに十分だったらしい。
『ルクス・アーカディア、教師部隊がそちらに向かっている!後5分だけ耐えてくれ!』
ライグリィから入る連絡に意識を向けた瞬間、ガーゴイルはルクスに背を向けて急降下を始めた。
「ギェェェァァアアア!」
(間違いない、観客席を狙っている!)
急降下をしたのち、ガーゴイルは肩を紫色に光らせる。
観客席にはまだ生徒が残っており、障壁が張り終わっていない部分もあるため、光弾が射出されれば生徒に被害が出る可能性が高い。
ルクスも急降下し、ガーゴイルに一撃を入れようと、大きく剣を振りかぶる。
「ギェアッ」
突如、ガーゴイルが振り返った。
「・・・!?」
ルクスは今、ガーゴイルに追撃するため、剣を振り下ろしている。
考えを分かっていたかのように、ルクスの全力を込めた剣をするりと避けたガーゴイルを目前に、
「ギェァァアアア!」
ルクスは大きな隙を晒すことになる。
当然、高い知能を持つガーゴイルがこの隙を見逃す訳が無く、ルクスに向かって爪を振り下ろした。
「ぐあっ!」
機竜、ルクスの両方へのダメージが大きかったらしく、《ワイバーン》のシステムはダウンし、ルクスは気絶して自由落下を始める。
「シャアアアア!」
勝利を確信したのか雄叫びをあげるガーゴイル。
今まで相手をしていたルクスも気絶し落下していく中、生徒への被害は免れないと思われた、その時だった。
「やはり、そういう事だったか」
笑みを浮かべ、巨大な砲身をガーゴイルに向ける者が1人。
「守りに徹する者が晒した隙は全力を以って仕留めに行く。同じ立場なら、私もそうしていただろうよ」
強敵を撃破し油断していたガーゴイルにとって、思いもよらぬ一撃。
しかしここで、予想外の事態が起こる。
「くっ・・・!」
暴走の影響で手元が逸れ、あらぬ方向へと光柱が伸びていく。
(しまった、このままだとガーゴイルが生徒に・・・!)
「ギィィィイイイアアアア!」
気づいた時にはもう遅く、ガーゴイルが観客席へと攻撃を始めようとしている。
ガーゴイルの翼は光りーーー。
ーーーフォン。
「
水色の球体のような領域が広がり、リーズシャルテたちを包み込んでいく。
(何だ、これは・・・?)
呆然とするリーズシャルテを置き去りにするかのように、続け様に不思議な現象が起こる。
まるで、
(私は、何を見ている?世界の時間が戻ったとでもいうのか!?)
「まあ良い。何故かはわからんが、次こそは灰も残さず消し去ってくれる!」
状況を僅かながらも把握したリーズシャルテは、多少の動揺を見せつつももう一度
再度狙うは
時間はルクスが落下を始める時点で巻き戻りを止め、世界は同じ時間を刻み始めた。
「これで
ァァアアアァァアアアァァァァアアッ!
(何はともあれ勝ったものの・・・何だったんだ、あれは?それに、あの透き通るような静かな声は、一体・・・?)
目を疑うような現象に頭を悩ませつつも、リーズシャルテは現状を確認した。
避難は済んでおり、これ以降の脅威は無いと判断したため、肩の力を抜き、《ティアマト》を解除する。
すると、教師部隊の1人が声をかけてきた。
「リーズシャルテ姫、ご無事ですか!?」
「私のことは後だ!まずはあいつ、ルクス・アーカディアの治療に当たれ!」
ルクスは演習場の中心で倒れ、《ワイバーン》は持ち主の身体を守るという役割を果たしたため解除されていた。
「それにしても・・・凄いな、お前は」
改めて感心したかのようにリーズシャルテはルクスを見つめ、微笑する。
『タイミングは、僕が剣を振り切った直後です』
つまりあのガーゴイルは、襲来直後から終始ルクスの掌の上で踊らされていたということだ。
それらを可能にするルクスの戦術や技術、見ず知らずの生徒を守ろうとするその意思に、リーズシャルテは感服する他無かった。
リーズシャルテの心は試合前の暗い気持ちは微塵も無く、澄み切った青空のような暖かさでいっぱいだった。
どうだったでしょうか?
オリジナルの神装のルビは、自分の好きな曲から来ています。(それについては賛否両論あると思いますが)
話の流れも原作と多少変えましたが、どうだったかなどを感想で書いていただけると嬉しいです。
これからもできる限り頑張っていきますので、高評価、感想等よろしくお願いします。