【二次創作】Fate Grand Order 〜英霊が生まれる時〜 作:麻宮鈴
この物語にはオリジナルキャラクターが登場するため、初見の人は第1作「プロローグ」から読むことを推奨します。
今回も前回に引き続いて太宰さん回。
太宰さんの秘密が徐々に明らかになっていく!
(あらすじ)
ツクヨミを倒す手がかりを求めて、太宰と話をする藤丸、ラーマ、紅子の3人であったが、好ましい答えを得られずにいた。そんな時、隠し事ばかりの太宰に紅子の不満が爆発して―――――
「どうして太宰さんは召喚されたのですか?」
幼い頃のことだ。
近所の空き地に、自分と同じくらいの年の子供たちが集まって、何やら騒いでいることがあった。
気になって輪の中に入れば、地面に一匹の小さな虫が地面を這っているのが見えた。
それは、一匹の大きな芋虫だった。
誰かが言った。
「気持ち悪い虫だ」
みんなは彼の言葉に肯定しながら、面白がるように芋虫を棒でつつき、小さな生命を弄んでいる。
でも、私はそうは思わなかった。
だから、発言した。
「かわいいじゃないか」
「……………………」
その時のみんなの視線を私は忘れない。
異端者を見るような、そんな異端者にどんな罰を与えてやろうかと品定めしているような、そんな刺すような視線を。
それから私は、本当の自分を仕舞い込み、他人の顔色を窺うようになった。
第8節 隠し事
ツクヨミを倒す手がかりを探して、立花、ラーマ、紅子の三人は太宰の部屋へと向かっていた。
太宰は以前、太宰の中にいる別の存在の力を使ってツクヨミから逃げてきたと言っていた。一度でもツクヨミを退けた力について分かれば、ツクヨミを倒すヒントになるかもしれない。
「問題は太宰さんが話してくれるか、だよね………」
「ああ。突然、無理だって書斎の方へ行ってしまったしな」
「太宰さん、大丈夫でしょうか」
紅子は心配そうに眉を下げる。その傍らには紅子の感情に呼応するかのように「キュウゥゥ………」と切なげのなく謎の黄色い球体生物、タマちゃんがプカプカと宙に浮かんでいる。
よく見れば、そのかわいらしい見た目とは裏腹に、口元には鋭い牙が覗いている。
思い出されるのは紅子とデパートへ行った際の戦闘。
鋭い牙の覗く口をガバリと開き、あの神秘的な美しさを持つ殺し屋の少女を一瞬にして喰らってしまった。
あの生物は、きっと、この世界のものじゃない。
紅子さんが真名を思い出せばきっと、あの生物の牙は―――――こちらを向くことになるかもしれない。
「キュウ?」
「!」
「タマちゃん、どうかしましたか?」
立花の視線に気が付いたのか、タマちゃんは立花のほうを向いて不思議そうに揺れている。
そのかわいらしいはずの姿は、立花にはひどく恐ろしいものに感じて思わず目をそらしてしまう。
「藤丸さん?」
「マスター、どうした?」
「ううん、何でもないよ」
紅子とラーマは不思議そうにこちらを見ている。
今は、考える時じゃない。
タマちゃんのこと、紅子さんの真名のことはまだ脅威になるとは限らない。
今目の前にある脅威は、ツクヨミ・サリエルだ。
奴を倒す方法を何としても見つけないと!
頭を振り、気を取り直して太宰の書斎へと足を進める。
「………着いた」
地下の道を進んでいくと、突き当りにアンティーク調の木製ドアが見えてくる。
「確かここが太宰の書斎だったな」
「うん」
昨日ラーマと来たばかりだからここで間違いない。
トントン
ノックをすると、微かに中からこちらに近づいてくる足音が聞こえてくる。
ガチャ
「………………あぁ、君たちか」
ドアが半分ほど開かれ、中から長身の着流し姿の青年――――太宰治が人好きされるような笑顔を張り付けて出迎える。
張り付けて、なんて表現したのは僅かだがドアが開いた瞬間、太宰の目が笑っていないような、無理して笑顔を浮かべているような、そんな風に立花には見えたからだ。
普通の人だったら気にならないような、そんな些細な表情の揺らぎを立花が感じることができたのは、今まで様々なサーヴァントと関わり、時に彼らの悩みや問題を解決してきたことがあるからなのかもしれない。
でも、その張り付けた笑顔は誰かをだまそうとしているような邪悪な感情からくるものではなくて、もっと別の、何かを隠すような、見つかることを恐れているような、そんな脆く、いつでも壊れてしまいそうな弱さを感じた。
「こんな時間になんだい? 地下だから時間間隔が狂うのもわかるが、もう子供は寝る時間だよ」
「え! もうそんな時間でしたか?」
紅子は驚いて巫女服の袖の中から懐中時計を取り出す。
「えっと、11時………もうこんな時間だったのですね」
「今日は色々とあったからすっかり時間のことを忘れていたな」
「本当だ………って、俺夜ご飯食べてないや!」
ぐうぅぅぅぅ
意識したとたん、立花のお腹は抗議するかのように音を出す。
「すまないマスター。余も色々あって失念していた」
「私も気が回らず、すみません」
「あはは。大丈夫だよ」
笑って誤魔化してはみるが、お腹は思い出したかのように空腹感を訴え続けている。
「ご飯を抜くのは体に良くないよ。
食堂に行けばまだ大人は残っているだろうし、残り物でも分けてもらうといい」
太宰はそういうと扉を閉めて中に入ろうとする。
「待ってください!」
ここに来た目的を思い出し、立花はとっさに手でドアを押さえる。
「………何かな? 藤丸君」
太宰は相変わらず笑顔を浮かべている。
「俺たちはもう一度太宰さんと話がしたくて来たんです」
「………話すことはないよ。申し訳ないが、私じゃ役に立たない」
「太宰、お前は以前、ツクヨミから逃げたことがあるといったな。
どうやったんだ? その方法を教えてほしい」
「……………はぁ。わかった。ここではなんだから部屋に入るといい」
太宰はそう言うと部屋の奥へと歩いていく。
立花たちも彼に続いて部屋の中に入ると、来客用の椅子へ座るよう促される。
「それで、どうしてそんなことが知りたいんだい?」
デスクに座り、太宰は少し面倒くさそうに口を開く。
「それは、ツクヨミを倒すヒントになるかもしれないと思ったからです」
「現状、余たちはツクヨミに手も足も出ない状態だ。そんな中で唯一太宰だけがツクヨミと直接会い、実際にこうして生き延びている。決定打にはならなくとも、ツクヨミを出し抜く方法があるならば知っておきたい」
「太宰さん、お願いします」
「キュウ!」
紅子は長い黒髪を揺らして頭を下げる。
タマちゃんもそんな紅子をマネするように体を前に傾けている。
「………紅子、頭を上げなさい」
太宰はそう言うと、目を伏せて話し始める。
「別に、私は君たちに意地悪がしたくて『無理だ』なんて言っているわけじゃない。私の今の状態を踏まえて、私にはできそうがないからそう言っているんだ。むしろ君たちがツクヨミを倒してくれるなら私は全力で応援するし助けたいと思っている」
「だったら」
「無理なんだよ」
「太宰?」
太宰は一つ息を吐くと俯く。
前髪に隠れて、彼が今どんな顔をしているのか、その表情は見えづらい。
「………端的に言おう。今の手札では君たちは絶対にツクヨミに勝つことはできない」
「っ! どうして、そう言い切れるんですか?」
「さっき、聞かれた質問の答えを言うよ。私がツクヨミから逃げることができた方法。
奴はひどく不安定な状態であるが故に教会から出ることができない。それなのにこうも強大な敵であるのは奴の固有結界である月光がこの島全体を照らしているからだ」
「でも、それも完全ではないのですよね? 現にこの地下は無事ですし」
太宰は紅子の言葉に頷くと、言葉を続ける。
「ああ、紅子の言うとおりだ。月光が届かない場所では奴は何もできない。だから月光が当たらないように遮ってしまえばいい」
「でも、どうやって?」
「雨を降らせたんだよ。そんなこと、君たちにはできないだろ」
「雨を………?」
確かに雨を降らせば雲で月光を遮ることができる。
でも、この特異点はツクヨミの結界で支配されているため自然に雨は発生しないはずだ。
となれば答えは一つ。
「それが、太宰の中にいる存在の力なのか?」
ラーマの質問に太宰は顔を上げる。
その表情は、またさっきのように笑顔が張り付いていて、彼が何を考えているのか読み取ることができない。
「正解………というか半分正解かな。正確には私の中にいる存在の力のほんの一部に過ぎないよ。私はこうみえて雨にまつわるエピソード………なんて良いものじゃないけど、雨とともに語られることもあるからね。雨を降らす力と相性が良くて使えたんだろう」
「じゃあ、その力をもう一度使えば一時的にツクヨミの月光を無効化できるんじゃ…」
「それが無理なんだよ」
そういうと太宰は立ち上がって、着流しを上半身だけ脱ぎ捨てる。
「っ」
それは以前少しだけ見せてもらったことがあるが、こうして全容を見ると、あまりの痛々しさに思わず目を背けたくなってしまう。
そこには、大きなヒビのような傷跡があった。
正確には包帯が巻かれているため傷跡自体は見えないが、大きなひび割れのように血がにじんでいる。
それは外側からつけられた傷ではなくて、内側から壊れ始めているように見えた。
「っ! 太宰さん、これ、大丈夫なのですか………?」
紅子は顔を青白くさせながら心配そうに太宰を見つめる。
その間にも血は少しずつ滲み出しており、いまだ傷口は塞がっていないことがわかる。
「大丈夫なわけがないだろう。正直、こうして立っているだけでもやっとの状態だ。
私の中にいる存在の力のほんの一部を一瞬使っただけだというのに、脆弱な私の霊基には荷が重すぎたようだ」
「そんな………ごめんなさい」
「あはは。どうして藤丸君が謝るんだい?」
「こんなに重症だって知らなくて、俺は太宰さんに無理をさせちゃってたのかなって」
彼は最初に戦力にはならないと言っていた。それでも食事や寝る場所、敵やこの特異点の情報など様々なことを立花たちに教えてくれた。
時には冗談を交えながら、笑っていろいろなことを教えてくれた。
こんなに大きな傷を抱えていたというのに、そのことを忘れて彼に多くのことを頼ってしまった。
太宰さんは相変わらず笑っている。
彼は誰かを安心させてあげるために笑える人だと、短い付き合いでも立花はそう感じていた。
その笑顔に心救われた人がこの地下には何人もいるだろう。
でも、今は、その笑顔は立花たちを安心させてあげるためのものではなくて、何かを必死で隠しているような、それがバレてしまうのをひどく恐れているような、そんな危うさを感じた。
「………太宰、無理をさせていたのは謝る。
こんな状態のお前に頼るしかない己が不甲斐ない。
だが! 余はカルデアのサーヴァントだ。
汎人類史のために、マスターを守り、この特異点を何としてでも修復しなくてはならない!
そのために教えてくれ!
もし、太宰が万全の状態なら、その傷を癒すことができたのなら、奴を―――ツクヨミ・サリエルを倒すことはできるのか?」
「ラーマ………………………………
……………………?」
その一瞬、ラーマの言葉を聞いて、笑っているはずの太宰さんが、なぜだか泣き出してしまいそうに見えた。
※※※※※※※※※※
月光が照らす道を、真っ白な髪を揺らして走る。
走った勢いで、あちこちに咲き乱れている彼岸花が真っ赤な花弁を散らして夜空を彩っていく。
まるで血が飛び散っていくかのように、その光景は美しくも、殺し屋の少女の胸を掻き立てる。
あの協会は居心地が悪い。
それにあの悪魔と神の混ざりもの。
あれの目は嫌だ。
あれの目は、いつこちらを壊してやろうかと値踏みしてくるかのようで、気味が悪い。
私を壊したところで面白くないというのに。
だって私は―――――当の昔に壊れてしまっているから。
ふいに足を止める。
標的を探してでたらめに島中を走っていたら、いつの間にか今日カルデアのマスターたちと交戦したあのデパートのところに来てしまったようだ。
当たり前だが、すでに標的の少年の姿はなく、月光に操られた人々も見当たらない。
今は周囲に自分一人しかいない。
近くのがれきに腰を下ろして、ふと、少女は今日、少年に言われた言葉を思い出す。
『君はどうしたいの?
君は、どうして殺し屋なんてやっているの?』
「私が、どうしたいか……………」
「こんなところで何をしている?」
「!」
振り向けば、そこには藍色の法衣の男―――ラスプーチンが立っていた。
どうやら考え事に気を取られて周囲への警戒がおろそかになっていたらしい。
まぁ、不死の人外の殺し屋には警戒などそこまで必要ないのだが。
「こんなところでどうしたのですか、ラスプーチン様」
「いや、何やら悩み事でもあるように見えたのでね。もしかして、カルデアのマスターに何か言われたのか?」
「………………」
「図星か。ならば忠告しておこう。
彼がどんなに優しい言葉を吐いたとしても、所詮は偽善者だ。
汎人類史のためなら、どんな善人だろうと異聞帯の住人ならば消すことを厭わない。
自分たちのことしか考えていない自己中心的な組織。それがカルデアだ」
「偽善者………」
「ああ、そうだ。汎人類史なんて醜い人間たちが作った醜い世界だというのに。
強者が弱者を蹂躙し、逆に強者が大多数の弱者に使い潰されることもある。こんな世界こそが正しいなんて間違っていると、君もそう思うだろう?」
「……………」
ラスプーチンは満足したのか教会の方へと戻っていく。
もちろん、今吐いた言葉はラスプーチンの本心というわけではない。
彼は人外の少女が万が一でもカルデアに付かないように、少女の考えに沿っただろう言葉を口にしただけだ。
絶対的な強者でありながら、周りが作ったルールに縛られて良いように使い潰されてきた人外の殺し屋の少女。そんな彼女が汎人類史を憎んでいないはずがない。
「………本当に、愚かですね」
少女は誰に言うでもなく、そう呟いた。
※※※※※※※※※※
「太宰さん?」
「っ」
しばらく固まっていた太宰であったが、立花の呼びかけに気が付くと、口を開く。
「………すまない。たとえ霊基が回復しても、ツクヨミを倒すことはできないんだ」
「そんな………」
「………………あの、太宰さん、それっておかしくないですか?」
太宰の答えに落胆していると、紅子がまっすぐに太宰を見つめて言う。
「紅子、それはどういう意味だい? 私が嘘をついているとでも?」
「………はい。太宰さんは噓をついています。いえ、正確には何か隠し事をしていませんか?」
「………………」
紅子の言葉に太宰は黙っている。
笑顔が消えて無表情の太宰は、何故だか立花には怯えているように見える。
「えっと、紅子、それはどういう意味なんだ?」
「ラーマさん、言葉通りの意味です。太宰さんとの付き合いはラーマさんたちより長いですし、何となく太宰さんが隠し事をしているのもわかるのです」
「紅子、勘で言いがかりを言うのはよしてくれないか。さすがの私も、怒るよ」
「でも、変じゃないですか!」
「何がだい?」
「ちょっと二人とも落ち着いて!」
ヒートアップしていく二人を止めるため、立花は二人の間に入ろうとする。
だが、二人の勢いは止まらない。
「じゃあ、どうして太宰さんは召喚されたのですか?」
「だからそれは私の意思じゃなくてツクヨミが聖杯を使って呼んだだけで………」
「ほら、早速隠し事しているじゃないですか! 私は太宰さんからそんな話聞いたことがありません!」
「それは………」
「太宰さんの中に別の存在がいるのも、藤丸さんたちの会話で何となく察しただけですし、太宰さんは隠し事が多すぎます! だから太宰さんが何か隠し事をしてる時、何となくわかるようになったんですよ!」
「それは、その、君だって、自分のことは何も教えてくれないじゃないか!」
「だから、教えたくても教えられないんですよ! 記憶喪失だって言っているじゃないですか!」
「ちょっと、紅子さん落ち着いて! 太宰さんも!
もう、この際、お互いに隠していることは話したらどうですか?」
立花の言葉に二人は押し黙る。
これはもうとことん話してもらったほうがいいだろう。
「私は、思い出したことはすべて話しましたし、他に話したくても話せることがありません」
「……………わかった。紅子、君に言っていなかったことがある」
「………聞かせてください」
※※※※※※※※※※
「…………というわけだ。藤丸君たちに話したのはこんな感じだ」
「そうだったのですね………
ツクヨミが聖杯で願いを叶えるために召喚したサーヴァントの一人、それが太宰さん」
「ああ。その通りだ。君にだけ隠していたのは謝ろう。すまない」
太宰は藤丸たちに話したことを紅子にも説明し、二人はとりあえず落ち着いている様子だ。
一時はどうなるかと思ったが、これで紅子も納得して
「………でも、じゃあ尚更おかしいです」
はいなかった。
紅子の言葉に、太宰は表情を変えない。
またしても訪れた仲違いの危機に、立花は紅子に問いかける。
「えっと、紅子さん、何がおかしいの?」
「太宰さんはなぜ、英霊太宰治ではなく、英霊太宰治と何者かの複合サーヴァントとして召喚されたのですか?」
「それは、確かに………」
「………………」
紅子の問いかけに、太宰は黙っている。
俯いており、表情はわからない。
「ツクヨミが聖杯にくべる生贄として呼ぶなら、わざわざ単体ではサーヴァントとして現界できない太宰さんの必要がないですし、わざわざ複合サーヴァントとしてよび出す必要もありません」
「確かにそうだな」
「何か由縁があって呼び出されたとかならわかりますが、この島と太宰さんの関係は聞いた限りでは出身国であるというぐらいしか接点がないようですし、ツクヨミも狙って太宰さんを呼ぶ理由がありません」
「そうだね。じゃあそうなると………」
「答えは、一つしかありません。
ツクヨミの召喚に応じたのが、太宰さんではなく、太宰さんの中にいる存在の方だということです」
「!」
確かに、そう考えれば辻褄が合う。
逆だったのだ。
太宰治が現界するために別の存在の力を取り込んだのではなく、別の存在が現界するのに太宰治が必要だった。
それにしても紅子の推理力はすごい。
ホームズやダ・ヴィンチちゃんに匹敵するほどの頼もしさだ。
もしかしたら本来の彼女は、これくらい賢くて頼りになる女性なのかもしれない。
記憶は相変わらずだが、能力は徐々に使えるようになってきているし、満月が近づくにつれて本来の性質が戻りつつあるのかも。
まぁ、単に持っている情報が少なすぎてその推理力を生かせていなかった可能性もあるが。
「太宰さんの中にいる存在は太宰さんが必要だった。
そして太宰さんの中にいる存在はツクヨミに対抗する力を持っていて、現にその力でツクヨミから逃げることができた。すなわちその存在はツクヨミを止めるべく召喚に応じたと考えるべきでしょう。
そんな存在が太宰さんを必要とした、それはすなわち」
「すなわち?」
「………………英霊、太宰治の能力こそが、ツクヨミを倒す切り札なのです」
その言葉を聞いて、太宰は顔を上げた。
その時、彼は笑っていた。
だが、立花には彼がひどく怖がっているように見えて仕方がなかった。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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