パート1
伯林華撃団・四季組は、再び作戦指令室へと戻っていた。モニターに映し出されているのは、例のカール大帝のアジトである。
「まさか、ヨハンの本当の正体が、カール大帝だったとわね……」
爪を噛むスピカ。「厄介だわ。カール大帝が相手じゃ、何をしてくるか分からない……」
「副司令。カール大帝というのは……?」神木が質問をする。
「神聖ローマ帝国初代皇帝。──言ってしまえば、現在のドイツの基礎を築き上げた人物よ。国王でありながら戦に明け暮れ、46年間の治世の間に53回もの軍事遠征を行っているの。戦いに関して言えば、彼の方が一枚上手ね」
「何とか、カール大帝を止める手は無いんですか?」
「アジトに乗り込むまでは普段と同じだけど、その後が問題よね。6対1で私達に果たして勝機があるのか……」
「そんな……そんな弱気でどうするんですか!」
「相手は西欧を統一した男よ。生半可な気持ちでは立ち向かえないわ」語気を強めるスピカ。彼女自身も、対戦したことのない相手に対応を苦慮しているようだ。
「なぁ、よく分かんねーけど」
ナターシャが口を挟む。
「そもそも、1200年前の偉人がどうして現在に蘇ったんだ? 神聖ローマ帝国の復活とか、奴は言っていたけど……」
「考えられる仮説としては」スピカが言う。「彼の魂は成仏していなくて、ずっと他人として現在まで脈々と生き続けた。それがヨハンね。ところが、あなたたちがヨハンを倒したおかげで本体が出てきて、この世に再び現れた──」
「じゃあ、あのアジトは?」
「カール大帝の霊力が呼び起こした、さしずめ『バベルの塔』と言ったところかしら」
髪をかき上げて、ため息をつく。
「いずれにせよ、このまま野放しにしておけばドイツは確実に崩壊するわ。何とか有効な手立てを考えないと……」
「あの、カール大帝は、神聖ローマ帝国の復活を目的に蘇ったのですよね?」
秋奈が神木に問う。
「あぁ。確か、『堕落しきったこの国を救う』とか言っていたな」
「カール大帝には、今のドイツが生きていた時代と比べて堕落したと映っているんですよね。だったら、私達がカール大帝に『ドイツは堕落していない』ということをメッセージとして伝えることが出来れば、目を覚ましてくれるんじゃないでしょうか?」
「なるほど。僕らの熱い思いを彼にぶつけるのか!」
「秋奈、そいつはグッドアイデアだぞ。押してダメなら、引いてみろだ!」ナターシャが賛同の声を上げる。
「ちょっと根性論ではあるけど、力で差があるなら理詰めで攻めるしかないわね」マレーネも賛成する。
「ボクもだーいさんせい!」リリィも無邪気に声を上げる。
「神木さん! 行きましょう! 私達の故郷を守るんです!」ニーナが声を張り上げる。
「副司令!」
スピカは黙って腕を組んでいたが、「わかったわ」と呟くと
「良いこと? この戦いはハードになると思う。けど、必ず全員、生きて帰還すること! ──さぁ、神木くん、出撃命令を!」
「はい! 伯林華撃団・四季組、出撃せよ! これが、最後の戦いだ! 全員、生きて未来を作るぞ!」
「了解!!!!!」