一方、地上。スピカと空組は作戦指令室からアジトの様子を観察していた。
「副司令! 見てください、塔が!」
つぼみが声を上げる。スクリーンを見ると、宙に浮かんでいるアジトから仄かな白い光が放出し始めている。
「霊力が強まっている……。きっと中で戦闘が始まったのね」
スピカがポツリと呟く。
「大丈夫ですよね、みなさん」アンジュが不安げに尋ねる。
「大丈夫。私が整備したアイゼンクライトⅡだもの。絶対負けないわ」リンが言い聞かせるように言う。
『──神木くん』
スピカは不安そうな顔を押し殺してモニターをじっと見ていた。
*******
「グッ……」
神木のアイゼンクライトⅡが、壁に吹き飛ばされて叩きつけられる。
塔の中で、神木は苦戦を強いられていた。
蒸気機械も何も乗っていない、生身の人間相手にこれほど手こずるとは予想外だった。それほどまでに、カール大帝の力は強大なのだ。
「どうした……。もう終わりか?」
カール大帝がつまらないといった表情をする。
「く……。まだまだぁ!」
神木はありったけの力を振り絞ってアイゼンクライトⅡを突撃させるが、カール大帝は意にも介さないといった感じで薙ぎ払う。
「ふん。やはりこの程度か。所詮貴様は、他の者の力が無いと何もできない愚か者だ」
カール大帝が鼻で笑う。
「何だと……?」
「貴様はただ部下に命令だけして自分はぬくぬくと戦線から遠のいていた卑怯者じゃないのか!?」
「違う! 僕だって皆と一緒に戦ってきた!」
「いいや、違わない。貴様は私とは違う。私は時にこの身を危険に晒そうとも遠征を続けてきた。だが貴様はどうだ? 部下たちの協力が無ければ何もできないでは無いか!」
ここまで言われて、神木はハッとする。
「──まさか、そのための他のみんなを足止めに……?」
「武人たるもの、敵を見てそのおおよその兵力に当たりをつけることが出来なくてはな。──さて、独り言もこれまでだ。覚悟しろ!」
再び剣を高く掲げるカール大帝だったが、刹那、神木のアイゼンクライトⅡから大量の霊力の光が漏れ出てきた。
「何?! この期に及んでまだそんな力が残っているのか……?」
「──確かに、僕はあなたよりも戦闘経験は少ない。実際、海軍生活の半分は軍楽隊で過ごしてきた。──でも、それでも、この国の平和を守りたいと思う気持ちは、他の誰にも負けないつもりだ!
おりゃあああああ!!!!!!!」
神木は一直線にカール大帝の右手を狙う。よけきれず、剣を手放してしまうカール。
「クソッ。火事場の馬鹿力というやつか。だが、今ので貴様はかなりの力を消耗したはず。武器など無くとも、貴様の息の根など容易く止めてやる!」
「そうはさせないわ!!!!!」
下の階から、5機のアイゼンクライトⅡが飛んでくる。
「伯林華撃団、参上!!!!!」
「みんな……! 無事だったのか」神木が安堵の表情をする。
「遅れてごめんなさい。大丈夫でしたか?」ニーナ。
「ゴーレムが意外としぶとくてねぇ」ナターシャ。
「ゆーいちろー、ボクたちが来たからもう安心だよ」リリィ。
「隊長。行きましょう!」秋奈。
「私達の街を取り戻すんだろ?」マレーネ。
「みんな……」
神木は感傷を頭から振り払うと、「さぁ、覚悟しろ! カール大帝!」と高らかに宣戦布告した。
「……面白い。伯林華撃団、勝負だ!」
カールは鬼のような形相をして6人に突っ込んでいった。