俺のVTuber活動日誌   作:ホッシー@VTuber

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一ページ目:VTuberになることを決意した日

「そうだ、VTuberになろう」

 そう思ったのは唐突、でもなかった。

 元々、9年以上ニコニコ動画で生放送をしていたし、地声によるゲーム実況や文章を読ませるソフトを利用した朗読動画。最近ではTRPGのリプレイ動画を投稿している身だ。活動している場所は違うが、同じ動画配信サイトであるYouTubeもよく利用している。

 その中でもVTuber――バーチャルユーチューバーに興味が出るのも不思議ではない。

 最初は本当にただの興味だった。

 おススメ動画の一覧にVTuberの動画が現れ、なんだろうと首を傾げながら再生。そして、その存在を知り、時々、切り抜きを見て楽しむ。ただ、それだけだった。

 正直、VTuberになろうと思ったきっかけは自分でもよくわかっていない。本当に、『あ、なろう』と思った。

 突拍子もないアイディア。

 脈絡のない挑戦。

 自分でも理解できない解答。

 でも、だからこそ、自分の本心が零れ落ちたのだと何となく察した。

 決まってからは早かった。とりあえず、モデルを作れそうな友人に心当たりがあったのでメッセージを飛ばし、立ち絵の作成を依頼。心優しい友人だったため、俺の思いつきにも笑って賛同し、立ち絵に関して話し合った。

 一方、その間にも『VTuberになろう』とTwitterで呟いたのだが、十数名の人が『いいね』をしてくれたことに少々驚く。十数人程度の『いいね』で驚くのか、と思われるかもしれないが生放送をしている身でありながらTwitterをほとんど利用していない自分からしてみれば十分驚くことだった。

 きっと、VTuberになるだけでも様々な問題が浮上するだろう。立ち絵を描いてくれる友人がいるだけでも俺は幸運だったに違いない。

 VTuberになる、と宣伝したからか、無性に生放送がしたくなって突発的にニコ生を始めた。TRPGの動画編集も進めたかった上、いつも遊びに来てくれる常連さんたちがどんな反応をするのか気になったのである。

「前から切り抜きとか見てて……それに前々からわいわいぎゃあぎゃあやってる時に顔も出せたらいいのになって思ってたんだよ。だから、VTuberになればもっとわいわいできるかなって――だから、VTuberになるかって」

 生放送を始めてすぐにVTuberになろうと思ったきっかけを話す。そう話しながらもVTuberという世界は厳しいことは9年も生放送を続けていたからこそ容易に想像できた。数人程度だが、ほぼ毎回遊びに来てくれるリスナーさんだって長い間、生放送を続けていたからこそ仲良くなった人たちだ。本当に一から始めるのだから常連なんかいるわけがない。本当にVTuberになっても今までと同じようにわいわいぎゃあぎゃあ騒げるか不安だった。

 

 

 

 ――ぶいちゅーばーほっしさん(´・ω・`)

 ――なに?メス堕ちするの?

 

 

 

「メス堕ちしねぇよ!」

 そんな不安を蹴飛ばすようにいつものようにリスナーさんがからかうようなコメントを打ち込んでくれた。もちろん、俺もいつものように笑いながらそれにツッコミを入れる。

「でも、俺がVTuberになったら応援してくれんの?」

 

 

 

 ――まあ頑張って

 ――VTuberになったら見に来ないわ

 

 

 

 そんな作業をしながらも一番気にしていたことを聞くとそんなコメントが流れた。まぁ、活動サイトが変わるわけだし、わざわざ俺を追いかけて来る物好きはいないか、と内心ちょっと落ち込む。

 

 

 ――YouTubeにスパチャだけして帰るわ

 

 

「いや、なんでだよ! そもそもスパチャ投げるために収益化しなきゃならないんだけど! しかも、それ、ただのスポンサーだからな!」

 数秒後に流れた華麗な掌返しコメントに思わず声を荒げてしまう。俺の常連さんはこういう奴らだったわ、と呆れながらも笑ってしまった。

 VTuberとしてやっていけるのか、そもそも本当にVTuberになれるのか。

 まだ不安はたくさんあるけど、少しだけ気持ちが前向きになったような気がした。

 それからはいつも通りにわいわいぎゃあぎゃあ言いながら生放送を続け――。

 

 

 

 ――ちっす

 ――v化するんだって???

 

 

 

 ――最後の方に現在、俺の生放送に来てくれる常連さんの中で最も付き合いの長いリスナーさんが来た。

「うん、そのつもり」

 その時、謀STGの妹様と遊んでいたため、簡潔に答えた。前日にYouTubeで活躍しているVTuberが妹様と遊んでいるのを見て俺も遊びたくなったのである。

 しかし、次に流れたコメントで俺の意識は半分ほど引っ張られる。

 

 

 

 ――いつかデビューはしたいと思ってるけどまだ無理やなぁ

 

 

 

「え? VTuberになりたいの?」

 

 

 

 ――スパチャ投げる時は投げるわ

 

 

 

「だから、なんでみんな、スパチャ投げようとすんだよ!」

 

 

 

 VTuberになろうと思ったのは唐突で、個人で頑張るつもりだった。一応、9年もニコ生を続けていたし、様々な活動をしているから誹謗中傷にも慣れている。どんなに数字が伸びなくても今まで通り、持ち前の継続力で活動を続けよう。そう思っていた。

(……でも、もしかしたら)

 まだ活動の内容も、キャラクターの設定も、チャンネルすら作っていないお先真っ暗な計画。

 しかし、それでも、今までの俺と違うのは――相方ができるかもしれないこと。

 本当に相方になってくれるかわからないが、一緒にできたら楽しそうだ。

 この時の俺は妹様にボコボコにされながらもそう考えていた。

 

 これが9年以上、様々な活動をしながらも特に日の目に出なかった俺が何の脈絡もなく、VTuberになろうと決意した一日目のお話。

 誰もが予想した失敗談になるのか。奇跡のようなサクセスストーリーになるのか。こうやって、小説として活動記録を残そうとしている俺ですらわからない。

 だって、この物語は現実なのだから。

 

 

 でも、確かに言えるのは――この小説は確実に俺にとって黒歴史になる。

 

 

 では、次回はどうしてこんな小説を投稿することになったのか。

 その経緯を話そうと思う。

 

 

 

 それでは、皆様、また、次のお話でお会いしましょう。

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