六眼の呪術師(仮題)   作:彩迦

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久々に書く二次創作は楽しいです( ᵒ̴̶̷᷄꒳ᵒ̴̶̷᷅ )筆が進みます。3話目をどうぞ!!


Episode3.虚式「茈」

 

 

 

 

 自分の身体に術式が刻まれているのを自覚したのは六歳。暗殺されかけたのは一番古い記憶では四歳からでまだ幼い僕には術式なんていうのは自覚していなくて呪力コントロールと体術に明け暮れる日々を送っていた頃に呪詛師はちらほらと現れた始めた。

 五条悟が爆誕してから鳴りを潜めていた奴らにとってさらなる追い討ちをかけるように産まれた五条透。まだ術式を認識出来ていない今が殺す最大のチャンスであり、この機を逃すと面倒なことになると思っての行動。

 いつ現れるか分からない呪詛師は小さな僕の世界を壊し、恐怖させた。呪詛師が現れる度に六眼と体術を駆使して追い払おうと試みたけど、ある日に襲いかかってきた呪詛師が非常に強く、小さいその身体ではまだ戦うには無理があった。そこに偶然通りかかった夏油さんの呪霊操術で命からがら助かった。

 

『君には悟と同じく才能がある、弱きを助け強きをくじくことが出来るだけの才能が。もっと周りを頼るんだ』

 

 夏油さんが呪術師としての道を踏み外して呪詛師になった理由もうなずける。弱きを助け、強きをくじいた末に任務の護衛対象である天内さんを殺され、その一年後には可愛がっていた一人の後輩を失って弱者に疑問を持ってしまった。そこでさらに単独任務で美々子さんと菜々子さんを救助し、村人に感化されて考えに考えた結果が呪術師からの呪詛師落ち。

 百鬼夜行事件を起こして多くの人を傷付け恐怖に落とそうとし、乙骨さんとの戦闘を経て最期は親友である五条悟の手にかかった。

 

 ──この世界では私は心の底から笑えなかった、夏油さんが最期に遺した言葉だ。

 

 今の菜々子さんと美々子さんが誰の指示で動いてるのか分からないけれど今のこの状況を見て夏油さんは喜ぶと思うかな。君達二人を助けて大事にしようとしてくれた彼ならきっと喜ばないと僕は断言出来るよ。

 特級仮想怨霊が現れた時点で祓える特級呪術師が来るというのは分かりきっている。仮に菜々子さんと美々子さんが特級仮想怨霊との関係性が薄くとも、特級呪術師に見つけられた時点で拘束されるなり処刑されるなり、絶対に戦闘になる。

 

「ま、まるで私達が捨て駒のような言い方すんなよ!! 私達には」

 

「目的がある!!」

 

 ──どんな目的?

 

「夏油様の皮を被った偽物から夏油様の肉体を取り戻すんだよ!! その為にここまでやって来たんだから!! 八岐大蛇降ろして五条悟の戦力測るから私達は逃げ遅れた住民殺って山から離脱したら身体を返してくれるって!!!!」

 

 嘘は言ってない。

 僕がいつでも彼女達を殺せるという状況下でわざわざこんな手の込んだ嘘をつくメリットが一つもない。兄さんが夏油さんを手にかけたあと、遺体を呪術高専ではなく別の所に処分を頼んだとすれば死者の亡骸はいくらでも使いようがある。それも特級呪術師となれば話は変わる。

 夏油さんの遺体を利用して夏油さんに成りすましている偽物がいるなんていうのを兄さんが聞けば怒り狂うのが目に見える。成りすましているのだとすれば肉体に刻まれている術式を使えていてもおかしくはない。現に八岐大蛇を降ろしたのが夏油さんの呪霊操術によるものなら死者を冒涜するだけでも大罪なのに術式を使って人を殺めたっていうのなら夏油さんが報われないにも程があるだろ。

 

 ──仮に今の君達の話を信じたとしても夏油さんの偽物は身体を返さないよ。

 

「は……? なに言って……」

 

 術師と約束をする時は縛り(・・)を明確にしなくちゃいけない。そうでなければただの口約束、守る義理なんていうのは一切ないから夏油さんの偽物は最初から君達を捨て駒にする前提で行動に移した。現に今こうして夏油さんの偽物は僕が君達の命を脅かしているのに助けようとしないのが証拠だ。

 

「じゃあどうしろっていうんだよ……私達は何のために……」

 

 ──呪術師になればいい、強くなって夏油さんの身体を取り戻せばいいだろ。

 

「はっ、私達がクソみてーな呪術師になるくらいなら」

 

 ──菜々子さんと美々子さんを救った時の夏油さんは少なくともまだその時は呪術師だった。

 

「もう堕ちる所まで堕ちてるのに今さら呪術師側に回るっていうのは」

 

 下手な理由を探すなよ、大事な人助けるのにわざわざ理由選んで上辺だけの言葉並べて。助けたいんだろ、自分達じゃどうにでも出来ないから藁にもすがる思いで言うこと聞いたんだろ。呪詛師である以上、助けを求める相手は限られるかもしれない。でも、菜々子と美々子がいうクソみてーな呪術師には仲間が多いし助け合える。

 

 ──夏油さんの身体を取り戻した後のことは菜々子さんと美々子さんがその時また考えればいい。俺が憎くて殺したいならそうすればいいし。

 

「お人好し過ぎるでしょ、アンタ……」

 

 菜々子と美々子の二人の瞳からポロポロと涙が零れる。最初から話し合いで済むならそうしたかったけど、殺意を向けられて純粋な話し合いが出来そうにないなら最初から戦意を削ぐために多少手荒な真似をしてしまった。兄ならもっと上手くやるんだろうけど僕は口がそんなに上手いわけじゃない。

 とりあえず美々子さんの右脚の脱臼を治してから二人を伊地知さんに預けて兄と合流しようかな。

 

 

 

 

 

 

 ──虚式「茈」

 

 蒼と赫を合わせた複合術式。術式順転の蒼と反転の赫を掛け合わせる事で生まれる仮想の質量を押し出す五条家の奥義。他者からは見ることも触れることもできない重さだけが回避できないほどの速さで木々を消し飛ばしながら八岐大蛇に向かって飛ぶ。八つの頭のうち四つに当たり爆散し凄まじい量の血飛沫が雨のように降るものの、鼓膜が破けそうな勢いで断末魔を上げながら再生スピードが早く、すぐさままた頭の数は八つに戻ってしまう。

 攻撃しても埒が明かないな、これ。まるでスライムかなんか攻撃してる気分だ。多少なりともダメージは与えてるはずだから、このまま領域展開してパワーをゴリ押しで祓った方が早いかもしれないな。

 

「兄さん、調子どう??」

 

 ──ナイスなタイミングだよ、弟くん。領域展開でパワーゴリ押し考えた所だったから助かる。

 

「茈でも駄目だった感じ?」

 

 ──多少なりともダメージは入ってると思うけどタフネスだから二人で茈ぶつければ祓えるよ。六眼で見て分かると思うけど八つの頭同時に飛ばせば再生しないはずさ。

 

 厄介な特級仮想怨霊だなぁ、とポリポリ頬をかいてる透だけど数週間会っていなかっただけなのに反転術式をもう身に付けている。僕と比べられるのが嫌なのか、死にものぐるいで修行してるのが伝わってくる。もう反転術式身に付けたのかい、と笑うと透は誰かさんが出張する度に特級呪霊を祓いに行って嫌でも勝手に術式が洗練されていくって凄い嫌な表情をしてる。なんかごめんて、今度ラーメン奢るから許してよ。

 

「はぁ……タイミングがズレると再生するだろうから、兄さんにタイミングは任せるよ」

 

 ──オッケー!!任せなさーい!!いくよ、三、二、一、虚式「茈」

 

 

 素早く術式順転の蒼と反転の赫を掛け合わせて放つ。透の茈と相まって仮想の質量が二重となって絶対回避できないほどの速さと威力を増した状態で木々を薙ぎ払い消し飛ばしながら八岐大蛇に向かって飛んで行き八つの頭は同時に消し飛んで再び血飛沫が森に雨のように降り注ぐが再生することなく、その巨大な体躯はまるで存在していなかったかのように消えていく。

 僕一人でも充分祓えた相手だけど、たまには兄弟で共闘するのもなかなか気分良いものだね。特級仮想怨霊相手でも物怖じしない十六歳ってどうなのっては普通思うところなんだろうけど。普通じゃなくなるっていうのは怖いね。

 

「もし兄さんが敵だったら生きて帰る自信ないよ」

 

 ──僕も透が敵だったら無傷では済まない自信ある。

 

「あっ、兄さん。呪詛師の二人が自首したので呪術協会の監視下ではなく、五条家預かりでしばらく様子見で呪術高専に編入させます」

 

 ──おぉー、自分から苦労を買って出るなんて兄さんは鼻が高いよ。

 

「菜々子さんと美々子さんだって分かった時点で全部の責任、僕に背負わせるつもりだったんでしょ」

 

 さすが弟なだけに全部見破られてて草が生えそうな勢い。傑の置き土産のような存在でもある彼女達は放ってはおけなかった。透に任せて正解だったみたいだ。数多くの人を呪い殺した事実は変わらないし変えようと出来ない現実だけど、これからの行ないは変えれるのも事実。

 

「それで菜々子さん達から奇妙な話を聞いて……亡くなった夏油さんの身体を何者かが乗っ取って術式を使ってるらしい」

 

 ──は??

 

 

 夏油の身体を何者かが乗っ取っているというのを聞いた瞬間、自分の中でプツンと切れた音がしたような気がした。

 

 

 

 




お読み下さりありがとうございました!!

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