伯林華撃団作戦指令室に、スピカ・空組・四季組、そして神木の全メンバーが集った。
「それで、副司令。一体、何があったのですか?」
神木が身を乗り出して尋ねる。
「まずは、これを見てほしいわ」
そう言って、スピカはモニターを映す。映し出されたのは、グルーネヴァント塔の麓に大きな敵蒸気機械と一人の人間が立っている様子だ。
「拡大するわよ」
スピカの合図でつぼみが人間を拡大する。そこに映っていたのは──。
「よ、ヨハン支配人?!」
立っていたのは他でもない、伯林華撃団司令にして、伯林歌劇団支配人のヨハンだった。
「ど、どうして支配人が……?!」
困惑する神木をよそに、ヨハンは映像越しに口をパクパクさせている。何か話しかけているようだ。アンジュがスピーカーをオンにする。
『やぁやぁ、伯林華撃団の諸君。いかがお過ごしかな?』
ヨハンの声はいつもの気の抜けたトーンではなく、どこか邪悪な感じがする。
「支配人、これは一体どういうことですか! なぜ支配人が敵蒸気機械なんかと……」
神木が懸命に語り掛ける。
『その声は神木くんかな? デートの邪魔をして悪かった。だが、こっちも機は熟したのでね』
「機?」
『我が野望、伯林征服を果たす時が、ついに来たのだ! 私はこの日を今か今かと待ち望んでいたのだ! ──そのために、我が同胞どもは貴様らの犠牲になったがね』
「何ですって……!? てことは……」
「最初から敵だったのよ、あいつは」
スピカが口を挟む。
「上手いことやったわね。まさか伯林華撃団創設に一番協力してくれた人物が、実は敵の親玉とは誰も思わないでしょうし」
『その通りだ』
得意げな顔をするヨハン。
「劇場にあまり居着かなかったのも、伯林征服のために準備していた、ということだったのね」
『そうだ! あんなオンボロ劇場で時間を潰す暇など私には無いからな!』
「何ィ!」
神木は歯ぎしりをしてスピカに向き合う。
「副司令。すぐに出撃しましょう! あんな奴速攻で叩けば……」
「それが出来ないのよ」悲しそうに目を伏せるスピカ。
「出来ない? 一体どうして……」
「私達のアイゼンクライト改は、全てあいつによって破壊されたのよ」
「何ですって!?」
神木は慌てて地下格納庫へと向かう。そこにあったのは、見るも無残な姿となったアイゼンクライト改だった。
「そ、そんな……そんな馬鹿な……」
愕然としてヨロヨロと指令室に戻ってくる神木。
「アイゼンクライト改が無きゃ、私達は無力。……悔しいけど、あいつの方が一枚上手だったってことね」
スピカが絞り出すように声を出す。ニーナたちも皆黙ってうつむく。
『ハーハッハッハ! 伯林が崩壊していく様を、そこでじっくり見ていくがいい!』
ヨハンの高笑いがスピーカー越しに響き渡る。皆、言葉も出ず黙ったままだ。
「──ちょっと待って」
沈黙を破ったのは、リンだった。