鈍感な彼氏と直接言えない彼女の物語 完結   作:月島柊

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卒業まであと74日


第2話 呼び出し

 私は影山くんと話したくて、毎日影山くんと同じ電車に乗った。未だに話せてないけど、いつか話したい。

 

 学校にいると、私は2階の廊下から1階の渡り廊下を見ていた。体育館に通じる渡り廊下で、そこに影山くんが1人だけで通っていった。私がじっと見ていると、体育館から倉山くんが出てきた。影山くんは持っていた何かを投げ渡し、体育館に入った。私はそれが気になって体育館に向かった。

体育館では影山くんに見つからないようにこっそり隅にいた。

 

「勇気、今日何する」

 

今日は休日で、体育館の自由活動があった。自由に使っていい日が週に1度だけある。

 

「バク転するか」

「ホント好きだよな、バク転」

 

あれ、影山くんって科学科じゃないの?バク転なんてできるのかな。私はジーッと見ていた。

 

「せーのっ」

 

倉山くんと影山くんはバク転を始めた。少し長い影山くんの髪が揺れる。バク転ができるなんて、かっこいい。私はそう思った。

3回くらいしたあと、影山くんと倉山くんは戻ってきた。私はそこから離れ、高いところの通路に隠れた。

 

「そういえば、蒼ってさ、春風のこと気になってないのかよ」

 

え、私のこと!?だって、少し前に好きじゃないって言ってたじゃん!

 

「話したことないから何とも言えない。ただ、本人には言えないけど──」

 

私はそこまで聞いて逃げ出した。もう聞けない!ドキドキしすぎてもう無理!

 

 私は影山くんと同じ電車に今日も乗った。登校は一緒じゃないけど、下校は同じ電車。もうそろそろ話さないと。

 

「影山くん」

 

私は勇気を振り絞って言った。影山くんはこっちを見る。

 

「連絡先…交換しない?」

「いいよ。LINEでいいかな」

「あ、うん」

 

意外とあっさり交換できた。すぐ立川に着いちゃった気がして、私は家に帰った。影山くんは私とは逆方向の中央線なんだ。

私が家に着くと、すぐにベットに飛び込んだ。スマホを開き、LINEを開く。影山くんと交換したの、夢じゃないんだ。私は枕にぎゅっとした。

 

「影山くんと交換しちゃったーっ!大好きな人と交換できたっ!」

 

私は落ち着いてメッセージを送る。もう告白しちゃおうかな。あ、けど、直接しちゃうとドキドキする…遠回しに言おっと。

 

〈影山くんの好きな色って何?〉

〈紺〉

 

すぐに返ってきた。私と同じだ。

 

〈一緒!気が合うね〉

〈そうだな〉

〈私、大好き〉

 

これで通じるかな。鈍感じゃなきゃ通じるよね。

 

〈俺も〉

 

あ、「俺も」って、両思いだったの!?

 

〈紺色大好き〉

 

え、紺色のこと?なんだ、私のことじゃないんだ。

 

【影山蒼視点】

 

 春風から連絡が来た。

 

〈影山くんの好きな色って何?〉

 

どうでもいいけど、気になってるし返信しよう。

 

〈紺〉

 

冷たかったかな。たった一文字って。

 

〈私も!気が合うね〉

〈そうだな〉

〈私、大好き〉

 

これ、俺のことだろ。体育館に隠れてたの知ってるし。けど、知られない方がいいだろ。

 

〈俺も〉

〈紺色大好き〉

 

なんか会話が成り立ってない気がする。気のせいかな。

 

〈…そうだよね〉

 

俺はスマホを閉じた。明日は休みだし、ゆっくり寝ようかな。6日間よく頑張ったよ、俺の体。

 

 翌日は日曜日。誰にも誘われることなく自由に過ごそう。と思ったが、俺は昨日閉じたスマホを開く。LINEの画面のまま閉じたから昨日の状態だった。更新され、メッセージが数件あった。

 

〈影山くん〉20:10

〈おーい〉20:13

〈聞いてるー?〉20:13

〈明日のこと話したいんだけどー〉20:14

〈もう話しちゃうよ?〉20:14

〈明日、10:30くらいに拝島駅で待ってて〉20:15

〈絶対だよ!〉20:16

〈無視ぃ?〉20:17

〈待ってるから、返事ちょうだいよ?〉20:18

 

次のメッセージは約1時間半後だった。

 

〈返事は?〉21:50

〈もう、明日待ってるよ?〉21:51

〈じゃあ待っててね!〉21:52

 

これでメッセージは終わっていた。来てたのに気付かなかったが、拝島駅だよな。10:30かぁ。今は…

 

「やっべ!10:00じゃねぇか!」

 

俺は急いで支度をして家を飛び出た。集合まであと30分。間に合うのかよ。俺が片倉駅に着いたのは10:10。4分前に出ていった各駅停車八王子行に乗れば拝島には10:30着だったのに、次は10:17発各駅停車八王子行。拝島には30分遅れた11:00。八高線は本数少ないから、30分後になってしまう。俺はひとまず春風に連絡した。

 

〈悪い、30分遅れる。なにか奢るから許してくれ〉

 

俺はとにかく急ぎたいがために10:17発に乗っていった。

 

 八王子には10:20。俺は八高線ホームまで歩いた。次の電車は10:48。やってしまった。俺はそう思った。

そして、LINEが来た。

 

〈今日って何日?〉

〈3月20日?〉

〈ありがとう〉

 

俺たちの卒業式は3月24日。あと4日しかないんだ。

 

 拝島には11:00。すぐに駅前に向かった。そこには、春風が立っていた。

 

「ごめん、春風」

「いいよ、大丈夫」

 

春風は1人で歩いていった。俺、嫌われたかな。

 

「春風──」

「なに、影山くん」

「なんか俺嫌われたかな」

「どうして?だい…」

 

なんか言いかけた気がしたけど、気のせいかな?

 

「言いたいことがあって、月曜日、屋上に呼ぶから」

 

屋上に?というか実際に会わないとダメだったのか?そういって春風は立ち去ってしまった。

 




卒業まであと4日
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