第三王女の娘の戦場   作:レイラレイラ

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シスベル様loveな作者レイラ(以下略)です。

アニメのシスベル様もお美しい!

個人的にシスベル様とイスカ君のカプすこです。

どうか応援のほどよろしくお願いします!



プロローグ

「お父様~~~ッ!!」

 

「おっと」

 

 ストロベリーブロンドの髪に大きな黒い(・ ・)瞳の十四、或いは十五ほどの美しい少女が黒髪の男性に抱きついた。

 

「危ないよ、シスカ。それに今はアリスとの星霊術の特訓中じゃなかった?」

 

 抱きつかれた男性────イスカがシスカと呼ばれた母親似の少女を優しく身体を離すと、シスカはむぅと不満げに頬を膨らませる。

 

「アリス叔母様の教え方が厳しすぎるのですわ! あれはもう鬼の域です、鬼婆(おにばば)です!」

 

「そこまで言わなくても…………」

 

 娘の言い様にイスカも苦笑するが、背筋がゾクッとする感覚を覚えシスカの後方を見やる。

 

 そこにはとんでもない圧を放ち、笑顔なのに目がちっとも笑っていないアリスリーゼ・ルゥ・ネビュリス9世が佇んでいた。

 

「そうやって愛しのお父様とイチャイチャできるのなら、まだ余裕よね? さあ、早く戻って続きを始めましょうか」

 

「お止めくださいアリス叔母様! これ以上やったらわたくし壊れてしまいますわ!」

 

 アリスに捕らえられたシスカはじたばたともがくが、幾重もの戦場を潜り抜けた現女王に叶うわけがなく呆気なく連れ去られていく。

 

「お 姉 さ ま、でしょう?」

 

「イヤァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

 

 シスカ・ルゥ・ネビュリス10世の叔母にあたるアリスは彼女にとっての星霊術の師匠でもあるが、絵面が完全に苛めレベルなのでさすがに止めた方が良いだろうかと悩み始めるイスカであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆◆◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「疲れましたわ…………」

 

 アリスとの特訓が終わり自室に戻ったのは日がくれてからのこと。

 

 湯浴みを済ませ、寝間着に着替えたシスカはベッドに飛び込み身体を沈ませる。

 

 燐あたりに見られたら叱責されるだろうが、自室は自分で片付けるからと両親以外は近づけさせていない。

 

 事実、部屋はすっきりしていて明日十五歳を迎える年頃の少女にしては充分に片付いていると言えるだろう。

 

 ────────────ベッド以外は。

 

 ベッドの上は無数のぬいぐるみで溢れかえっており、ぬいぐるみだけで毛布の役割が果たせそうだ。

 

 大量のぬいぐるみからひとつだけ引っ張り出すと、なんとも愛おしそうにその亀のぬいぐるみを胸に抱いた。

 

 それは母親がずっと持っていたぬいぐるみで、まだ7歳の時に一人部屋を持つことになりせめてとねだった結果にもらったものだ。

 

 保存環境がよかったこと、手入れを欠かさなかったことが幸いしてふかふかな状態を保っている。

 

「…………お母様」

 

 コンコン。

 

 扉をノックする音に上半身だけ起こしどうぞ、と答える。

 

 部屋に入ってきたのはシスカによく似たストロベリーブロンドの髪の女性─────────シスベル・ルゥ・ネビュリス9世。

 

 シスカの母親であり、もうすぐ三十代を迎えようというのにその美貌はまったく衰えようとしなかった。

 

「明日は二大国平和式典の日なのですよ。覚えてもらわなければいけないことがたくさんあるのですから…………」

 

「大丈夫ですわ。必要なことは全て頭に入っていますし、それに…………」

 

(明日はわたくしの…………誕生日ですのに)

 

 終戦より数年、シスベルはアリスの共をして要人たちとの会議やらパーティーやらで大忙しだ。

 

 だいたいはイスカといることが多かったせいで剣の技量ばかりがあがっていくばかりで、シスベルとはほとんど遊べていない。

 

 誕生日も手紙こそ送ってくれるものの、五本の指に入るほどしか祝ってもらっていない。

 

 自身もルゥ家の一人として挨拶回りや公務も行っているため、なおのこと会えていない。

 

 本当ならばもっとシスベルと一緒にいたい、甘えたいというのが本音でイスカから教えてもらう剣術もアリスから教えてもらう星霊術も実力がついていくほどに楽しいとは思う。

 

 …………だからこそ、シスカは我が儘を言わない。

 

 イスカからも過去の帝国と皇庁の話は聞いているし、今も平和を維持するために奔走しているのは知っているから。

 

 コンコン。

 

「入るよ、シスカ」

 

 再び扉がノックされる音が響き、イスカが布に包んだ何かを持って入ってくる。

 

「お父様? どうしたんですの、こんな時間に」

 

「ちょっとね…………えっと…………」

 

「ああもう! まどろっこしいですわ!」

 

 シスベルはイスカが持っているものをひったくると、それをシスカに差し出した。

 

 訳もわからぬままそれを受けとると、ずっしりとした重量がシスカの細腕にのし掛かってくる。

 

 布越しではあるが、触れてみてそれが何かはすぐにわかった。

 

「お父様…………これは……」

 

「開けてみて」

 

 促されて布を取り外すと、黒と白の一対の双剣が姿を現し驚愕のあまり落としそうになるがなんとか持ち直す。

 

 イスカ以外には機能しない筈の星剣が渡されることにさらに理解が追いつかなくなり、困惑は深まるばかり。

 

 恐る恐る柄に触れると、今の自分であれば使えるという確信が芽生えるのを実感する。

 

 『黒鋼の後継』は新たな主に引き継がれたのだ。

 

「お父様!! わたくし、まだあなたとの『約束』は果たせていませんわ!! なのに、どうして…………」

 

「それは…………」

 

 シスカとイスカは一つ約束をしていた。

 

 剣術の特訓にあたり何か目標があったほうがいいだろうと、イスカが持ちかけた約束。

 

 イスカに一度でも勝てればこの剣をシスカに与えるというものだ。

 

 物心ついたころからイスカの昔話を聞かされてきたシスカにとって、イスカは憧れの人物であり星剣はその象徴であった。

 

 もともとの才能もあったのかめきめきと実力をつけていったシスカであったが、経験の差まではどうしようもなく。毎度惜しいところで負けてしまうのだ。

 

 シスカは納得がいかずに問いつめようとするが、イスカの一言に毒気が抜かれる。

 

「もともとシスカが十五歳になったら継がせるつもりだったんだ。だったら誕生日プレゼントにしちゃおうかなって」

 

 なんという浅はかな理由だとシスカは言葉を失った。

 

 イスカの師匠が聞けばなんと言うだろう、そんな思考が浮かびかけるが頭をふってその思考を振り払った。

 

「ありがとうございますお父様。わたくし、この剣に恥じない立派な存在になれるように精進を続けますわ」

 

 泣き笑顔になっているのを自覚しながらイスカを見据え、感謝を告げるシスカ。

 

「うん。頑張って。…………シスベル、『あれ』渡さなくてもいいの?」

 

「分かっていますわ。シスカ、少し立ってください」

 

「…………?」

 

 シスカは星剣をベッドに置き、立ち上がるとシスベルはシスカの首に手を回して何かを付けた。

 

 首筋から見える鎖からペンダントなのだと分かるが、パーティーなどに付けていくような高価なものではない。

 

 素材からして高級感は全く感じられず、適当な店で買ってきたような…………

 

「シスベルが歴史的な価値のアクセサリーをプレゼントしようとしているのを見つけてね、急いで止めてこれにしたんだ」

 

「わたくしは、シスカによりいいものを選ぼうとしただけですのに…………」

 

「シスカが高級品に興味がないのはシスベルも知ってるでしょ」

 

「それはそうですけど…………」

 

 シスカがペンダントをまじまじと見つめていると、イスカがロケットペンダントのチャームを開いた。

 

 ペンダントの中には五歳ほどのシスカとイスカ、シスベルの写真が入っていて、シスカはその写真を見て喜びのあまり涙を抑えられられなかった。

 

「お二人の気持ちがこもったプレゼント、嬉しいです。一生大切にしますわ」

 

「シスカ、今まで一緒にいられなくてごめんなさい。本当にごめんなさい…………」

 

「お母様…………ッ!?」

 

 うなじに強烈な衝撃を受け、意識を失い倒れ伏すシスカ。

 

 完全に意識を失う直前、シスカは二人の声を聞いた。

 

「わたくし(僕)はあなたをずっと愛している(ます)」

 

 

 

 

 




もう一度言わせてくださいシスベル様loveです!
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