影山蒼
影山柚葉
影山楓
春風瑞浪
お母さん
以上5名
柚葉が帰ってくると、俺は食事について考えた。俺の料理スキルは皆無。ゼロに等しいほどだ。
「柚葉って料理できたっけ」
「中学家庭科2の私に聞く?」
それもそうだ。家庭科2のやつができるわけないな。
「じゃあ楓は」
「簡単なものだけ。いい」
「それでもいいさ。食えればいい」
俺は楓に食事を着くってもらうことにした。誰も作れなかったら外食かなとか思ったけど。
「楓、料理作れるんだな」
「うん。けど、難しいの作れない」
「例えば」
「チャーハン作れる」
そう言ったら何となく昼飯のこと分かってきた。
「俺、着替えていいか?喪服のままなんだ」
「誰かのお通夜?」
「バイト先のマスターがね」
「そうだったんだ。着替えてきていいよ」
柚葉がドアを開ける。俺は見えないところで普段着に着替えた。喪服はハンガーにかけておこう。
「お待たせ──」
俺が着替えた時間は短かったはず。なのに、柚葉が下着姿に、楓が……あぁ……裸エプロン……
「君ら、なんでそんな……」
「だって、蒼くん、男子だから好きでしょ?」
「……エッチ」
楓は誤解し、柚葉はなにか勘違いしている。
「柚葉、着替えてなさい。俺は外出る」
「え、ちょっ」
俺は外出した。目的地も決めてないが、なんとなく瑞浪のところに行こうかと思った。
瑞浪の家に着き、俺は呼び鈴を押そうとした。その途端、ドアが開いた。
「あ!蒼くん」
お母さんだった。なんで急に出てきたりなんかしたんだろう。焦ってるようだし。
「どうしたんです」
「瑞浪が、どこか行っちゃって。蒼くんの家に来てない?」
「いや、すれ違いかも知れませんが、おそらく来てないかと」
お母さんは走って探しに行った。どこかに行った?どこに行ったんだ。
「瑞浪……」
俺は周辺を探した。お母さん1人じゃ大変だろうから。
「蒼くん……」
「瑞浪か!」
俺は後ろを振り向いた。そこには瑞浪がボロボロの状態で立っていた。
服は茶色く汚れ、肩や膝に穴が空き、穴が空いたところからは切り傷が見える。全体には濡れた跡がある。
「蒼くん……」
「瑞浪、どうしてそんな」
「おじいちゃんを説得したの。そしたら、こんな……」
説得って……一体何を説得する──あ、違う。
「結婚のことか」
「うん……」
【春風瑞浪視点】
おじいちゃんのところに行って、私は結婚を認めさせようとした。しかし、おじいちゃんは認めてくれた。代わりに、お兄さんが認めなかった。私は必死で認めさせようとした。しかし、お兄さんの怒りは爆発した。
「認めねぇって言ってんだろ!諦めろよ」
「嫌っ!結婚する!」
「いい加減にしろ」
お兄さんは私を強く叩いた。私は反抗し、叩き返した。
「瑞浪!」
お兄さんは私を突き落とす。下は川で、川の上に落下した。
「痛いっ……」
「やめなさい!君!」
「じいさんだって認めてないだろ!」
「あいつにはできる。見直した。瑞浪、帰りなさい」
「……」
私は立ち上がって走った。
【影山蒼視点】
俺は瑞浪の傷跡を見た。小さな石が傷の表面に付いている。俺は瑞浪の傷を守り、家に帰した。
「瑞浪、傷口洗うから痛いけど、我慢してくれ」
「……うん」
俺は水道で瑞浪の傷口についた石を洗い流す。
「いっ……」
「瑞浪、大丈夫。おわったから」
「蒼くん……」
瑞浪は傷口を付けないように俺にくっついた。
「結婚、できるよ。蒼くん……」
「……馬鹿……」
俺は傷の周りを触って言った。
「こんな傷じゃ、式挙げられないだろ」
「……心配?」
「心配に決まってるだろ」
俺は絆創膏を傷のあるとことに貼った。あまり圧迫しないようにして、瑞浪の傷を隠した。
「瑞浪、痛くないか」
「うん……早く治んないかな」
「どうして」
「早く結婚したいから」
俺は瑞浪のことをハグした。こんな人がいい。こんな人と結婚したい。この人じゃないとだめだ。俺は心の中でそう思った。
急ですが、恐らく25話で最終回だと思います。