彼女達は諦めない!    作:タク-F

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マリアは修を来禅高校の屋上へと呼び出した。しかしその日には彼女も転校してきて……


マリアの力

 昨日のデート終盤にマリアは僕の目の前で人を殺してしまった。僕はそんなマリアを止められなかったし、何よりマリアに依頼した人物がいる事と、マリア自身の正義に基づいた行動だという事がわかってしまった。

 

「マリア……僕は君の行動を否定は出来ないかもしれない。だけど僕は君の行動を肯定したくも無いんだ……」

 

 僕は悩みながらも来禅高校へと向かっていた。しかし学校につくと驚くべき事態が起きていた。

 

「あっ! 高崎君! ちょうど良かったです! 君を探していたんですよ? ひとまず職員室に来てくださいね?」

 

 タマちゃん!? 僕……何かしてたか? あぁ……マリアの件かな? とりあえず職員室に行くか……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え〜っとどうしましたか? 僕が呼ばれる事なんて……」

 

 とりあえず僕はタマちゃんに連れられて職員室までやって来た。

 

修さん! やっと会えました! 

 

 ……嘘だろ? セレナがここに来るなんて……

 

「えぇ……話を聞くと彼女は白崎さんの妹さんだそうなんですよね……。そしてお姉さんのいる来禅に転校してきたみたいですよ? でも高崎君の事を話していたので、ひとまず来て貰いました!」

 

 セレナはマリアの妹だ。それは2人が似ている事からも確かだろうな。それにマリアがあのデートの時に実はセレナが妹だと教えてくれていた。

 

「セレナ……来禅に来たんだね……」

 

「はい! 修さんとずっと一緒にいたいので編入して来ました! これからも……よろしくお願いします!」  

 

 無邪気で元気な声が響いた。

 

「では高崎君……白崎姉妹の事を頼みましたよ?」

 

 ……今日の僕は厄日かな? 

 

「いいえ。私と修さんの愛を育み始める記念日ですよ?」

 

 セレナが無邪気な笑顔を見せた時、学校が謎の空気に包まれた。その証拠か辺りから不気味な雰囲気が漂っている。

 

「修……さん……これは……マリア姉さんの……仕業です……修さんを……呼ん……で……います……でも……行ったら……ダメ……です……」

 

 セレナは息を絶え絶えにしながらも必死に状況の把握を始めていた。そして僕の方もインカムが鳴った。

 

『ユウ……これはマリアの力だ。彼女は屋上でその姿が確認されている。すぐに止めてくれないか?』

 

「マリアは屋上にいるんですね? なら行きます。でも1つ教えてください。なんで僕は動けるんですか?」

 

『恐らくは精霊の加護の様なものだろうな。正確には勇以外を対象としているだけだ。マリアめ……賢しい事をしてくれる……! 

 

「礼音さん! 声が聴こえ無いです! 返事をしてください!」

 

『……済まないね。どうやら電波の調子にも影響があるようだ。済まないが私達もできる事はしていくがもしかしたら……』

 

「わかりました。僕がマリアを止めてみせます。セレナ達の事を頼みましたよ?」

 

『可能な限りの支援を行うと約束しよう』

 

 僕は屋上を目指した。すると途中で未来と翼を発見した。どちらも衰弱しているみたいだ。

 

2人共大丈夫か! 

 

「ごめんなさい……立てそうに無いわ。それに体が重くて……」

 

「今日こそは修君のハジメテを貰うつもりだったのにぃ……こんなのあんまりだよぉ……」

 

 ……僕は未来に貞操を狙われていたみたいだ。

 

「2人共……僕はこれからこの事態を引き起こしているマリアの説得に向かう。だからそれまで持ち堪えて欲しい……」

 

「修……それって……」

 

「そんな……だったら……こんなところで……」

 

 2人が何か言っていたが僕は急いで屋上へと向かった。そしてたどり着いた時には〈礼装〉を纏い〈天使〉を呼び出しているマリアがそこにいた。

 

「マリア……なんでこんな事をするんだ……目的は何なんだ?」

 

 マリアは悲しみを含んだ目をして答えた。

 

「これが私の天使の〈刻々帝(ザフキエル)〉よ。本来は寿命を著しく消耗するからこの〈時喰みの城〉で周囲の人間達から寿命を吸う事で補う筈()()()わ。でもね……偉大な先輩達がその概念を捻じ曲げてくださったの。おかげで今では人を衰弱させる程度の影響と、その範囲内での使用には対価が発生しなくなったわ。まあ……影の届く範囲と言いながら実質的にはほぼリスクともいえないのだけどね?」

 

 本来はもっと恐ろしい能力だったのか! だったらなんでこんな事に……

 

マリア! だったら尚更やめてくれ! なんでこんな事をしなくちゃいけないんだ! もっと他の手段も選ぶ事ができるんじゃあないのか! 

 

 マリアは僕に歩み寄り、手を握りながら答えてくれた。

 

「えぇ。とても簡単な方法はあるわよ? でもね……それはきっと誰も納得しないわ。だってこれは……翼達がターゲットだもの」

 

 狙いが翼……達……? 

 

「考え直してくれ! 今日からマリアの妹のセレナだって来禅に編入したんだ! 彼女は今まさにマリアの攻撃を受けている事になる! 取り返しのつかな「そう……都合が良いわね。セレナにはオシオキが必要だもの」い……え?」

 

「セレナだけじゃないわ。未来も翼もクリスだって許さないわよ? だって私の修を誑かすんだもの。そんな事許せる訳ないじゃない?」

 

 僕が絶句していると屋上の扉が破壊された。そして〈顕現装置〉を纏う未来と、礼装を展開する翼とセレナの姿があった。

 

「昨日マリアを信じた私が愚かだったわ。だってこんな裏切りをされたのだもの」

 

「許せませんよ姉さん……その命は凍っても良いという事ですね?」

 

「精霊はやっぱり駆除しないとダメだね。皆死んじゃえ!」

 

 3人は殺気立ててマリアを睨んでいた。しかしマリアは余裕の表情を崩さなかった。

 

「残念だけど貴女達では全てが足りないわね。揃いも揃って貧相だもの」

 

 3人が僕の側まで歩みよると、僕の体に複数の痛みが走った。

 

うあああああああ!! 

 

「うるさいわよ修。()()()()()()()()()()()()()だけじゃないかしら?」

 

「ごめんなさい修さん。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()ですよ?」

 

 

「修君がわかってくれないから()()()()()()()()()()だよ?」

 

 僕の体が想像を絶する苦痛を受けたのにも関わらず、意識を手放す事さえ出来ない。体がショック死しそうだよ。

 

「ッ! 〈刻々帝(ザフキエル)〉! 〈四の弾〉よ! 修の命を失う訳にはいかないわ! 

 

 マリアが何かをつぶやくと、僕の体は傷を受ける前まで復元された。しかし感じた痛みがまだ体から離れない。

 

「ようやく天使を使ったわねマリア? すぐに死んで良いわよ?」

 

「この好機を逃すつもりはないよ! 死んでよマリア!」

 

「その選択をするなんて残念ですよ姉さん?」

 

 3人は僕の為に体を張ったマリアへ攻撃態勢を整えた。そして天使を使用した直後の一瞬の隙をつくように斬りかかった。

 

「甘いわよ! 今の貴女達如きならこれで充分だわ!」

 

 マリアはマントを展開して3人を弾き飛ばした。これが封印されていない精霊の本来のスペックか……。でも僕は止まる訳にはいかなかった。

 

「皆! もうやめてくれ! こんな事されても僕は悲しいだけだ!」

 

「……そうね。修を傷つけるだけの貴女達は危険だわ。やっぱり私が修を守らないとダメなのよ!」

 

 すると上空から別の光が降り注いだ。

 

「それは貴女も同じですよ白崎 マリア。大量殺人犯が白々しいです」

 

「はぁ……貴女もいたわね明美……良いわ。纏めて始末してあげるわ! 〈刻々帝(ザフキエル)〉の力を見せてあげるわ! 〈二の弾〉よ!」

 

 マリアは全員に銃弾を放った。そしてその弾が直撃した瞬間翼達の動きが遅くなった。

 

「皆怖いわね……でもこれで仲良く倒してあげるわ!」

 

 〈HORIZON†SPEAR! 

 

 マリアの槍から放たれた光が屋上を照らした。そして光が収まる頃にはたくさんのマリアが立っていた。

 

「これは〈八の弾〉の力よ。嘗ての私の記憶・記録・過去と言われる〈私〉の再現体だから」

 

 するとマリア〈達〉は4人に向かって銃弾を浴びせ続けた。僕はそれを見て足が竦んだ。

 

やめろ……やめてくれマリア……

 

 気がつけば未来・セレナ・翼が銃弾の雨に撃たれて倒れていた。

 

「こんな、に、強く……なって、いた……とは、驚き……です。早く※※※に……伝え……ないと……」

 

「明美! もうしゃべるな! プラグシナスを呼ぶから! 治療して貰うから!」

 

 僕が明美を抱き抱えると、僕の右足は黒槍に貫かれていた。

 

「ッ! あああがぁああああぁ! 

 

 痛みが僕の体を襲った。

 

「修……どこへ行くのかしら? 私は修が欲しいわ! その為に来禅に転校してきたの! 修が逃げるなら高校なんて行かなくても良いのよ?」

 

「マリア……なんで……」

 

「修が見たのはきっと悪夢よ……。次の目覚めはきっと幸せだわ……」

 

 耳元で囁かれ、僕の体がマリアに抱き寄せられる。それと同時に明美が僕の手から離れて再び倒れる。

 

「一緒に行きましょう? そして私達だけの幸せな日々を過ごしましょう?」  

 

 僕はマリアに攫われてしまうのか。……ごめんね姉さん……  

 

許さねぇぞマリアあああぁ! 

 

 上空より叫び声が聞こえて、それと共に周囲の温度が急激に上昇した。そして声の主を確認する為に見上げると……そこには般若と言わんばかりの形相をする姉さんがいた。

 

ぜってぇ許さねぇ! お前達だけは纏めて殺してやるよ! 

 

パチン! 

 

 姉さんが指を鳴らすと、()()()()()()()()()()()()()()

 

「クリス! 貴女本気なの!? ここには修がいるのよ!」

 

今すぐ修を置いて消えろ……そうすりゃこの空間震は止めてやるぜ? 

 

 底冷えするような声で姉さんは告げていた。しかしマリアは冷静さを取り戻して、僕を守るように前に立ちはだかった。

 

「そうか……それがお前の答えだな? じゃあ仕方ねぇ……お別れだぜ皆。あぁ……悲しいよ。誰も彼もあたし様を苦しめるんだろう?」

 

 姉さんがいよいよ空間震を発生させて衝撃が街を襲うのだろう……そう僕は目を閉じてしまった。しかし目を開けた時には()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「……ふぅ。危なかったわ。クリス……忘れていないかしら? 空間震は発生と同時に同規模の揺らぎをぶつけると相殺される事を。良くその体たらくで艦長を名乗れるわね? 緒川さんがいなかったら無能なのかしら?」

 

マリアは溜息をつくと姉さんを挑発した。

 

「死ね……死ねよマリアぁ! 焦がせよ〈灼爛殲鬼(カマエル)〉! あたし様の宝物に手をつける不届き者を焼きつくせぇ! 

 

 興奮した姉さんは屋上を火の海にせんとばかりに炎を放った。

 

「ごめんなさい修! 必ずあとで謝るから!」

 

 僕はマリアに校舎内へと投げ込まれた。そこで頭を打ってしまい意識を失った。  

 

「ねぇ……さん。マリ……ア……」

 

 僕の呟きを聞いた人物は誰もいない。

 




マリアよりなんぼもヤバいのが封印済の精霊だった。クリス姉さん……空間震は無しでしょ……空間震は。

次回〈炎の精霊……その人物とは……〉

更新をお待ちください。

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この続編……メインヒロイン交代しちゃいます?

  • キャロル1択だよ!
  • せっかくだからヒロイン交代で
  • 前任者達も参戦!
  • 精霊達に押し倒されてしまえ!
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