星降る夜のイヴ   作:野生のムジナは語彙力がない

3 / 6
お帰りなさい! 指揮官様!

24日! クリスマスイヴなのです!
皆さんはこの日のディナー(アイサガ内の)は誰と過ごしましたか? ムジナはウェートレスを大量に用意して酒場に行ったのですがオーランド→ブラドレイ→リヒャルト→ブラドレイとむさい男ばっかりで、最終的になんとかテレサを呼び出すことに成功しました。

マップ上にキープしていたウェートレスを殆ど使い切ってしまいました。

まあそれはいいとして、本作はムジナがその身を犠牲にして、イヴを過ごす全ての指揮官様に向けて文字起こしした作品でありますゆえ、本作を読んで少しでも心があったかくなっていただければさいわいです。

それでは、続きをどうぞ……


第2話:あこがれのイヴ

新クリスマスイベント(中編)

 

 

 

それから1時間後……

 

 

 

「よお! 凡人!」

 

 

 

やたら偉そうな声と共に、その人物は勢いよく扉を開け、コツコツという足音を鳴らしながら多目的ホールの中へ入ってきた。

 

色鮮やかな赤色のツインテール

 

髪に合わせて同系色で統一された服

 

美しい赤と青のオッドアイ。そして、小柄で幼いながらもそれを感じさせない大人びた顔立ちと、堂々たる佇まい……

 

「去年に引き続き、呼ばれたから来てやったぞ」

 

それは、機械教廷の総司令官……スロカイ様だった。

 

「……む?」

 

お目当ての人物を探して多目的ホールの中を見回したスロカイは、ホールの隅の方で何やら小さくなっている指揮官の姿を見つけて首を傾げた。

 

「先生、元気出して……」

 

「そうですよ、指揮官様! 人はそれくらいで死にはしません……野良犬に噛まれたと思って気楽に行きましょう」

 

…………うう

 

暗い表情のまま体育座りをしている指揮官を、龍馬とスノーは必死になって慰めようとしている。その両腕は、相変わらず手錠で繋がれていた。

 

「おい、凡人」

見かねたスロカイは、近寄って声をかけた。

 

(ああ、スロカイ様……いらしてたんですね)

 

「無様な姿だな、何かあったのか?」

 

(……聞かないでください)

 

「そうか。まあ、よい……」

 

スロカイはそこで口角を上げて指揮官を見下ろした。

 

「それよりも凡人。日々多忙を極める余が、凡人の誘いに応じて直々に出向いてやったのだぞ? 今日ばかりは余のことを盛大にもてなすことを許してやろう」

 

(……申し訳ありませんスロカイ様。今暫く、自分にショックから立ち直れるだけの時間を下さい……)

 

「なんだ、つまらん……なるべく早くしろ」

 

指揮官の言葉に、スロカイはため息を吐いた。

 

「凡人! 長いぞまだか?」

 

(まだ1分も経ってませんが……)

 

「1分1秒たりとも無駄にはしたくないのでな」

 

(申し訳ありません……)

 

指揮官の様子に辟易としたものを感じたスロカイは、指揮官の側に寄り添う龍馬とスノー、そして扉の近くに佇む命美を見回した。

 

「おい、有象無象ども。何があったのか説明しろ?」

 

3人「…………」

 

しかし、3人とも口を噤んだままだった。それどころか、スロカイのことを見ようともせずに微妙な顔をして、視線を明後日の方向へ彷徨わせた。

 

「一体、何があったと言うのだ?」

 

そんな様子に、流石のスロカイも困惑気味になっていると

 

「お! 来たわね、久しぶり〜」

 

扉を開けて、セラスティアが多目的ホールの中に入ってきた。彼女は指揮官を見下ろしているスロカイのことを見つけるなり、気さくに手を振った。

 

「む? ああ、誰かと思えばお姉ちゃんではないか」

 

 

 

お姉ちゃん!!!???

 

 

 

スロカイの発した言葉に、ホールにいた誰もが驚愕した。無論、それは落ち込んでいたはずの指揮官も同様だった。

 

 

 

2人の話を要約すると、こうだった。

 

昨年のクリスマスにて、運命的な出会い(?)を果たしたスロカイとセラスティアは……似た者同士で気が合ったということもあってか、サンタクロース捕獲作戦を経てお互いに実力を認め合い、次第に打ち解けて、今では基地と教廷を繋ぐホットラインに便乗して、気軽にメールでのやり取りを行う仲にまでなっているとのことだった。

 

当然のことながら、2人に血の繋がりがあるわけではない(多分)。しかし、先ほどのスロカイの「お姉ちゃん」発言は、スロカイのなりの戯れでありながら、2人の仲の良さが伺える一言でもあった。

 

 

 

(ふぅん、ホットラインでメールねぇ……)

 

「まあまあ、硬いこと言わないの〜」

 

有事の際にのみ使用されるホットラインを、常日頃から私的に利用していたという事実に目を光らせた指揮官に対し、当のセラスティアはそう言って肩をすくめて見せた。

 

「まあ、そんな感じで1年前は色々あったけど、今ではすっかり仲良しってわけなのよ! この前も夜遅くまで兵器開発とかの相談に乗って貰ってたし〜」

 

「はあ? 仲良しだと? 他に話せる相手がいないからって、仕方なく付き合ってやっただけだ。お友達ごっこなど、あり得ないな?」

 

「相変わらず、妹ちゃんは素直じゃないわね」

 

「それはお姉ちゃんも同じでしょ〜」

 

……いや、絶対仲良いでしょ

スロカイが珍しく言葉を崩しているのもそうだが、なんだかんだ言いつつもニヤリと笑い合っている2人を見て、指揮官は密かにそう思った。類は友を呼ぶという言葉もあることから、似た者同士である彼女たちが引かれ合うのは必然だったのだろう。

 

「それで、指揮官はどうしちゃったの?」

 

セラスティアはホールの隅で、未だ落ち込んだ様子を見せている指揮官を指差して、隣の命美へと尋ねた。

 

「それは……」

 

「何よ?」

 

「いや、その……私の口からそれを言うのは、その……指揮官の名誉に関わることだから、あんまり……」

 

「名誉? 名誉って何よ……って、まさか!」

 

命美の態度から察したのか、セラスティアは最悪の事態を想定して指揮官のことを二度見した。

 

「まさか……指揮官にアレしちゃったの?」

 

「…………はい、セラスティアさんの指示通り瓶を使って」

 

「…………ッッッ!!!」

 

そこでセラスティアは顔を真っ赤にした。

 

「え……? 本当に、この部屋で……指揮官が?」

 

「え? でもセラスティアさん言ってたじゃないですか。何があっても指揮官を部屋から出すな『小なら瓶、大ならおまる』って……」

 

「本気でやれとは言ってないわよ! あれはただの、冗談のつもりで……っていうか、指揮官すっかり落ち込んじゃってるじゃないの!」

 

「えぇ……?」

 

セラスティアの言葉に、命美は体を脱力させた。

 

「その、申し訳ありません……今思えば、指揮官をここから出すなっていうルールを意識するあまり、人としての思慮に欠けていたと思うわ」

 

「ああ……その、私だって悪かったわ……冗談が過ぎたというか、何というか……」

 

セラスティアと命美がそんな会話を繰り広げている一方で、もし一歩間違えていれば、尿瓶ではなくおまるが待っていたという衝撃の事実を知り、指揮官は心の底からゾッとするものを感じていた。

 

「ああ、そういうことか」

 

2人の会話から大体のことを察したスロカイは「災難だったな、凡人よ……」憐れむような目で指揮官のことを見下ろした。

 

「お前たち……いくら凡人とはいえ、それ以前にこの基地の最高司令官なのだろう? やっていいことと悪いことがあるとは思わんのか?」

 

スロカイの正論に

「う……」

セラスティアと命美はぐうの音も出ない様子だった。

 

(しくしく、もうお嫁に行けない……)

 

知られたくないことをスロカイに知られてしまったことに対する羞恥から、指揮官は影の落ちた顔を両手で押さえて悲壮を露わにした。

 

「その……ごめんなさい指揮官」

 

非常に申し訳なさそうな顔をして、セラスティアは指揮官に深々と頭を下げて謝罪した。

 

「でも安心して。その時は……わ、私がお嫁に貰ってあげるから……」

 

「は?」

 

セラスティアの言葉に反応したのはスロカイだった。さりげなく上から目線のセラスティアに対して彼女が物申してくれるのだと、指揮官が思っていると……

 

「おい、お姉ちゃん? 抜け駆けは許さんぞ」

 

それは違う意味での『物申す』だった。

 

「凡人は余のものだ。決してお前のものなどではない。ゆくゆくは身体を機械化し、余の忠実な右腕として、末永く我が機械教廷で采配を振るってもらう……これは決定事項なのだ」

 

「はぁ!? 何よそれ!」

 

胸を張ってそう告げるスロカイに、セラスティアは青筋を浮かべた。

 

「何よ指揮官! この私ともあろうものがいるにもかかわらず、この女とそんな話してたっていうの!?」

 

(いや、そんなの知らない……)

 

 

 

「なんだ、忘れたのか? 凡人……」

 

 

 

そう言ってスロカイは指揮官の前へ膝をつき、その白く細い指で指揮官の頰を優しく撫でた。

 

「まあ凡人は酒に酔に払っていたから覚えていなくとも仕方がないが……あの夜に、ベッドの上で誓ってくれたではないか。時が来れば、自分の全てを余に差し出すと」

 

「べ……ベッドの上!?」

 

セラスティアの頰が一瞬にして赤く染まった。

 

「その力強い言葉に免じて、凡人の求めに応じて余も体を許してやったのだが……はぁ、これだから凡人は、所詮はケダモノだったというわけか」

 

「か、体を……!?」

 

(違うッ!)

思わず指揮官は声を上げた。いくら酒に酔っていたとしても、指揮官として軽率な言動はしないように心がけているつもりだった。

 

「しぃきぃかぁん!?」

 

しかし、スロカイの言葉を信じ切った彼女に指揮官の言葉は届かず、ついに怒りの矛先が指揮官へと向けられた。

 

(セ……セラスティア、ステイ!)

 

「誰が!」

 

(命美……助けて)

 

助け舟を求めて入口近くの命美へと振り返った指揮官だったが、そこにいたのはドン引きし、じっとりとした瞳で指揮官のことを見つめる彼女の姿だった。

 

「……指揮官、失望したわ」

 

それは汚らわしいものを見る目つきだった。

 

「?」

「?」

因みに、純粋で穢れを知らない龍馬とスノーは話の内容についてこれず、疑問符を浮かべてただ首を傾げるばかりだった。

 

「よくも、アタシの純情を踏みにじってくれたわね!」

 

(待って、話を……!)

うっすらと両目に涙を浮かべて詰め寄るセラスティアに、指揮官がどうしていいか分からずオロオロとしていると……

 

「おい、冗談だぞ」

 

スロカイの放った一言に、

「え……?」

指揮官へと掴みかかっていたセラスティアは動きを止めた。

 

「じ……冗談?」

 

「ああそうだ。元気が出ただろう? 凡人」

 

(え? まさかその為に……?)

 

「荒治療だが、うまく行ったようだな」

 

そう言ってスロカイはニヤリと笑った。

 

(スロカイ様、冗談が過ぎますって……あとセラスティア、そろそろ離してくれないかな?)

 

「あ、ご……ごめん」

 

小さく謝って、セラスティアは指揮官の胸ぐらからを手を離した。どっと来る疲れを感じ、指揮官はため息を吐いた。

 

……それにしても、何故セラスティアはあんなに怒っていたのだろうか? 両肩を動かして着衣の乱れを直しながら、指揮官は心の中でそれについて考えていた。

 

視線を逸らすセラスティアの頰は、にわかに赤く染まっていた。

 

命美はA.C.E.学園での風紀委員という立場上、不純異性交遊(?)に対する厳しい姿勢という意味で自分に怒るのは分かる。しかし、風紀に無縁なセラスティアが怒る理由は一体何なのだろうか……?

 

……ああ、さては自分が機械教廷に行ってしまえば、数日前に交わした賠償が支払われないと思っていたのだろう。

その結論に辿り着いた指揮官は、セラスティアのことを見て小さく苦笑いを浮かべるのだった。

 

「指揮官、何笑ってるのよ?」

 

(ん、何でもない)

 

「そう? ならいいわ」

 

指揮官のそんな様子に、セラスティアは怪訝そうな表情を浮かべつつも、そう言って軽く流すことにした。

 

「まったく、これだから……」

そんな2人を見て、スロカイは肩をすくめるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

機動戦隊アイアンサーガ

非公式季節イベント『プロジェクト・イヴ』

第2話:誓約のイヴ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、指揮官」

 

ひとまず落ち着いたところで、セラスティアがそう切り出してきた。因みに、スロカイは同行していたマティルダとウィオラの元へ戻っている。

 

「命美から聞いたわ、アンタの仕事の話だけど……」

 

仕事というのは、指揮官がやらなければならない執務のことだった。拘束・監禁されたままではできず……その中には、今日中にこなさなくてはならない仕事もあることから、指揮官は命美に相談していた。

 

(うん)

 

「さっき捕獲隊の全員と話し合ったけど、やっぱりアンタが何をしでかすか分からないから、満場一致で指揮官に仕事をさせちゃダメってことになったわ」

 

(ええ……)

 

「まあ、指揮官のことを考えると当然のことね。だから、その代わりに……命美! ちょっと来て!」

 

「え? あ、はい」

 

そこで、セラスティアは命美を手招きした。

呼ばれた命美が近くに来ると、セラスティアは彼女の両肩を掴んで指揮官の前で横並びになった。

 

「ここに、この基地が誇る天才が2人いるわ」

 

「え?」

 

突然のことに、命美は目を丸くした。

 

「天才の私たちが、働けない指揮官の代わりに仕事してあげる。それでいいでしょ?」

 

(いや、それはちょっと……)

 

セラスティアの提案に、指揮官は首を横に振った。

 

「じゃあ聞くけど……このまま何も仕事できずに明日を迎えるか、私たちに仕事を任せて平和的に明日を迎えるか、どっちが良い?」

 

(いや、だからプライバシーが……)

 

「それは諦めなさい! 大丈夫、他人の個人情報なんて興味ないし、見てもすぐ忘れるし、悪用なんて絶対にしないんだから!」

 

(……ホットラインの私的利用)

 

「う、うっさいわね! いいから任せなさいよ!」

 

指揮官の言葉にセラスティアはぎくりとしつつも、すぐさま気を取り直してそう告げた。

 

(うーむ……)

指揮官は2人を見つめ、少しだけ考え始めた。

 

とは言いつつも、指揮官は彼女たちが情報を悪用するとは微塵も思ってはおらず、2人の能力に問題があるというわけでもなかった。特にセラスティアに関しては、たまに指揮官の仕事を手伝っていたこともあり、それなりに仕事のやり方は分かっているといえた。

 

ただ、仕方がないとはいえ……自分は仕事をせずに、仲間に仕事を押し付けるような真似をしていいものかと、そういう思いから指揮官はセラスティアの提案を受けることを躊躇っていた。

 

(一応言っておくけど、多いよ?)

 

「ふふん。たとえ仕事の量が多くとも、指揮官如きにできてこの天才2人にできないことなんてないわよ?」

 

(……言ってくれるね)

 

「指揮官こそ、天才を見くびらないでよね?」

 

指揮官とセラスティアが、お互いに挑発的な視線を送り合っていると……

 

「あの、ちょっといいかしら……」

 

命美が控えめな様子で手を上げた。

 

(どうしたの?)

 

「いや、その……セラスティアさんはまだしも、私はそんな天才って呼べるほどの人間じゃないんだけど……」

 

「まあまあ、細かいことは言わないの。それとも何? 命美はやりたくないっていうの?」

 

「いえ、やりますけど……」

 

自分が天才と呼ばれることに対して微妙な顔をしつつも、命美は小さく頷いた。

 

(命美、無理はしなくてもいいよ?)

 

「あら? 私は別に無理なんてしてないわ。むしろ、指揮官の仕事を手伝えるなんて光栄の極み……それ自体は大歓迎よ」

 

2人ともやる気はあるようだった。

この状態で仕事をするなというのも野暮なこと、指揮官はセラスティアに視線を戻してため息を吐いた。

 

(じゃあ、電話を貸して)

 

「電話? 誰にかけるの?」

 

(ちょっとシェロンに。彼女なら、自分がやっている仕事のことについてもよく知っているし、2人の補助にもなるかなって)

 

「別に補助なんていらないけど……はいこれ」

 

セラスティアから端末を受け取り、指揮官は繋がれた両腕で苦労しながらシェロンへと電話をかけた。そもそも補助というのは建前で……シェロンの投入は、スタッフの個人情報がなるべく2人の目に入らないようにするためのお目付役としての意味が大きかった。

 

『んー、誰?』

 

数回のコールの後に、電話越しにシェロンの声が響き渡った。

 

(シェロン、ちょっといいかな)

 

『ああ、なんだ指揮官かー……どうしたの?』

 

(実は……)

 

 

 

指揮官は、今自分が拘束・監禁されていること、そして、今日中に終わらせなければならない仕事があると告げ、仕事の補助を行いつつ、2人が余計なことをしないように見守っていて欲しいことを伝えた。

 

 

 

『うん、つまりお仕事を手伝えって?』

 

(そういうこと。こんな日に嫌なのは承知してるけど……)

 

『ん、いいよー』

 

(…………え?)

 

てっきり嫌そうな返答が来るとばかり思っていた指揮官は、シェロンが二つ返事で了承してくれたことに驚きを隠せなかった。

 

『ちょっとー、なんか失礼なこと考えてない?』

 

(いや、いつもみたいに面倒くさがって、中々やろうとしないだろうなって思ってた。特に、今日はクリスマスだし……)

 

『むー! あたしだってやる時にはやるよ。それに……』

 

(それに……何?)

 

『あー……ううん、なんでもない』

 

(……?)

指揮官はシェロンの言いかけた言葉が気になりはしたものの、それを追求して彼女のやる気が削がれてはいけないと、聞き返さずに流すことにした。

 

『指揮官の部屋に行けばいいんでしょ?』

 

(うん、お願いね)

 

『分かった。またね〜』

 

気の抜けたような彼女の声を最後に通話が途切れた。指揮官は端末をセラスティアへと返却し、シェロンが先に部屋に行っているということを話した。

 

「それじゃあ、アタシたちも向かいましょ」

 

そうして、セラスティアと命美が指揮官の部屋に向かおうとしたところで……唐突に多目的ホールの扉が開き、そこからハヤが姿を現した。

 

「あの〜、指揮官さん」

 

(ハヤ? どうしたの?)

 

「そろそろ厨房の方を手伝っては貰えないでしょうか」

 

(あ……)

指揮官はそこで、自分が今日やるべきことが執務だけではないことを思い出した。

 

喫茶店バビロンのウェートレスであるハヤは、昨年に引き続き、クリスマスパーティーで出す料理の準備を手伝っていた。

 

しかし、クリスマスパーティーに参加するのは基地のスタッフだけではなく……それ以外にも、教皇スロカイを始めとした滅多に基地にいない客人も多くいて、それ故に、いつも以上に沢山の料理を作る必要があった。

 

基地の調理スタッフだけでは足りず、そのためにバビロンからハヤが応援要員として派遣されてはいるものの、それでも人手不足であったことから、前回は指揮官が手伝うことで何とか凌いでいた。

 

前回上手くいったことから、指揮官は次もそういう感じでいこうと考えていたのだが……しかし、今年は両腕を手錠で繋がれ、しかも監禁されるというイレギュラーにより、料理の手伝いが難しい状況に陥っていた。

 

(あー……)

指揮官がどうしたものかと考えていると、ハヤの後ろからビキニにも似た露出の多いクリスマススキンを身につけた少女が飛び出してきた。

 

「おーい、指揮官ー!」

 

(リーゼロッテ……)

 

「パーティーでテイラーと一緒にやるクリスマスライブの準備を手伝ってくれよー! あ、ついでにリハーサルにも参加してくれよな!」

 

(あー……それよりも、まずその格好で出歩くのをやめてもらいたいかな?)

 

……というか寒くないの?

苦笑いを浮かべつつ指揮官がそう思っていると……さらにリーゼロッテの後ろから、白髪の女性警官が姿を現した。

 

「指揮官はいるかい?」

 

(ヒルダ、何かな?)

 

「今日のクリスマスパーティーに参加するVIPの警護の為に、基地の警備状況やセキュリティについて打ち合わせがしたいんだけど」

 

(ああ、そうだね)

 

前年と比較すると、今年は参加者が多くなっていることに加え、ヴァルハラ同盟からはトリスタが参加予定になっていた。その為、万が一に備えて、指揮官はヒルダへ警備を依頼していた。

 

因みに、指揮官が運営するベース████にはA.I.C.と呼ばれる独自のシステムがあった。このシステムにより、基地のセキュリティが厳重に管理されているのだが、それが語られるのはまた別の機会……

 

「おーい、指揮官」

 

さらにヒルダの後ろからソフィアが現れる。

 

「約束通り、パーティー会場の設営に協力してくれよ?」

 

そう言うソフィアはイルミネーションのケーブルが入った箱を抱えていた。その他、パーティー設営に使う装飾品は昨日のうちに全て用意しており、あとは飾り付けを行うだけだった。

 

なのだが、残念なことに指揮官は多目的ホールから出てはいけないという状況に陥っており……

 

(そうしたいのは山々なんだけど……)

 

「あの、指揮官様……」

 

そこでスノーが何かを思い出したかのようにハッとした表情を浮かべ、指揮官の向かって手を上げた。

 

(スノー、どうしたの?)

 

「つい忘れ気味になってしまいましたが、今日やる予定だった倉庫の整理業務はどうしますか?」

 

「あ、そうだった……!」

龍馬もハッとしたように顔を上げた。

 

倉庫内作業。送られてきた物資の量や戦利品を一つ一つチェックし目録に記入、目録を元に貯蓄された資源の量のチェックを行うほか、必要に応じて各部署へ物資の移動を行うなど、地味だが基地の運営には欠かすことのできない仕事……

 

(そうだね、それもやらないとね……)

 

 

 

「指揮官、少しよろしいですか?」

 

「お取り込み中失礼します。指揮官様」

 

「指揮官さん、要望のあった例の件ですが……」

 

 

 

その後も、次々に基地のスタッフが指揮官の元を訪れてきた。しかし、多目的ホールに現れる人物はそれだけにとどまらず……

 

「おい! 凡人!」

 

スタッフの群れを掻き分けて再びスロカイが現れた。

その両隣にはマティルダとウィオラを従えている。

 

「いい加減暇だ、さっさと余の相手をせよ」

 

(はい、もう少々お待ちくださいませ……)

 

指揮官が青筋を浮かべるスロカイを宥めていると、またも多目的ホールの扉が開き……

 

「指揮官様ー!」

「指揮官!」

「ふははははははは君ィ!!!」

 

さらにドリス、蘇瑞、クルスが多目的ホールに姿を現し……

 

 

 

「ち……ちょっと待ちなさいよ!」

 

 

 

セラスティアの大声で、騒がしさに包まれていた多目的ホールが一瞬にして静まり返った。それから彼女は指揮官のことを睨みつけ……

 

「アンタ……執務だけじゃなくて、いったいいくつ仕事を掛け持ちしてるのよ! 指揮官ってクリスマスなのに毎年こんなに忙しくしてたわけ!?」

 

(毎年じゃないよ。今年は特に多くて……)

 

「それでも全部引き受けようとするなんて頭おかしいわよ! 何でもかんでも1人で抱え込んで……なんで、なんでもっと私たちのことを……」

 

「セラスティアさん!」

 

「ッ!」

 

言葉の途中で命美に遮られ、セラスティアはハッとした表情を浮かべた。それから指揮官の不思議そうな視線に気づくと、「何でもない」と視線を横に逸らした。

 

(そんなわけで、仕事したいんだけど……)

指揮官はセラスティアのそんな様子が気になりはしたものの、今はそれを追求している場合ではない……と、彼女へそんな提案を持ちかけた。

 

「そ、それは駄目って言ってるでしょ! 指揮官に仕事させちゃ……隙を見て私たちの妨害とか、何をしでかすか分かったものじゃないから!」

 

(何もしないって、約束するから……)

 

「それでも駄目よ!」

 

(……さいですか)

 

……自分って、そんなに信用されてないのか

指揮官はセラスティアの頑固さに呆れつつも、まさかここまで信頼されていないとは思ってもみなかったので、密かにショックを受けていた。

 

とはいえ、やるべきことは沢山ある。クリスマスパーティーを成功させる為にも、料理や会場設営などの仕事を放棄して、ただ座しているという訳にはいかない。

そう考えた指揮官は、ショックに打ち震える心を無理やり言い聞かせ、セラスティアの隣に立つ命美へと向き直った。

 

(えっと、命美? そういえば……結局自分はここから出ることも駄目なんだっけ?)

 

「ええ。指揮官はここから出ちゃ駄目……と言いたいところだけど、さっきみたいなことがあっては困るから……うーん、どうしようかしら……」

 

命美は少しだけ考えた後……

 

「じゃあ、さっきの件のお詫びと言っては何だけど、監視と手錠付きでよければここから出ることを許すわ……いいですよね? セラスティアさん」

 

そう言って命美はチラリ……と、隣にいるセラスティアへ同意を求める視線を送った。

 

「まあ、それなら……あ、でも手錠を外すのだけは絶対に駄目よ! 仕事したり怪しい行動したりするのもね!」

 

(分かってる……じゃあ、こうしよう)

指を突き出してしつこく念を押すセラスティアに、指揮官は小さく頷いた。

 

「指揮官? どうする気なの?」

 

(要は、自分は何もしなければいいんでしょ?)

 

首を傾げる命美に、指揮官はそう言って笑いかけた。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

それから20分後……

指揮官の姿は基地のキッチンにあった。

その隣には龍馬とスノー、そしてお目付役である睦月も同行している。

 

(ハヤ、ケーキの準備は?)

 

「はい、既に半分は完成していて冷蔵庫で冷やしてあります。残りの半分はこれからです」

 

ハヤはそう言いつつキッチンの端にある巨大な冷蔵庫を示した。指揮官が中を確認すると、そこには様々な種類の大きなホールケーキが冷蔵庫の一角を占めていた。

 

(スノー、1つ取り出してみて)

 

「はい」

 

両腕を使えない指揮官は、スノーの手を借りてケーキの出来を確認し、それから満足そうな表情を浮かべて2、3度頷いた。

 

「あの、どうでしょうか……」

 

(うん。見た限りではスポンジもムラなく焼きあがっているみたいだし、上に乗ったフルーツのおかげで彩も素晴らしい……これなら味を見るまでもなさそうだね。とっても美味しそうだ)

 

「あ、ありがとうございます!」

 

指揮官の言葉に、ハヤは嬉しそうに顔を綻ばせた。

 

「指揮官、ブイヤベースの味見をして貰えないでしょうか?」

 

大鍋を前にしていたシェフの1人が指揮官を呼んだ。

 

(分かった……と、言いたいところだけど、あいにく仕事をするなって2人から言われてるから、代わりに……龍馬くん!)

 

「……え? 僕が?」

 

(うん、自分の代わりに味見をお願い)

 

「わ、分かりました」

 

龍馬はシェフから小皿を受け取り、味見をした。

 

「……うん! まろやかでコクがあって、とっても美味しいです!」

 

(だってさ。あと、ブイヤベースは火加減が命って言われてるからそこのところは注意してね……って、言われるまでもないか)

 

龍馬の言葉に指揮官が付け足すと、シェフは小さく笑って頷いた。

 

「えっと……これがこうだから……」

 

「違うわよ! 先にこっちを入れるのよ!」

 

「曦夜、いちいちうるさい! 別に入れる順番なんてどうでもいいでしょ!」

 

「どうでも良くなんかないわよ! だってレシピにはそう書いてあるんだから!」

 

……ん?

その時、指揮官はキッチンの隅の方から、料理を作りながらちょっとした言い争いを繰り広げている少女たちの声を聞いた。

 

(シャロ、曦夜、どんな感じ?)

 

指揮官が少女たちの元へ向かうと、赤毛と茶髪の賞金ハンター2人は同時に顔を上げた。

 

「指揮官、どうもこうもないよー」

 

シャロが微妙な顔をして答えた。

 

「そうよ。私たち、今までこんな本格的な料理なんて作ったことないのに……」

 

シアもレシピ本を片手に眉を潜めている。

 

指揮官はハヤに加えてシャロと曦夜にも手伝いをお願いしていた。料理の腕はそれなりにある2人だったが、世界各国の要人も集うパーティー用のものを作るとあってか、どうやら気が引けてしまっているようだった。

 

(じゃあさ、バレンタインデーの時を思い出してよ)

 

そんな2人に、指揮官はアドバイスを送ることにした。

 

「「バレンタイン?」」

 

(そう。2人とも、バレンタインデーの前日にここで一緒にチョコを作ったでしょ? あの時に感じた、食べてくれる人のことを想う気持ちを思い出しながら料理すれば、良いものは必ず作れるよ)

 

「なるほど、バレンタインデー……ね」

 

「分かったわ。やってみる!」

 

(うん、その調子。一緒にクリスマスパーティーを成功させよう!)

 

「「はい!」」

 

指揮官の言葉に少しだけ自信がついたのか、シャロと曦夜はお互いに頷きあうと、今度こそ協力して料理に励むのだった。

 

(ウィオラ様、お手伝い頂きありがとうございます)

 

指揮官は戦闘用ナイフを使って器用にジャガイモの皮むきをしている女生……客人の1人である機械教廷の騎士、ウィオラへ礼を述べた。

 

「は〜い、まだ料理は練習中の身だけど……皮むきくらいならお手の物〜」

 

そういう彼女の後ろには、下処理が施されたジャガイモやニンジンなどといった食材が、お皿の上に大量に積まれていた。

 

(助かりました。このお礼はいつか必ず……)

 

「いいのよ〜。これはスロカイ様の命令でもあるから〜でも……そうねぇ、じゃあこの前みたいにちっちゃくて可愛いのをまたぎゅ〜ってさせてちょうだいね?」

 

(あははは……)

 

乾いた笑いを浮かべつつ、指揮官はチラリと背後を振り返った。そして睦月の顔に陰りがないことを確認すると、安堵のため息を吐いた。

 

(よし、ここはもういいかな)

 

それから少しの間だけキッチンの中で指示出しを行っていた指揮官は、料理が無事に間に合うと判断してそう呟いた。

 

「指揮官様、もう次のところへ?」

 

(うん、やるべきことはこれだけじゃないからね)

 

手錠をつけられた上に、仕事をするなと釘を刺され何もできない状況に陥った指揮官がとった行動……それは人手が必要な各ポイントへ適切なスタッフを派遣し、指揮官の代わりに仕事をしてもらうといったものだった。

 

これは指揮官にとっても苦肉の策と言えた。元々、スタッフたちを楽させようと思って多く引き受けた仕事を、スタッフたちに分け与えているようなものだったからだ。

だが、世界中の要人に招待状を送っている手前、生半可なパーティーでは許されない。指揮官として、何としてでも成功に導く必要があった。

 

とはいえ、この間、指揮官は何もしていないという訳ではなく……こうして各ポイントを見回ってスタッフたちの指揮に徹し、必要に応じて業務に関するアドバイスを送るなどといったサポートに当たっていた。

 

(まあ、これも仕事と言えばそうかもしれないから、かなりグレーゾーンだと思うけど……)

 

苦笑いでそんな事を呟きながら、指揮官一行は基地の中を歩き回った。倉庫では前述した通り物資の整理と目録の確認、途中からヒルダも加わって移動しながら警備とセキュリティに関する打ち合わせ、パーティー会場ではソフィアやドリスたち年少組と共に飾り付けを、舞台上でのテイラースター&リーゼロッテ(ノイジーバット)によるクリスマスライブのセッティングとリハーサルの監督……など

 

その他、指揮官たちは細々とした業務に従事した。

 

(早いな……)

指揮官による適切な人員配置と的確な指揮の下に行われたそれらは、指揮官が想定していたよりも大幅に早く進行していた。

 

余談だが、各ポイントでの仕事に必要な人手を確保するにあたって、指揮官は基地のスタッフ(シャロや曦夜など)何名かに声をかけていたのだが、クリスマスであるにも関わらず、彼ら彼女らは皆喜んで仕事を引き受けてくれていた。

 

「指揮官様、次はどこへ参りましょうか?」

 

(うん、そうだね……)

 

睦月の言葉に、指揮官が考えていると……

 

「なにやら忙しそうだな、指揮官よ」

 

(……!)

その存在に気づいた指揮官は、彼女の前で膝をついた。

 

(トリスタ様……本日は寒空の下、遠路はるばるお越しいただき誠にありがとうございます。お早いご到着でしたね)

 

「そうね。去年は忙しくて来られなかったから、その分、今年は待たせてはいけないと思ってね……まずかったか?」

 

そう言ってトリスタはニヤリと笑った。

ヴァルハラ同盟に属する一国、グラン公国の女大公 トリスタ。指揮官がパーティーに招待した要人の内1人だった。

 

(いえ、ただパーティーの開始までもう少しだけお時間を頂きたく存じます。それまでごゆるりとおくつろぎください)

 

「分かった。君も楽にするといい」

 

トリスタの言葉に指揮官が顔を上げると、彼女の背後にいた者たちと目があった。

 

「今年も来てあげたわよ!」

「昨年に引き続き、お招きいただきありがとう」

「あたしもいるわよっ☆」

 

トリスタの後ろにはミョルニル公国の女大公 アン、イルビング公国の女大公 レイア、ついでにキラスターと、パーティーに参加すると言っていたヴァルハラ同盟出身者たちが集結していた。

 

(パーティー開始まで、もうしばらくお待ち頂けると幸いです。スノー、トリスタ様たちを部屋に案内して差し上げ……)

 

「待て、その前に1つ聞いてもいいか?」

 

指揮官が後ろで待機していたスノーへ指示を送ろうとしたところで、トリスタがそう言ってきた。

 

(はい、何でしょう?)

 

「なぜ、手錠をつけているのだ?」

 

トリスタの言葉に、ヴァルハラ同盟出身者たち全員の視線が指揮官の手錠へと注がれた。

 

(あー……それはですね……)

 

 

 

ーーーーー

 

指揮官は事の成り行きを簡単に説明した。

 

ーーーーー

 

 

 

「なるほど、そんな事があったのか……」

 

指揮官の話を聞き終えると、トリスタは何やら考えるそぶりを見せ……

 

「では、私も何か手伝おうではないか」

 

トリスタのその言葉に、指揮官は驚愕した。

 

(いえ、トリスタ様のお手を煩わせる訳には……)

 

「まあそう遠慮するな。わたくしは、わたくしがしたくてそうするのだ。そうだな……手土産の代わりと言っては何だが、とりあえず料理でも作るとしよう。厨房はこっちだったな?」

 

キッチンへ向かうトリスタに、指揮官はさらに慌てた。

 

今日出す料理もあらかた用意が終わっている事から、シェフたちは既に帰宅し、スペース的にもキッチンの方は余裕があった。

後は残った食材にもよると思われるが……真の問題は、彼女の作る料理にあった。オブラートに包んだ言い方をすると、トリスタの作る料理はあまりにもビッグサプライズ(アクティブスキル)で、人間の叡智を超えていたからだ。

 

(お待ち下さいトリスタ様……)

 

キッチンへ向かうトリスタを指揮官が追いかけようとするも、後ろから誰かが指揮官の服を引っ張って止めた。

それはアンだった。本当は指揮官の肩を掴もうとしたかったのだろうが、背が低いせいで服の背中部分を摘む形となってしまっている。

 

「大丈夫だ。手伝うと言ってはなんだけど……私がトリスタのことを見ておくから」

 

(いいの?)

 

「ああ……私ならば、もし何か間違いが起こったとしても、このハンマーでアイツの頭をぶっ叩いて止めるから……」

 

(……なるべく穏便にお願いします)

 

どこからともなく巨大なピコピコハンマーを取り出したアンを見て、指揮官は少しだけ心配になるのだった。

 

「姫様が手伝うって言うなら、あたしも何か手伝う! 力仕事ならお任せあれ!」

 

それを見ていたキラスターは、

(≧∀≦)/

こんな感じで元気よく指揮官の前に身を乗り出し、そう言ってきた。

 

(あー……じゃあ、キラスターはアンについていて貰ってもいいかな? 食材の運び出しとか必要だし、何よりもアン様1人では心配だから……)

 

「うんうん、了解よ☆」

 

トリスタの後ろ姿を追って、2人はキッチンへと向かった。

 

「いい機会だし、私も何か作ってみようかな?」

 

最後に残ったレイアが、指揮官の顔を覗き込むようにしてそう聞いてきた。

 

(レイア様……無理しなくてもいいのですよ?)

 

「無理はしてないわ。むしろ、今日くらい大公の身分から解放されて、こんな感じで普通の人がやるような普通のことをして、息抜きとかしてみたいなって思ってたところだからね」

 

そう言ってレイアは気持ちよ良さそうに背伸びをしてみせた。若いながら一国の長を務める彼女、日々公務に追われ、心休まる時すらない……そんな彼女の心を察し、指揮官はある提案を持ちかけてみることにした。

 

(もし良ければこれを、63ページです)

 

指揮官は懐から一冊のノートを取り出した。

 

「うん? 何かしら……レシピ本?」

 

それは世界各地の伝統料理の製法が記されたレシピ本だった。レイアは本を受け取ると、指揮官が示したページを探してパラパラとめくり……そのページの見出しを見た途端、彼女の顔色が難しいものへと変化した。

 

「これを私に作れと?」

 

(本当は自分で作りたかったのですが……)

 

鋭い視線を向けるレイアに、指揮官は手錠を示した。

 

「へぇ……イルビング公国の大公である私に、これを作らせることが一体どういう意味になるのか、君は本当に分かって言っているのかな?」

 

(駄目ですか?)

 

「いえ、ふふ……面白いわね」

 

先ほどの厳しい目つきは何処へやら、レイアはふっと微笑むとレシピ本を大事そうに胸に抱いた。

 

「上手くできるか分からないけど、君の頼みとあらば最前は尽くさせて貰うよ。それじゃあ、この本はしばらく借りるね」

 

そうして、レイアもキッチンへ向かった。

彼女の後ろ姿を見届けた後、指揮官たちもまた次のポイントへと移動を始めるのだった。

 

 

 

 

 

ーーーーー

 

 

 

 

 

さらに数十分後……

 

 

 

応接室

 

 

 

「遅い」

 

指揮官がスロカイの待つ応接室へと辿り着くと、ソファに腰掛けて優雅にお茶を飲んでいた彼女は、じっとりとした瞳で指揮官のことを見つめた。

 

「凡人風情が……余をここまで待たせるとは、いい度胸だな?」

 

(すみません、スロカイ様)

 

「まあ良い、そこに座れ」

 

そう言ってスロカイは反対側のソファを指差し、そこへ座れと命令した。スロカイに従って指揮官がソファに腰掛けると、テーブルを挟んでスロカイと対面する形となる。

 

「ようやく2人きりになれたな?」

 

(そうですね)

 

ニヤリと笑うスロカイに、指揮官はそう言って小さく笑ってみせた。

「陛下がお待ちだ」とマティルダに呼ばれたのが数分前、それから指揮官は全ての業務がほぼ完了していることを確認すると、急ぎ足でスロカイの待つ応接室へと向かっていた。

 

因みに、マティルダはスロカイの指示により、まだ飾り付けの終わっていないソフィアたちのところへ手伝いに行っている。

 

付き添っていたスノーと龍馬も同様。

 

監視役である睦月に関しては、

(また、睦月の手料理が食べたいな)

……指揮官がそう言うと、嬉々とした様子でキッチンへと向かったので今はいなかった。

 

「全く、最初から面倒なことは全て部下に押し付けてしまえばいいものを……」

 

(今日という日くらい、みんなには毎日の忙しさを忘れて思いっきり楽しんで貰いたかったので)

 

「フッ……甘いな凡人。まあ結局のところ、お前が大切にしている部下にも仕事をさせてしまっている時点で詰めが甘かったと言えるだろう」

 

(……ごもっとも)

スロカイの言葉に、指揮官は微妙な表情を浮かべた。

 

「おい、そのような顔をするな。凡人は凡人である以前に指揮官であろう。人の上に立ち、人を使うのは指揮官の本来あるべき姿……そう考えると、お前のやっていることはなんら間違いではない」

 

(それはそうですが、自分の仕事すらきっちりこなす事のできないのは……)

 

尚も顔色が優れない指揮官。

「ふむ……」

それに対し、スロカイはため息を吐いた。

 

「では聞くが、お前が仕事を手伝って欲しいと言った部下の中で、嫌そうな顔をしていた者はどれくらいいたのだ?」

 

(……嫌そうな顔?)

 

そこで指揮官は、働くことのできない自分に代わって、仕事を引き受けてくれる人を探していた時のことを思い返した。

 

いつもと変わらず、クリスマスをどう過ごすか言い争いをしていたシャロと曦夜は、指揮官の頼みを聞くなり喜んで料理を引き受けてくれたばかりか、さらに争いをやめ、お互いに協力して料理に取り組んでいた。

 

一緒に遊ぶ約束をしていたドリスやクルスたちも、楽しそうにパーティ会場の装飾を手伝ってくれた。

 

また、そういう意味ではセラスティアと命美も同様だった。指揮官に仕事があると知るや、2人とも大歓迎とばかりに仕事を引き受けてくれていた。

 

極度の面倒くさがり屋で有名なシェロンですら、指揮官が電話越しに頼み込むと、ひと言ふた言もしない内に首を縦に振ってくれた。

 

その他、指揮官が頼んだスタッフの中で、拒否の姿勢を見せた者が誰もいなかった。スロカイに言われ、ようやくそれに気づいた指揮官はその事を素直に話した。

 

「そうか。まあ、そうであろうな」

 

スロカイは特に驚くでもなく頷いた。

 

「皆、心の底からお前の役に立ちたいと思っているのだ。本当に、凡人は良い仲間たちに恵まれたな……」

 

一瞬だけ、指揮官のことを見つめるスロカイの視線が温かいものになった。しかし、それもほんの一瞬のこと……次の瞬間には微妙な顔になって

「それに引き換え、我が教廷は……」

……と、ため息混じりにそう呟くのだった。

 

(スロカイ様だって、マティルダやウェスパ、ヴィノーラ、ウィオラ……と、頼もしい仲間が沢山いるじゃないですか)

 

「これがなぁ、そうでもないのだ」

 

スロカイは自虐的に肩をすくめてみせた。

 

「教廷の古臭い老人どもは相変わらず余の言うことを聞かぬし、何かにつけて文句ばかりを言う。オマケにテクノアイズの主人に至ってはあろうことか、余に反旗を翻すという有様だ」

 

(あ、そう言えばそうでしたね)

 

機械教廷のスロカイと言えば、マティルダやウェスパなどといった忠臣に恵まれていると思われがちだが、それはあくまでも表向き。

一枚岩というわけにはいかず、教廷内部では様々な思惑が入り乱れ、これまでに「教皇に相応しくない」という理由から、間接的にとは言えスロカイの命が狙われたことも一度や二度ではなかった。

 

「まあ、それはそれで何とも愉しいではあるがな」

 

それからスロカイは、指揮官にひたすら愚痴をこぼし始めた。

 

その内容は専ら、スロカイのことを初めて目の当たりにする人々が、機械教廷の最高権力者である自分のことを、なんの能力も持たない非力な女としか認識せず、皆一様に見くびるという感じの話だった。

 

逆に、スロカイが強大かつ圧倒的な機械神の力を持っていると認識している者たちですら、中には敬意を払わずにふてぶてしい態度を取る者や、許可してもいないのに気軽に話しかけてくる者もいるとのことだった。

 

「全く……身分違いも甚だしいというのに」

 

スロカイは頬杖をつきつつ、怒りを露わにした。

 

(そうですか、分からないものなのですかね?)

 

機械神の加護を受けたからこその堂々たる振る舞い、そしてクールとミステリアスな雰囲気……指揮官は、初めて目にした時からスロカイという少女が、只者ではないという気配を感じていたことを伝えた。

 

「そうか。お前は人を見かけでは判断しないのだな」

 

スロカイはニヤリと笑って空になった紅茶の器を指で軽く弾いた。コン……という高い音が、応接室に薄く響き渡った

 

(まあ、能ある鷹は爪を隠すって言いますし)

 

それを見た指揮官は、話を続けつつ空になった器を取り、新しいお茶を淹れ、再びスロカイの前へと差し出した。

 

「ほう? 凡人は人を見る目があるのだな?」

 

器を手に取り、そこでスロカイは一息吐いた。

指揮官は彼女が紅茶を飲むのを黙って見届けた。

 

「だいたい、そこら辺にウジャウジャと群れる愚民どもは見る目が無さすぎるのだ。皆一様に余のことを見かけで判断してばかり、皆が皆、凡人のようであったのならどれだけ楽だったことか……」

 

「あはは……それは言えてますね」

 

「そうなのだ。そういう意味では、あのお兄ちゃん気取りの阿呆だって、そこら辺の愚民とそう変わらん」

 

(ベカス涙目……)

スロカイがさりげなくベカスを貶しにかかってきたことに、指揮官は苦笑いを浮かべた。

 

(話を少しだけ戻しますが……まあ、先ほどのスロカイ様が言っていた『言うことを聞かない家臣たち』という存在は、機械教廷のみならず、他のどの組織にも一定数はいるものですよ)

 

「と言うと?」

 

(組織が大きくなればなるほど、統制を取るのは難しくなると言いますし)

 

「は?」

 

指揮官がそう告げると、スロカイは顔をしかめてみせた。

 

(……ウチと機械教廷、組織の大きさは比べるまでもないと思いますが?)

 

「それは一傭兵集団として見た場合だ。……ハッ、世界中で手広くやっているお前が何を言うか?」

 

スロカイの言葉通り、指揮官の抱えている傭兵部隊の活動範囲に国境はなかった。様々な人種・民族、言語圏の住人が集結した、今の時代には珍しいグローバルな部隊……それが指揮官の傭兵団だった。

 

「大体、凡人の存在そのものが異常なのだ。何故に部下たちからここまで信頼されている? それだけにはとどまらず、今やブリテンや極東の君主、ヴァルハラの女大公たちですら、お前のことを一目置いているようではないか」

 

(いや、それはまあ成り行きといいますか……)

 

「成り行き……ねぇ? 時折、凡人がなにか奇術のようなものを使って、皆を幻惑させて無理やり従わせているのではないかと思う時があるのだが?」

 

(え? いや、そんなことは)

 

「冗談だ。第一、例えそのような奇術があったとしても、機械神の加護を受けた余には通用しない。当然、機械の体を持った教廷騎士とて同様だ」

 

そう言ってスロカイはため息を吐いた。

 

「お前には人を惹きつける力があるようだな。そのお陰か、余が愛するマティだって何だかんだ言いつつもお前には一目置いている……余としては、非常に腹立たしい限りだがな?」

 

(そんなこと言われましても……いえ、申し訳ありません)

 

スロカイは笑みを浮かべていたが、その瞳は笑っていなかった。思わず、指揮官の口から謝罪の言葉が漏れ出る。

 

「凡人よ、何を謝る? お前は何もしていないのだろう? それは分かっておる……で、最近ではウィオラとコンスタンスが凡人に対してやけに執心なようだが、お前……2人に一体なにをしたのだ?」

 

スロカイの言葉に、

指揮官は内心ヒヤリとするものを感じた。

 

(ナ、ナニモシテマセンヨー)

……言えない

これには少し前の騒動が関わっているなんて

 

 

 

[詳しくは『機動戦隊おねショタサーガ』をご参照ください。未完成なのでまだそこまで行ってはいませんが、あるいは想像にお任せします]

 

 

 

「凡人お前……やはり何かしたな?」

 

スロカイは怪訝そうな顔で指揮官を見つめた。

 

「なるほどな、つまりお前は……機械教廷から連絡要員として派遣したあの2人に対し、余の許可なく不貞を働いたと……」

 

(滅相もございません! そんな、下手をすれば教廷と事を構えるようなことなど、するわけがありません……!)

 

「そう願いたいものだな。凡人と事を構えたくないのは、余とて同じだ」

 

そこで、2人の間に気まずい空気が流れた。

温かいお茶を飲む、スロカイの冷たい視線……

 

……まずい

スロカイの視線に耐えきれなくなった指揮官は、現状を打破すべく、なんとか彼女に機嫌を直してもらおうと、昨年にも使った仲直り方『プロトコル・プリン』を発動する事にした。

 

(スロカイ様、お茶だけでは何でしょうし……プリンでもいかがです? スロカイ様の為を思って、ちょうど良いものを仕入れまして……)

 

「そう、それだ!」

 

指揮官が何処からともなくプリンを取り出そうとすると、唐突にスロカイは指揮官のことを指差してそう言ってきた。

 

(スロカイ様……?)

 

「凡人、お前は初見で余の実力を見抜いたと言う割に、そうやって余を子供扱いするのだな?」

 

指揮官がプリンを出してきたことを子供扱いされてしまったことと繋げてしまったのだろう……スロカイは苛立たしげに席を立った。

 

(子供扱いなんて、そんなことは……自分はただ、プリンがスロカイ様の好み故に、お出ししようとしたまでです)

 

「ちっ……面白くない」

 

スロカイは舌打ちをすると、テーブルを回り込むようにして指揮官の隣へと移動した。

 

(スロカイ様……?)

 

「凡人、いいか? そこを動くな。両腕を膝の上から退けろ……む、手錠が邪魔だな。ならば仕方ない……凡人よ、両腕を頭の上に」

 

スロカイの指示に従って、指揮官は両腕を上げた。

 

 

 

「それで良い……では」

(!?)

何をする気なのだろうかと指揮官が見つめていると、スロカイは指揮官の空いた膝の上に、まるでお姫様抱っこでもされるかのように腰を下ろした。

 

 

 

(スロカイ様? 何を……)

 

「凡人、余のことは気にするな」

 

突然のことに指揮官が戸惑っていると……スロカイは不敵な笑みを浮かべ、指揮官の頰に手を添えた。それから、まるで恋人にするかのように頬を撫で……

 

「フフフ……」

 

それからスロカイは指揮官の首に腕を回した。

引き寄せられ、密着する2つの体。

それはまるで、スロカイが指揮官のことを愛おしげに抱きしめているかのようだった。

 

(……っ!)

 

指揮官はそこで絶妙な心地よさを感じ、言葉にならない呻き声をあげた。見ると、抱きしめられたことによって、指揮官の胸板とスロカイの柔らかな双丘が触れ合っていた。

 

……セラスティアの時と似ている?

この状況に、指揮官はデジャヴを感じていた。

スロカイの胸はセラスティア程ではないものの、10代の少女にしてはかなり大きく、何よりも形が良かった。

 

「なんだ? こうされるのが良いのか?」

 

指揮官の反応が面白かったのか、スロカイはニヤニヤと笑った。それから指揮官のことを抱きしめる力を強め、惜しげも無くその美しい体を押し付け、そればかりか体を揺さぶって、指揮官の胸板に自身の双丘を擦り付け始めた。

 

(……!)

2つの体同士が擦れ合うと、指揮官は自身の脊椎から脳裏にかけて電流が走るのを感じた。柔らかくて温かい、まるで天国にいるような心地良さ……

 

「んっ……これは、中々だな?」

 

スロカイもまた自らの体に走る快楽に身を委ねているのか、彼女の口から熱い吐息が漏れ、その頰はにわかに紅潮していた。

 

すっかり気分が良くなってしまったのか、彼女の瞳には色っぽいものが浮かび上がっていた。そんな瞳で至近距離から見つめられ……ドクンと、指揮官は胸の高鳴りを感じた。

 

「凡人よ、何を恥ずかしがっている?」

 

(スロカイ様……その、それは色々と問題が……)

 

「問題? 完璧な存在である余に問題なぞあるわけがない……むしろ問題があるのはそっちの方ではないのか? 凡人よ」

 

(…………)

今までになく色っぽい雰囲気を放つスロカイに、指揮官は目が離せないでいた。

 

「ん? まさか余のような子供相手に欲情しているのか? 少し迫られただけでその気になってしまうとは……なるほど。これが童女趣味というものか」

 

そこで指揮官はスロカイの意図に気づいた。

要は、子供扱いされたことに対する萎縮返しだった。

 

(欲情なんて、そんな……)

 

「そう強がらなくても良いぞ? 正直に言ったらどうだ? 自分は子供に抱きつかれただけで発情してしまうような、救いようのないオスのケダモノであると」

 

(ですから、子供扱いは……)

 

していない……そう言おうとしたところで、スロカイは指揮官の耳元に唇を近づけた。

 

「そこらの愚民に教廷の祭祀、今まで余を見くびった者の中には、余が子供という理由だけで否定するような輩も数多く存在した……」

 

耳元に囁きかけられるスロカイの声は、先ほどとは打って変わって真剣そのものだった。

 

「腹立たしいが、それに関してはまだ許せる……当時の余はまだ身も心も幼く、そして浅はかだった。現(うつつ)を見ようともせず、機械教廷というちっぽけな世界に引き篭もって、外よりもたらされる情報に目を通しただけで、それだけで世界を知ったつもりでいた」

 

(…………)

 

「余が変わる事が出来たのは、とある人物との出会いがきっかけだった。余が機械教廷という小さな世界の平定を目標としているのに対し、奴の目標はその遥か先にあった。遠く、遠く……教皇である余にすら不可能に感じられるほどの遠い理想。それを実現させるべく、奴は今も足掻き続けていることだろう」

 

(…………)

 

「無謀な挑戦を続ける奴に対して……何故だろうな? 余は憧れのようなものを抱いていた。しかし、奴は余の力を認めつつも1人の子供としてしか見ていなかったようでな……余は、それがどうしても我慢ならなかった」

 

(…………)

 

「奴との出会いを通して余はこう思った。奴に負けぬよう自分を磨き、いずれは教皇として、そして1人の大人として、奴を従えられるだけの存在になってやろうと……そして、余のことを子供扱いをしたことを悔い改めさせてやろうとな」

 

(…………)

 

「いいか、よく聞け凡人」

 

スロカイの優しげな囁き声が耳に響き渡る。

 

 

 

 

 

 

 

お前にだけは、子供扱いされたくない

 

 

 

 

 

 

 

(え……?)

 

スロカイの言葉に、指揮官は彼女から真意を引き出すべく目を見つめた。しかし、スロカイは意味ありげに笑うだけで答えようとはしなかった。

 

その代わりに、彼女はこう呟いた

 

 

 

 

 

「余のものになれ、凡人」

 

 

 

 

 

第3話へ続く……




タイトルにイヴとあるように、何とかイヴの夜に書ききることができました。
第2話をですが……

前回の投稿から、こう見えても急ピッチで頑張ったのですよ? テレビを見る時間を削って、ようつべ見る機会も減らして……それでも間に合わなくて、せめてこの第2話だけは24日に間に合わせようと、通勤(徒歩)しながらスマホ片手に書き続けました。

なので文章的にもかなり粗いところが見られます。誤字・脱字も沢山あると思われるのです。ですが頑張らせて頂いたのは事実です……なのでどうか! どうか! 内容に関しての批評はお手柔らかにお願い致しますっっっ!!!

続きは31日までに書き上げたいと思っております。
ご意見、ご感想などがありましたらお気軽にコメントして下さいませ。
それでは、また……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。