本編をどうぞ
昨日は天気予報が外れて雨が降る事がなんとなくわかっていた。だから修達には傘を持ってもらっていた。
「ありがとうな四糸乃。おかげで修達は濡れずに済んで〈彼女〉への円滑な接触ができた筈だ」
「いえ……その……もし士道さんが良ければ……私と……」
「〈デートがしたい〉……だろ? じゃあ次の雨の日にでもするか? 十香は雨の日が嫌いだからな」
「良い……ですね。でも……私は十香さんに負けません! 絶対に士道さんの心を奪います!」
四糸乃の行動が最近活発だな。まあ……そろそろ年齢的にも婚姻が可能になるんだ。だから彼女は燃えてるのだろう。
「に……しても傘をダースで購入した時には周りからすごい視線を浴びたなぁ……」
「私達らしくて良いのと思います。良ければ相合傘でもしてみませんか?」
「はは! すっかり四糸乃も仲間入りか!」
「私達は一人の女性として士道さんが好きです。だから皆ライバルです。私だって負けません!」
「俺の胃に負担が来るから勘弁して欲しい物だよ。でも……」
「そうですね……新しいデート(戦争)の時間ですね」
これから修達の二度目の試練が始まろうとしているな。
誰か……この教室にいる僕を助けてください。
「ねえ修……私達の調理実習で作ったクッキーを食べて貰えないかしら? 安藤さん達が教えてくれたのよ?」
「ダメだよ修君。彼女みたいな凶器と隣合わせで生活している人を下手に信用すると命が幾つあっても足りないよ?」
現在……一触即発の女子二人に挟まれています。そして目の前のクッキーはどちらも美味しそうなのに、どちらも食べてはいけない気がした。と……いうよりは、〈食べるだけ〉なら安全だろうが、その後に殺し合いでも始まりそうな気がする。だから僕は二人のクッキーを同時に食べた。
「うん……美味しいよ。でも僕よりも他の人に渡してあげてくれないかな? 僕にはもったいないよ」
「修以外の人に食べられるなら捨てるわよ?」
「修君以外の人にあげるくらいなら捨てちゃうよ?」
二人とも意見は変えないらしい。今日は晩御飯をきちんと食べられるかな?
ビィー! ビィー! ビィー! ビィー! ビィー! ビィー! ビィー! ビィー! ビィー!
「チッ! 空間震警報かよ!」
すると未来は教室を出ていた。
「翼! 避難するぞ! 空間震だ!」
「そうね……修が一緒なら良いわよ。でももし私を置いて行ったら……」
翼は避難を了承してくれた。しかし雰囲気が少しおかしい。けど急ぐ僕は翼の手を引いて〈避難を始めた。〉
「ふふっ……情熱的ね。このまま逃避行しましょう?」
僕達は〈避難を始めた〉が、翼が途中で進行方向と別の
「嘘だろ!? なんで翼が!」
僕は翼を追いかけた。すると姉さんからも通信が入って来た。
『修! 翼がどこに向かってるのかをわかっているのか!!』
「僕だって理由が知りたいよ! とりあえずこのままついて行くから!」
僕は姉さんとの通信を少し乱暴に切断した。そして昨日の彼女とこんな形で再会する事になるとは思っていなかった。
「本当にここに精霊がいるんだよね姉さん?」
『あたし様が修に嘘ついた事があったか? あたしはいつでも正直に言って来たと思っているけどなぁ?』
姉さんは確かに〈正直に生きてる。〉だけどそれはあくまでも〈自分の欲望に〉って枕言葉が付く気がするけどね?
「二人で内緒話かしら? ねえお姉さん……私は貴女を殺しても良いのよ? 修がいればそれだけで私は幸せなのよ? むしろ弟離れをして自立してはどうかしら? 私は修の彼女なのよ?」
話が勝手に進んでいた。あれ? そもそも翼を彼女にした憶えは「私にあんな辱しめをした上に唇を奪ったじゃない? 私の伴侶になる以外は認めないわ!」……心の中まで読まないでください。
『黙れ翼! 修はあたし様の可愛い可愛い弟だ! そしてそれは姉ちゃんの特権だ! そもそもてめえを彼女と認めた気はねえぞ! 』
耳元で喧嘩されると僕の耳が痛いです。
「ねぇ修……そろそろ姉離れしないかしら? 私に何をしてもかまわないわよ? その証拠に……」
「えっ? むぐぅ!」
翼の言葉に返事をしようと振り向いた時に唇を奪われた。
「ぷはぁ! やっぱり修は美味しいわ。もっともっと欲しくなっちゃう!」
翼の口元はよだれが垂れている。そしてその表情が何よりも扇情的だった。
「翼……そろそろ落ち着いて……」
僕が言葉を続けようとした時にモールの床が突然氷出して僕と翼の前に分厚い氷壁が出現した。
「!? 一体何が!?」
「なぜ私と修を引き離すの! 誰よこんな酷い仕打ちをするのは!!」
すると声の主が現れた。
「お久しぶりですねお兄さん。でもびっくりしましたよ? すごく綺麗な女の人がお隣に居たので、思わず凍らせたくなりました。でもお兄さんが悲しんでは困るので今回は分断だけで済ましてあげます。では……私達は早く行きましょう? こんな野蛮な人と一緒にいるお兄さんが不憫で仕方ありませんから」
そう言って現れたのはセレナさんだった。そして僕は返事をする事なく照明の落ちたモールの中を連れ回された。
「貴女は……セレナさん? でも……なんで?」
「そうですね……私が〈精霊だから〉ではダメですか?」
僕は言葉を失った。セレナさんが……精霊……?
「そうですよ? 私の天使の〈氷結傀儡(ザドキエル)〉の力です。これは氷を操る天使なので」
セレナさんは此方が聞いてもいないのに天使の説明を始めた。そして僕のペンダントを見つめて言った。
「そのペンダントは綺麗ですね? 私はそんなプレゼントをいつか贈られて欲しいものですよ?」
セレナさんは僕の言葉に構わず話を続けようとしたので、僕は意を決して質問をした。
「セレナさん……それはどういう意味ですか? そもそもなぜこんな事を?」
するとセレナさんは驚いた顔をして告げて来た。
「あっ……ごめんなさい……すっかり忘れていましたね? 私達は〈まだ〉お付き合いどころかお名前すら聞いていませんでした。なのでお兄さんの名前を教えてください。そしてお付き合いしましょう? そして私達で愛を育みましょう?」
「〈高崎 修〉……それが僕の名前です。しかしセレナさん……僕は貴女と今すぐお付き合いするつもりはありません。そんな事は直ぐ返事をする事ではないので……ごガシャアァァン! め……へ?」
「ああ修さん怖がらせてしまってごめんなさい。でも私……不思議とそういう冗談は嫌いなんです。だから二度とそんな酷い冗談は言わないでくださいね?」
言葉にならない。僕はそんなつもりどころか何もおかしな事は言っていない筈だ。なのに……なぜ?
「あ~あ。今の音を聞いて恐い人達とさっきの野蛮なお姉さんが戻ってたどり着きそうなので今回はここまでにしますね? 次に会う時はお返事をくださいね?」
しかしセレナさんは何かを思い出したようだった。
「あっ……修さんに借りた傘が「これの事かしら? 修の臭いがついていて不思議な傘だったから思わず手に取ってしまったわ?」……早く返してください!」
するとセレナさんが翼に突撃して辺り一面を氷漬けにした!
「……何よ! 修にプレゼントをもらって貴女はずるいじゃない!」
「返してください! それは私の宝物なんです!」
「絶対にあり得ないわ! 修の傘じゃないなかったらこんな傘なんかぁ!」
翼とセレナさんが争いを始めた。しかし二人共傘が壊れないように何とか手加減をしてくれているようだ。しかしそんな事態も長くは続かなかった。未来がこのモールに突撃した為だ!
「〈ハーミット〉! 大人しく死になさい! 今すぐでかまわないから!」
「野蛮な人まで……仕方ないので今回は退きますが次の時には……」
セレナさんはそう言うと霧を発生させて姿を眩ました。そしてその余波は翼にも及んだ。
「一体なんなのよ!? ……あれ? 修の傘が……」
どうやら今の霧で翼は傘を紛失してしまったようだ。
「何が……どうなっているんだ?」
僕の言葉には誰も答えてくれない。
「ふふっ! 良いものを貰っちゃった♪ 大事な大事な宝物だよね? ちゃんと私の家で保管しなきゃ♪じゃあ錠前とかも新調しちゃお♪」
セレナは修にお返しをしようと再会を望んだ。しかし修の隣には彼女の姿があった。
修は悩む。2人を救う為にどうすれば良いかを……
次回〈生じる不協和音に〉
更新をお待ちください。
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この続編……メインヒロイン交代しちゃいます?
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キャロル1択だよ!
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せっかくだからヒロイン交代で
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前任者達も参戦!
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精霊達に押し倒されてしまえ!