学園都市の頂点レベル5の第八位の空式透はコミュ障である。基本的に表情を動かさず、最低限のことしか喋らないため、周囲の人間からは冷静沈着なイメージを持たれるが実際はそうではない。内面は割とお喋りである。
しかも彼はよくトラブルに遭遇するため荒事にも首を突っ込むが、彼の冷たい印象とその強さから敵対者から恐れられている。
そんな彼はまだ知らない。まだまだこれからより面倒なトラブルが待っていることを──
SIDE 空式透
今日もまたトラブルに遭遇したよ・・・・・。コンビニまで行くだけなのにカツアゲしてた能力者と戦闘するなんてさ。
まあ、俺から首を突っ込んだんだけどね。
でもさ、なんか多くない?トラブルに遭遇するの。もしかして呪われてるの、俺?
人から呪われることなんて・・・・してるかも知れない。うん。
いやね?さっきのカツアゲしてた少年たちみたいに話しが通じなさそうな相手を倒してるから・・・その関係で恨まれているかもしれない
両親からの教えで『人に手を差し伸べられる人になりなさい』と言われてるから、トラブルに首を突っ込んでる結果なんだけど
というか、この学園都市治安悪すぎるんだよ。能力使ってくる人とか、よくわからん兵器使ってくる奴とか多すぎなんだよ
何回『あっ死んだわ』と思ったことか・・・
『学園都市は、実は世紀末の世界を再現しています』と言われても信じるね俺は。もし、自分に自衛手段がなかったらと思うとゾッとする
そんなこと考えている間にやっとコンビニについたよ・・・
とりあえず手軽に食べられるおにぎりとサンドウィッチを物色する
ところで皆さんには何かコンプレックスはあるだろうか?ちなみに俺にはあります
簡単に言うと他人とコミュニケーションをとるのが苦手なのだ。それも小さい頃から
人と話そうとすると、中々言葉が出なかったり、口調が堅苦しい感じになったり、緊張で顔がこわばってしまうのだ。しかもそこに生まれつきの目つきの悪さが相まって、なんか色んな人に『滅茶苦茶怖い人』と思われている節がある
おかげで友達もほとんどない。休日とか、本気で人恋しくなるだよね・・・悲しくなる
幼稚園に通っていた頃なんか先生に『透君?どうしたの、そんなに怖い顔して。何かあっての?先生に話してみて?』と言われたことがある。
別に怒っていたとかそんなこととかないのに『怖い顔』とか言われて・・・グサッときたよ、あの時は
さて、おにぎりとサンドウィッチの物色が終わったので、いよいよスイーツ選びだ!!
実は俺、凄い甘いものが好きなんだよね。スイーツとか食べてると嫌な事とか全部忘れられる。
ただ・・・これも自分の見た目の弊害なのか、この間カフェの店員さんに
『・・・・イチゴパフェ一つお願いします』と言ったら『えっ・・・』と言われた
あれは完全に『えっその見た目で、イチゴパフェ食べるんですか?』って言いたそうな感じだったよ。いいじゃん別に・・・好きなんだから、食べても
まあ、とにかくスイーツを選んでしまおう。今日は・・・・手軽に食べられるシュークリームにしよう。
会計を終えてコンビニを出て、近くのベンチで買ったものを食べ始める。
うん。シュークリームやっぱ美味しいわ
外はまだ寒いが、能力で自身の周りを若干暖かくしている。こういう時便利だよなぁ、俺の能力。エアコン代浮くし
急いでいるときは距離操作で走れば早くつけるし
さーてと、食べ終わったし帰るかな・・・・・・ん?あのポスターは──────
『春の期間限定!イチゴメガ盛りケーキ!!』
なるほど。場所は、第二二学区の地下街か・・・よし
「・・・・行くか」
俺はそのまま距離操作を使い第二二学区に向かった
彼のこの行動が一人の少女の運命を変えることになる
SIDE 三人称
学園都市は様々な分野の研究が日々行われている。特に能力開発に関する研究は多い。
学園都市第一〇学区に、ある研究所が存在する。そこでも能力開発の研究が行われていた。
そこに一人の少女がいた。少女は長い銀髪をした中学生ぐらいの年齢である。といっても彼女自身自分の本当の年齢は知らない。
なぜなら、幼い頃からこの研究所にずっといて、誰にも、誕生日を祝ってもらったことも誕生日プレゼントを貰ったこともない。貰ったことがあるのは自身の名前だけしかない。
彼女は今日の実験を終えて自分の部屋に戻ってきたのだ
彼女の部屋には、ベッドやトイレなど生活に最低限必要なものしかない。
毎日毎日実験対象として実験をする日々。幼い頃から研究所にいるのでこの生活にも慣れた。
彼女は実験を終えた夜はベッドに腰掛けて窓の外を見るようにしている。
彼女には夢がある
(いつか・・・外に出られるのでしょうか)
彼女の夢は研究所を出て外に出ること。今まで一度も外に出たことのない彼女にとってその夢は自身の希望のようなものだった
だが、彼女は外に出ることは限りなく出来ないとわかっていた。彼女の性格からしても今の現実を正しく認識しているのだ。現状を打破することは出来ないと・・・・
明日は朝から実験がある。早めに寝てしまおうとベッドに入る
彼女──────計累 静奈(けいるい せいな)はそのまま眠った
次の日、自身の運命が大きく変わることを知らずに
朝の学園都市第一〇学区を、インカムを付けたホストのような見た目の少年が歩く
「たく、なんでこんな朝っぱら仕事があるんだよ」
少年の声に反応してインカムから少女の声が掛かる
『しょうがないじゃない。緊急の依頼だったんだから』
彼らは学園都市の暗部の人間だ。緊急の依頼だったため、他の仲間は来ておらず、リーダーの少年だけが現場に向かっている。
『一応依頼内容を確認するわよ。指定の第一〇学区にある研究所の人間の始末。あなたなら簡単じゃない?』
「まぁな。・・・早めに処理するか」
暗部とは学園都市における暗殺から破壊工作などの裏の仕事を請け負っている組織たちのことである。
「にしても、今回の依頼の報酬は随分と羽振りがいいな」
『緊急の依頼ってこともあるし、その研究所は統括理事会の意向に反した実験をしていたらしいから、上の連中も早く消したいんじゃない?』
「学園都市じゃあ、非道な実験の一つや二つあるだろ──────ああ、あれだな目標の研究所」
そこで暗部組織の一つ『スクール』の構成員の二人の会話が途切れる
「さっさと片付けるか」
そう言いながらスクールのリーダーである、レベル5の第二位、『垣根帝督』は研究所に向かう
第八位と第二位の激突まで──────あと45分