彼女達は諦めない!    作:タク-F

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精霊と対峙した修はラタトスクにコンタクトされる。そこで彼は意外な人物と対面する……

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顔合わせと訓練

 これは恐らく夢なのだろう。

 

『オレはいつまでも※※の事を待っている。ずっと共にいると決めた伴侶だからな』

 

 知らない声が聞こえた。だけど不思議と僕はその人物の事を知っているとも感じた。

 

『※※の事を迎えに行けるまでもうすぐだ。だから後少しだけ待っていて欲しい』

 

 声の主は僕の事を知っているみたいだ。そして僕は大事な〈何か〉をしたみたいだ。

 

『もう間違えないからな。オレ達が次に出会えた時は魂すらも越える繋がりを持とう』

 

 僕の不思議な夢はその言葉を最後に終了した。

 

 

 

 

 

「ここは……何処だろう?」

 

 意識を取り戻した僕は周囲を見渡した。しかしここは知らない部屋だった。

 

「気がついたのだね」

 

 すると()()()()()()()()()()()()()()()()()()()がそこにいた。

 

「貴女は誰ですか? そして此処は何処なんですか?」

 

「すまないが先に君の状態を確認させて貰おう。…………ふむ。どうやら大丈夫みたいだね」

 

 女性は僕の質問には答えてくれなかった。だけど僕の体は大丈夫だと言いきった。

 

「そうだね。まずは私の事から話すとしよう。私の名前は〈村雨 令音〉だ。先程の診療だが医師免許こそもたないが、結果は絶対の保障をしよう」

 

「そうですか。では答えてください。此処は何処ですか? そして何故僕は此処にいるんですか?」

 

「その質問の答えはこの施設の代表者にして貰うつもりだ。だからついて来て欲しい。それと君の名前を教えて貰えないかな?」

 

 また質問の答えをはぐらかされたが、僕は名前を名乗る事にした。

 

「僕の名前は〈高崎 修〉です。よろしくお願いしますよ令音さん」

 

「そうか。ではよろしく頼むよ〈シュウ〉」

 

「僕の字は〈修〉と書きますが読み方は〈おさむ〉です。間違えないでください」

 

「すまないね〈ユウ〉。ついて来てくれ」

 

 僕の訴えは伝わりきらなかったが、とりあえず現状の確認をしたかったのでついて行く事にした。そして僕達はコントロールルームと思わしき部屋に出た。

 

「戻りましたか〈解析官〉。艦長もすぐに到着しますよ。そして〈風見さん〉達は既に揃っています」

 

「ありがとう〈緒川副艦長〉。では艦長の到着を待つとしよう」

 

 どうやらこの人は艦長ではなく、他の人物が艦長みたいだ。その為に僕達は艦長と言われた人物が到着するのを待ち続けた。

 

~~15分後~~

 

「悪いなお前達。あたしが遅れたみたいで申し訳ないよ。その代わりに〈あの人〉達も協力してくれるし、あの人はついて来てくれたからさ」

 

 僕はその人物に驚き声が出なかった。

 

「なんでここにいるんだよ()()()()()()()

 

 しかし姉さんは僕の質問に答えずに話を進めた。

 

「そんじゃ紹介を始めるよ。まずはあたし〈雪音 クリス〉艦長だ。あたしの隣にいる優男が〈緒川 慎次〉副艦長だ。そしてこの場所は空中艦〈フラクシナス〉……つまり世界樹だな」

 

 空中艦〈フラクシナス〉? 艦長は姉さん? ヤバい理解が追い付かない。

 

「そして既に名前を聞いたかもしれないがお前のそばにいてくれたのが〈村雨 令音〉解析官だ。こいつは本物の〈できる女〉って奴だよ」

 

「あまり誇張しないで貰えるかな? 緊張してしまいそうだよ」

 

「すまないな令音」

 

 どうやら姉さんと此処の人達は良好な関係性みたいだな。その光景を何故か自然に感じられる僕のこの安心感の正体って一体何なんだろうな? 

 

「じゃあ紹介をすすめるぜ? と言ってもあたしも実は初対面な面子もいるからな。じゃあ風見さんからお願いするぜ?」

 

 すると〈風見さん〉と呼ばれた女性が自己紹介を始めた。

 

「はじめましてですね。私の名前は〈風見 舞華〉と申しますわ」

 

「風見の二つ名は剣士の天敵(ソードブレイカー)だ。幾つもの道場の看板を破った噂があるぜ?」

 

 すごい二つ名だな。ということは強い人なんだね。

 

「その二つ名は恥ずかしいですが、師匠(マスター)の教えに泥を塗る訳にはいきませんからね?」

 

 すると次は快活な女の子が手を挙げた。

 

「アタシの名前は〈火神 美香〉だぞ! よろしくだぞ修君!」

 

「確か火神の二つ名は無邪気な破壊者(笑顔の天使)だったな。ホント……人は見かけによらないとは良く言ったもんだよ」

 

「つまんない奴はお断りだぞ! だけど人との関わりは楽しいぞ!」

 

 本当に笑顔は可愛い。だけど確かに少し恐い人かもしれない。

 

「次は私だな。〈土屋 鈴〉だ。私は派手な出来事が好きだから最近の〈精霊騒動〉は興味深い出来事だと思っている」

 

「土屋の二つ名は派手好きの射撃手(私に地味は似合わない)だ。警察顔負けの射撃センスなんだよなぁ」

 

「人の技術は日進月歩だ。そして私は常に進化を求めている。この出会いも新たな奇跡だと思っている」

 

 なんだかすごい人だな。だけど不思議な事に見た目程恐さを感じないんだね。

 

「次はあたしか。〈氷室 雫〉だよ。そしてアンタの顔は気に入ったわよ修君♪」

 

「氷室の二つ名は最悪の心理士(メンタルブレイカー)だ。弱みを握られたら逆らえないぜ?」

 

「人の事を随分な言いぐさですねぇ艦長♪ 貴女の初恋エピソードを修君に話しますよ?」

 

「悪かったからやめてくれ! もう言わねぇからよぉ!」

 

 どうやら姉さん以上の大物なのかもしれない。というよりは姉さんのメンタルはある意味クソ雑魚とも言えるだけかな? 

 

「後はオペレーターの二人だな。お願いするぜ?」

 

「はじめまして修くん。〈友里 あおい〉よ。まずはあったかい物どうぞ」

 

「ありがとうございます。………ええと……あおいさんですね。……あったかい紅茶で美味しいです」

 

 すごくいい人だな。

 

「僕の名前は〈藤堯 朔也〉だ。やれやれ……これからは大変だなぁ」

 

「ちなみにあおいさんと朔也さんは夫婦だからな。あおいさんは結婚前からのスタッフだから、皆彼女の事を旧姓呼びしてるんだよ」

 

 すごく驚いた。職場恋愛ってあるんだね。

 

「じゃあ本題にはいるぜ? 昨日修が出会ったのは〈空間震〉の本当の原因となってる存在……総称は〈精霊〉だ」

 

 空間震には原因があったんだ。でもなんでそれを姉さん達は知っているんだ? 

 

「姉さん達は何者なの? どうしてそれを知っているの?」

 

「あたし達は精霊を探してるんだよ。その理由はな修……お前に彼女達の力を封印して貰いたいんだ」

 

 〈力の……封印? 〉なんで僕なの? 

 

「あいつらはなぁ……可哀想な少女なんだよ。この世界に突然放り出されて右も左もわからない。わかっているのは自分の名前だけ……そんな連中なんだ。なあ修……あいつらを救ってやってくれないか? そしたら姉ちゃんが何でもシテやるよ。ハジメテだって修にあげてもかまわないぜ?」

 

 姉さんが僕の寝込みを襲おうとしてる事は知っているから最後は理由のこじつけだな。それだけはすぐに理解できた。

 

「じゃあ僕は何をするの?」

 

「それを説明してくれるのがあたしの連れて来た人だ。頼んだぜ〈士道先輩〉」

 

 そう言われて入って来たのは僕達のOBで家庭教師も引き受けてくれた偉大な士道先輩だった。

 

「おうよクリス。頼まれた資料はこの通りだ。後は俺が説明しても良いか?」

 

「頼んだぜ先輩。あたしはちょっと用事を済ませてくるからな!」

 

 姉さんは急いで部屋を出た。何なんだろうなぁ? 

 

「じゃあ今日は遅いから明日の説明だけするよ。まずこの中身は〈デート〉をテーマにしたビデオだ。もちろん俺自ら中身をチェックしてあるから諸諸の心配はいらないぜ?」

 

 先輩のチェック済みなら安心感があるなぁ。

 

「そんでビデオ鑑賞が終わったら俺が問題を出題する。修はその問題に対して解答をする。そして俺達が採点して、合格点を越えたら次のステップに進ませる」

 

 でもなんで〈恋愛ビデオ〉なんだろう? 僕は先輩に確認をする事にした。

 

「先輩……教えてください。何故僕は恋愛ビデオを見るんですか? そしてそれがどう〈精霊〉と関係してるんですか?」

 

「良い質問だ。まず精霊は常に孤独で、その上に強大な力を持っている。しかし心が脆ければ力を制御できないんだ。だからまずは精霊の心を満たす為に彼女達に心を開いて貰う存在が必要なんだ」

 

 成る程……わかりやすい答えだ。そして僕は恋愛初心者だから恋愛について学べって事か。

 

「おっ! 良い顔したな修! その考え方であってるよ。そして続きだが、彼女達の心が開かれる時には側に大切な存在が必要になる。修には苦労をかけるが頼めないか? 協力は惜しまないからさ?」

 

「だったら先……わかりました。僕がやります。あの女性……翼さんみたいな人達の助けや支えに僕がなれるなら頑張ります!」

 

 本当は「先輩がやれば」と続けたかった。しかし先輩は既に〈十香先輩〉という恋人がいる。そしてそれを知っていて尚先輩に好意を向ける女性は〈琴里先輩〉をはじめ何人も存在してる。そんな先輩にこれ以上の負担は求めてはいけないだろう。

 

「それじゃ修! 明日から頼むぜ? …………ああ思い出したけど、さっきの令音さんが明日から修達のクラスの副担になるよ。修のフォローをする為にな」

 

「ありがとうございます先輩……令音さん」

 

「気にする事はないよ。修はこれから大変な事をするんだ。だから巻き込んだ俺達は全力でサポートするのが義務だろう?」

 

 先輩マジ格好いいです! 十香さん達が惚れた理由がわかります! 

 

「これからよろしく頼むよユウ。こんな私達だが、君だけが頼りだからね」

 

「はい! こちらこそよろしくお願いします!」

 

 この翌日から僕の訓練は始まり、三日後には先輩の恋人の十香先輩達も協力してもらえた。そして今日十香先輩と折紙先輩が告白練習の相手をしてくれる事にもなった。

 

「じゃあ修は十香と折紙各々へデートを申し込んでくれ。そして誘い方や表情を二人に評価して貰うよ。十香は感覚的な面を、折紙は文言方面を特に評価する。二人からの総合評価が高くなる頃には精霊にも対話できるだけの技量はついてる筈だからさ」

 

 先輩方本っ当にありがとうございます。

 

「あぁそれと修……クリスからの伝言だが、

 

 〈もし先輩達に恥かかせたら修のハジメテはあたし様が奪いに行くからな! 〉

 

 だとさ。まあ……強く生きろよ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後3日間僕は二人の先輩から指導をされ続けた。そして何とか及第点は貰えたみたいだ。

 

「うむ! これなら修はもう大丈夫だな! そうだろ折紙?」

 

「悪くはない。しかし致命的に経験が足りていない。もう少し時間がかかりそうだと私は思う。次の現界が終わった後に補習が必要。ただし私達とは別の人物が行うべき」

 

「? 別に私達でかまわないのではないか? 修も戸惑うだろう?」

 

「対応できるパターンが一つだけでは心許ないし、修自身の価値観が歪む危険性もある」

 

「ふむ……やはり難しいものだなデェトは」

 

 こんなやり取りを先輩達として、気づけば〈あの日〉から1週間が経過しようとしていた。

 

「修……お前はこれから彼女に再び出会うだろう。しかし修は自分が信じた言葉を告げれば良い。それに何かあれば私達も手を貸すさ」

 

「十香先輩! それは一体どういう……」

 

 僕が先輩の言葉を理解する前に空間震が発動して僕達三人は慌てた姉さんの手によって〈フラクシナス〉へと回収された。




士道の恋人である十香先輩達に協力して貰い積み重ねた訓練。そして再び再会する事になる翼に修が伝える言葉とは……

次回〈再び見えた少女〉

更新をお待ちください。

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この続編……メインヒロイン交代しちゃいます?

  • キャロル1択だよ!
  • せっかくだからヒロイン交代で
  • 前任者達も参戦!
  • 精霊達に押し倒されてしまえ!
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