まずは転生回となりますが、
これはエピローグでありプロローグである
〈起きよ。〉
声が聞こえる。
〈起きよと言っている! 〉
呼ばれている? どうしてだ? それにこの声には聞き覚えがあるような…………?
〈さっさと起きよこの愚か者! 一体いつまで我らを待たせるつもりだ! 〉
僕はその声で意識を取り戻した!
「ここは……? 一体……何が……?」
〈ようやく起きたか。我も待ちくたびれたぞ。それに奴も……な。〉
僕は視線を声の主に向けた。するとそこにはシェム・ハが立っていた。それもマリアさんに憑依をしていない、〈本来の姿で〉だ。そして僕はようやく今の状況が理解できた。
「そうだ……僕はあの時に死んだんだよね。そしてシェム・ハが僕にとどめをさした。そこから僕は執刀されたんだね?」
〈はぁ……ようやく理解したか。しかし我も驚いたぞ? 再生がここまで難儀になるとはな。〉
「ありがとうございますシェム・ハさん。あの時の約束を守ってくださって」
〈礼は早いぞ。貴様との取り引きは今より始まるのだ。貴様は嘗て我に「愛」を示すと言ったな。その時が始まるのだ。〉
「そうでしたね。僕達は確かに約束をしました。だから必ず示します」
『そうだな。そしてオレも動くとしよう』
何で彼女の声が!? 彼女は先に行ってた筈じゃあ!
〈その答えは否だ。キャロルは異なる時より我らに語りかけている。〉
「異なる……時間? ……そうかザフキエルの〈九の弾〉か!」
『そうだ。オレは少々準備をして行くのでな。そして先行して継承者達と〈アイツ等〉はあの世界へとたどり着いた。オレもじきに向かうとしよう』
キャロルが言ったアイツ等って誰だろう? そう考える間もなくシェム・ハさんは僕に語る。
〈だが、我も蘇生にはかなりの力と時間を要した上に貴様の力もほぼ使い果たした。今の貴様は器しか残しておらぬ。〉
当然と言えば当然だよね。そんなに都合良くいく訳ないからさ。
『そしてそれはオレも同じだ。オレはアイツ等の移動と活動の為にほとんどの霊力を使った。そしてオレ自身の移動で残る霊力もほぼ失うだろう』
そっか。キャロルも霊力を失うのか。
「まあ……仕方ないか。だけど……あれ? 〈霊力だけ〉?」
『当然だ。オレを誰だと思っているんだ! 希代の錬金術師だ! そしてお前の伴侶だ!』
やっぱりすごいなキャロルは。僕はキャロルに惚れ直しそうだよ。
〈しかし訃報ばかりではないぞ。貴様の力は分配されただけだ。継承者と再び接吻をすれば力は戻るだろうな。できれば…………な。〉
『そしてオレ達は一つの勝負をする事にした。勇……お前の事を最も〈デートしてデレさせた〉奴が次の勝者だ』
なんか……知らないとこで話が進んでるなぁ。
「僕達らしいね。だけど皆がそれで良いなら最高だよ!」
〈もちろん制約は存在するぞ。貴様は全ての記憶を失う。そうでなければ勝負等起こる筈がないからな。〉
「キャロルは納得してるの?」
『オレの霊力はお前が〈天使〉を全て取り戻した時に開放される。そう……奴等に絶望と立場を教える為になぁ!』
エグい。流石キャロルだ。
『そしてもう一つだ。オレはその間は姿を変えて過ごす事にしている。奴等に勘ぐられたくないからな』
「徹底的だね。でもそれでこそキャロルだよ!」
〈やはり貴様達は面白いな。では我も幾つかの説明をしておこう。〉
『幾つかの説明……か。面白い! 言ってみろ』
〈一つ目は奴等自身は記憶を持っている者と隠した者がいるという事だ。まあそれは奴等自身が決めた事だがな。〉
「〈記憶を〈隠した者〉と〈持っている者〉? それは何の意味が……?」
しばらく僕が悩んでいるとキャロルが語り出した。
『成る程な……奴等め。したたかな事だ。勇に自然と救われる為に敢えて〈一人の精霊〉として振る舞うつもりか!』
成る程ね。確かに僕が見つけないと始まらないからね。確かに有効な手だね。
〈そしてレーダーの代わりとしてだが、奴等のシンフォギア等を貴様の体に埋め込んだ。やがて時が来れば奴等と引かれ合うだろう。〉
ん? 〈埋め込んだ〉?
「……ねえ……まさかそれって……?」
『融合症例だな。しかも今回はシンフォギアの症例だ。前回同様に力を制御できねば大変な事態だろうな』
〈だがその辺りは既に調整を済ませてある。貴様が余程の事をしなければ下手な暴走はない。我を見くびるなよ? 〉
確かにシェム・ハの執刀を見くびる事はできないよね。
「確かに僕のやる事は変わらないね。だったら僕はまた訓練を重ねてキャロルと再会するよ。その時は!」
『もう一度オレと戦って貰うからな。もちろん勝つのはオレだ。そう簡単にはオレは倒せないぞ!』
僕達の戦いはいずれも接戦だった。だからお互いに次はどちらが勝っても不思議じゃあないよね?
「わかっているよ。だから次はキャロルと同じ条件で戦うよ。そしてまた僕が勝つからね?」
『〈ダヴルダヴラ〉と〈ダイン=スレイフ〉を失った勇には荷が重いだろうな。次は寝かさん。朝まで搾りとってやろう』
相変わらず愛が重い事で。だけどなんだかそれが嬉しくもあるかな?
〈我の説明の途中だ。最後まで聞け。とはいえどこまで話したか……。〉
『ギア等を埋め込んだ辺りだ。オレが話の腰を折ったので当然覚えている』
〈そうだったな……では三つ目だが、当然敵も用意している。何も無条件だと思ってはいまい? 〉
『妥当だな。そしてそれはオレも同じ様にオレ達の協力者を送った。その時はぶつかる事もあるだろうな』
「そういう事も……あるんだね」
〈想定はしている。つまりそれは我とキャロルの代理戦争でもあるのだ。〉
「思惑が入り乱れ過ぎだよ」
本当に……ね。だけどそれでもやる事は変わらないね。
「ありがとうねシェム・ハさん。貴女のお陰で僕はもう一度歩き出せる。そしてその時は……」
〈その先を今は聞かないでおこう。そして我からの選別だ。貴様に新たな名前をくれてやろう。〉
「僕の新しい名前……か。お願いします」
〈ならば受けとれ。「高崎 修(たかさき おさむ)」それがお前の新たなる名前だ。意味の想像はできるだろう? 〉
『前任者の前世である〈崇宮〉から〈崇〉の字を変更し、それに合う文字を選んだという事だな』
「同時に僕の名前の〈勇〉に対して新しい名前の〈修〉は音読みすると〈しゅう〉だからね。名前の名残を敢えて残したんでしょ?」
〈両者共に正解だ。そしてその名前は気にいったか? 〉
「もちろんだよ! ありがとう! この名前は大切にするね!」
〈ふん。名前なぞただの端末記号に過ぎん。一々気にするな。〉
『勇の新たなる名前……覚えたぞ。オレは二度と道を外さない。そして時が来れば勇を堂々と奴等から奪い返すとしよう』
〈それと最後だ。奴等が纏う礼装の型は「ソレ」と同じだ。まあ……言わずともわかる事だろうがな。〉
シェム・ハさんは僕の胸を指して言った。
〈では修よ……そろそろ記憶を消すとしよう。そしていつの日か再びまみえる事を〉
『オレは何度でも手に入れよう。何せオレは〈嫉妬の魔女〉だからな!』
僕はその言葉を最後にまた意識を手放した。そして次は新しい未来が僕達を待っている!
「じゃあねキャロル。また会う日まで!」
次回は情報整理と、前作の引き継ぎ部分の解説を行います。
そしてこの作品における重要な変更部分はもう1つの解説回で説明しますので、更新をお待ちください。
この続編……メインヒロイン交代しちゃいます?
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キャロル1択だよ!
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せっかくだからヒロイン交代で
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前任者達も参戦!
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精霊達に押し倒されてしまえ!