シンフォギアVC 短編塚   作:サリッサ@無期限休止

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失敗作と、オートスコアラー。


同じ被造物であったとしても、
その歩みはどうしようもなく不釣り合いで、
歩みはいつか必ず分かれるもの。

それでも、歩いていた時間のメモリーは、

確かに、静かに、息づいている。


虚構記憶 後編

 

 数日後

 

 

ミュトス・ノイズを共に、レイアはシャトーを歩いていた。解剖器官の実験後は、決まってシャトー内を散歩している。

 

「しかし…」

 レイアは横目でノイズを見る。ミュトス・ノイズは、自身の腕を伸び縮みさせながら彼女の隣を付いていく。データ収集は既に大詰め。結果を元に、真なるアルカ・ノイズのレシピも完成間近だった。

「戦力にしては、多動すぎる」

統率を取るためのデバイスは、レシピと併せて開発を行っている。完成すれば、このノイズも、物言わぬ兵隊の一員となり下がるだろう。

「……」

レイアは目を瞑り記憶を検索する。レイアの妹の顔を見ている時間が、一番動きが活発になっていた。何か理由があるのだろうか。レシピ再構築には不要な点のため、特に調査はしていなかった。

「?」

目を開ける。ノイズが前に回り込んで、身体を傾けている。首を傾げているつもりらしい。少し、レイアの眉が緩んだ。

 

 

爆発音

 

 

「了解しました」

突如シャトーが大きく揺さぶられる。レイアは即、音の方向へと走り出す。シャトー内の情報は、逐一彼女の思考に伝達されていた。主の命を受け、現場に急行する。

『侵入者、数は、三名。錬金術による分解現象を確認』

妹からも、独自回線より連絡が入った。

『外壁の損傷はなし。転移か』

角を曲がり、音の発生源へたどり着く。

 

 

 

「ここがディーンハイムの居城か!!ここなら…俺らを侮辱したジジイどもに一泡吹かせる手段がッ!!」

錬金術師。叫んでいるが、関係ない。人の知覚速度よりも、早く。

 

「行いに対し、抱いた思想は地味すぎる。だが、」

「ナ?!」

 

鈍く、肉を殴る音。

 

「その記憶は役に立つ」

オートスコアラーの力と速度でもって、腹部へ拳を叩き込む。男はなす術なく、壁へ吹き飛ばされた。いくつかの防御術を発動していたが、その全てが脆く消し飛び、男はそのまま意識を失う。昏倒で済ませたのは、後で記憶を抜き取るためだ。

「な、なんだ?!」

あと二名。近くの扉が強引に破壊されており、そこからもう一人が顔をのぞかせた。

「おいバカ!!」

彼女の得意な投げ銭により、二人目も難なく壁へ吹き飛び倒れ伏す。声からして扉の向こうにもう一人がいる。迷うことなく進撃する、

 

はずだった。

 

 

「kuskus」

 

 

 

 

何かが、笑った。

 

 

 

「ッ?!」

 

彼女の左腕を、何かが掴む。レイアの眉が吊り上がる。疑問。恐ろしい速さと力で、そのまま空中へ持ち上げられてしまった。人間の何倍の速さで動ける彼女が、対応に遅れた。驚くべき点は、それだけに留まらない。

何も、いない。オートスコアラーの視覚センサで周囲を捜索するが、見えない。持ち上げられているのにも、関わらず。

「見えなかろうが」

 触覚センサにより、掴まれている実感はある。動揺などとは無縁な彼女。掴まれたまま、おおよその位置取りで金貨を射出した。肉を弾く音だけが響き、拘束が緩くなる。

「ッ!」

だが、今度は管状の物質が、何本も彼女の右腕と首にまとわりついた。体表を歯のようなもので食らいつかんとする。しかし、彼女の身体は機械仕掛け。容易に噛みつける訳もなく、レイアは見えぬ魔手を振り払って、地面に着地する。

 

「kus kus kus」

 

再び笑い声。見えぬ敵の声だろうか。レイアは注意深く周囲を観察するが、やはり彼女の目では探り当てることができない。

 

「チッ!!これがオートスコアラーか。ジジイどもの文献で見たことはあったが…奪える体液がないのかッ」

 破壊された扉から、三人目の男が現れる。ローブを纏った若い錬金術師だ。他の者と違うのは、手に何やら紙切れを持っている。レイアは冷ややかな目で、男を見る。どう見ても、錬金術師としては下級もいいところである。

「吸血ショーが見られないのは残念だが、それでもコイツの怪力ならッ!!」

紙切れを振り下ろし、男は裂けんばかりの笑みを浮かべた。

「やっちまえ!!そいつの四肢をもぎ取って、バラバラにブチまけろ!!」

 

 

 

不可視のバケモノと、オートスコアラー

双方が激突する。

 

 

──────────────────────────────────────

 

 

不可視のバケモノは笑うような鳴き声と共に、先ほどの触手を彼女へ伸ばす。見えぬ彼女は即座に金貨をトンファーにし、応戦。複数の肉の管と思われるソレは、常人であればすぐに捉えられ、逃れることは出来ないだろう。しかし、彼女は違う。

「地味に厄介」

接触の瞬間に身をかわし、更にその見えぬ管を正確に打ち据える。オートスコアラーだからこそ出来る離れ業。

「チィッ!!そっちもバケモノかよッ!」

錬金術師が舌打ちをする。ただ、その表情に焦りの色は出ていなかった。錬金術を学び、事象を理解することに富んだ男の目は、現状を正しく認識する。

「そうだ…押し負けてはいない。拮抗、いや手数ではまだこちらが有利だ!」

人間と比べるべくもない彼女だが、それでも相手は見えぬ敵。掴もうとする触手を、叩き落すまでしか出来ていない。

「ッ!?」

状況は進展する。歯だ。彼女の肩に、先ほどは通らなかった歯が突き刺さっていた。人間に対するものではない。自身と同様のバケモノと対していると認識したらしい。

「kus kus」

邪悪な声が木霊する。恐ろしい力でレイアは壁に激突した。

「なる…ほど…随分と…派手に……やって、くれる…」

壁に押し付けられ、身動きが取れない。万力のような力で、バケモノは彼女の四肢を押さえつけていた。バケモノは命令を実行するため、更に力を込めていく。

「ッ!」

 不可視のバケモノは、噛みついたまま腕脚をそのまま破壊するつもりのようだ。ゆっくりと、楽しむように。機械仕掛けの体表に亀裂が走る。

だが、彼女は自身の身体と別のモノに意識を奪われた。

 

 

「何故来た!!」

 場違いな、小さきものが現れる。

 

「gYAAAAAAAA!!??!」

ミュトス・ノイズだ。

不可視のバケモノが悶え叫ぶ。レイアに向かって伸びていた腕。粉塵によって微かに位置が見えたであろう場所。そこへ、ミュトス・ノイズは特異な崩壊の触腕を突き立てていた。レイアを掴んでいた触手が緩む。それだけではなかった。

「何だ?!そいつは…崩壊…面倒な能力だッッ!!」

 ミュトス・ノイズに触れられた箇所。何もないように見える空間より、赤い塵が発生している。見ることが出来ずとも、存在することに変わりはない。ミュトス・ノイズはその世界法則にメスを入れ、確実に崩壊という現象を引き起こしていた。

 

「邪魔しやがって!!!」

 錬金術師が取り出したのは、ただの銃だった。マーケットに行けば、容易に買えるもの。自身の練度の低さを補填するには、あまりにも錬金術師の矜持から外れた代物だ。しかし、安直で、そして充分だった。

 

 

「やめろおおお!!!」

声を荒げるレイア。持っていた金貨を、はじき出す。狙いは、真っ直ぐに錬金術師。だが、間に合わない。

 

「死ねぇ!!」

 

「ピィ」

微かな弱弱しい声が発せられ、

小さきその体が、

宙を舞った。

 

「ハッ!ざまぁ——」

 錬金術師の口から、それ以上の言葉は出なかった。代わりに大量の血を吹き出し、倒れ伏す。男の首を貫通した赤く塗れた金貨が、壁に突き刺さっていた。

「ッ!」

レイアは直ぐにノイズの元へ駆け寄る。状況は見るに明らかだった。倒れ伏したその体に、既に取り返しのつかないダメージが色濃くついている。

「ィィ……」

触腕はだらしなく垂れ下がり、明滅を繰り返す。助からない。

「……」

レイアは、何も言うことが出来なかった。言うべき言葉を、彼女は持っていなかったから。ただただ、消えていくその姿を、見ていることしか、しなかった。

「ピ…」

 触腕が、力なく彼女へ伸びる。見下ろす彼女のその左手の指に、そっと触れた。

「……」

ミュトス・ノイズ。あまりにも弱く、求めるスペックには届かぬ、脆いモノ。

 オートスコアラーを守り、大地に溶けてなくなった。

 

 

「KUS KUS KUS」

 

 はっきりと、不可視のバケモノが、笑う。

 

 レイアは目だけで、男の死体の方を見る。死体が空に浮かんでいた。しかし、血は一滴も滴り落ちない。徐々に、徐々に、その亡骸に歯を突き立て、血を吸うバケモノの姿が浮かび上がった。

蛭のように血を吸っている触手のような無数の口。イソギンチャクの一種とも思えるその躰に、レイアにも向けられていた大きな鉤爪を備えている。空中に浮遊しているその様は、明らかに現存の学問、文化から外れている。異形の姿は、更に吸い上げる血液によってどす黒い赤色に塗りつぶされていく。

「た……すk……」

 見れば、気絶していたはずの他錬金術師二名も、その鉤爪に捉えられている。

「紙切れが、首輪だったか」

 レイアは冷徹に、こちらへ手を伸ばす男を見ながら理解する。男の首に、無慈悲にバケモノの口が突き立てられた。

「あ……g……」

 言葉にならない嗚咽と共に、男は生きながら循環する血液を吸い取られていく。腕は鉤爪によってあらぬ方向にへし折られ、傷口から流れ出るはず血すら、バケモノは余さず吸い取っていく。

 

「…」

 

 ものの数分で、完全に干からびた三つの残骸が完成した。

「Ksu Ksu」

 イソギンチャクのようなバケモノは、ゆらりと空中を浮遊し、余韻に浸っているようだ。だが、すぐにレイアへ向き直る。次はお前だ、と言わんばかりに、口と鉤爪を唸らせる。

「そうか」

レイアは一言、呟いた。

 

 

 衝撃

 

 

不動のレイアに対し、化け物の口が殺到する。血液を摂取したからか、先ほどよりもさらに力を増したバケモノの猛進。レイアは再度トンファーを作り出し、殺到する口を打ち据える。だが、やはり手数がたりない。

「……」

バケモノは無数の口すべてで噛みつこうとはしていない。本命は内の数本だけ。他は全てフェイクだ。動きや手ごたえでレイアは判断するが、それでもバケモノの人智を超えた攻めに、手を緩めれば一瞬で片腕は持って行かれるだろう。

「KSu KSu」

 バケモノは鉤爪も動員し、目にも止まらぬ速さで彼女の四肢を掴まんと迫る。レイアの眉が吊り上がる。

「ッ!」

 ついに鉤爪が、彼女の右腕を捉えた。ほんの一秒に満たない時間。押しつぶされていく腕に気をやった瞬間に、他の全ての口が、彼女目掛けて殺到した。

 

 破片と共に、レイアが床を転がった。丁度彼女の背がドアに接したタイミング。レイアを押しつぶそうとしたバケモノの触腕は、彼女を逆に部屋に押し入れる形になった。

「Ksu Ksu KSU」

 

 しかし、優位はゆるがない。勝利を確信した様子で、ゆっくりとした動きで部屋に侵入するバケモノ。目がどこにあるかはわからないが、空中からレイアを見下している。

「…」

対するレイアは非常に悲惨な状態だった。左腕は前腕部に大きな破壊の痕を残し、左頬には大きな切り傷が残っている。その他も、深刻なダメージを負っていた。

 

「わかった」

 独り言を言っているのか、レイアの言葉が、だだっ広い空間に木霊する。ガラス張りの壁面には、黒々とした海の底が見えている。

「そうだな」

バケモノは理解しない。笑い声と共にレイアに迫る。矮小な存在と見下した彼女が、何故トンファーのみで戦っていたかを。

「ここからは、」

 バケモノは理解しない。何故彼女が応戦しかしなかったのかを。金貨を打ち出さず、まるで追い込まれているようにこの部屋に入ったかを。

「一層」

 理解しない。この内から立ち上る感覚を。ゼンマイ仕掛けの躰から、沸騰したフラスコの中の水のように沸き立つ、この激情を。‟彼女たち‟は理解しない。

「派手に行く!!!!」

 

 

床を突き破り、突き出された、腕。

 

巨大な腕に鷲掴みにされたバケモノは金切り声をあげた。

 

ここは海底。水が一気に入ってこないのは、地属性の錬金術のなせる技。転がったタイミングで設置した金貨の術式が発動し、床を貫いて現れた巨大な腕の穴を補強する。

 

完全に意表を突かれたバケモノが口を、鉤爪を振り回す。それでも、どんなに噛みつき、切り裂こうとも、巨大な腕が離すことはない。

レイアの妹。彼女の顔は髪と巻かれた包帯によって見ることは出来ない。ガラス越しに見据える一層鋭利な眼光。突き込み掴んだその腕から、決して離さないという意思が伝わってくる。

「KSU KSU」

 バケモノは必死に拘束を逃れようとするが、叶わない。足掻く姿を見据えるレイア。彼女の周囲の空間には、錬金術式が展開されていた。

「ッ!!!」

 更にレイアは、自身の持つ金貨を術式に次々と打ち込んでいく。多量の金貨は術式に捕らわれ、バケモノには届かない。だが、静止したはずの金貨の輝きは、徐々に苛烈になっていく。まるで熱せられ、高温になった鉄のように。

「体表がどこまで厚くても」

 傷ついた右腕を、ゆっくりとあげる。親指と中指をフィンガースナップの形をとった。

「派手に当てれば問題ない」

指が鳴る。瞬間塞き止められていた金貨たちは、妹の手諸共バケモノに殺到した。

 

「GyAAAAAAAAAAAA??!!??!」

 

強烈な破壊音と共に、バケモノの断末魔が轟き、そして聞こえなくなった。余波により、部屋の壁のほとんどは瓦礫と粉塵に変わり、廊下にも傷跡は広がった。妹の腕も、無事では済まない。掌部分がほとんど吹き飛び、手首に相当する部分には、痛々しい破壊跡が残っていた。

「ッ!」

 砂塵の中で、片膝をつくレイア。彼女の腕も動かすのがやっとであり、躯体自体もいくつかの箇所で機能不全が発生している。周囲と妹の吹き飛んだ腕を見、視線を落とす。これほどの威力。

 

「これで……」

 

 

その予測はあまかった。

 

ガラス越しの、レイアの妹の目が見開かれた。バケモノだ。砂塵の中で浮遊するその触手も、身体も、多くが破損し、鉤爪も一振りしか残っていない。しかし、ヤツは生きていた。身体から体液をまき散らしながら、浮遊している。

「ksu kus」

突如、バケモノが一回転。強風ではあるが、レイアに害するほどのものではない。舞っていた塵だけを吹き飛ばし、浮遊するバケモノは再び彼女を見下す。

「何を…ッ!?」

血が抜け出ているのか、消化をしているのか。先ほどまで犠牲者の血で彩られていたバケモノの肉体は、少しずつ透明に、宙へ消えていく。

「また、隠れるのか……!」

しかしレイアもかなりの負傷。そう易々と追撃ができない。

「ksu ksu ksu」

特徴的な笑い声と共に、バケモノは再び不可視へと舞い戻る。

『双方手負い。となれば勝負は、一瞬でつく…』

レイアは左手に残っていたコインを弾き、右手で掴む。不可視のアドバンテージを活かされれば、勝敗はどうなるか、わからない。

 

わからなかった、はずだった。

 

彼女の左手指が、動く。

 

 

衝撃

 

「ksu ksu」

 

バケモノの笑い声。レイアは壁に強く打ち付けられた。

「……」

瓦礫が降り注ぎ、彼女の身体を打ち据える。レイアはゆっくりと、壁を背に頭をあげる。そこには

 

空中で制止した、金貨。

 

そしてその傍から漏れ出ている、赤い粉塵があった。

 

「…終わったか」

 

 不可視のバケモノは、そのまま赤い塵と化しているようで、徐々に赤い粉塵が空に舞って消えていく。おおよそ分解しきったことを確認し、レイアは壊れて動きの鈍い、左手を掲げた。その指からも、同じ赤い塵が発生している。ミュトス・ノイズが最期に触れた場所。

 

 

「…よく、やった」

 

 

彼女の言葉と共に、赤い塵は収まった。

 

 

──────────────────────────────────────

 

 

シャトーの一室。机や椅子、不要な実験器具の幾つか。そんな廃棄を待つ物を集めた、普段は使われることのない、物置のような部屋。レイアは椅子に座ったまま、ゆっくりと目を開ける。既にその躯体は先の戦闘で満足には動かない。

 

「随分と、やられたわね」

 

そこへ、風が吹く。

 

「ファラ、か」

 緑を基調としたドレスを身に纏う、ブラウンの長く美しい髪。ファラ・ユースフ。開いた扉を背に、レイアに微笑みかけた。

「私が出ている間に、いろいろあったようね。新しい躯体の準備が出来たわ」

「ああ…」

 腰かけているレイアの元に歩み寄るファラ。そして近くの机に腰かけると、レイアの破損個所に手を添えた。

「侵入した不届き者たちの処分は、結社で。マスターは非常におかんむりで、二度と城に結社の者を寄越すなって伝えたそうよ」

ファラの指が、左腕の方に移る。見てわかる破損として一番激しいのは、左腕前腕部と、顔の傷だった。

 

「敵は、なんだったの?」

「…わからない」

レイアは静かにファラを見据える。彼女から全体に共有されている、実際の戦闘データの記憶を再度確認するファラ。

「…確かに。これは、錬金術の範疇を超えているわね」

「ガリィの得た『変な記憶』。おそらくバケモノの試運転だろう。だが、それ以外に情報がない。錬金術とは違う、別の…」

 そこまで言って無理に立ち上がろうとする彼女を、ファラが掴んで止める。

「それはまた別の機会に調べましょう。それより…」

 ファラの手が、優しくレイアの腕を触る。ゆっくりと、指の方に触れた。そこは、崩壊の痕がかすかに残る、指先。

「アルカ・ノイズの準備も、ほぼ完了。新しい躯体には、統率用のデバイスも組み込んであるわ。実戦での運用は、かなり先になるだろうけど」

「そうか…」

 レイアの視線が、少し下がる。

「さあ、行きましょう。マスターの宿願のためにも、これから更に忙しくなるんだから」

 ファラが誘うように左手を引く。抵抗せず、立ち上がったレイア。二人は躯体の交換設備へと向かう。薄暗いシャトーの廊下を、進んでいく。

「……」

視界の隅で、何か小さなものが横切った、気がした。

 

 

 

 

彼女は振り向く。

 

 

 

 

「どんだけ出ようが今更ノイズ!!!」

 

 ここは極東の島国。時刻は夜。雲間から、微かに星が見え隠れする。

レイアは街灯の上から、状況を見下ろしていた。大量の弾丸で狙い撃ちながら、応戦する人間の少女が一人。傍らで控えるホムンクルスを守りながら戦っている。相対するは、

「……」

 少女からすれば、見知った慣れた敵であろう。弱く、脆く、簡単に倒せる。

 

「なん……だと?!?」

 

「ノイズだと」

だからこそ、この結果は必定。失敗作より得られた情報を元に再構築された、存在。発光する触腕に触られ、少女の武装は赤い塵へと崩れていく。微かに左手指が、疼いたような気がした。

 

「括った‟たが‟がそうさせる」

 

 

 彼女は微かな光に照らされながら、

 笑った。

 

 




皆様、こんにちは。
サリッサと申します。

お読みいただき、誠に有難うございます!

えっらい間が空いてしまい申し訳ございませんッ!!

突貫でやっていたために、時間が経って色々と当初の展開を忘れてしまったりと、
中々よくない進行でした…
もっとオートスコアラーズの絡みも書きたかったんですが、
進めなくなりそうなので、一旦今作はここまでに致しました。

今回はノイズを主軸に進めたかったこともあり、
オリノイズぇぇ…

ミュトスとは、語り継がれたものやお話、伝承的な意味の言葉のようです。
アルカヘストへ至るロゴス(論理)、それ以前の存在…
といった流れで命名しました!(と思いますあれどうだっけ…汗)

拙作VCシリーズとは明確にリンクはしていないため単体でも大丈夫なように作りました。
とは言え本編VCにも繋がっていく話であるのは事実…
その辺は追々やって参りますので、よしなに。(いや本当にやんなきゃヤバイ)

ではまた♪


PS.絶ステ楽しかった次回はサークル参加したいデスッ
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