鈍感な彼氏と直接言えない彼女の物語 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
影山蒼
お母さん
春風瑞浪
以上3名


第14話 どんな状況でも

 その中でも、横浜線はそこまで遅れていなかった。

とは言っても、今の時刻が14:02なのに対し、今度の八王子行きの電車は13:52発予定八王子行き。

結局13:52発は14:03、11分遅れで到着した。八王子には14:06。ここから八高線で小宮まで行く。

今度の八高線は、1番線から13:48発予定川越行き。当駅始発だが、まだ来れていないそうだ。

そんなとき、1番線に放送が流れた。

 

「1番線ご利用のお客様にご案内いたします。今度の……13:48発予定の川越行きですが……本日……東福生~箱根ヶ崎駅間において、線路内が冠水いたしましたため、本日に限りまして、この電車は運休とさせていただきます……拝島方面ご利用のお客様、ご迷惑をお掛けいたしますが、立川駅で……青梅線のご利用をお願い致します」

 

運休らしい。小宮に行くにはどうしたら……

俺は心の中で絶望しながらも、2番線の中央線ホームで待った。

今度の中央線は、2番線から14:21発中央特快東京行き。時刻通り走っていて、14:21に出発した。

 

(瑞浪、大丈夫か……)

 

俺は早く着いてくれ、と願っていた。

 

 立川に着いたのは14:32。ここから青梅線に乗り換えるんだが、次の電車は通常だと14:39発青梅行きに乗ることができるが、今日は中央線からの直通列車は青梅線内運休。そのため、次は22分後の14:52発予定青梅行き。

しかし、大幅な遅れのため、所定14:30発の電車が出発していなかった。俺はその電車に乗った。

遅れていた14:17着予定だった南武線の電車を待ち、14:40に10分遅れで出発した。青梅行きではなく、拝島行きとして運転する。

昭島~拝島では25km/h以下の徐行運転がなされ、拝島には15分遅れた14:58に到着した。

拝島到着時、八高線は全線で運転を見合わせていた。俺は仕方なく、拝島からなるべく近づくため、バスで田中停留所へ。

16:08発立82系統で田中へ。なるべく小宮に近づく。

16:24に田中停留所。16:44発昭30系統のバスに乗り換え、田中団地西停留所へ。16:46に到着した。

 

(歩きになるのか……)

 

俺はレインコートを羽織り、しょうがないと思いながらも歩き始めた。44分歩きらしい。

 

 44分歩いて、17:30、ようやく瑞浪の家の前まで来た。もうくたくただ。俺は屋根のある場所でレインコートを脱ぎ、ビニール袋の中へ突っ込んだ。そして、ピンポンを鳴らす。

 

《はーい……》

「すみません、影山です。瑞浪が心配していると思いまして」

《影山……ああ、彼氏さんね。入っていいわ》

「失礼します」

 

俺はドアが開くのを待った。開くと、お母さんが出てきた。

 

「こんなところまで……どこから歩いてきたの?」

「田中町団地西ってバス停からです」

「えぇ!?あそこからだと50分くらい歩くわよ!?」

「歩いてきました……」

 

俺は息を吐くように言った。

 

「疲れたでしょう?あ、そうだ」

 

お母さんは何かを思い出したように言った。

 

「瑞浪、部屋で蒼くんのこと待ってるわよ。あの子、蒼くんは来る!とか言って、部屋に籠ってるの」

 

面白い人だな、瑞浪は。俺は瑞浪の部屋に行こうとする。そこを、お母さんが止めた。

 

「レインコート干しとくわ」

「あ、ありがとうございます」

 

置いていったレインコートをお母さんは干してくれた。俺は瑞浪の部屋に行った。

 

「瑞浪、入るよ」

 

俺が開け始めると、瑞浪は「待って!」と言っていたが、もう開けてしまっていた。

 

「え……瑞浪、着替えてた……?」

「うん……あ!みたでしょ!」

「見てない!」

 

俺は反射的にそう言った。瑞浪は恥ずかしそうに顔を赤くした。

 

「うぅ……恥ずかしい……」

「なんかごめん……」

「けど、どうせ見せるんだよね……いつかは」

 

どうせ見せる?そんなことない気がするが……あ、結婚すれば見るか……?

 

「蒼くんっ!私のブラ見て!」

「はぁっ!?」

 

瑞浪は壊れたかのように言った。

けど、こういうのも面白かったりするから、俺は好きだ。

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