言い訳させてもらうけどあれは本当に何気ない一言だった…。
「気になったんだけどさあ、陽炎型と夕雲型ってどっちが強いの?」
意味なんてない。発破をかけようとか、仲たがいさせようとかそんな意図まるでなかった。本当にただただ気になった故の一言だった。
「そんなの私たち陽炎型に決まってるでしょ」
「そんなの決まってるでしょ?夕雲たちです」
「「は?」」
任務を終え、報告の為にその他の艦娘たちと共に執務室を訪れた陽炎と夕雲。ちょうど二人いるし、前々から思ってたことを尋ねてみたのだが…。
「…いやいやそれはないでしょ!私たち陽炎型の方が優秀だからさ!」
「…御冗談を!夕雲たちの方が圧倒的です!」
「「は?」」
どうやら俺はとんでもないことをしてしまったらしい。
「ふぅ…。あのさ、今日の任務で敵を倒したのってだーれ?夕雲だっけ?違うよねー?私だよねー?」
「え、先に敵を見つけたのは夕雲ですよ?それにギリギリまで敵に損傷を与えたのは夕雲ですし、陽炎さんはいいところ取りしただけでは…?」
「あ゛?」
「ん゛?」
あれ、報告のこと忘れて喧嘩ですか?一緒に報告しに来た海防艦たちが恐れて震えてますぞwwwんんっ、これはいけませんなぁwwここは鎮守府の主である俺がビシッと………
「ねー、司令!司令は夕雲たちより陽炎たちの方が強いって思うよねー?」
「て・い・と・く!夕雲たちの方が凄いですよね~?」
…その時の二人の目つきは生涯忘れることは出来ないだろう。深海棲艦に向けられるべき殺気、その全てが視線となって俺の体を貫いたのだから。
そして以来…陽炎型と夕雲型は戦争状態になった。
「あの、ここは不知火たちが先に予約してた席ですので。お引き取りを」
「ああ゛んッ!?そんなのあたい達には関係ないね!」
「…話にならんわ~。品がないんやね?」
「それはこっちの台詞…かもです」
食堂では不知火たちと朝霜たちが睨み合ったり…
「おらあーッ!長波様のお通りだぁ!ご飯寄こせー!!」
「嫌ですよそんなの」
「えー親潮の稲荷が食べたかったのにーッ!!」
長波が親潮たちの部屋に凸したり…
「ちょっとカレーを作りすぎてしまってな。よかったら食べないか?おすそわけだ」
「あ、いらないかも…です」
お返しに磯風が高波のところに凸していったりと
鎮守府の至る所で陽炎型と夕雲型が小競り合い、中規模な諍いを頻繁に起こしているのでそのうち陽炎型VS夕雲型の全面戦争になったらと思うと不安で眠ることも出来ない。
「あー、早く戦艦になりたいなぁ」
「あ、雪風も!なれるならなりたいです!」
…まだ希望もあるかもだが。
ちなみに陽炎型と夕雲型にここまでさせといてなんだが…
俺的には陽炎型とか夕雲型より……
朝潮型の方が好きだ。
そして後にこの俺の思いはバレて、朝潮型をも巻き込んだ大戦争となるのだが…この時の俺はまだそんなこと思いもしなかった。
どんぐりのせいくらべ