戦いは終わった。
世間を騒がせたカール大帝の危機を未然に防ぐことが出来、伯林に再び平穏が訪れた。
国防省のお偉方は、敵の大将であるヨハンを見抜けなかったことに対するスピカの責任を何とか追及出来ないかと模索したが、結局『不問』となった。
伯林華撃団はひとまずお休みし、今は伯林歌劇団としての仕事で皆大はりきり。つぼみ・アンジュ・リンの三人は溜まっていた事務仕事を片付けて、神木も久しぶりのモギリに悪戦苦闘しながらも、伯林に平和が戻ったことを実感していた。
ニーナ・マレーネ・秋奈・リリィ・ナターシャも生き生きと舞台に立っている。
カールと約束した、この国の未来を守っていくという使命を強く感じながらも、忙しい日々を過ごしていた──。
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3月。ようやく事件の後処理が終わり、公演もひと段落したところで、神木たち一同はスピカに集合を掛けられた。
「みんな、この三か月間大変だったでしょうけど、よく頑張ってくれたわ。お疲れ様でした」
サロンに集まった皆を前にスピカが労いの言葉を掛ける。
「さて、皆に今日集まってもらったのは、二つ、報告することがあるからです。まず、一つ目。みんな、さっきもいったけどカールの事件以降ずっと働きっぱなしだったでしょう。ひと段落ついたから、しばらく休暇を取ってもらうことにするわ」
「お、休みか? やったー」ナターシャとリリィが喜ぶ。
「ずっと働き詰めは体に悪いし、これは、私からのお礼よ」
「で、もう一つは何ですか?」ニーナが尋ねる。
「もう一つは、これは神木くんに言うことなんだけど……」
そう言って神木の方に向き直る。
「神木裕一郎少尉、貴殿の伯林での活躍が認められ、4月1日付で大日本帝国海軍航空本部への配属が正式に決まりました。貴殿の今後のますますの発展を願います。──おめでとう、神木くん。栄転よ」
「は、はい! ありがとうございます!」
勢いよくお辞儀をする。帝国海軍航空本部と言えば、航空機の研究・計画・審査・航空要員の教育も一手に担う部署である。伯林華撃団での神木の活躍が認められたという立派な証だった。
「しばらく皆とはお別れだけど、心配しないで。この子たちも強くなったし、私が責任をもってこの街を守るから」
「はい……。いろいろ、ありがとうございました」
神木は深々とお辞儀をして、サロンを後にした。
自分の部屋に戻り、ベッドに横たわる。
『航空本部へ栄転か……。嬉しいけど、やっぱり皆と離れ離れになるのは少し寂しいな……』
そんなことを考えていると、誰かが部屋のドアをノックした。
「はい、どなた?」