ヨハンはしばらく外で煙草を吸っていたが、やがて敵蒸気機械『フェアギスマインニヒト』に乗り込むと、機体を起動させた。
「奴らからの通信も途絶えたか……。私の野望を果たすために、邪魔をされては困るからな。霊子回路を破壊したんだ。奴らに私を止めることは不可能──」
言ってる途中で、空中から次々と砲撃を受ける。
「な、何だ?!」
見上げると、見たことのないアイゼンクライトが空を飛んでいる。
「伯林華撃団、参上!」
「な、何ィー! 馬鹿な、アイゼンクライトは、確かにこの私が……」
「切り札は最後まで取っておくものさ。さぁ、ヨハン。これで互角だ。覚悟しろ!」
「ふふっ。どうやら、少々貴様らを甘く見過ぎていたようだな。だが、切り札ならこちらにもある!」
言うや否や、『フェアギスマインニヒト』が巨大化していき、怪獣ほどの大きさとなった。
「ハッハッハ。どうだ! この巨大化した『フェアギスマインニヒト』にかかれば、どんな建物も破壊することが出来るぞ! 貴様らのアイゼンクライトだって、ひとたまりもないぞ!」
「分かっていないな。これまで何度も危機を乗り越えた伯林華撃団に、死角など無いんだ! みんな、行くぞ!」
「了解!」
神木の合図で、五人は一斉にヨハンにとびかかる。
「すげぇ! 乗った時も思ったけどめちゃくちゃ使いやすいぜ、これ!」
ナターシャが感嘆の声を上げる。
「本当! これなら、あのデカブツでも倒せるわよ!」秋奈。
「みんな。油断は禁物よ。火力なら向こうだって負けていないんですし」マレーネ。
「だいじょーぶ! ボクたちが力を合わせれば、絶対負けないよ! ね、ニーナ!」リリィ。
「えぇ。私達は、絶対に負けません!」
ニーナはそう言うと、背後に回り込んで一斉射撃を行う。
「グハァ! 後ろから攻撃するとは、卑怯だぞ!」
ヨハンが情けない声を出す。
『みんな? 聞こえる?』
スピカから皆に通信が入る。
「はい、聞こえます。どうしましたか?」
『空組が、ヨハンの敵蒸気機械を分析したの。奴の弱点は足よ。足を重点的に攻撃して!』
「了解しました!」
神木の合図で、今度は一斉に足を集中攻撃する。
「こ、こら! こいつはガタイが良いから足場が脆いんだ! やめ、やめないか!」
ヨハンの言うことなど耳も貸さず、皆一心不乱に足を撃つ。しばらくすると、足の付け根から白い煙が立ち始めた。
「今だ!」
神木は霊力を最大火力までつぎ込むと、そのまま一気に強烈な砲撃をする。大ダメージを食らったヨハンの敵蒸気機械はバランスを失い、そのまま倒れる。次の瞬間、大爆発が『フェアギスマインニヒト』を包み込んだ。
「やったぁ! これで完全に敵を倒したぞ!」
喜びの声を上げる一同。だが、それとは裏腹に徐々に空が暗くなってくる。
「あれぇ? 今日、雨降るって予想だったっけ?」
空一面に雷が鳴り響き始める。と、思いきや燃え盛る『フェアギスマインニヒト』の中から無傷のヨハンの体が宙に浮かんできた。
「な、何だよ?! これは一体!」
ヨハンの浮上が止まるや否や、突然閃光が彼の体内を通過する。その刹那、ヨハンの身体が変化していき、王冠を被り、中世の騎士の服をまとった白髪の髭を生やした老人の姿となった。
老人は瞑っていた目をゆっくり開くと、その容姿からは想像できないほどの大きな声でこう宣言した。
「我は……カール大帝なり! この堕落しきった国を救うべく、神聖ローマ帝国の復活を誓う! 我に逆らうものは一人残らず叩き切る!」
言い終わると、天空から見たことのない幾何学模様の建物が降ってきて、カール大帝はその中へと消えていった。
【次回予告】
ついに現れた、伯林華撃団史上最強の敵、カール大帝。
伯林の平和を守るための最終決戦が始まる。
みんな! 必ず勝って、全員生きて帰還するぞ!
次回、最終回『華撃団は平和を愛す』
伯林華撃団・四季組、出撃!