その行動が迎える結末とは……
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都立来禅高校……僕達の通う学校にして今回の〈空間震〉の発生地点。
「この先にあの日出会った翼さんがいるんですね。わかりました……僕は行きます!」
僕は教えて貰った翼さんのいる教室の扉を開けた。すると翼さんは僕の姿を確認すると、驚くべき早さで近づいて頬に刃を突きつけた。そしてあの日のように僕の左頬からは血が流れて彼女は恍惚の表情をしていた。
「良かったわ……貴方は生きていてくれたのね。貴方に〈私〉という存在を刻まないといけないわ。それもとても深くに……ね」
何を言っているのかが良くわからない。僕に〈彼女の存在を刻む? 〉何の為にそんな事を?
「何故……僕に刻まないといけないんですか? もっと別のやり方があるんじゃ……」
僕は途中で言葉を止め
なんで僕が? そう尋ねようとした時、僕の傷口は彼女に直接舐めとられた。
「ッ!」
「可愛い反応ね。でも私は貴方の名前を知らないわ? 教えて貰えないかしら?」
僕が拒否をする前に翼さんは拘束している右手に力を込めようとした。不味い! このままだと絞め殺される!?
『修! 修! 返事をしろ! 一体何があったんだ!』
通信機から姉さんの慌てる声が聞こえた。そして翼さんは腕に力を込めながら今にも泣きそうな声で呟いた。
「もしかして私以外に大事な女の子でもいるの? ダメよ。貴方は私の為にいるべき人なのよ? 絶対に逃がさないわ!」
僕は首を絞められた為に答えられない。すると僕の耳からインカムが外れ、姉さんの声がスピーカーになって響いた。
『修! 返事をしてくれ! 修!』
「そう……修というのね。ありがとう姿の見えない誰かさん。……貴女のお陰で私は彼の名前を知れたわ」
すると彼女は右足でインカムを踏み砕いた。そして僕の首へ回す腕の力を抜いた。
「ゲホッ! ゲホッ! なんで……こんな事を!」
呼吸を整えながら僕は何とか翼さんに尋ねた。
「そうね。修が私だけのモノになると誓ってくれたら教えてあげるわ。だからそれ以外の人間は不要でしょう?」
その言葉に僕は絶句した。なんで……そんなに
「簡単な事よ。私は修さえいれば良いの。修以外の人間は私の事を否定するわ。だって私は命を狙われているんでしょう?」
なんで翼さんはそこまで人を信じないんだ? そう僕が問いかける前に教室に向かって銃弾の雨が放たれた。
「翼! 逃げてくれ!」
僕は翼を突飛ばした! そして翼の前に立ちはだかった!
「やめて! 私の目の前からいなくならないで! やっと私は巡り会えたの! だからやめて! 私から奪わないで!」
翼は不思議な力で僕の前に玉座を出現させた。そして銃弾は玉座を貫く事はできなかった。
「ごめんなさいね。すぐにあの恐い人達を殺してくるわ。でも修を守る為には仕方ない事よね?」
翼が恐ろしい事を言い出して僕は体が震えた。だけど〈ソレ〉が取り返しのつかない事態を引き起こす確信だけはできた。だから僕は右腕で翼の腕を掴んで、左手で翼の顔をひっぱたいた!
「きゃあ!」
悲鳴をあげる翼は何故いけない事なのかわからない顔をしていた。
「やめてくれよ翼! そんな事をしても何も変わらない! ただ力に怯える人間が増えるだけだ!」
「嫌よ! 私には修しかいないのよ! 修を傷つけて良いのは私だけなの! 修は私だけのモノなの!」
意味がわからない。何故翼は僕に拘り続けているんだ? 僕達はつい1週間前に出会ったばかりだ。なのになんでこんな事に!
「絶対にダメだ! だったら僕はこの右手を離さない! この手を離したら僕は絶対に後悔してしまう! 僕を悲しませないでくれよ!」
僕は翼の腕をより強い力で握る。すると翼は何かに気づいた顔をしていた。
「あぁ……そうなのね。やっぱり私と修を繋ぐのは〈痛み〉だけなのね。なら仕方ないわ……だって私は〈精霊〉なのでしょう?」
「知って……いたの? じゃあ……どうして僕に……」
僕は言葉を続ける事ができなかった。翼が僕の制服を切り裂いた為だ。
「一体……何を……して……いるん……ですか?」
「わからないかしら? 修の服を切り裂いたのよ? 言わなかったかしら? 私は修に〈存在を刻む〉って」
「何かの……例えじゃあ……ないのか?」
僕は何とか声を絞り出した。しかし声量は情けない程にか弱いレベルだった。
「言葉通りの意味よ。でもやっぱり頬の傷だけというのは物足りないわ。まずは頬だけど次は首ね。そして次に両腕・胴体・両足……あらゆるところに〈私〉という存在を刻むわ。掠り傷程度だと治ってしまって台無しだわ。もっとしっかり……もっと深く……修は私だけなら傷をつけても許してくれるでしょう? だって修と出会った時から私の胸は高鳴り続けているわ。これはきっと私達の出会う事は運命で決まっていたの! やっと私は見つけて貰えたの! なら私は待ち焦がれた分だけ証を刻まないといけないわ。じゃないと次にいつ修と会えるかわからないのよ? そもそも私はずっと一人だったの! やっと見つけて貰えたの! なら良いじゃない! 少しくらいわがままでも聞いてよ! お願い側にいて! 私だけのモノになって! お願い修! お願いお願いお願いお願いお願いお願い! 私だけのモノになってなってなってなってなってなって! もう一人は寂しいの! 私だけの温もりが欲しいの! 何でもするから! 恐い人達も殺すから! 皆殺すから! お願いよぉ……私を一人にしないで。私だけの修でいて! 恐いモノから守ってくれる修でいて! 修の恐いモノは排除するから! 絶対に私は離さないから! お願いよぉ……だから私の存在を修の体に刻ませてよぉ……そして私を修の手で殺して」
訳がわからない。翼の言う事が支離滅裂だ。何でこんなに歪な心をしてるんだ?
「お願いよぉ……何とか言ってよぉ……」
翼はあの破綻した独白の際も、今にも泣きそうな顔をしながらその手で自分の顔を掻きむしってるんだ? 何でそんなにも美しい筈の顔を自分の手で傷つけているんだ?
「落ち着いて。僕は逃げないし、今の翼は逃がさない。今僕が手を離せば翼はすぐにでも彼女達を切り裂くつもりでしょう? だったら尚更この手を離す気にはなれない!」
「じゃあ……私はどうすれば良いの? 私にあるのは〈風鳴 翼〉という名前と〈サンダルフォン〉のみなのよ? 他には何もないのよ……」
姉さんが言ってたな。〈精霊〉は右も左もわからない状態でこの世界に放り投げられた。彼女達に残っているのは圧倒的なまでの力を振るう〈天使〉と自身の名前のみ。
「皆私に手を差しのべるどころか命を奪おうとするわ。私が何をしたの? 私はどうすれば良いの……?」
尚も翼は掠れて小さな声で縋るように僕に尋ねる。
「じゃあもし……だけど……力を制御できるとしたら?」
「力の……制御?」
ようやく翼の反応に変化があらわれた。このまま僕の話を聞いてくれたら良いんだけど。
「翼の力を制御できれば〈空間震〉は発生しない。そうなれば翼を襲う理由は無くなるんだ。だから僕の事を信じてはくれないかな?」
「本当に私の力を制御できる方法があるの?」
「ある。だけどその為には僕の事を信じて欲しい」
「私を捨てないよね?」
「絶対に見捨てないよ。だって僕は……」
その先を告げる前に校舎に向かって
「危ない! 」
「修!? 一体何を!?」
僕は間に合う事を信じて翼をもう一度突飛ばした。そしてライフルの狙撃から翼を逃がそうとした。
「まさか!? やめて……やめて修! 」
翼が叫んだ時には既に僕達の側まで銃弾が迫っていた。今から回避するのは不可能だろう。
(だけど残念だな……僕は翼を救いたかったのになぁ……僕に力があるならお願いだ。翼を助けさせてくれ……)
走馬灯のように後悔と未練……そして願いを込めたその瞬間……
「この……輝きは……?でも……やってみよう。Imyuteus amenohabakiri tron~~♪」
そして僕がその現象に戸惑っていると翼が小声で何かを呟いた。
「アメノ……ハバキリ……?」
すると僕は突然現れたプロテクターのような何かに体を包まれた。そして……僕の体にライフルの弾が直撃して吹きとばされた。
「修! 嫌よ! 行かないで!」
翼はすぐに僕の事を追って来た。そして僕に駆け寄るとペンダントに手を充てていた。
「僕は……生き……てる……のか?」
どうやら意識も保てているみたいだ。そして翼の体も蒼色の輝きに包まれた!
「……そう。やっぱり修は貴方だったのね※※※。やっと理由がわかったわ」
翼はうっすらと意識の残る僕にキスをした。そして僕は意識を手放した。
剣の精霊を無事に封印した修。しかし翼の現界は事態の始まりに過ぎなかった……
次回〈事態の裏側では〉
更新をお待ちください。
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この続編……メインヒロイン交代しちゃいます?
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キャロル1択だよ!
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せっかくだからヒロイン交代で
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精霊達に押し倒されてしまえ!