翌日。慣れないベッドでなかなか寝付けなかったが、それでも朝の9時くらいまでは寝てしまっていた。自覚していないところで疲れがたまっていたのだろう。
モギリ服に着替えて朝ごはんを食べに食堂に向かうと、空組のつぼみ・アンジュ・リンの三人がお茶を片手に談笑している所だった。
「あ、神木さん! おはようございます」
神木に気づいたつぼみが立ち上がって挨拶をする。
「昨夜はぐっすり眠れましたか?」
「あぁ、おかげさまでね。朝食を取りたいんだけど……」
「ちゃーんと神木さんの分も取っておきましたからね!」
アンジュがそう言って神木の分の朝食プレートを持ってくる。パンとコーンスープとシリアルだ。
「ハハ、ありがとう」
「それで、神木さん。どうですか、伯林華撃団は?」
リンが茶を飲みながら尋ねる。神木はスープをすすりながら考える。
「うーん。何とかやっていけそうだよ」
「良かったー。ほら、支配人とかマレーネさんとか、結構変な人多いから」
「リン。そういうこと言わないの」
つぼみがたしなめる。神木は心の中で『リンくんも相当変だけどね』と呟く。
「今日はどうなさるつもりですか?」
「昨日来たばかりだからね。市内観光でもしようか──」
神木が答えたその時だった。
ブーーーーブーーーーブーーーーブーーーー
突如劇場内に警報音が響き渡る。咄嗟のことで動揺する神木。
「な、何だ? なにがあった?」
「出撃です! 敵が現れたみたいです!」
「何だって?!」
「神木さん。すぐに作戦指令室に急ぎましょう。こっちです!」
三人に連れられるがまま、神木は三階にあるダストシュートに向かう。中に入って長い滑り台を滑っていくと、戦闘服が置かれた着替え室に出てきた。そこで着替えて『GO』と書かれたボタンを押すと、底が抜けて再び滑り台っを滑っていき、地下にある作戦指令室へと向かう。
指令室に着くと、すでにニーナとマレーネ、空組の三人は着替えを終えて到着していた。
「あれ、司令は?」
「まだ来ていませんけど……」
ニーナが不安そうな顔で答える。
「緊急時だってのに、何やってんだ?!」
神木がそう呟くのと指令室の扉が開いたのは同時だった。
「なに、なに、もうー! せっかく気持ちよく寝ていたのにぃ」
寝間着姿のヨハンが寝ぐせをボリボリかきながら入ってきた。
「司令! なにノンキなこと言っているんですか! 敵が現れたんですよ!」
「んなこと分かっているよ。──つぼみ君、状況報告を」
「は、はい!」
指名されたつぼみが慌ててモニターに画面を映す。映し出されたのは、見慣れない物体が建造物を破壊している様子だった。
「これは?」
「最近出現している土属性の魔物です。私達はこれを『ゴーレム』と呼んでいます。誰が動かしているのかは分かっていません」
「ゴーレムか……かつて帝都や巴里に現れたという脇侍や蒸気獣みたいなものか」
「伯林華撃団・四季組はゴーレムに対抗すべく、かつて欧州星組で使用されていたアイゼンクライトに帝都の光武と紐育のスターの性能を組み合わせた、その名もアイゼンクライト改に乗って出撃します」
「ちゃーんと、ウチが整備しといたから思う存分操作できるよ!」
リンがピースサインしながらアピールする。
「──神木さんは、アイゼンクライト改には乗ったことがありませんよね?」
「いや、伯林に来る前に帝都で光武の試乗訓練はやったから、何とかなると思う」
「そうですか」
「そういうわけだから、神木ちゃん。ポツダム広場のゴーレムを倒しちゃってね」
「……分かりました」
「神木さん、出撃命令をお願いします!」
ニーナが神木に言う。
「よし。……伯林華撃団・四季組、出撃! 目標、ゴーレムの破壊!」
「了解!」