声がきこえる。
『サンダルフォンの力を取り戻したか。それでこそオレの伴侶の※※※だ。……しかしそれでもこの程度の力しか今は発揮できない……か。忌々しい事だ』
声の主はこの現象を知っているらしい。
『やはり※※※を元に戻すには全ての天使が必要不可欠か』
他にもこんな力を持つ人がいるの?
『しかし……これは始まりだ。〈オレ達〉の新たなる関係への……』
声の主は僕の問いかけに答えない。……いや、そもそも
『いずれ奴等も気付くだろう。オレ達と※※※がこの世界でも絶対の関係だという事をな』
僕の意識はで途切れた。いや、現実に引き戻されるような感覚に襲われた。
「ここは? それに翼は?」
僕は今自分がどんな状態なのかを把握できないでいた。だから周囲を見渡すとよく知る人達で溢れかえっていた。
「よぉ修……災難だったな。そして済まなかった。オレ達の想像が遥かに甘いと思い知ったよ」
最初に僕へと声をかけたのは士道先輩だった。
「どういう……意味ですか?」
「そのままの意味さ。オレ達は今回の接触ではここまでの大事になるとは思わなかった。せいぜい校舎が銃弾の嵐に襲われただけだろうと思っていた。そしたら修のインカムは破壊されるわ、〈AST〉の未来が〈CCC〉を持ち出して発射するわで対応が後手後手になってしまった。そのせいで修に対する備えを十分にしてやれなかったよ。あれだけ万全のサポートをすると言いきったのになぁ……」
士道先輩の様子は本当に後悔をしてもしきれないといったモノだった。そしてそれは他のメンバー……特に姉さんは涙で顔を腫らしていた。
「いえ……大丈夫……とまでは言えませんが、覚悟していた事ですから。でも教えてください。その口振りの士道先輩がなんであの事態を予見できなかったんですか?」
士道先輩は言いにくそうに言葉を続けた。
「いくらASTでも校舎に向かって派手な攻撃はしないだろう。してもせいぜい威嚇射撃ぐらいだろうと思っていた。避難状態が定かじゃない内に校舎を吹き飛ばし兼ねない攻撃は自衛隊の理念でもしないと思っていたのさ」
「ASTは仮にも自衛隊の一部だ。だから強硬には準備と承認が必要な筈だった。しかしさっき名前を出した〈未来〉は既に準備と申請を済ませていたんだ。それも翼が現れた直後には攻撃に参加せず、狙撃の為に一人部隊から離れて……な」
僕は未来の発想力と準備の周到さに驚いた。いくら精霊が危険だからって周囲の避難を省みずに切り札の準備を進めたなんて。
「だけどその説明ならただの独断専行ではないという事なんですね?」
すると今度は姉さんが解説した。
「あたし達は修のインカムが破壊された事ですぐに翼とASTの動向を確認した。そしたらその状態だ。いくらあたし達でももう介入する事ができなかった」
すると謎の人物が突然現れて解説を始めた。
「これはそれだけ精霊を排除したいと自衛隊が考えている事に他ならない。それもどんな犠牲を払ってでもするべき……って理念を持っているという事だ。それが現在の自衛隊の責任者でもある〈風鳴 訃堂〉のやり方さ」
「貴方は……一体誰ですか?」
謎の人物は直ぐに説明を始めた。
「ああ……すまんな。俺の名前は〈風鳴 弦十郎〉だ。クリス君達〈フラクシナス〉は我々〈ラタトスク〉の最前線部隊だ」
また〈風鳴〉だ。これは明らかに翼と関係があるはずだ。
「〈弦十郎〉さんと〈翼〉、そして今名前をあげた〈訃堂〉の関係性の説明を求めます。構いませんよね?」
すると弦十郎さんは笑顔で教えてくれた。
「そうだな! まず翼は俺の姪に当たる存在だ。正確には俺の兄貴である、〈風鳴 八絋〉の娘だ。そして俺と八絋兄貴は〈訃堂〉の息子だ。しかし親父のやり方に納得のできなかった俺と兄貴はラタトスクを立ち上げた。そしてここ3ヶ月で翼が精霊としてこの天宮市に現れた訳だ」
「それは……貴方達が陸自司令官の息子であり、翼さんが貴方のお兄さんの娘で、精霊は元々人間だという事ですか?」
「ああ。表に出せる訳がないトップシークレットの情報だ。今回の対応が後手後手に回った謝罪としてこの情報は修君に開示するべきだと判断したのさ」
言葉にならない。〈空間震〉は〈精霊〉がこちらに現れた際に起こる現象だ。しかし
「その表情……どうやら困惑してるみたいだな。だからいずれこの続きを知りたい時はクリス君に言って欲しい。彼女にも伝えた事だ。修君は修君のペースで理解してくれたら良い。それにな……これ以上知りたいと思わなければ忘れてくれてもかまわない。それだけの情報を修君は知るべきなんだ」
弦十郎さんはそう言い去って行った。僕は本当に重大な事を知らされたみたいだな。
あたしはオッサンが修に〈精霊の真実〉を告げた。
「どういう事だオッサン! なんで精霊の正体が〈あたし達〉だと告げた! なんで……修に……」
あたしは言葉を続けられなかった。
「すまんなクリス君。しかしそれはいずれわかる事でもある。それも……〈勇君〉としての記憶を取り戻したらいやでもな」
わかってる。遅かれ早かれって奴だ。だけどなんで今なんだよぉ……。
「そもそも翼が記憶とギアを取り戻した。いずれ翼が語る可能性もあるだろう? それなら立場のある人間が説明するべき事だ。俺達はその為の司令であり……艦長だろう?」
そうだな。力を持つ奴の責任だ。だからオッサンは責任を果たしている。そこにあたしはケチをつけられない。
「ならオッサン……残りの連中の捜索は急いでくれよ? 他の連中が翼と同じ考え方してたら対応は後手後手だからな?」
そう言ってあたしはオッサンとの話を終えた。
オッサンとの話を終えたあたしは翼に呼び止められた。
「やはり雪音は〈憶えているのね〉」
「何の用だ翼? あたしはお前をぶち殺してぇ。修のファーストキスを奪った罪は重いぜ?」
あたしは翼の手段が嫌いだ。修の優しさに漬け込みやがったそのやり方がな。
「でも安心したわよ雪音。だってその反応……貴女はまだ修とキスをしていないという事でしょう? なら私は貴女よりも先にいるわ。悔しかったら精霊の力を手放す事ね?」
翼はそれだけ言うと去って行きやがった。クソッ!! これじゃああたしの稼いだアドバンテージが消えちまう! 何とか手を打たないとなぁ!
「とりあえず勇のハジメテを今度こそ貰わないとなぁ……〈アイツ〉には絶っ対に渡す訳にゃあいかねぇなぁ!」
あたしはいずれ 現れる筈の〈アイツ〉をぶちのめすまでは〈カマエル〉の力は渡せねぇ。それだけは絶対に渡さねぇからよぉ!
あの後僕は真剣に考えて一つの答えを出した。
「〈空間震〉を発生させるのが〈精霊〉で、精霊は元々人間だった。だけど記憶を失っていたんだ。だったら僕のやる事も変わらないな」
そう決意した時に部屋に来客だ。
「失礼するわね。修……もしかして私はお邪魔だったかしら?」
「大丈夫だよ翼。僕は君を拒絶しない。約束したからね」
僕はそう言って翼を僕のベッドの横に招いた。
「ふふっ、やっぱり修は優しいわね。じゃあ遠慮なく……」
翼は僕の側に来るとディープキスをした。…………え? ディープキス!?
「翼……今……僕に!?」
「えぇ。私の愛しい修。貴方には私の全てをあげるわ。まずは私の体で辛い今の貴方を癒さないといけないわね?」
そう言って翼は僕の服に手をかけてボタンを外した。そして今度はズボンへと手を伸ばして来た! ……て言うか翼の格好がそもそも薄着だった!
「待ってよ翼! 僕から離れて! 今大変な事になってるから!」
「かまわないと言った筈よ? それに私は修になら〈何をされても〉構わないわ。〈今直ぐに始めて〉も良いのよ?」
そう言って翼は本日二度目のキスをしてきた! ヤバい! 助けが呼べない!
(クソ! 何か……何かないのか?)
辺りを見て僕はあることに気づいた。そのために翼にキスを止めさせた。
「もうおしまいかしら? 私はまだまだ物足りないわよ?」
「翼さん……ごめんなさい」
僕は盛大に緊急コールを鳴らした! これで事態を乗り切れる筈だ!
ビィー! ビィー! ビィー! ビィー! ビィー! ビィー! ビィー! ビィー! ビィー! ビィー!
「恐ろしいぐらいの大音量だね。だけどごめん翼。もう今日はあきらめてね? そして今度はきちんと話しあってから考えよう?」
「はぁ……仕方ないわね。また来るわ。だから次は貴方の〈ハジメテ〉を私にちょうだいね?」
翼はそう言い残して逃走した。頼むから今日はもう安眠させて欲しいなぁ。
今作ではヒロイン達は自重を取っ払いました。それはもう修君の貞操を虎視眈々と狙っています。
次回〈雨の日に現れる少女〉
更新をお待ちください。
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この続編……メインヒロイン交代しちゃいます?
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キャロル1択だよ!
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せっかくだからヒロイン交代で
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前任者達も参戦!
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精霊達に押し倒されてしまえ!