『神木さん! 私が囮になってヨーゼフの注意を引きます。そのうちに!」
「いかん! 危険すぎるぞ、ニーナくん!」
『危険は承知です!』
「相手は格段に強い! 一人では危険だ! 僕も一緒に行く! それでいいだろう?」
『は、はい!』
「各隊員に告ぐ。僕とニーナくんで奴の注意を引く。そのうちに、三人は攻撃を仕掛けろ!」
『了解!』
神木とニーナが隊の先頭に立って、『シュテンゲル』にとびかかる。
「オラオラァ! 森の落ち葉にしてやんよぉ!」
威勢は良いが、森の中でデカい図体で一度に二機を相手にするのは大変なようだ。
「クソッ。クソッ!」
ブンブン腕を振り回しているうちに、『シュテンゲル』は足元をすくわれて倒れてしまった。
「今だ!」
チャンスを見逃さず、神木が声を張り上げる。四機、一斉に『シュテンゲル』を押さえつける。
「クソッ。離せ、離せ!」
一生懸命もがくヨーゼフだが、四人が強く機体を抑えているため身動きが取れない。
「神木さん、今です!」
ニーナが声を上げる。
「うぉおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!」
神木がありったけの力を込めて、『シュテンゲル』のコアを貫く。
「ぎゃあああああああああああ!!!!!!」
急所を突かれた『シュテンゲル』は制御不能となった。機体から白い煙が立ってくる。
「クソッ……この俺が……二度も華撃団に負けるなんて……」
「伯林の平和を脅かす者がいる限り、僕たちは決して負けない! それが、伯林華撃団なんだ!」
「クソッ。クソクソクソクソ! こうなったら、てめぇらもろとも道連れだ!」
「──いかん! 自爆する気だ! 全員退避!」
「了解!」
神木の合図で全員森を離れる。その十秒後に猛烈な爆風が背後から吹いてきた。
「間一髪だったか……」
燃え盛る森を見ながら神木が呟く。
「だけど、これであたしら伯林華撃団の完全勝利だな!」ナターシャ。
「えぇ。これでまた劇に集中できるわ」マレーネ。
「手ごわい相手だったわね……」秋奈。
「でもこれで、僕たち平和に暮らせるよね!」リリィ。
「あぁ。──帰ろう。ベルリン歌劇場へ」
劇場に帰還すると、スピカと空組の面々が出迎えてくれた。
「副司令、伯林華撃団、ただいま帰還しました」
「うん。おつかれさま」
笑顔で迎え入れるスピカ。
「お疲れ様です。皆さん」つぼみ。
「ホント、心配したんだからー!」アンジュ。
「でも良かったです。皆さん無事で」リン。
「いやぁ、お疲れちゃん」
後ろから陽気な声がする。振り返ると、ワイン片手に持ったヨハンが立っていた。
「支配人! どうしたんですか? ってか、どこ行ってたんですか、今まで?」
「いやぁ、ちょっと用があってねー。ついでに長期休暇も取ってた! でも凄いねー。ヨーゼフたちをやっつけるなんて!」
「は、はぁ……」
「さぁ、さぁ。皆さん!」
ニーナが声を張り上げる。
「敵も倒したことだし、いつものアレ、やりましょう!」
「──そうだな。よし、みんな、入って入って、いくぞ! ──勝利のポーズ……」
「決めっ!」
*******
「……同胞が全員やられてしまうとは。少々計算外だったか」
闇の中で男が呟く。
「……まぁ良い。奴らのコレを破壊さえすれば、こっちのものよ」
男はそう言って、アイゼンクライト改を見上げた。
【次回予告】
ついにやってきた冬休み!
どこかに出かけるもよし、のんびりするも良し!
ところで神木さん、休みは一体誰と過ごすんですか?
次回、サクラ大戦Ⅵ Ep.7『すてきなウィンターホリデイ』
お楽しみは、これからよ!!!