まずは前日譚となる4月9日です。
それでは本編をどうぞ!
精霊…………それは異なる世界に存在する生命体。此方へと現界する際に周囲へと甚大な被害をもたらす〈空間震〉を発生させる。戦闘能力は高く、既存の兵器の性能を凌駕する。
僕…………高崎 修は普通の高校二年生……だと思うけど、僕の周囲の人間は普通じゃあない。
「はぁ。明日から僕達の通う〈来禅高校〉の始業式なのになぁ。なんで父さん達は長期出張に行っちゃうのかなぁ」
僕は本当に憂鬱になる。両親は未だにバカップルと言わんばかりだ。だけど責任は感じてるみたいで、自分達が不在の時はお隣の〈雪音 クリス〉姉さんに僕の事を頼んでいる。ありがたい。ありがたい……けど……。
「最近お姉さんは目つきが恐いんだよなぁ。僕の事をいつも見ている気がするし、未だに風呂や睡眠の時間を僕と過ごそうとするんだからなぁ」
考えていても事態は変わらない。だから僕は買い物にでも出掛けようとした。そして姉さんに捕まった。
「よぉ修! 買い物だろ? あたしも行くよ。修は今一人だからなぁ! あたし様がついて行かないと何かあった時に大変だろ?」
〈雪音 クリス〉姉さん。年齢は一七歳で明日から三年生。銀髪が綺麗で身長の割に胸が大きい。だから正直目のやり場に困るし、近くにいると何故か背筋がゾッとする。
「一人で良いよ姉さん。今は特に困ってないし、掃除や洗濯も昨日姉さんが終わらせたからさぁ」
「固い事言うなよぉ! あたし様が好きでしてる事なんだからよぉ!」
本当に姉さんは僕の世話を嬉々としてくれている…………んだけど、何故か下着とかは姉さんが洗濯すると新しい物になってる気がするんだよなぁ。…………特に穴とか空いてる訳じゃあないけど。後……姉さんが部屋の掃除をするとゴミ箱の中とかベッドの下・押し入れ・机の引き出しとかは特に入念な掃除をされている。恐い。
「とにかく! 僕は一人で行くからね! ついて来ても相手にはしないから!」
僕は自転車に乗って逃げるようにスーパーに向かった。その時に手に持っていた母から渡されたお守りが紫色に光った気がしたけど見間違いか気のせいだと思う。
私の名前は〈小日向 未来〉。来禅高校に通う明日から二年生になる。現在は一人暮らし。
「長かったなぁ……この一七年間は」
私は〈ある事〉が判明した時から準備を始めた。その為に今は自宅のパソコンを使い、学校のとあるデータをクラッキングしてでも調べている。
「このファイルじゃあない。これも違う。ここまでは確認したけどまだ見つからないなんて…………」
私は目的のファイルが見つからない事に焦りながら時間も確認した。そろそろ宅配便が来るかもしれないからだ。
〈ピンポーン! 〉
「来たみたいだね。早く行かないと!」
私は急いで荷物の受け取りを済ませて内容物を確認した。そして注文通りの品物が入っていた事を確認すると安堵した。
「多分今日はもう無理かもしれないなぁ。どこかで嗅ぎ付けられないように片付けておこう」
私はパソコンをログアウトさせてクラッキングの証拠を隠蔽した。なんだかんだで藤堯さんから習っておいた事が役に立ってる事に安心もしている。
「さぁて! 今日こそはあの人をボコボコにしないといけないなぁ!」
今更だけど私は只の高校生じゃあない。〈精霊〉の脅威から人々を守る陸上自衛隊の特殊部隊〈AST〉の、自分では言いにくいけどエースだ。私が行かないと任務に支障が出るから仕方ないかなぁ。
「噂をすればなんとやらか。さあて! じゃあ今日こそはあの泥棒猫を駆逐してやるんだから!」
私は呼び出しに応じて出動準備を始めた。
私の名前は〈風鳴 翼〉。今はその事しか思い出せないわ。そして私はこの世界に現れる時に必ず周囲は無惨な姿となっている。どうやら私が来るとこうなるらしいわね。
「でも……〈サンダルフォン〉が告げているわ。この街でとうとう会えるって」
私はこの世界に来る度に〈誰か〉を探してる気がする。だけど今までは何故かはわからなかった。でも……そんな日々はもうすぐ終わる気がした。そしてこの思いに胸を弾ませていると〈いつもの女達〉が現れた。
「ようやく現れましたね風鳴さん。さっそくですが死んでください。私は忙しいので!」
女達の中でも一番の実力を誇る〈未来〉は特に私に食い下がる。正直に言うと鬱陶しいけど、今日はいつにもまして士気が高いわね。
「また貴女なのね未来。だけど今日は帰って貰えないかしら? この街には私の探してる〈誰か〉がいるの。その人物に会えばきっと私の中の何かが変わるのよ」
「やっぱりそうですか。今までの現界の場所からいずれこの近くに来るとは思っていました。だから私は風鳴さんを排除しなくてはいけないんです。だから早く死んでください!」
やはり未来は私の話を聞いてくれない。ねぇ……名前もしれない〈誰か〉さん。早く私の事を見つけてね。じゃないと私はこの街を破壊してしまいそうだわ。
空間震が発生して〈精霊〉……いや、翼が現界した。正直に言うとここまで来ちまったか。なら……そろそろあたし様も動かねぇとな。幸い〈オッサン〉達はあたし様に協力してくれるみたいだ。だけど〈アイツ〉の動向だけがわからねぇ。
「この事態に本格的に修を関わらせたら嫌でも出て来るか? まあまずは翼をエサにあたし様は準備を進めようかな」
あたしは仲間に連絡を入れた。
「あたしだ。翼が現界してきて未来達と交戦中だ。恐らくだが、もうすぐ修と翼は接触するだろうな。〈あおいさん〉達は近い内に活動できるように準備をしてほしい」
『了解したわ。それと近い内に私達と合流するスタッフの顔合わせもしたいから、彼が接触されたらお互いに自己紹介をしましょう?』
「へぇ……合流スタッフか。助かるよあおいさん。そんじゃあ次の機会で」
『えぇ。次の機会でね』
あたしは通話を終了させた。
「司令! クリスちゃんからの報告を確認しました」
「そうか。ちなみにファラ君達の準備は既にできている。しかしキャロル君の提案には驚かされたな」
私達はキャロルによってこの世界に転生した後、一つの組織を立ち上げていた。司令の父親にあたる〈風鳴 訃堂〉や〈Dr.ウェル〉への備えの為だ。
「それにしてもクリスちゃんはよく協力してくれましたね」
「それはキャロル君がいないからだろうな。だがここにファラ君達がいると分かれば、クリス君はいずれ身を隠すだろうな。その事態を避ける為にキャロル君は彼女達のスペックを落としてまで隠したんだ。オレ達は余計な事をするなよ?」
そう……クリスちゃんは協力してくれてはいるが、彼女自身も〈精霊〉だ。キャロルちゃんの手がかりが近くにあると分かれば彼を連れて逃走する可能性さえあるのだ。
「嘗ての仲間を騙すなんてな。俺達はいつからこうなったんだろうなぁ」
藤堯君のボヤく通りね。せめてクリスちゃんの封印ができれば……。
「だが、それでもやり遂げる事が俺達とキャロル君の契約だ。だから抜かるなよ!」
司令からの言葉を胸に私達は今日も、自分達の心を偽りながら彼女達を支援する。そして私達は明日からクリスちゃん達と合流する。
今日も〈誰か〉が僕を呼んでいた気がした。そしてそれはここ最近は特に頻繁に感じる。
「今日は姉さんに冷たくし過ぎたかな。気のせいか姉さんは泣いていた気がしたし」
晩御飯を作ったらお裾分けに行こう。そして美味しいあんぱんと牛乳を持って行ったらいつも通りに機嫌が直るかな?
「今日は肉じゃがでも作ろうかな?」
僕は今日の献立を考えながらスーパーで買い物を始めた。
「明日からは始業式……か」
今作でも前作同様に1日2話のペースでの投稿をめざします。
そして次回予告も再開します!
次回「4月10日に現れる〈精霊〉」
更新をお待ちください。
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この続編……メインヒロイン交代しちゃいます?
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キャロル1択だよ!
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せっかくだからヒロイン交代で
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前任者達も参戦!
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精霊達に押し倒されてしまえ!