サクラ大戦Ⅵ ハロー・マイラブ    作:蛇王

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パート2 リリィルート

「ゆーいちろー、いる?」

 

「その声はリリィだな? いるよ、入っておいで」

 

部屋に入ってきたリリィはどこかモジモジしている。

 

「どうした? 何かあったのか?」

 

「ゆーいちろー、明日からの冬休みって何か予定ある?」

 

「予定? いや、特にまだ決めてないけど……」

 

「ぼ、ボク、ゆーいちろーと一緒に伯林動物園に行きたいんだけど……」

 

「伯林動物園? そういえば、そんな施設があるって聞いたことあるなぁ」

 

「ボク、動物園なんて生まれてこの方行ったことなくて……。合唱団の子たちの話を聞いて、ずっと羨ましいなと思っていたんだ……だから……」

 

「そういうことなら、お安い御用さ。じゃあ、明日朝10時にロビーに集合してから行こう」

 

「うん! ありがとう!」

 

リリィは満面の笑みを浮かべてスキップしながら部屋を後にした。

 

 

 

*******

 

 

 

翌日。ロビーに向かうと、すでにリリィが玄関先で待っていた。

 

「やぁ、リリィ。待たせたかな?」

 

「うぅん。ボクも今来たところ」

 

リリィは、海軍の水兵のような可愛らしい外出用の服に着替えている。

 

「ねぇ、ゆーいちろー。似合ってるかな」

 

「うん。よく似合っているよ」

 

「へへ。良かったぁ」

 

そう言って満面の笑みを浮かべるリリィ。

 

「さぁ、行こう。そろそろ電車が来る時間だ」

 

神木は、リリィの手を握って駅へと向かった。

 

伯林動物園は、伯林動物園駅から歩いて一分のところにあるヨーロッパ最大の動物園だ。34ヘクタールを誇る園内には18,000頭を超える動物たちがいる。

 

「動物園の隣には、水族館もあるらしい。一通り見回ったらそっちにも行ってみるか」

 

「うん!」

 

動物園内は大勢の観光客でいっぱいだ。リリィと同年代の子供たちも大勢いる。

 

「ほら、ゆーいちろー! こっちこっち!」

 

初めての動物園に興奮気味のリリィは、あちこちの動物ゾーンを行ったり来たりしている。

 

「ハハハ。動物さんは逃げないから、そんなに急がなくてもいいよ」

 

笑いながらリリィの後を追う神木。キリンのゾーンの前まで来た時、『餌やり体験実施中』の看板が目に入った。

 

「ほら、リリィ。キリンの餌やり体験だってさ。せっかくだし、やってみたら?」

 

「えぇ、でも、怖くないかな……」

 

「大丈夫。僕も一緒にいるから。それに、こんな経験めったに出来ないぞ」

 

「う、うん。分かった。やってみるよ」

 

飼育員からニンジンをもらい、神木の手を握りながら恐々キリンに差し出すリリィ。キリンはしばらくニンジンをじろじろ見ていたが、小さく口を開けてかぶりつくと、そのまま旨そうに食べ始めた。

 

「な? 怖くなかっただろ?」

 

神木がリリィに優しく問いかける。

 

「うん! ゆーいちろーがいてくれたから、ちっとも怖くなかった!」

 

リリィは飛びきりの笑顔で答えた。

 

昼時になり、二人は園内のレストランで昼食を取ることにした。

 

「何でも好きなものを注文していいからね」

 

「じゃあ、ボク、この『ステーキ』ってやつ食べてみたい!」

 

「ハハハ。リリィは育ち盛りだから、栄養あるもんはどんどん食べないとな。じゃあ、僕も同じのにしよう」

 

運ばれてきたステーキを平らげながら、午後の予定を確認する。

 

「──じゃあ、午後はさっき言った通り水族館に行くでいいな?」

 

「うん! ボク、水族館も行くの初めてだから!」

 

「よし。じゃあ、早速──」

 

と、ここで神木のアイフォトロンが突然鳴り出した。慌てて出ると、スピカの声が流れてきた。

 

『神木くん? 良かった、今どこにいる?』

 

「リリィと一緒に、伯林動物園にいます」

 

『じゃあ、近くね。今すぐ戻ってきて。大変なことが起こったの』

 

「えっ? 大変なことって……?」

 

『ワケは後で話すから、とにかく、急いで戻ってくること!』

 

通信はそこで途切れた。

 

「ゆーいちろー……」

 

リリィが不安げな顔をする。

 

「すまない、リリィ。水族館はまた今度だ。急いで劇場に戻るぞ!」

 

「うん!」

 

リリィはすぐに切り替えて、神木と共に動物園を後にした。

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