ポツダム広場に現れたゴーレムは全部で10体。
アイゼンクライト改で出撃した神木たち伯林華撃団・四季組は飛行形態にトランスフォームして空から様子を伺う。
「さすが最新型霊子甲冑。帝都の光武よりも動きが軽いな……」
『神木さん、どうしますか?』
ニーナが通信を通して聞いてくる。
「そうだな。──よし。近距離攻撃タイプの僕とニーナくんが前線に立って、遠距離攻撃タイプのマレーネが後方で支援してくれ!」
『了解!』
作戦を伝えると、すぐに三人のアイゼンクライト改は地上に降り立つ。
「伯林華撃団、参上!」
神木とニーナはすぐにゴーレムたちに切りかかる。不意を突かれたのか、ゴーレムたちは次々となぎ倒されていく。
ゴーレムの攻撃は近距離攻撃型のいわゆる『土埃』だが、後方で支援しているマレーネにはそんなものは子供だましでしかない。
あっという間にゴーレム10体を倒してしまった。
「どんなものかと思ったが、案外取るに足らない敵だったな……」
『そう思うのはまだ早いみたいよ、隊長さん』
マレーネに言われ、前方を見る。倒されたゴーレムの山の上に、黒騎士の姿に身を包んだ男性が立っている。
「貴様らが、伯林華撃団か。ふん、どんな奴らかと思ったが、この程度か」
「貴様……何者だ!?」
「我が名はヨーゼフ! 兄者の命令によりここに来た。貴様らの命、ここで頂戴する!」
そう言うと、地響きと共に地下から銀色の敵蒸気機械が出現した。ヨーゼフはそれに乗り込む。
「我が蒸気機械『シュテンゲル』の餌食にしてくれようぞ!」
「来るぞ! みんな、目標はヨーゼフの『シュテンゲル』の撃破! いくぞ!」
「了解!」
ヨーゼフの敵蒸気機械『シュテンゲル』のパワーは並大抵のものではなかった。
「きゃああああ!」
前線で戦っていたニーナのアイゼンクライト改を、一振りで吹き飛ばすほどの威力だ。
「ニーナくん! ──クソ、まともに戦ってはこっちの体力を削られるだけだ! ……よし。マレーネ、なるべく後方から攻撃を畳みかけてくれ! 力が弱まった隙に僕がとどめを刺す!」
『了解』
マレーネは飛行形態にトランスフォームすると、空中から攻撃を仕掛ける。近距離戦を得意とする『シュテンゲル』も、空からの攻撃には耐えられない。
「ぐわ、ぐわぁ!」
「今だ!」
隙を見せた『シュテンゲル』に、神木はありったけの力を込めて切りかかる。
「どりゃああああああ!」
神木の攻撃は見事機体の急所を捕えた。動きが止まり、振動が徐々に大きくなっていく。
「バカな……我が『シュテンゲル』が……こんな……雑魚どもに……」
「貴様の負けだ! ヨーゼフ!」
「クソォ……! 覚えていろー!」
それだけ言い残すと、ヨーゼフは機体ごとその場を後にした。
『逃げられたわね、隊長さん。どうするの?』
「……深追いは禁だ。奴をやっつけたことに変わりは無いからな。──よし、帰還するぞ!」
『待ってください! 勝負の後は、四季組のカーテンコールですよ! 神木さん!』
「……へっ?」
「それじゃ、行きますよー!」
「勝利のポーズ、決めっ!」
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「いやぁ、おつかれちゃん! よくやったねぇ!」
そう言って、ヨハンはビールをガブ飲みする。
「んもう、支配人は何もしていないでしょう?」
神木たちの初勝利と、神木の就任祝いを兼ねて、ベルリン市内にある高級レストラン『Blume』でパーティーが行われることになった。
「それにしても神木さん! 初出撃とは思えないほどの指揮でしたね!」
ニーナが頬を赤らめながら言う。
「ハハ、みんなが僕に協力してくれたからだよ」
「でも凄いです! 私感動しちゃいました! これからもよろしくお願いします!」
「ハハッ、よろしく」
そんな輪から離れたテーブルに、マレーネは一人座ってワインを飲んでいる。
「マレーネ」
神木はマレーネの席に移動し、隣に座る。
「ありがとう。君の援護が無かったら、ヨーゼフを倒すのは難しかったよ。これからもよろしく」
「……」
マレーネは顔色一つ変えず、持っていたグラスを差し出す。神木はすぐに自分のグラスを掲げると、軽くチンと鳴らして乾杯をした。
ベルリンの春を肌で感じながら、神木はこの先どんなことがあってもやっているけるという確信を抱いていた。
【Ep.1 完】
【次回予告】
新たに四季組にやってきたメンバーはフランス外人部隊の元傭兵。
戦い方の総てを知り尽くした彼女は、実戦経験の浅い神木に反発する。
そんな中、再び魔の手が襲ってくる。
次回、サクラ大戦Ⅵ Ep.2『孤高の戦士』
「お楽しみは、これからだ!」
──あんた、甘いんだよ──。