パート1
「ユッタもやられたのか!」
ヨーゼフは愕然と床に跪く。
「なんてこった。もう、残るは私一人……兄者はこの所顔を見せないし……」
頭を抱えて怒りに震える。そして、キッと顔を上げる。
「……よかろう。復活してパワーアップした私の真の姿を見せてやる!」
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「……これは、マレーネ。これもマレーネ。これは……ナターシャか」
神木は劇場に送られてきたファンからのプレゼントや手紙を仕分けしていた。今や伯林を代表する存在となった伯林歌劇団には、国内外からファンがファンレターやプレゼントが送られてくる。それをメンバー別に分けるのも隊長である神木の仕事だ。
「神木さーん」
リンが段ボールの箱を持って現れる。
「すみません。まだ残ってましたー! これもお願いしまーす!」
「えぇ……」
神木はガクッと肩を落とす。
「リンくんのおっちょこちょいは困ったものだよ」
「すみませーん。よろしくでーす」
全く反省していない口調で段ボールを置いて出ていく。
「……やるしかないか」
結局全部の仕分けが完了したのは、舞台の夜の部公演が終わったのと同時刻だった。
「お疲れ様です。隊長」
サロンでダラーンとしている神木に、秋奈がレモン水を差し出す。
「今週もマレーネが一位かよー。強すぎるだろ」
プレゼントの量を見ながらナターシャがぼやく。
「あら? 私とあなたとでは格が違うのよ」すました顔で言うマレーネ。
「何だとコラァ?!」
「まぁまぁ、喧嘩は止めて」
慌てて神木が仲裁に入る。
「……でもマレーネさん。一時と比べるとずいぶん明るくなりましたね。私達とも話すようになったし」
秋奈がしみじみと言う。
「そうだな。これでようやく、伯林華撃団勢揃い、ってとこかな?」
神木もほっとしたように言う。
「神木さーん」
売店で売り子をしていたアンジュがサロンにやってくる。
「アンジュくん、どうした?」
「それが、ロビーに変な人がいるんです?」
不安そうに言うアンジュ。
「変な人? 舞台のお客さんとかじゃなくて?」
「そうは見えないんです。ブロマイド求めに来るお客さんとも違うみたいだし」
「……よし。俺が行ってみるよ」
神木は立ち上がって、一階ロビーに向かう。アンジュの言っていた通り、一人だけ不審そうにせかせかと動き回る壮年の男性がいた。神木はその男性に近づく。
「お客様、本日の公演は終了しましたが、いかがなされましたか?」
男性は神木にいきなり声を掛けられて肩をビクッと揺らす。が、恐る恐る振り返って神木の顔を見ると、「あんた、劇場の人間か?」と尋ねてきた。
「え、えぇ。私は劇場のモギリ係ですが──」
「支配人に会いたいんだ。支配人に会わせてくれ」
「えぇっと……支配人はただいま留守にしておりまして、副支配人しかおりませんが……」
「何でもいい! とにかく会わせてくれ」
「あ、あの。あなたは一体……?」
「私は、ニーナの父親だ!」