鈍感な彼氏と直接言えない彼女の物語 完結   作:月島柊

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今回の登場人物
影山蒼
影山柚葉
影山楓
父さん
母さん
(春風瑞季)
以上5名(6名)


第23話 前日

 夜が明け、楓たちも起き始めた7時。もう起きる気すらなかったが、柚葉がキスしようとしてきたからしょうがない。

 

「なーんだ、蒼くん起きちゃうんだ~」

「いや起きるだろ……」

 

俺はゆっくり起き上がった。すると、柚葉が俺の口にキスした。

 

「はむっ」

「ん……」

 

一瞬だったが、なんか仕掛けられた気がする。

 

「おはようのキス」

「彼女じゃないんだからさ」

 

柚葉はブーブーいいながら部屋から出ていく。

俺はカレンダーに赤丸をつける。もう結婚式は明日にまで迫っている。

結婚式は土曜日で、休日にしたのは、瑞季や、今日帰ってくる父さんと母さんが来れるようにだ。

 

「もしもし、瑞浪?」

 

俺は瑞浪に電話した。

 

《ごめん、今瑞浪いないから私出てる》

 

瑞季が電話に出ていた。

 

「そうなの?じゃあ、瑞浪に、明日のウエディングドレス楽しみだって言っといて」

《オッケー!私も着たいな~》

「しょうがないよ。彼氏つくるしかないな」

 

俺は瑞季にそう言うと、電話を切った。瑞季にはまず、全然早すぎる。卒業してからだな。

俺は明日に向けて、服装や髪型を考え始めた。服装は式場で着れるからいいとして、問題は髪型だ。どんな髪型にしようか、未だに悩んでいる。

瑞浪に聞こうとも思いはしたが、いないとなるとなぁ……しょうがないけど、なんか不都合だ。

どうしようか。ヘアスタイルに詳しい人なんてそう簡単はいないだろうし……

 

「蒼くん、入るよ」

 

楓の声だ。入れても大丈夫だろう。

 

「入って」

 

俺は楓を招き入れた。楓は髪を整えながら入ってきた。あ、いた。

 

「捕獲」

 

俺はそう言って楓の両肩をつかんだ。

 

「え、なに」

「髪型、明日整えてくれないか」

「明日結婚式だからね」

 

楓は正座した俺に寝た。

 

「明日、行くからね」

「──あぁ」

 

楓のたった一言に、俺は今までにないほど感動した。何でかは分からない。ただ、何となく──。

 

「蒼くん、泣いてる」

「え、あ」

 

俺は楓に言われて泣いていたことに気付く。

 

「蒼くん、結婚おめでとう」

「……ありがとう、楓」

 

俺は楓に礼を言った。なんだろう、結婚式前日ってこんな感じなんだ。そう思った。

楓は膝に寝たまま俺の腹を触った。楓がこんなことするなんて今までなかった。楓からしても、明日が特別な日ということが分かってるんだろう。

 

 夜になり、風呂に入っていた。もうそろそろ父さんと母さんが帰ってくる時間だろう。

空気の入ってくる音が聞こえたかと思うと、父さんの低く太い声が聞こえた。

 

「蒼~、どこにいるんだ~」

「風呂入ってる!」

 

俺は中から叫ぶ。すると、母さんも叫んだ。

 

「すぐ上がってきなさい!」

「あいよ」

 

俺は大声で言う。俺はすぐに体を拭き、服を着てリビングに走った。

 

「なんだ」

「蒼、そこに座りなさい」

 

なんか怒られるのか。俺は緊張しながら座った。

 

「蒼」

「はい」

「……」

 

父さんは黙り込んだ。あ、本当に何かあるか?

 

「蒼、結婚おめでとう。今日は折角5人揃ってるんだ。ケーキ買ってきたから、みんなで食べよう」

「はぁ、なんだよ、紛らわしい言い方するな」

「はっはっは、すまん!」

 

俺は持ってこられたケーキの皿を見た。そこには、「3つの続いた整数は3の倍数である!」と手書きで書かれていた。これって、人生で初めてやった証明問題じゃないか!

俺は書き始める。

 

 3つの続いた整数のうち、中心の数をnとすると、3つの続いた整数はn-1、n、n+1となる。計算式は(n-1)+n+(n+1)=3n

となる。nが整数のため、3nは整数となる。

∴3つの続いた整数は3の倍数であると言える。

 

全て書き終わった。すると、母さんがつっこんだ。

 

「そうだろうなとは思ったけど、こんな時まで数学脳なのね」

『あっはは!』

 

すると、俺以外のみんなが笑い出す。それにつれて、俺も笑い出した。

 

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