六眼の呪術師(仮題)   作:彩迦

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お久しぶりです( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )
リハビリ作となりますのでよろしくお願い致します(´・-・`)


Episode1.五条透

 

 

 

 

 ──僕には年の離れた不出来な弟がいてさ。

 

 

 僕の名は五条悟。

 現代呪術界の最強の呪術師であり、五条透(ごじょう とおる)の兄でもある。五条家相伝の無下限呪術と六眼を併せ持って生まれた僕と同様に透も無下限呪術と六眼を併せ持ってはいるが、体内の呪力コントロールが甘いからまだ反転術式の習得には時間がかかっているようだ。

 まぁ、最強に次ぐ最強ということには変わりないよね。不出来と評したのにも理由があって僕は任務達成の為なら多少の犠牲は仕方ないと思っているんだけど、弟は俺と真逆で誰一人無駄な命なんていうのは存在しないから目に見えて自分の手が届く範囲の命は全て助けたい、なんていうおめでたい考えだから驚き。

 僕との年の差は十二歳差あるから、今年で高校生になるから呪術高専の京都校が欲しがってたようだけど、お兄ちゃんめちゃくちゃ教師頑張ってるよアピールしたら目輝かせて教師姿見てみたいとか言うと思ったら生ゴミ見るような目で仕方ねーから東京校に行くって言ってくれたんだよね。本当に優しい弟で嬉しい。

 

「えっ……単純に五条先生の駄目っぷりを見に行きたかったとかじゃないんですか」

 

 ──恵、なんか言った??

 

「なにも言ってないので気にしないでください」

 

 五条家の当主は本来なら僕が継がなきゃいけないんだけど、教師の道を進む上では多忙だし呪霊祓わないといけないし、上層部は保身馬鹿、世襲馬鹿、傲慢馬鹿、ただの馬鹿、腐ったミカンのバーゲンセールで話すらしたくないから透に当主任せてそれなりに自由にやらせてもらっているよ。僕の百倍くらいは精神疲労しているのは間違いないだろうけど。

 五条、禪院、加茂が御三家なんて呼ばれているけど、僕が産まれてから五条家はワンマンチームだったのに弟が産まれて御三家のバランスなんていうのは既にあってないようなもので大抵の事ならどうにでも出来るようになったよ。

 

「それ絶対、弟さん苦労してますよね。五条先生が知らないだけで胃に穴あいてそうな気がするんですけど」

 

 ──大丈夫大丈夫。アイツ、体術強いから鍛えてるだろうし。

 

「……そういう問題じゃねぇよ」

 

 おっと、そういえば夜蛾学長と打ち合わせの時間が近づいてるんだった。恵に回収任務頼んであるからさ、よろしく。宮城県仙台市のとある高校に特級呪物である両面宿儺の指が古い封印を施された状態で百葉箱の中に入ってるから回収して呪術高専まで運ぶこと。子供でも出来るようなお使いだから大丈夫、僕も同日の午後に東北での任務入ってるから終わったら合流するから。

 簡単簡単と言う僕を胡散臭そうな目で見てくる恵、本当に顔がお父さん似だなあと思いながら見つめ返してみる。

 

「一つだけ聞きたいんですけど、古い封印ってどのくらい前のものなんですか」

 

 ──今回のは両面宿儺の指が封印された年代のものらしいから千年以上前のものだね

 

「まじかよ……急がねぇと」

 

 

 血相を変えて急いで教室を出て行く恵に手をひらひら振って見送る。東北地方には古くから呪術師が多く点在しているから呪詛師の活動も非活性だし、両面宿儺の指の在処は地主としての力を持つ呪術師からの情報では今のところ今すぐに特級呪霊が発生するなんて案件では無いって報告受けてるから問題ないでしょ、たぶん。さてさて、夜蛾学長の所に行きますか。

 

 

 

 

 

 

 胃に穴があきそう、誰か助けて。

 今日は五条家、禪院家、加茂家の当主の会合が行なわれている。五条家の当主として会合には参加しているものの大体決まって議題に名が挙がるのは悟兄さんだ。禪院家の邪魔をしただの、加茂家の邪魔をしただの、話を聞くに裏工作を兄に邪魔をされたので躾ろということらしい。当主なら当主の仕事をしろということだろう。

 考えてもみてほしい。あの五条悟が大人しく出来るだろうか。禪院家、加茂家の重鎮ならば兄の学生時代の素行も知っていよう。過去に帳も降ろさずに術式で建物を木っ端微塵にしているのだ、そんな兄をどう止めろというのか。涙目で両当主に訴え掛けてみる。

 

「……今度から気をつけるがいい」

 

 禪院家当主である禪院直毘人がやれやれといった様子で肩を落としている。今年で十六歳になり、面倒くさがりやな兄に代わって五条家の当主を務めているものの、やることの大半は兄の尻拭いだ。しかし、この世界の力の均衡は全て兄にかかっているような状況なので上層部も下手に五条家に手は出せない。そんな状況も禪院家や加茂家からすると面白い話ではない。

 

「話は変わるが……今年から呪術高専の東京校に通うと聞いたが、上層部からは京都校への誘いがあったのではないか」

 

 ──京都校は大抵の呪霊なら東堂さん一人でも祓えますが、東京校は乙骨さんが離れてしまった今は兄不在時が心配なので。

 

 日本に数少ない特級呪術師、それに対しての特級呪霊を考えても近年の東京近辺での未登録特級呪霊が増えている状態から兄が東京校から離れた際に特級呪霊に対抗出来うる呪術師が圧倒的に足りないから仕方がなかった。

 決して兄の教師姿を見てみたかったという不純な動機ではない、うん。普段からの兄を想像しても教師というよりちょっとヤンチャなお兄さんにしか見えない。黙っていれば美男子だから。黙っていれば。

 

「百鬼夜行事件が記憶に新しいから、守りを固める意味でも東京校を選んだというわけか」

 

 記憶に新しいなんてレベルではなかった筈なんだが。トラウマレベルに近いよ、あんなに特級呪霊やら1級呪霊やらがボンボン出てこられた日には世紀末か何かと思った。京都では東堂さんが無双していたようだけど、流石に僕もあの数は驚いたね。

 禪院家の令嬢もその際に夏油さんによって大怪我させられていたようだし。ちょうど東京近辺で任務終わらせたタイミングで百鬼夜行事件に巻き込まれて兄から応援要請された時はなんとなく嬉しかったなあ。

 

 ──あと、兄を失脚させたい方々にとっては僕が京都校にいた方が都合いいこともあるのでしょう。

 

 呪術協会内部の中に夏油に通ずる内通者がいなければ百鬼夜行などという大それたことは実行出来なかっただろう。事件の規模から察するに上層部に近しい人間であることには間違いない。

 

 ──当面の間は学生業に集中したいので緊急の用件以外での会合には出席出来ませんのでご承知おきください。

 

 

 襖を開けて広々とした禪院家の玄関を出ると先程までの重々しい雰囲気から解放されたのだと実感出来る。外の空気美味いな、まじで。

 あの堅物の当主達と話してると息が詰まって仕方がない。

 

「あら、五条家最強の次に強い当主様じゃない? お久しぶりね、透くん」

 

 ──皮肉どうも、真依さん。相変わらず容姿端麗で毒舌も絶好調なようで良かったです。

 

 堅物の当主の次は毒舌女王様が現れるとは完全に胃に穴をあけに来ているに違いない。うふふ、と嘲笑いながら近づいてくる真依さんの手に握られているのは胃腸薬だった。

 真依さんは禪院家の玄関に視線を送ってホッと息をつきながら僕の手に胃腸薬を握らせてきた。案外、優しいじゃん。感動し過ぎて涙で前が見えなくなりそう。

 

「堅物ばかりの会合は疲れたでしょうから、それでも飲んで元気出しなさい」

 

 ──姉貴!! 一生付いて行きます!!

 

「午後から東北で任務なんでしょ? 任務前に胃に穴なんかあけたら戦えないじゃない」

 

 午前中は会合、午後から東北で任務という過密スケジュールをなぜか真依さんに知られてる。禪院家の当主チクったのか、なんて考えているとそうでもなかったらしい。

 

「噂になってたわよ。特級仮想怨霊の八岐大蛇を祓いに行くって」

 

 特級仮想怨霊。

 呪霊は人間から漏出した呪力の集合体だが、特級仮想怨霊は実在しなくても共通認識のある畏怖のイメージは強力な呪いとなって顕現しやすい。今回は稀に見る強力な怨霊となったらしい。よりにもよって八岐大蛇という形になって。

 ──もしかして僕のこと心配しに来てくれたんですか?

 

「調子に乗らないことね、お馬鹿さん。今回はたまたま家に居合わせたから……」

 

 ──いや、でも今日は学校もあるでしょうし。

 

「察しなさいよ。馬鹿」

 

 

 あ、はい。

 顔を真っ赤にしてプンプンと音がしそうな表情のまま真依さんが背を向けてその場を去っていく。僕は自分の瞳を隠している白い目隠しを上にあげて空を見上げた。今日は良い天気だなあ、何も起きなければいいんだけど。

 

 

 

 

 





お読み下さりありがとうございました。
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