そして偉大なる先輩達も登場します。
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雨の日に現れる彼女
翼が此方の世界に留まれる様になって凡そ1ヶ月が経過した。そしてその間に僕を取り巻く環境も大きく変化した。
「はい! そういう訳で本日より転入生として皆さんとクラスメイトになる〈風鳴 翼〉さんです。皆さんも仲良くしてあげてください!」
「風鳴 翼よ。皆……こんな私だけどよろしくね?」
『ウオォォォォ──ー!!』
男子が歓喜の声をあげた。
「可愛い女の子だね」
「アニメみたいな娘だね!」
「人柄もナイスな方みたいですわね」
女子の方もそのおしとやかな雰囲気に心を許した様子だ。
「ねえ修君……私は貴方が〈あの日〉に校舎に残っていたのを知ってるの。そして貴方があの場所にいた事もね。だから何を隠してるのかを教えてくれない?」
昼休み……クラスメイトの未来が僕に詰めよって来た。そして〈あの日〉とは翼が来禅に現れた日の事だ。
「その質問の答えをするなら僕も質問があるよ未来さん。どうして貴女はその事を〈知ってる〉の?」
「ッ!」
僕の質問はどうやら未来さんには効果的だったみたいだ。
「風鳴翼は精霊だよ。空間震の被害を目の当たりにした修君はわかっている筈よ。そんな彼女をどうして庇うの?」
「それは翼の意思で行っていた事じゃないんだ。翼は右も左もわからない世界に突然放り出された女の子なんだ。だったら僕は手を差し伸べるよ。それに今〈空間震〉は起きていない。翼が何かのトラブルを起こしてる訳じゃないんだ」
「……そうだね。確かに今の風鳴翼は被害を出していない。だから憶えておいてね? 彼女はバケモノだよ……それも無自覚のね?」
「そうかもしれない。でもそれなら僕は翼に手を差し伸べるよ。僕がそうしたいんだからね」
「やっぱり生まれ変わっても勇君は私の大好きだった勇君のままなんだね。じゃあもう時間がないなぁ。早くしないと響も……〈※※※〉まで活動を始めちゃう。私も覚悟を決めないと……」
「ごめん未来……上手く聞き取れなかった。もう一度言ってくれないかな?」
「大丈夫だよ! それに私はこの事をまだ認めてないから。もし何かあったら私は翼を殺す……それだけだよ」
「なら僕は未来も翼も止めるよ。それが僕の覚悟だからね?」
未来は僕の言葉を聞き届けて教室を後にした。
「じゃあ翼……先に家に帰っていてね? 僕は買い物を済ませて帰るから?」
「えぇ……じゃあお言葉に甘えるわ。それにクリスさんと少し話があるもの」
「姉さん……か。わかった……早めに帰る様に伝えとくよ」
「ありがとう……愛しているわ修」
翼は僕の頬を撫でると先に帰って行った。そしてそれから少しして珍しい人物が教室に入って来た。
「あの……修君はまだ……あっ! 良かった」
教室に来たのは〈氷芽川 四糸乃〉先輩だ。琴里先輩や姉さんと同じ三年生で、姉さんの友人の一人であり、〈士道先輩〉に好意を寄せる女性の一人だ。
「珍しいですね四糸乃先輩。今日はどうしました?」
「今日の天気予報が外れる気がしたから傘を持って来たよ?」
そう言って先輩は
「先輩……翼は既に帰りました。一本多いですよ?」
「ううん……
〈その傘は今日の修に必要だからあげて欲しい〉
って預かった物だからね?」
先輩達は預言者か未来予知でもしているのかな? ……まあそういう事ならありがたく受けとっとくか。
「わかりました四糸乃先輩。じゃあもう一つお願いをして良いですか?」
「良いよ? どんなお願い?」
「姉さんにへの言葉なんですが、
〈今日は早めに帰って欲しい。翼から話があるらしい〉
ってお願いします。よろしくお願いします」
「うん……大丈夫だよ。それじゃあ私はクリスに伝えに行くね?」
「よろしくお願いします」
すると先輩は三年生のフロアへと戻って行った。
「おっ? なんだ高崎か……まだ教室にいるなんてな。一緒に帰るか?」
「うるさいよ平原。そしてごめんな今日は買い物があるんだ。悪いけどパスで」
「あいよ。それにしても士道先輩の勉強って本当に的確だよなぁ……安藤達も近々礼がしたいってよ」
「んーそっか……わかったよ。じゃあ氷芽川先輩が多分まだ近くにいると思うから探してみたら? 三年生のフロアにいる筈だから」
「そっか。じゃあ氷芽川先輩を探して伝言を頼むわ。そんじゃあお前も早く帰れよ~!」
平原も教室を出て行った。
「さて……僕も帰るとしますか!」
僕はバス停に向かい、今日の晩飯の材料を購入するべくスーパーに程よく近い場所を通るバスを待った。当然だが、雨も降っていないのに傘を二本持つ僕は不思議な視線を向けられた。……士道先輩を少しだけ恨みたくなった。
『太陽 輝ちゃんのニューシングル
〈Rainbow Flower〉発売決定!勢い好調な彼女のシングルをお求めの方は最寄りのお店まで……』
「あれ?この間もシングル出してなかったっけ?この娘凄いペースでシングル出すな……」
スーパーにおいてあるテレビでは話題の太陽ちゃんのシングルが宣伝されていたが、僕はそれほど気にせず買い物を続けた。
『ありがとうございました~!』
スーパーで無事に買い物を終えて店を出ると雨雲が近づいていた。
「今日の献立はハンバーグで良いな。っていうか先輩達の勘当たってるかも……予報が外れそうじゃん!」
僕は急いで家に帰ろうとした。そしてスーパーと自宅のほぼ中間地点にあたる公園で土砂降りの雨となった。
「傘渡されて良かったな……ん? あの娘……なんでこの雨の中で公園に?」
僕の通りかかった公園は遊具も少なく、雨を凌げる場所はない。しかし僕が見た少女は
「ちょうど先輩に渡された傘もあるし、様子だけでも確認しようかな?」
そのまま素通りすれば良い筈なのに、僕は不思議と少女へと歩み寄って声をかけた。
「どうしたの? こんなに土砂降りの中で傘をさしてないなんて風邪を引くよ?」
少女は声をかけられて初めて僕の存在に気付いたようだ。
「あぁ……すみませんね。私……セレナと言います」
彼女はセレナと言うらしい。でもまだ謎は解決していない。
「セレナさん……家はこの近くですか? こんな雨ですから早く帰った方が良いですよ?」
セレナさんはうつむきながら答えた。
「いえ……近くではないんです。でも……大丈夫ですから……」
僕はふと四糸乃先輩に託されたもう一つの傘を差し出した。
「じゃあせめてこの傘を使ってください。返さなくても大丈夫ですから」
「いえ……大丈夫です。そこまでして貰う必要は……」
「じゃあこれは僕の自己満足です。ちょうど傘が二つあって濡れてるセレナさんがいた。だから使ってください。その方が僕も安心できますから?」
セレナさんはしばらく悩んだ後に傘を受け取ってくれた。
「ありがとうございます。じゃあ……また出会えた時にはお礼をしますね?」
「返さなくても大丈夫ですよ。だって余分に持っていた傘なんですから」
僕はセレナさんに傘を渡して公園を後にした。しかし母さんからのペンダントが〈青色に〉光った事には全く気付く事はなかった。
「ヘクシュ! ヤバい……僕が風邪を引く前に早く帰ろう。そしてさっさとシャワーでも浴びよう」
僕は購入した食材の事も思い出して急いで家に帰った。
私はここがどこなのかわからない。覚えている事は自分の名前が〈セレナ〉だという事。そして〈氷結傀儡(ザドキエル)〉を所持している事のみ……だった。
「でも……あの人のペンダントが〈青く〉光ってたなぁ。綺麗な光だったなぁ」
私はふとあることに気付いた。
「もしかして私が探していた〈誰か〉ってあの人なのかな? それなら嬉しいなぁ……だってあの人はすごく優しい人だったから……」
私を見た人は皆恐い人ばかりだった。私は何もしていない筈なのに攻撃をしてくる。なんでだろう? 私は何もしていない。だけど私がここに来ると周囲が酷い事になっていて、〈お前の仕業〉だと言われる。
「だけどあの人は違ったなぁ……」
あの人の事を考えると胸が苦しい筈なのに幸せな気持ちになる。こんなに素敵な人はきっといないのだろう。
「あの人にずっとそばに居て欲しいなぁ……私だけの王子様みたい……」
私は何も知らない筈なのに不思議と言葉が止まらない。だけど今日初めてわかった事もある。
「あの人と離れたくない。何をしても……例えあの人が私を嫌っても私のそばに置かなくちゃ……」
私があの人と再会するまでそう長い時間がかからない予感が……不思議としました。
「さあ……私の戦争(デート)をはじめましょう?」
心優しい少女は人からの優しさを知った。そしてその人物を求め始める……
次回〈少女の探し物〉
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この続編……メインヒロイン交代しちゃいます?
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キャロル1択だよ!
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せっかくだからヒロイン交代で
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