鈍感な彼氏と直接言えない彼女の物語 完結   作:月島柊

27 / 27
最終回 第25話 思い出の場所

 俺は扉が開いて、中に入っていく。左右には椅子に座った父さんや母さん、楓、柚葉、瑞浪の方のご両親が座っていた。もちろん瑞浪もいる。

俺は壇上にあがる。瑞浪が後から来るが、白いカーテンのようなもので顔が隠されている。

 

「瑞浪」

 

俺はそのカーテンのようなものを上げる。

瑞浪は笑って、俺に言った。

 

「蒼くん」

 

瑞浪は俺の手を握った。

 

「大切にすることを誓いますか」

 

誓う以外の選択肢なんて、あるはずがない。

 

「誓います」

 

同じことを瑞浪にも言う。瑞浪は「はい」と言って、俺に笑う。

 

「ウエディングケーキの入刀です」

 

俺はナイフを持つ。瑞浪が俺の手を握る。そして、ゆっくり、入刀する。

 

 

 

 結婚式が終わると、俺たちは急いで走って行った。行く場所は分かっている。きっと瑞浪だって分かっているはずだ。あの時、瑞浪が告白したあの場所だ。俺はそこ場所に辿り着くと、瑞浪に言った。

 

「覚えてるか、瑞浪がここで告白したの」

「覚えてるよ。蒼くんと両思いだったのも」

 

あれは、俺の人生で1番印象に残っていることだった。瑞浪が俺に告白をして、今こういう関係になっている。瑞浪にとっても、俺にとっても、嬉しい。

 

「あの時は桜が舞ってたんだけどな」

「いいじゃん、もう一回、来年、ここに来よう?」

 

瑞浪は俺の左腕を抱いて言った。

 

「いっそ、告白記念日に毎年来ちゃうか」

「何その告白記念日って」

 

瑞浪が笑って言う。しかし、すぐに笑顔で言った。

 

「でも、いい考えだね、蒼くん」

 

俺はその流れで言った。

 

「婚姻届出すとき、珍しいけど、瑞浪の苗字で出そうと思うんだ」

「え、どうして?」

「ほら、告白したとき、桜が風に乗って来てただろ?あれ、春の風みたいだったから。忘れないって思いを込めて」

 

たまたまだったんだろうけど、そうだとしても奇跡だと思う。あんなこと、もう一生ないと思うから。

 

「そっか。そうだね。そうしよ」

「あぁ」

 

俺はベンチに座った。

いまは緑の葉が生い茂っているだけで、あの時とは全く違う光景になっている。それと同じように、瑞浪に対する気持ちは、あの時と全く違う。あの時はただ「好き」という気持ちだったが、今は「大好き」という気持ちになっている。

 

「瑞浪、大好きだ」

「蒼くん……」

「瑞浪……」

 

俺は瑞浪とキスを交わした。ある意味ファーストキスだ。

 

「蒼くん、私も大好きだよ」

「よかった」

 

俺は瑞浪をハグする。あの時とは全く違うと思っていた。だけど、同じものはあったらしい。それは、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

      俺たちの身体だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  Fin.

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。