戦勝記念塔では、ユッタが敵蒸気機械『リーリエ』を操り、ニーナ・ナターシャ・リリィと対峙していた。『リーリエ』はタコのように長い足が特徴的で、飛行形態でも相手に簡単に捕まる恐れがある。
「クソっ。隊長はまだなのか!?」
上空を旋回しながらナターシャが毒づく。
「マレーネさんもまだ来てません!」ニーナ。
「ナターシャ、どうするの?」リリィ。
「このまま飛び続けても無駄に霊力を消費するだけだ。相手が動きを見せるまでその場に待機。あとは隊長たちが来るのを待つんだ」
「了解!」
一方のユッタも、相手の動きを見定めていた。
「……どうやら敵は三人。しかもボスはいない。隙を見て突っ込めば形勢はこちらに傾く」
ユッタはマシンを起動すると、足を三人目がけて上空に投げ込んだ。
「来やがった!」
三人はちょこまかと攻撃をよけつつ、相手の体力を削っていく。
「一人だからって油断するな! 何か企んでいるかもしれない!」
ナターシャがそう言った瞬間、『リーリエ』の足が突如空中まで伸びてあっという間に三機を捕まえてしまった。
「しまった!」
足からは大量の光線が流れ出て、三人の体力を奪っていく。
「ハーハッハ! 死ね、死ねぃ!」
ユッタが高笑いをしながらさらに光線を強めようとした時、突如三人を捕えていた足がボロボロと切り刻まれていった。三人は地面に落っこちる前に脱出する。
「な、何だ?!」
ユッタは視線を別に向けると、マレーネのアイゼンクライト改がちょうどやってきたところだった。
「千両役者は遅れてやってくるのよ。伯林華撃団、参上!」
神木のアイゼンクライト改が皆の元に駆け寄る。
「みんな、遅れてすまない。大丈夫だったか?」
「あ、あぁ。なんとかな」ナターシャが答える。
「でも、マレーネさん、どうしたんですか? 見得なんか切って」秋奈が尋ねる。
「そーだよ。マレーネ、なんかいつもと違う」リリィも不安そうに聞く。
「──変わったのさ、彼女も。さぁ、グズグズしていられない。伯林華撃団、出撃! 目標は敵蒸気機械の撃破!」
「──了解!」
足を無惨に失った『リーリエ』は、攻撃力を失ったも同然だった。マレーネを中心に攻撃陣形を取り、リリィと秋奈は空中から集中攻撃を行った。
「もう諦めるんだ! 貴様に勝ち目はない!」
神木が声を張り上げる。
「……く、く、クソッたれぇええええ!!! 誰が、誰がてめぇらなんかに、白旗を上げるかぁああああ!!!」
ユッタは絶叫すると、コックピット内にある自爆ボタンを叩きつける。機体から白い閃光が噴出してくる。
「──いかん! 全員退避!」
「了解!」
皆が空中へ退避した直後、『リーリエ』は激しく爆発し、残骸だけがその場にボロボロと残された。
「……終わったな」
アイゼンクライト改から降りて機体の残骸をチェックする一同。
「それにしても、マレーネが来てくれなかったら危なかったぜ」
ナターシャがマレーネに言う。
「それにあんな口上まで叩いてよー。どうしたんだ、本当に?」
「……さぁね。敵を見たら、急に体が熱くなったのさ」
そう言って、神木の方に顔を向ける。
「ありがとうね、隊長」
「マレーネ……」
「──なんかよく分からないけど、とりあえず、アレ、やります?」
秋奈がみんなに提案する。
「そうだ! 今日はマレーネが音頭を取ってよ!」
「私が? ──じゃ、いくわよ。勝利のポーズ……」
「決め!」
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「もうすぐ、もうすぐ目覚める……」
闇に包まれた男が何やら作業をしながらブツブツ呟く。
「これで、これでこの国はわが手に。ふふ、フハハハハハ……!」
男の高笑いは闇夜に鳴り響いた。
【Ep.5 完】
【次回予告】
私の夢、私の人生、私の生きる道
私は、女優として、この伯林で暮らしていきたい。
だから、分かって。パパ──。
次回、『箱入り娘クライシス』
お楽しみは、これからよ。