影山蒼
立花桜
春風瑞季
以上3名
私は現実と生徒会長から逃げた。家から飛び出たのは2:30。走り出した。しかし、生徒会長である蒼くんは来ない。私はここで自殺を決めた。高台で、4mはありそう。
「もう、いいよね」
私は高台の端にある返しの上に乗った。普通だったら怖いって思う。だけど、今は違う。
「行こう」
私は4m下に向けて体重をかけた。そのまま重力に身を任せ、落ちていく。
「桜!」
静かな場所に聞こえた蒼くんの声だった。けど、もういいんだ。遅い。
生徒会長はこっちに来ようとしたが、私が先に落ちていった。
すると、何故だろう。生徒会長が私の横から飛び降り始めた。私より速い。体重をかけてるんだろう。私の真下は芝生。しかし、生徒会長の真下はコンクリート。落ちたら即死に決まってる。
生徒会長は凄いスピードで落下したあと、芝生の上に肩から落下した。そして、立ち上がり、私の真下へ。
「え……」
私はそのまま落ちていった。
私を支えてくれたのは生徒会長だった。私に怪我はなかったが、生徒会長は肩が動かないようだった。重い打撲だったらしい。全治2ヶ月、左手をなるべく使わないようにと言われていたらしい。
しかし、その事を知ったのは私が四月になって、東鉄指令の仕事を始めてからだった。もう遅くて、怪我をしたのが三月で、もう1ヶ月経っていた。
「立花さん、中央方面架線支障物撤去完了です」
「あ、はい。それでは、1228Tから順に吉祥寺から再開します。前の電車は安全取れ次第運転再開おねがいします」
【影山蒼視点】
俺は怪我をしていたが、バイト先に用事があって、昼間に千駄ヶ谷へ移動した。1228Tだったが、吉祥寺で架線に支障物で止まってしまった。俺はその隙に一緒に付き添いをしてくれていた瑞希に礼を言った。
「ありがとう、瑞希」
「ううん。お姉ちゃんはバイトだし、大丈夫だよ」
俺が瑞浪の家に行くと、瑞浪がバイトだったため、妹の瑞希が付いてきてくれた。
「何しに行くの?」
「バイト先に荷物を置いててさ」
俺は固定されている左肩を眺めながら言った。動かすと痛み、なるべく動かさないようにしているが、癖で動いてしまうときがある。
「動かすと痛い?」
「うん。結構痛くて、死にそう」
俺は瑞希に左肩の包帯を見せた。血こそ出てないが、ずっと打ち付けられているように痛い。
「触るのは?」
「それはあんまり。ただ、痛くないって訳じゃない」
俺は痛みをこらえて、元の位置に戻った。
「なんで怪我したの?」
「人を守った」
自分を犠牲にしたけど、大丈夫だ。
「流石だね、蒼くん」
人は守りたいっていうのが、何か自分の中であったから。理由なんてただそれだけ。
「そうかな。けど、ありがとう」
俺は目を合わせることなく言った。
全く、いつもみんなそうだ。
この世界の人類、大半が見て見ぬふりをする。
自分に何かあったら助けを求める癖に
他人に何かあってもなにもしない。
言われるまで
というか
最悪言われてもしない人類だっている。
そんなの
どうかしている。
だったら
他人を助けてやった方が
自分を助けてほしいときも筋が通る。
まぁ、どうせ今回はやり過ぎたが。
俺はそんなことを思いながら、ボーッとしていた。
「──くん、蒼くん」
瑞季から呼ばれていることに気付く。
「あ、あぁ、なんだ」
「ちゃんと話聞いてた?」
痛いところをつかれ、俺は正直に白状する。
「…ごめん…」
「やっぱり。お姉ちゃんだって守ってくれるって話!」
本当になにも聞いてなかったな……
「あ、あぁ、守るさ」
俺は知ってたかのように言った。本当は一切知らないけど。
「じゃあお姉ちゃんにも言っとくね。あ!……」
瑞季は何か思い付いたかと思うと、急に黙り込んだ。
「どうした?」
「いや、お姉ちゃんのコンビニ来てって思ったんだけど、その手じゃ無理だよね……」
瑞浪のコンビニかぁ。バイト先ってことだよな。
「行ってもいいよ。駅から近いんだよな?」
「うん。歩いて1分くらい」
だったら行けるかな。
「じゃあ行くよ。ただ、まずは荷物取りに行こうかな」
「うん。行こ」
俺と瑞季はお互い触れないようにして座った。